山梨県北杜市に人気の天然氷のかき氷屋があります。なんと店主は元Jリーガーの小椋祥平さん。
小椋さんは高校卒業後に、水戸ホーリーホックに入団。ボランチ起用時に独特のマークでボールを奪う姿から「マムシの祥平」「水戸のガットゥーゾ」と呼ばれました。
その後は横浜F・マリノス、ガンバ大阪、モンテディオ山形、ヴァンフォーレ甲府で活躍。2020年1月に現役を引退しました。
なぜJリーガーから天然氷の世界へ移ったのか?元有名サッカー選手のセカンドキャリアと、天然氷のかき氷の魅力に迫ります。
蔵元八義が提供する天然氷のかき氷
小椋
天然氷は自然の寒さだけで、じっくりと時間をかけて作った氷のことです。時間をかけて凍らせると、不純物を含まない純度の高い氷になります。気泡がない透明な氷です。
八ヶ岳の湧水で丁寧に時間をかけて作っています。冷凍庫で凍らせた氷とは比べものにならない味とふわふわの食感が特徴です。
天然かき氷の特徴は、食べても頭がキーンとならないこと。天然氷は人口氷よりも不純物が少なく、溶けにくい性質を持っているため、頭がキーンとする温度より氷を温めた状態で提供できるからです。
小椋
シロップもすべて手作りです。いちご・ブルーベリー・桃など。「変なものが入ってないから安心して食べられる」というお声をいただいてます。
フルーツは規格外で売れないものを知り合いの農家から買い取っています。Jリーガー時代のつながりで、現在農家を営んでいる元選手から送ってもらうことも。
天然氷に魅せられた元Jリーガー小椋祥平さん
かき氷屋を開店するまでの経緯を教えていただけますか。
小椋
Jリーガーを2020年7月に引退しました。
引退の際は次に何がしたいか決まっていなくて。でも漠然と「サッカー以外のことがしたい」と思っていましたね。そんな時に知り合いに「天然氷を作っているから手伝いに来て」と誘われたんです。
誘われるがまま半信半疑で、天然氷を作っている山の中に行きました。
そこでは早朝、マイナス何十度の環境下、池で氷を作っていて、「こんな世界があるのか、面白い」と感動したんです。そこから関わることになりました。
山梨が好きで山梨に天然氷を広めたいと思い、自分の認知度が役立てばと考え、天然氷の卸売から始めました。
なぜ、そこからかき氷を展開することになったのでしょうか。
小椋
最初は知り合いの飲食店に卸していたのですが、「自分がお店を持っていないのに、人に天然氷を勧めるのはおかしいな」と感じたからです。自分のお店を持ちたいと思い、2022年7月にかき氷屋をオープンさせました。
小椋
一応、順調です。特にJリーガー時代のファンの方々が来てくれるのは心強い。わざわざ横浜から来てくれるお客様も。
サッカーとは全く関係のない事業ですが、せっかくできた選手とサポーターという関係性を続けられるのはいいなと思います。
サッカーをしていた時は怖い印象だったみたいで「こんなに話しやすい人だったんですね」と言われます。
サッカーしてる時は笑顔を見せませんから。今は素直な自分を出せていて、お客様との距離感も心地良いです。
将来的にJリーガー時代に所属していたすべてのチームの都道府県に出店したいです。
「アスリートのセカンドキャリアの選択肢を広げたい」
なぜアスリートの世界から天然氷の世界へ移ったのでしょうか。
小椋
多くのサッカー選手が引退後に指導者になります。プロサッカー界隈ではよく聞くのですが、「サッカーしかしてこなかったから、これからもサッカーしかない」という声です。
指導者以外の道を知らない選手が多い。しかし、そんな狭い世界しか知らないコーチに教えてもらう子供たちは不憫じゃないかと思ったんです。
自分がサッカー以外の道で頑張っていれば、こういう道もあるんだと思ってもらえる。昔の選手仲間で農業してる方もいて、選択肢は広がってきています。
商売を始めた時はメールの書き方も知らずに大変だった一方で、知らないことばかりで楽しかったです。サッカーのことしか知らないのもつまらないですから。
◎企業情報
株式会社八義
住所:山梨県北杜市高根町長沢字滝久保2457-3
設立:平成24年12月
代表取締役:正木かよ
URL:https://yatsu-yoshi.com/
◎プロフィール
小椋祥平
高校卒業後に、水戸ホーリーホックに入団。ボランチ起用時に独特のマークでボールを奪う姿から「マムシの祥平」「水戸のガットゥーゾ」と呼ばれる。その後は横浜F・マリノス、ガンバ大阪、モンテディオ山形、ヴァンフォーレ甲府で活躍。2020年1月に現役を引退。現在は天然氷の卸売業とかき氷屋を営む。