24年10月から川崎市中原区を拠点にスタートした「殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト」。
本プロジェクトは、認定NPO法人キーパーソン21、サントリーホールディングスや地域の自治体、企業、保護者の応援のもと、小学4年生から中学生までの子どもたちが「やってみたい!」を実現するために挑戦する全4回のプログラムです。
今回は24年12月1日に開催したプロジェクトの最終回『やってみたいをやってみた!』発表会の様子をお届けします。
2ヶ月にわたる取り組みを経て、子どもたちはどのように成長したのか。
そして地域や大人たちがどのように彼らを支えたのか。その全貌に迫ります。
わくわくたまごプロジェクトとは?
「殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト」は、小学4年生から中学生の子どもたちが「やってみたい!」を見つけ、それを実現するための行動を応援する、全4回のプログラムです。主催は、川崎市を本拠地とし、20年以上キャリア教育プログラムを展開する認定NPO法人キーパーソン21。川崎市教育委員会やサントリーホールディングスをはじめとした地域の自治体・企業、さらに保護者の協力のもと実施されました。
このプロジェクトの特徴は、子どもたち一人ひとりが持つ「わくわくエンジン®︎」(わくわくして動き出したくなる原動力)を見つけ出すこと。地域の企業や住民と連携しながら、子どもたちが主体性を持って「やってみたい!」を実現することにあります。
第1回目のプログラムでは、プロレスラーの大原はじめさんやサントリー商品開発センターの山﨑望さんなど、さまざまな業界で活躍するゲストのお話を聴き、ゲームを通して好きなことや大切なことなどを大人達と対話しながら自分のわくわくエンジンを発見し、「やってみたい!」を考えました。
第1回目の様子は、以下のリンクにて詳しく紹介しています。
第2回目では「やってみたい!」を具体的な計画にするために、サポーターと一緒に作戦会議を行い、第3回目では実際にアクションする挑戦が行われました。
そして、約2ヶ月間にわたる活動を発表する場として、第4回目『やってみたいをやってみた!』の発表会が開催されました。
今回のレポートでは、この最終回イベントの模様を中心にお届けします。
『やってみたいをやってみた!』発表会
この発表会では、2ヶ月間にわたる活動を、子どもたち自身がグループごとに発表。会場には保護者や地域の支援者が集まり、子どもたちの挑戦を見守りました。
プロジェクトの主催者やサポーターの大人たちも加わり、喜びや達成感に満ちた特別な1日となりました。
各グループは、子どもたちが自分たちで考えたテーマを中心に活動を進め、「やってみたい!」を実現するために伸びやかに意見を出し合い力を合わせてきました。
それぞれのテーマや活動内容には、子どもたちの個性や興味が色濃く反映されており、その多様性は発表会をとても豊かなものにしていました。
それでは、各グループの活動内容と発表の様子をご紹介します。
Aグループ「スイーツカフェ」-スイーツ作りに夢中!
Aグループのテーマは「自分たちでカフェを開いてスイーツを作りたい」。
この「やってみたい!」を実現するために、子どもたちは企画段階からメニュー案を出し合い、スイーツの種類やデザインを考えました。
発表では、「最初はただケーキを作るだけだと思っていたけど、チームで話し合ううちに、もっといろんなアイデアが湧いてきて、カフェという形にもした」と子ども達の豊かな創造性も発揮されました。
第3回目のプログラムでは、材料の買い出しから、パフェやケーキをつくり、コーヒーを入れておもてなしするところまで実践しました。
「生クリームやフルーツをどうやってデコレーションするか考えるのが楽しかった」「自分の好きなフルーツを使ったパフェを作れて嬉しかった」と語る子どもたちは、スイーツ作りを通じて自分のこだわりや創造力を形にする喜びを発表してくれました。
さらに、今回のプログラムのきっかけに川崎市のラジオ番組かわさきFMに出演する機会にも恵まれ、自分たちの活動を紹介する経験も。
「最初は緊張してうまく話せなかったけど、だんだん楽しくなって、もっと話したいと思った」と語る子どももおり、活動を通じて発信する力も身につけた様子が伺えました。
Aグループのサポーターの大人の方は、「子どもたちが好きなことに夢中になりながら、自然と協力している姿が印象的だった。
スイーツ作りに没頭するエネルギーは、大人の私にとっても勇気をもらえるものだった」とコメント。
また、ある保護者は「子どもが自分の好きなことを形にして、他の子と協力しながら楽しんでいる姿を見て、本当に成長したと感じた」と語り、家庭でも子どもの自信が増したことを感じ取っていました。
Bグループ「Jr.鉄道ファンクラブ」——鉄道への情熱を形に
鉄道好きのメンバーが集まったBグループでは、宮前区にある「電車とバスの博物館」での運転室のシミュレーター体験や鉄道の模型作り、JR東日本で実際に働いている方へのインタビューと、多岐にわたる活動が行われた様子を発表しました。
特にJR東日本の方へインタビューでは、普段知ることのできない鉄道業界の裏側を聞き出す貴重な機会を得ました。
発表では、「質問を1時間もさせてもらえて、運行の仕組みや安全管理の大切さを学べた」と興奮気味に語ってくれました。
「電車のシミュレーターでは、運転士になりきって警笛を鳴らしたり、スピードを調節するのが楽しかった」という感想も伺え、貴重な経験をした子ども達の成長を実感できました。
またNゲージに取り組んだお子さんは「作った模型は自分で作業をした分、愛着が湧いて大切にしたいと思った」と語り、ものづくりの大切さを実感した様子でした。
Bグループのサポーターは「子どもたちの質問力や探究心の深さに驚かされた。鉄道という共通の好きなものがあるからこそ、自然にグループとしてもまとまり、活動が進んでいった」と振り返ります。
後日、おひとりの保護者から貴重な声をいただきました。
「家で今回のやりたいを聞いたら、きっと何かと理由をつけて実行しなかっただろうなと思います。それを、やらないという選択肢ではなく、どうやったらできるのかな?と動いてくださっていることを知り、こどもだからでてくる発想を、大人の経験で勝手に難しいよ、できないよと判断して、やらない方向に進めてしまうのも大人、どうやったらできるかなと考えて実現させてあげられるのも大人、私は重要な立場にいるということを考える、貴重な経験でした。こどもの幸せを願うなら、今のままの自分ではいけないなと教えていただきました。ありがとうございます。」
Cグループ「ファンタジー」——空を飛びたい、宇宙人に会いたい
「ほうきで空を飛びたい」、「宇宙人に会いたい」という壮大なテーマを掲げたCグループ。
活動では、それぞれの夢を具体的な体験や想像に落とし込んで取り組みました。
「ほうきで空を飛びたい」という子は、なんで空を飛びたいのかというと、飛んでるときの風を感じてみたかったから。そして彼女のわくわくエンジンは「試してみること」。
そこで、ジップラインを体験することで空を飛ぶ感覚を味わうことに挑戦。
発表会では、その時の映像を披露し、「風を受けて空中を移動するのは、本当に空を飛んでいるみたいで楽しかった」と感想を語りました。
一方、「宇宙人に会いたい」というテーマに挑戦したメンバーは、国立科学博物館に行き、火星の環境についてなど調べたり、人間の進化を学んだりしたことから、火星人ってこんな感じになるんじゃないかと自分なりに想像して絵に描きました。
彼女のわくわくエンジンは「頭で想像したのを作り人に見せること」。
後日、次にやってみたいことをきかれた彼女は、オリジナルの火星人グッズを創ってみたいと語っていました。想像と創造のアイデアがどんどん膨らんでいくようです。
活動を支えたCグループのサポーターは、「子どもたちのアイデアと行動力に驚かされました。最初は無理かと思ったテーマも、小さな一歩を積み重ねて実現に近づけた」と振り返ります。
大人の感覚だと「無理」ときめつけてしまいそうになるテーマでも、創造力で楽しくアクションをやりとげたこのチームの挑戦、きめつけや制限をもたずにいろんな角度から柔らかく発想するプロセスの大切さを示してくれました。
Dグループ「チャレンジャーズ」——多様なチャレンジに挑む
Dグループ「チャレンジャーズ」は、その名の通り、多様なチャレンジをテーマに掲げたチームです。
メンバーそれぞれが異なる「やってみたい!」を持ち寄り、3Dプリンターの見学、無人島サバイバル技術の体験、さらにはアフリカの国「ジブチ共和国」についての調査など、幅広い分野に挑戦しました。
3Dプリンターに興味があった子は、企業を訪問し、プリンターの仕組みや活用例について学びました。「データを設計して形にすることが、思ったよりも難しいけれど、とても面白かった。
次は自分でもデザインを作ってみたい」と感想を述べ、実際に3Dプリンターに触れモノを作り上げる経験に興奮した様子でした。
また、無人島サバイバルに興味のある子は、火起こしの技術を体験できます。
「弓ぎり式」や「まいぎり式」の火起こしに挑戦し、発表会ではその技術を実演。「火をつけるのは簡単そうに見えたけど、実際はかなり難しかった。
でも、何度も挑戦して少しずつ上達していくのが楽しかった」と語り、観客から大きな拍手を受けていました。
さらに、「世界で一番暑い」という情報からジブチ共和国に興味を持った子は、アフリカに位置するこの国について詳しく調査。
海抜が非常に低い場所にあるため、極端に暑い気候で知られるジブチ。調べた内容を地図や写真とともに発表し、「ジブチの湖は塩分濃度が高くて、人が浮いてしまうほど。実際に行ってみたいけど、あまりの暑さに耐えられるかちょっと不安です」と将来の訪問を具体的に考えて語る場面が非常に印象的でした。
このグループのサポーターは、「ひとつのテーマを共有するというよりも、それぞれが自分の興味に向かって進む姿が印象的でした。
それでもお互いを尊重し合い、他のメンバーの活動にも興味を持ってサポートし合う姿が素晴らしかった」と振り返ります。
また、保護者の一人は「子どもが挑戦する中で、いろんな分野への興味を自然に広げているのが分かり、親としても新たな発見がありました」と語り、活動を通じた広がりを感じ取っていました。
Eグループ「未知」——新たな世界を知る楽しみ
Eグループ「未知」は、新しい世界を探求することをテーマに集まったグループです。
「世界一周旅行がしたい」など、それぞれの興味を軸に活動を展開しました。
「世界一周旅行」を目指した子は、自分なりの旅行ルートを計画し、行きたい場所をリストアップ。
「地図に行きたい場所をマークしながら線を引いたり、どの順番で回るか考えたりして、それだけで楽しかった」と語り、発表会では世界一周のルートのわかりやすいプレゼンテーションをみせてくれました。
また、3日目に実際に世界一周を経験した人の話を聞く機会も設けられ、「海外には日本とは違う文化や景色がたくさんあり、面白いエピソードをたくさん聞けた」と嬉しそうに振り返りました。
さらに、VRゴーグルを使って世界旅行を仮想体験し、「自分の目で見たいという気持ちがもっと強くなった」と将来実現したい目標を語ってくれました。
サポーターの一人は、「子どもたちの発想力と行動力に驚かされました。新しい世界を知りたいという純粋な気持ちが、活動全体を通じて伝わってきました」とコメント。
また、保護者からは「ワークショップの日以外にも自分のやりたいことを調べたり発表の準備など、自分から取り組んでいた。たくさんの人に褒められて、自分の取り組みに自信を持てたようでした。」との感想をいただき、活動の意義が大いに感じられたようです。
Fグループ「中原クリエイターズ」——創造力を発揮して
Fグループ「中原クリエイターズ」は、メンバーそれぞれが異なる「やってみたい!」を持ちながらも、創造的な活動を軸に集まったグループです。
活動では、メイク教室の開催、油絵の制作、ゲーム作りなど、個々の興味を追求しました。
メイク教室を開きたいと考えた子どもたちは、メイクのプロを招いて技術を学び、実際に自分たちでメイクの実演を行いました。
「メイクは普段あまりやらないけど、プロに教えてもらえて面白さが分かった」「友だちをメイクしてあげるのが楽しかった」と笑顔で語り、発表会ではメイクの様子を再現しながら、学んだコツや楽しさを紹介しました。
油絵に挑戦したいという子は、キャンバスに向かって4時間以上集中し、力作を描き上げました。
「初めて油絵を描いたけど、紙とは全然感覚が違って難しかった。けれど、完成した時はすごく達成感があった」と語り、作品を披露しました。
ゲーム作りに取り組んだ子どもたちは、自分たちでキャラクターやストーリーを考案し、iPadを使ったプログラミングにも挑戦。
「ゲームを作るのは難しかったけど、仲間と協力しながら少しずつ形にできた」と話し、発表会では実際にプレイできる部分を披露しました。
保護者からは「これまで発表することに消極的でしたが、皆様のおかげで、今回自分の好きなことをやらせてもらえたことで、自ら進んで発表したいと言う積極性が出てきました。」と子どもの成長をまぶしく感じられたようです。
サポーターからは、「それぞれが違うテーマに集中して取り組み、子どもたちの集中力と創造性に驚かされました」とクリエイティブを色とりどりに開花させたチームでした。
Gグループ「ふれあいアニマル王国」——動物とのふれあいを通じて
動物好きの子どもたちが集まったGグループ「ふれあいアニマル王国」。
活動当日にはグループのメンバーがしおりを作成し、メンバー全員に配布しました。
活動では、川崎市動物愛護センター ANIMAMALL(アニマモール)を訪れ、獣医師から動物の保護や治療について直接学びました。ただ動物と触れ合うだけではなく、動物たちが置かれている現状を知ることで、多くの気づきを得る時間となったようです。
また、施設では年間200匹以上の犬や猫を保護しており、そのうち8割以上が譲渡されていることを教えられ、子どもたちは安心した様子で「もっとたくさんの動物が幸せになれるように、自分たちも何かできないか考えたい」「譲渡される動物が多いと聞いて安心した」と実感。
その後、溝の口にある里親募集型保護猫カフェ「猫式」へ移動し、実際に保護猫たちと触れ合う時間を過ごしました。
この体験を通し、命の重みを感じて行動に移せずにはいられない子は、なんと猫式の帰り道で偶然遭遇した保護猫譲渡会で配布されていた冊子「ペットショップに行く前に」を本日のイベントの参加者に配っていました。
このグループのサポーターは、「動物が好き、かわいいだけではなく、動物を守るためにどんなことができるかを考えるきっかけになったように感じました」とコメント。
保護者のお一人から「アニマモールや猫式に行った当日、たくさん歩いて疲れていたはずなのに、逆にたくさん歩ける自信がわいてきて、夢たまごから歩いて帰れるかも!と自らスマホのナビでしらべて歩いて帰った」というポジティブな変化への感動の報告もありました。
Hグループ「アニマル・フィッシュ」——自然と生き物への関心を深める
Hグループ「アニマル・フィッシュ」は、生き物と自然への興味をテーマに活動しました。
「釣りを体験してみたい」「カピバラと温泉に入りたい」「ジンベイザメと泳ぎたい」という、それぞれのやってみたい!を追いかけ、友情を深めながら、そして実際のアクションから発表までつくりあげたグループでした。
釣り体験に挑戦した子どもたちは、近くの釣り堀で実際に竿を握り、エサとなる赤虫を針に付ける作業からスタートしました。
「最初は虫を触るのが怖かったけど、慣れてくると上手に付けられるようになって楽しかった」と語り、釣り竿を引き上げた瞬間の喜びを体験しました。
また、「釣った魚がどんな種類なのかを調べたり、友だちと協力して釣りを楽しめたのが良かった」と話し、生き物を知る楽しさを実感したようです。
カピバラと温泉に入りたいという「やってみたい!」を持つ子どもは、衛生上の関係で現実的に実現するのが難しいことを受け入れつつ、工夫を重ねました。
発想を転換し、友だちと一緒にカピバラ温泉を模して段ボールでお風呂を作り、VRゴーグルでカピバラの映像を見ながらの体験。
「バーチャルだけど、実際にカピバラと一緒にいる気分になれて楽しかった!」と笑顔で振り返りました。
「ジンベイザメと泳ぎたい」というやってみたい!を持った子は、ジンベイザメの巨大な模型を制作。
形が崩れないよう工夫しながら、グループみんなで泳いでるように魅せ、観客から大きな拍手がおきました。
実はこれは’実際に沖縄にいってジンベイザメと泳ぎたい!という想いを保護者に訴えるためのプレゼンテーションでもあったのです。
最後に保護者から「沖縄に行きましょう!」と声があがり、会場から再び大きな拍手が送られました。
このグループのサポーターは、「子どもたちはそれぞれ違うテーマを持ちながらも、助け合いながら自分の「やってみたい!」に向かって行動する姿勢が素晴らしかった」と感心していました。
また保護者のお一人から「活動を通して、こどもファーストでありながら大人も一緒に楽しむ様子が見て取れ普段の生活にも活かしたいと思いました。学校以外の世界を知ること、他者と関わること自分の中の軸が少しずつ定まるきっかけになると感じました。自分の思いを言葉にして他者に伝える経験になったことがとてもよかった(とても苦手なことなので)」と、活動を通してお子さんの成長を実感できた貴重な感想をいただきました。
Iグループ「MMSKY4」——音楽とダンスで魅せるパフォーマンス
Iグループ「MMSKY4」は、音楽やダンスというパフォーマンスがテーマの子どもたちが集まったグループです。グループの名前はメンバーのイニシャルを並べかえました。
「友達とコンサートで楽器をやってみたい」「ブレイクダンスをやってみたい!」「ダンサーとして発表したい」「おもしろい変顔をやってみたい!」といった多彩な個性が融合し、最後の発表会では見事なステージを創り上げました。
活動初期にはそれぞれのやってみたい!がバラバラで、「本当に一つのチームになれるのか」という不安もあったようです。
しかし、話し合いを重ねることで「みんなで一緒にやってみよう」という想いへ。音楽も、ダンスも、みんなで一緒に挑戦してステージを創ることに。
まず音楽は演奏したい曲をみんなできめて、それをわくたまサポーターがアレンジ・編曲。もうひとりのサポーターがキーボードで伴奏し、メンバーはフルートとリコーダーで演奏することに。
そしてダンスは、「ブレイクダンス」が得意な地域の方にきていただくことが叶い、直接指導を受けてブレイクダンスの技を磨き、オリジナルの振り付けで仕上げました。
本番にむけて、ポスターをつくったり、今回のプログラムでメイクを学んだ子どもたちに事前にメイクしてもらったり、最後は「おもしろい変顔をやってみたい!」ということで変顔もキメて全員でポーズの演出も。
本番の演奏とダンスは、大きな拍手で包まれました。
「最初はブレイクダンスが難しくてできるか心配だったけど、練習するうちに楽しくなって、自信が持てるようになった」「みんなで一つの作品を作るのが楽しかった」と語る子どもたちの表情は本当に輝いていました。
このグループのサポーターたちは、「子どもたちがそれぞれの個性を発揮しながら、一つの目標に向かって協力し合う姿は感動的だった」と、活動の中で子どもたちが創り上げていったチームワークと盛り上がっていくエネルギーに強く心打たれていました。
キーパーソン21代表が語る「未来への可能性」
今回の「殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト」を主催したNPO法人キーパーソン21の朝山代表は、2ヶ月にわたる子どもたちの挑戦を近くで見守り、その変化や成長を肌で感じてきました。
発表会終了後に行われたインタビューでは、プロジェクト全体を振り返りながら、子どもたちの持つ可能性と、大人たちの果たすべき役割について語っていただきました。
「初回のプログラムでは、親に連れられてきたような子もいて、何をするのか分からずおどおどしている様子の子もいました。」と朝山代表。それが「わくわくエンジン®︎」の発見をきっかけに、自分の興味や「やってみたいこと!」に気づき、次第に主体的に動き出す姿が見られたと言います。第2回目の作戦会議では、すでに子どもたちが「やらされ感ゼロ」で意見を出し合い、計画を立てる様子に感動を覚えたとのこと。「大人でもなかなかできないレベルで、子どもたちが自分たちで動き出していました」と振り返ります。
第3回目では実際にやってみる行動に移り、第4回目の発表会では堂々と披露する子どもたちの姿が印象的でした。
「発表の場では少し緊張が見られましたが、それでも自分たちの活動をまとめて発信するという経験は、必ず将来に生きるはずです。」と、発表の重要性についても言及しました。
また、子どもたちだけでなく、周囲の大人たちの変化についても言及。「実は今回のプロジェクトで一番大きなテーマは『大人の殻を破ること』だったのかもしれません。」と語る朝山代表。
子どもの可能性を信じ、枠にはめずに補助はしつつも子どもたちの”やってみたい!”にはあたたかい目で見守るサポートの大人たちの存在が、子どもたちの成長を後押ししました。
その過程で、大人たち自身も「子どもたちにこんな力があるとは思わなかった」「一緒に活動する中で自分自身も学んだ」という声が多く聞かれたとのこと。
さらに、地域の大人や企業、自治体との連携も成功の大きな鍵でした。
サントリーホールディングスをはじめ、株式会社CSD、株式会社エヌアセット、ジェクト株式会社、株式会社大山組などの地域企業や川崎市教育委員会、かわさきFMなど、多くの協力者が関わることで、子どもたちの挑戦の幅が広がり、夢を形にするサポートが可能になりました。
「地域と連携し、子どもたちをみんなで育てるという体制が重要です。今回、それが証明できたと思います。」と胸を張ります。
最後に、今後の展望について伺うと、「このプロジェクトを全国に広げていきたい」と力強く語りました。「子どもたちは本来、無限の可能性を持っています。その可能性を引き出すためには、こうした体験の場をもっと増やし、大人が子どもたちを信じて支える環境を作っていく必要があります。それが地域の活性化につながり、やがて日本全体を元気にする原動力になると信じています。」
発表会の熱気が冷めやらぬ中、朝山代表の言葉には、子どもたちの未来を切り拓くための強い意志と希望が込められていました。
◎団体情報
特定非営利活動法人 キーパーソン21
http://www.keyperson21.org/
設立:2000年12月10日
代表理事:朝山 あつこ
所在地:〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704