厳格な評価基準で選出

ランキングは、売上高、時価総額、知名度などを考慮し、世界で最も規模が大きく影響力のある5,000社以上の企業を対象に選出。化石燃料や森林破壊など、持続可能でない業界に関わる企業は除外され、カーボンメジャー（大量の二酸化炭素排出企業）として特定された企業や環境災害に関与した企業も自動的に失格となるなど、厳格な評価基準が設けられている。

選出にあたっては、企業のCDP評価や国連グローバル・コンパクトへの参加状況、Science Based Targets（SBTi）への適合、S&Pグローバル・サステナビリティ年鑑への掲載、国連気候変動枠組条約（UNFCCC）によるRace to Zeroキャンペーンへの参加、MSCI ESG & SRI評価など、外部の信頼できる組織からの持続可能性評価やコミットメントに基づいて評価。さらに、持続可能性に関する報告書の公開状況や品質、環境および社会的な主要業績評価指標（KPI）なども評価対象となっている。

首位のシュナイダーエレクトリック、1.5℃目標を掲げ排出量削減を推進

首位に輝いたシュナイダーエレクトリックは、エネルギー管理に関するソフトウェアやサービスを提供する企業だ。

同社は、2025年までにカーボンニュートラルを達成するという野心的な目標を掲げ、自社の排出量削減に取り組むだけでなく、サプライチェーン上の企業の排出量削減とエネルギー効率向上も支援している。サプライチェーン全体での排出量削減にも取り組み、CDPから12年連続で「A」の気候評価を受けている。

上位企業の業界と取り組み内容

上位50社をみると、IT、テクノロジー、金融サービス、コンサルティングといった業界の企業が多くランクインしている。これらの業界は、製品製造に伴う環境負荷が比較的低い一方で、データセンターの運用やサプライチェーンにおける排出量削減などが課題となっている。

持続可能性をビジネスモデルに組み込む企業の事例

上位にランクインした企業の多くは、持続可能性をビジネスモデルに組み込むことで、経済的価値と社会的価値の両立を目指している。

例えば、5位にランクインしたアメリカのバイオテクノロジー企業イルミナは、最新の遺伝子シーケンサーを発表する一方で、前モデルに比べて包装廃棄物を90％削減した。

日本企業の取り組みと課題

日本企業では、NECやNRIなどが上位にランクインしており、再生可能エネルギーの利用やサプライチェーンにおける環境負荷低減など、積極的に取り組む企業が増えている。

しかし、世界的に見ると、気候変動対策や人権問題への対応など、より一層の取り組み強化が必要な状況である。

まとめ

TIME誌の「世界で最も持続可能な企業2024」ランキングは、企業が持続可能性を経営の重要課題として捉え、積極的に取り組む必要性を改めて示した。
日本企業も、世界的な潮流を捉え、サステナビリティ経営を推進していくことが求められる。

【参考】
・World’s Most Sustainable Companies of 2024（TIME）
・How TIME and Statista Determined the World’s Most Sustainable Companies of 2024（TIME）

以下は選出された500社の内、上位50社のランキング。
50位の中に日本からは2位にNEC、8位にNRI、29位に日立、31位にソフトバンク、38位にアドバンテスト、50位に富士通が選出されている。