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特定非営利活動法人 キーパーソン21

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〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704

サントリーとNPOの協働で子どもの未来を照らす――サントリー社員が挑む社会貢献の現場

ステークホルダーVOICE 取引先
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サントリー宮本氏
サントリーの宮本氏。わくたまプロジェクトでの一枚(画像提供:認定NPO法人キーパーソン21)

サントリーの社会貢献活動のひとつである「次世代エンパワメント活動“君は未知数”」の一環として、認定NPO法人キーパーソン21(以下、キーパーソン21)に出向し、子どもたちの可能性を引き出す活動に挑んでいるのは同社で長年営業を勤めてきた宮本直人氏。

宮本氏にサントリーとNPOの協働で広がる社会貢献の新たな可能性について伺った。

企業とNPOが手を組む新たな挑戦

「これまでの営業一筋のキャリアを離れ、新たに社会貢献の道を歩むチャンスを得ました」

そう語るのは、サントリー株式会社で長年営業職として活躍し、現在はキーパーソン21に出向中の宮本直人氏である。

サントリーは2023年、「次世代エンパワメント活動“君は未知数”」(※)という社会貢献活動を本格的にスタートした。

この活動の目的は、子どもたちが未来に希望や意欲を持ち、自らの可能性を最大限に発揮できる社会を実現することにある。

その一環として、社員がNPOに出向し、現場で社会課題解決に取り組むという新たな試みが始まった。このプログラムを通して宮本氏が出向先として選んだのは、キーパーソン21。

同団体は、子どもたちが自らの「わくわくエンジン®︎」(※)を大切にし、主に子どもや若者にたいして、自分を活かしてイキイキと生きることができるような場を創ったり応援することを使命としている。

宮本氏はこの活動に共感し、「自分自身もわくわくしながら、人の役に立つ仕事をしたい」という思いで手を挙げたという。

サントリー宮本氏
宮本氏(中央)プログラム実施中の様子。(画像提供:認定NPO法人キーパーソン21)

「子どもたちが明るい未来に向かっていくために企業がどう貢献できるのか。NPOとの協働はその答えを探る一つの挑戦だと思います」(宮本氏)

営業畑で培った経験を、社会課題解決の現場でどう活かすのか。これまでのキャリアとは異なるフィールドで挑む彼の姿勢は、企業とNPOが手を組むという新たな可能性を示している。

※サントリー「次世代エンパワメント活動”君は未知数”」とは
こどもたちの持つ可能性は未知数です。その可能性を全てのこどもたちが発揮できる社会を実現したい―そのような思いを活動名に込めたサントリー「次世代エンパワメント活動“君は未知数”」では、
①こどもたちが未知と出会う機会を届ける
②こどもたちに出会う・関わる大人を増やす
③こどもたちを見つめる・支えるNPO等を応援する、を軸に活動を展開しています。
この分野に先駆的に取り組まれてきたNPO法人等と連携・協働し、未知なる可能性に満ちた子どもたちが、意欲・希望・夢を持ってチャレンジできる社会の実現を目指します。

※わくわくエンジン®︎とは
もが必ず持っている動き出さずにいられない原動力のこと。キーパーソン21の登録商標

宮本氏が語る活動内容とその意義

宮本氏が現在、力を注ぐのは、「殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト」である。

このプロジェクトは、認定NPO法人キーパーソン21が本拠地の川崎市においてサントリーをはじめとする地元企業や自治体と協力して開催したもので、小学4年生から中学生までの子どもたちが自分の「やってみたい!」ことに実際に挑戦する全4回のプログラムだ。

「このプロジェクトの目的は、子どもたちが自らの内発的動機、つまり“わくわくエンジン”を発見し、やってみたいことを実現するプロセスを体験してもらうことです」(宮本氏)

このプログラムでは、サポーターである大人たちが子どもたちに寄り添い、自身の“わくわくエンジン”から発見した好きなことや興味のあることを深掘りしていく。

そして、それを実現するための具体的な計画を子どもたち自身が立てて、実際にやってみた経験を発表するというものだ。

活動を進める中で、宮本氏は様々な課題と向き合った。特に、子どもたちが自分の「やりたいこと」を見つける段階では、簡単には答えが出ないことも多いという。

サントリー宮本氏
わくわくたまごプロジェクトでの作戦会議。子どもと一緒に作戦を考える(画像提供:認定NPO法人キーパーソン21)

「子どもたちの話をじっくり聞きながら、なぜそれをやりたいのかを問い続けることが本当に大切です。例えば、ある子どもが“電車が好き”と言ったとき、ただ好きな理由を尋ねるだけではなく、その奥にある動機――なぜ運転士になりたいのか?運転士の魅力は何か?実はその理由は電車の仕組みを知りたかったからなど――まで掘り下げていく。それがわくわくエンジンの発見からやってみたいことを実際にやってみることにつながるプロセスなのです」(宮本氏)

このプロジェクトを通じて、宮本氏は多くの子どもたちの変化や成長を目の当たりにしてきた。

ある子どもは、人前で話すことが苦手で最初は消極的だったが、自分の好きなことを自由に表現できる環境に置かれることで人前ではなすことに自信をつけた。

このプログラムに参加した子どもの保護者からは「普段は何事にも消極的だった子どもが、朝早く起きて自分から準備を始めるようになった」などの声も寄せられたという。

こうした取り組みは、学校とは異なる学びの場を提供するものだと宮本氏は感じている。

「学校ではどうしても画一的な指導になりがちですが、ここでは子どもたち一人ひとりが主人公です。わくわくエンジンを見つけ、その実現に向けて主体的に動くことで、彼らの自己肯定感やチャレンジ精神が育まれるのだと思います」(宮本氏)

サントリーとNPOの協働が生み出す可能性

サントリーとキーパーソン21の協働にはどのような意義があると感じますか?

宮本

サントリーとNPOが協働することには、大きな意義があると感じています。サントリーの創業精神であり、価値観のひとつである『利益三分主義』は、社会への還元を企業活動の重要な柱のひとつとしています。

そして、「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、『人間の生命いのちの輝き』をめざす』をパーパスに掲げ、長年社会貢献活動に取り組んできました。

今回の活動では、NPOの現場力と企業のリソースを掛け合わせることで、より実効性の高い支援が可能になっています。

両者の強みを活かすことで、社会課題に対して大きなインパクトを与えられると感じています。

協働の中で具体的にどのような価値が生まれましたか?

宮本

NPOが協働することで、社会課題解決に向けた“新たな仕組み”が作られる点が最も大きな価値だと考えます。キーパーソン21は現場に密着し、課題を深く理解して解決策を実行する力があります。

一方で、企業は資金や人材、ネットワークを活かしてその活動を広げる役割を担います。

たとえば、『殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト』では、地域との連携がより強化され、多くの子どもたちに学びの機会を提供することができました。

このような相乗効果は、企業とNPOの協働だからこそ実現できるものだと思います。

宮本さん自身、この協働の中でどのような学びがありましたか?

宮本

キーパーソン21での活動を通じて、子どもたちの発想力や、自分で考えて動く力がどれほど大切かを強く感じました。

また、子どもたちだけでなく大人も、子どもと一緒に学び、楽しみながら共に成長していくという関係が生まれていることも非常に印象的でした。

企業として、こうした活動を通じて社会全体に役立つことができるのは、とても意義深いことだと感じています。

この協働モデルは今後どのように発展できると考えますか?

宮本

今回のプロジェクトのような取り組みを全国に広げることで、より多くの子どもたちに学びと成長の場を提供できるようにしたいと考えています。

企業とNPOが協力して新たなプロジェクトを開発し、社会全体にインパクトを与える仕組みを推進することも可能だと思います。

こうした活動を通じて、未来を担う子どもたちを支えるという使命を果たしていきたいと考えています。

最後に、企業とNPOの協働によって社会にどのような変化を期待しますか?

宮本

子どもたちが自分の可能性を信じ、未来に挑戦できる社会が実現することを期待しています。今回のプロジェクトで、子どもたちが自分の力を信じて動き出す姿を目の当たりにしました。

こうした経験が広がることで、彼らが日本の未来に大きな力を発揮できるようになるはずです。

また、企業とNPOが協力することで、より多くの人々が社会課題に関心を持ち、実際に行動する文化が醸成されていくことを願っています。

『殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト』での活動は以下のレポートでも紹介しています。

宮本氏が見据えるビジョンと今後の目標

残りの出向期間での目標を教えてください。

宮本

目標の一つは、これまで取り組んできた『殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト』をさらに発展させ、川崎だけでなく全国に広げることです。

このモデルを他の地域でも実施可能な形に整え、より多くの子どもたちに届けたいと考えています。

そのためには、単にプログラムを提供するだけでなく、地域の特性やニーズに応じた柔軟な仕組みを構築する必要があります。

これが実現すれば、子どもたちが自分の可能性を発見し、未来を切り開く手助けができると信じています。

プロジェクトを全国に広げる上で、どのような課題がありますか?

宮本

全国展開には、地域ごとに異なる課題や環境に対応する仕組みを作ることが重要です。

たとえば、都市部と地方では子どもたちが直面する問題やサポートの体制も異なります。そのため、それぞれの地域の教育関係者や自治体、企業との連携をどう進めていくかが鍵になると考えています。

また、この活動を持続可能にするためには、地域の方々が主体的に関わり、参加しやすい仕組みを整えていくことも課題です。

サントリーに戻った後、この経験をどう活かしていきたいですか?

宮本

キーパーソン21での経験は、私のキャリアにとって大きな転機となりました。

この2年間で得た学びを、サントリーに戻った後もしっかり活かしたいと考えています。特に、人と人が協力して社会課題を解決する仕組みづくりに注力したいです。

サントリーは『利益三分主義』のもと、社会に貢献する多くの取り組みを展開しています。

今後は、この活動の中で得た現場感覚や協働のノウハウを活かして、さらに多くの人々に希望や可能性を届けられるような取り組みを推進したいと思います。

最後に、宮本さんが描く未来のビジョンを教えてください。

宮本

私が描く未来のビジョンは、一人ひとりが自分の可能性を信じ、夢に向かって行動できる社会です。そのためには、子どもたちを育む環境を整えると同時に、それを支える大人たちが学び続けることも大切です。

サントリーの理念とも重なりますが、人と自然、そして人と人が響きあいながら、多様性を尊重し、支えあう社会を作っていけたらと思います。

このプロジェクトで目の当たりにした子どもたちの変化や輝きは、未来の希望を象徴していると感じます。その希望を絶やさないためにも、私自身も常に学び、行動し続けたいと思っています。

◎プロフィール
宮本直人
1996年サントリーに入社。営業職として酒類・飲料営業とスピリッツ・ワインの営業企画を全国各地で23年間に渡り担当。24年目に全く新しいことに挑戦したいとの思いから、NPO出向へ手を挙げ現在に至る。

◎企業情報
会社名:サントリーホールディングス株式会社
URL:https://www.suntory.co.jp/ 
創業:1899年
資本金:700億
従業員数:41,511人(2023年12月31日現在)

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ライター:

広告代理店でディレクター・メディアマーケターとして活動後、フリーライターとして独立。広告業界時代には、多くの企業経営者やマーケティング担当者への取材を手がけ、戦略的コンテンツ企画に携わる。現在は、企業取材の執筆を中心に、ライター・編集者として活動中。

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