外国人材の採用は、グローバル化への対応や深刻化する人材不足など、喫緊の課題解決にとどまらず、イノベーションの創出や生産性向上などによる企業価値の向上が期待できる。
しかし、言語や文化の壁などが原因で外国人の採用活動に苦戦する企業も少なくない。
今回は、サステナブル企業を目指す取り組みの一つとして外国人の積極採用(ダイバーシティ採用)を行う日本自動ドア株式会社を取り上げる。
同社で働くスリランカとベトナム出身の2名の社員に、入社の経緯やリアルな働き方を語ってもらうことで、外国人材が働きやすいと感じる環境、心理的安全性を生み出す組織づくりの鍵を紐解いていく。
遠く離れた日本からでも祖国に貢献できると思った
ニリーカ
スリランカ出身のニリーカです。日本語学校で日本語を学び、専門学校で国際貿易を学んでから日本自動ドア株式会社に入社しました。入社2年目の現在は、国際部で輸出入の手続きや、カタログの翻訳、またテレワークが導入され、コールセンター業務も行っております。
ホアンクオックビン
ホアンクオックビンです。ベトナム出身です。10年前に来日し、1年半日本語を勉強して、エレベーター関係の会社に入社しました。その後、より機械に携わる仕事がしたいとの思いから、日本自動ドア株式会社に転職しました。自動ドアのエンジンの取付といった施工業務や、点検などのメンテナンス業務などを担当しています。
日本自動ドア株式会社への入社の経緯を教えてください。
ニリーカ
専門学校在学中に参加した面接会で、日本自動ドア株式会社を知りました。
そのときに、日本自動ドア株式会社は、初の海外代理店進出の地がスリランカで、2004年のスマトラ島沖地震でスリランカの復興支援を行っていたり、スリランカから仕入れたセイロン紅茶を扱うオンラインショップ『andasanda(アンダサンダ)』も展開していたりするなど、私の母国スリランカと非常に強い繋がりがあることを知って興味を持ちました。
この会社であれば遠く離れた日本からでも母国に貢献できるかもしれないと思い、2週間のインターンシップに参加してみたんです。
インターンでは社員の皆様がとても優しく、とてもいい雰囲気で仕事をされていて、言葉や文化の違いによる苦労や困難を全く感じなかったので、ぜひこの会社で挑戦させていただこうと思い、入社に至りました。
ホアンクオックビン
私は先ほどお話した通り最初は別の企業で働いていましたが、大学で学んでいた機械の知識をより生かしたいと思い、日本自動ドア株式会社に転職しました。
転職当初は、専門知識も多く、未経験の仕事ばかりで大変でしたが、社員の方々が優しく、何でも教えてくれたので、できることがどんどん増えています。
「外国人だから」という理由で苦労したことが全くない理由
お二人とも、「社員の方々に優しく教えてもらった」と仰っていますね。より詳しく教えていただけますか?
ニリーカ
社員の方々は皆様本当にお優しいです。何か困ったことがあると、業務のことはもちろん、プライベートに関することでも相談にのってくださいます。
私から質問しなくても、「この言葉は専門用語なので少し難しいかもしれないけど、分かった?」と気にかけてくれますし、朝礼で使用される書類にはすべてフリガナがついているなど、あらゆるところで外国人に対する配慮を感じます。
ホアンクオックビン
確かに外国人にとって働きやすい環境だと思います。入社当初は、細かい部品の名前など専門用語も多く、覚えることが大量にありましたが、皆さんが優しく教えてくださったおかげで、どんどん知識が増えていくことを楽しく感じられる余裕がありました。
入社直後に受けた2週間の工場研修と、東京の事務所でのOJTのどちらも丁寧に優しく教えていただいたことで、分からないことばかりの環境だったにもかかわらず、それほどストレスを感じずに済みました。
ニリーカ
苦労したということは全くないですね。安心して仕事ができる環境を整えていただきました。入社前のインターンシップや、3ヶ月間のアルバイト経験のおかげで、会社の雰囲気に早いうちから慣れることができたのが大きかったのかもしれません。
もちろん最初は言葉の壁が多少ありましたし、専門用語も多いので、分からない言葉に出会ったらすぐにメモをして、翌日までに意味を調べて電車の中で復習するといったことを積み重ねていくことで、徐々に克服できるようになりました。
日本語を早く覚えたくて、頭の中でも日本語で考えるような習慣づけもしていました。
ホアンクオックビン
言葉の壁は外国人であれば誰でもある程度感じると思いますが、日本自動ドアは風通しが良く、質問すれば的確なフィードバックを貰えるので、そこまで大きな障壁にはならないと思います。
ニリーカ
コロナ禍でテレワークとなった現在も、週に1度上司との打ち合わせがあるので、疑問や悩みなどを1人で抱え込まずに済んでいます。
ニリーカ
コールセンターはお客様から様々なご相談があるのですが、お客様が抱える問題を上手く解決できたときにやりがいを感じます。また、名前を申し上げたときに、「日本人じゃないんですね! 日本語とてもお上手ですね」と褒めていただいたときはとても嬉しかったです。
ホアンクオックビン
私もお客様とのやりとりに喜びや楽しさを感じます。作業完了後に、「どちらのご出身ですか?」と質問されたことをきっかけに、私の故郷のベトナムの話で盛り上がれたのが嬉しかったですね。やっぱりお客様とコミュニケーションをとれることがいちばんですね。
以前、吉原社長にお話を伺った際、日本人・外国人といった国籍などは関係なく、公平な評価制度にしていきたいと伺いました。現在、どのような評価制度になっているのでしょうか?
ニリーカ
まず、数ヶ月毎に自己評価についてのアンケートがあります。その後、アンケート結果をもとに、今、困っていること、不安に思っていること、今後どのような仕事に取り組んでいきたいかも含めて、何でも上司に相談できるフィードバック面談があります。
普段は、週1回、上司との1on1ミーティングがあります。毎週の仕事の進み具合を共有したり、その際にちょっとした相談もできます。そのような形で、上司とコミュニケーションをとりながら評価していただけるので安心感があります。
外国人材が求めている環境、心理的安全性の高い組織づくりに必要なもの
では最後に、日本自動ドア様で働いていく中での今後の展望と、今後入社を目指される外国人の方々へのメッセージをお聞かせください。
ニリーカ
私は日本自動ドアの魅力を、世界にもっと広めていきたいと思います。
日本文化にも興味がありますので、今までやりとりのある国に出張に行って、私が実際に働く中で感じた働きやすさや、製品の良さ、日本の文化の素晴らしさも含めて、あらゆる観点から日本自動ドアの素晴らしさを伝えていきたいです。
そして、今後はもっともっと仕事に慣れて、管理職も目指して頑張りたいと思っています。
ホアンクオックビン
周りの人が皆さん優しく、安心してどんな仕事にもチャレンジできます。どんな仕事でも任せてもらえるように、これからもどんどんチャレンジしてきたいです。
1年2ヶ月程で現場作業を1人でできるようになったので、今後はよりペースを上げてできることを増やしていきたいと思っています。日本自動ドアを目指す方には、「とても風通しが良く、皆さん優しい会社なので、安心して挑戦してください」と伝えたいです。
ニリーカ
私も同じですね。日本自動ドアのいちばん良いところは、「働きやすさ」だと思います。仕事をするうえで最も大切なことは人間関係、ストレスなく働ける環境だと思います。
特に私のように自国を離れて働く人にとっては、周りの社員の方々とどれだけコミュニケーションがとれて、良い人間関係を築けるかがすべてではないでしょうか。
私は、100%満足していますし、楽しく働かせていただいています。これから入社される方には、日本自動ドアの働きやすい環境について、ぜひ知ってほしいですね。
組織の「心理的安全性」や、コミュニケーションに基づく公平な「評価の仕組み」など、ダイバーシティの実現に向けた働きやすい環境づくりが、とても大切なのですね。本日はありがとうございました!
◎企業概要
日本自動ドア株式会社
https://www.jad.co.jp/
代表取締役社長 吉原二郎
〒165-0031東京都中野区上鷺宮3-16-5
Tel:03-3970-2511
Fax:03-3970-2525