川崎市中原区で、子どもたちの「やってみたい!」を応援する「殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト」がスタート。
サントリーHDなどの企業と地域が連携し、子どもたちが自分の「わくわくエンジン」を発見する体験を提供。
本記事では、全4回のプログラムの第1回目をレポート。
子どもたちの「やってみたい!」を応援する個性豊かな仕事人の講演やワークショップを通して、子どもたちが自分の可能性を発見する様子をお届けします。
中原区から始まる、子どもたちの未来への挑戦
特定非営利活動法人キーパーソン21は、「『わくわくエンジン®』が当たり前の社会をつくる」というビジョンを掲げ、子どもたちが自信と勇気をもって、自分らしい人生を選択できるよう支援しています。
その活動の一環として、川崎市中原区をコアに、子どもたちの「やってみたい!」を応援するプロジェクト「殻をやぶれ!わくわくたまごプロジェクト」がスタートしました。
本プロジェクトは、全4回のプログラムで構成され、子どもたちが内に秘めた可能性の芽を発見し、それを実現するためのサポートを行います。
記念すべき第1回は、2024年10月27日(日)に川崎市中原区にて開催されました。
このイベントは、川崎市教育委員会、サントリーHDをはじめとする企業や地域の応援によって実現しました。
会場であるサントリーグループの研修施設「研修センター夢たまご」には、中原区在住・在学の小中学生約30名超が集まり、熱気に満ちた一日となりました。
第一部 おもしろい仕事人がやってくる!商品開発人とプロレスラー!異色の仕事人が語る「わくわく」の力
午前の第一部では「おもしろい仕事人がやってくる!」と題し、二人のゲストスピーカーによる講演が行われました。
一人目は、サントリー食品インターナショナル株式会社で商品開発を担当する山崎 望氏。二人目は、武蔵小杉出身のプロレスラー、プロレスリング団体NOAH所属の大原はじめ氏です。
1人目の仕事人の山﨑氏は、様々な仕事がある中でも、結果的に興味のある仕事ができており、納得のいく人生を送れてきたことを子どもたちに伝えました。
その背景として、自身の幼少期に多様な経験を通じて培った強みや興味関心の特性によって、その後の人生の各所において新たな特性が生まれるという連鎖があると語りました。
山崎氏の講演では、自身の経験を通して、好きではないことも含めてとりあえずやってみること、そしていつもと「違う視点」で物事を見てみることの重要性を子どもたちに語りかけました。
山崎氏は「小さなことでも、ぜひ取り組んでみてほしい」と語ります。多様な経験が、将来の可能性を広げることを示唆するメッセージに、子どもたちは真剣に耳を傾けていました。
2人目の仕事人の大原氏は、プロレスラーを目指したきっかけや、メキシコでの修行時代、介護予防活動への挑戦、そして32歳で高校へ、35歳で大学に入学し教員免許取得を目指す現在の挑戦について、ユーモアを交えながら語りました。
大原氏には「好きなことを突き詰めること」「学び続けることの大切さ」を子どもたちに伝えていただきました。
大原氏は「大きな夢を叶えた後も、明日がある。常に学び続けることの大切さを伝えたい」と語ります。
自身の夢であったプロレスラーにはなれたものの、そこで挑戦が終わりではない。夢を叶えた後も人生は続き、常に学び続けることが大切だと訴えました。
現在も大学で教員免許取得を目指し挑戦を続けている大原氏。その姿は、子どもたちに「挑戦は終わらない」ということを身をもって示し、大きな刺激を与えました。
第二部:わくわくエンジン発見!&やってみたい!を考えよう
午後の第二部では「わくわくエンジン発見!&やってみたい!を考えよう」と題したワークショップが行われました。
子どもたちは、大人たちと一緒に4人1組のグループに分かれ、「すきなものビンゴ」に挑戦。
このビンゴは、自分の好きなものや大切なこと等とその理由を、対話しながら言語化していくワークショップです。
最初は緊張気味だった子どもたちも徐々に打ち解け、笑顔で意見交換をする姿が見られました。それぞれが自分の好きなものや経験について語ることで、新たな発見や共感も生まれたようです。
シートが完成すると、今度は自分の「わくわくエンジン」=「わくわくして動き出したくなる原動力」を言葉にして発表する時間です。それぞれの発表に、会場全体が一体感に包まれました。
ロボット製作が好きなウィル君は、「新しいものを仲間と作ること」がわくわくエンジンだと発表。
自転車で新しい景色を見ることや旅行なども好きで、共通して「新しいことを知ること、仲間と作り上げること」に喜びを感じていることに気づいた様子でした。
図工が好きなありささんは、「頭で想像したものを作り、人に見せること」がわくわくエンジン。
フェルトマスコット作りや絵本・小説の創作活動を通して、この原動力に気づいたと発表しました。「宇宙人に会って、一緒に遊びたい」というユニークな「やってみたい」も共有してくれました。
コーヒー好きなきあらさんは、「やってみたいことを探して研究して、それを実行すること」がわくわくエンジン。
コーヒーが好きで、「1日だけカフェを開き、いろんな人にもコーヒーのおいしさを知ってもらいたい。みんなの笑顔が見たい」と語りました。
子どもたちの「やってみたい!」を地域で応援、未来を担う子どもたちの可能性を共に育む
「喉を潤すだけでなく、人の心も潤していきたい」というサントリーHDと協働した今回のプロジェクト。
第一部では個性豊かな2人の仕事人による講演、第二部では「すきなものビンゴ」ワークショップを通して、子どもたちに「わくわくエンジン」を発見する体験を提供しました。
キーパーソン21代表理事の朝山あつこ氏は、このイベントについて、「子どもだけでなく、保護者の方々にも子どもたちのまだ見ぬ可能性に気付いてほしい」と語ります。
子どもたちが自分の「好き」や「わくわく」を見つけるだけでなく、保護者もそれを理解し、応援できるようになることが大切だと考えているとのこと。
親の理想や期待を押し付けるのではなく、子ども自身の「わくわくエンジン」を尊重し、それを実現するために必要なサポートをしていくことが重要だと強調しました。
さらに朝山氏は、「殻をドーンと破って、人が何と言おうと、それを気にしなくていい。自分が思ったことをそのままやり通せばいい」と、子どもたちへの熱いメッセージを送りました。
周囲の意見に惑わされず、自分の「わくわくエンジン」を信じて行動することの大切さを訴え、子どもたちの背中を力強く押しました。
このメッセージは、子どもたちだけでなく、参加した大人たちの心にも響いたことでしょう。
全4回で構成される本プロジェクトの第1回目は、子どもたちの笑顔と、それぞれの「わくわくエンジン」を発見できた喜びに満ち溢れ、会場は、未来への希望に満ちた、温かい雰囲気に包まれていました。
◎プロフィール(子どもたちに気づきを与えてくれた仕事人たち)
山崎 望
サントリー食品インターナショナルに勤務し、研究所で飲料の中味開発に従事。
これまでに様々な炭酸飲料の開発に携わり、現在は新規事業系のプロジェクトに注力。
大原はじめ
川崎市中原区生まれ、中原区育ちのNOAH所属プロレスラー。中学生からプロレスラーを目指し21歳でNWA世界ウェルター級王座獲得。現在は福祉、教育、共生を学ぶ現役の大学生。今の夢は、平日は教団に立つ教師、週末はリングに立つレスラー。愛称と合言葉は「ムイビエン!」
◎団体情報
特定非営利活動法人 キーパーソン21
http://www.keyperson21.org/
設立:2000年12月10日
代表理事:朝山 あつこ
所在地:〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704