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日本自動ドア株式会社

https://www.jad.co.jp

〒165-0031 東京都中野区上鷺宮3-16-5

03-3970-2511

CO2排出量の可視化のやり方とその効果とは?

サステナブルな取り組み ESGの取り組み
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キャプション:木製自動ドア(Selvans)(画像提供:日本自動ドア)

長年にわたり自動ドアの研究開発から製造、企画販売・施工、保守メンテナンスまでを手がけてきた、日本自動ドア株式会社。

間伐材での木製自動ドア「Selvans」や林業家の育成など業界に先駆けた環境配慮型サービスや商品開発などを行ってきた同社は、2021年に環境ビジョン2030を策定。

今回は同社が2030年度までにカーボンニュートラルを達成する第一歩として注力したCO2排出量の可視化について、環境ビジョン推進グループの6名に話を伺った。

2030年度までにカーボンニュートラルを目指す

本日はよろしくお願いします。まずは皆様の主な業務内容と、環境問題に対する取り組み内容を簡単に教えてください。

新谷

新谷です。主に開発や経理総務、広報、生産(工場系)など間接部門に幅広く関わっております。また、今回の環境ビジョンプロジェクトのとりまとめも行わせていただいています。

コーポレートオフィサー 新谷宗史さん(画像提供:日本自動ドア)

番です。私は日本自動ドア株式会社の本部グループで主に、断熱自動ドアの商品化、事務所の温度設定管理、無駄な出動の削減、自動ドアに付随する建材のリサイクル、拠点のゼロエミッション化などを行っております。

最近は特に、樹脂製の製品を木材化することによるCO2削減に注力しています。

営業グループ グループマネージャー 番 英幸さん(画像提供:日本自動ドア)
勝山

勝山です。私は、生産部門や、購買部門を担当しているほか、北海道と埼玉にある2つの工場(由仁工場・飯能工場)の節電などにも関わっています。

生産総括 エグゼクティブマネージャー 勝山貴行さん(画像提供:日本自動ドア)
藤井

藤井です。私が所属する創造部門では、木材を建材として活用した木製自動ドアなど、環境保全につながる製品の開発を進めています。

創造部門総括 エグゼクティブマネージャー 藤井 航さん(画像提供:日本自動ドア)
久保田

久保田です。業務管理グループの総務部に所属しており、設備関係の取り組みを行っています。

業務管理グループ総務部 エリアマネージャー 久保田 洋さん(画像提供:日本自動ドア)
岩田

岩田です。経理部に所属し、会社全体のCO2排出量の管理を行っています。

経理部 エリアマネージャー 岩田 潤さん(画像提供:日本自動ドア)

御社は、「2030年度までにカーボンニュートラルを目指します。」という『環境ビジョン2030』を掲げ、CO2排出量削減に向けた環境ビジョンプロジェクトを実施しています。

ビジョン策定にはどのような背景があったのでしょう?

新谷

環境ビジョン2030は、弊社代表取締役社長の吉原が2021年5月に策定したものです。

背景にあるのは、同年4月に日本政府が表明した「2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)」という削減目標です。

2030年までに46%削減、そして2050年までにカーボンニュートラルという目標を達成するためには、国だけではなく企業も意欲的に取り組まねばならないということで、弊社でも環境ビジョン推進グループを立ち上げ、自社・サプライチェーンの排出量・自動ドア稼働によるCO2の排出を削減を目指すことになりました。

現場の皆様は環境ビジョン2030をどのように受け止められたのでしょう?

新谷

もともと弊社は、「自動ドアを通じて人類社会に貢献する企業」であることを掲げ、事業は社会課題の解決であるべきだと考えていました。そのためCO2排出量削減も比較的すんなりと受け入れられたと思います。

ただし、CO2排出量の削減を目指すといっても、具体的に何をどこから始めればいいのかを決定することは容易ではありませんでした。そこで、弊社では自社のCO2排出量の開示からスタートすることにしました。

CO2排出量の可視化から生まれた7つの柱

自分たちがどのくらいCO2を排出しているかを数字で明確に示すところから、環境ビジョンプロジェクトを始めたのですね。

新谷

そうです。まずは、CO2排出量を「事業所全般で発生するCO2排出量」「自動ドアの使用で発生するCO2排出量」「関連事業で吸収するCO2排出量」の3つに分類し、現段階の排出量を可視化しました。

CO2排出量は削減目標を打ち出すうえで基盤となる重要なデータですが、どのように算出したのでしょうか?その過程で生じた困難などもお聞かせください。

岩田

「事業所全般で発生するCO2排出量」は、弊社の各拠点の毎月の電気使用量を遡って調べ、専用の計算式に入力することで算出しました。困難だったのは、過去の全国分のデータを拾うことです。

また、データを出して終わりではなく、様々なデータを比較することで仮説を立てて検証する作業も難しいと感じています。

例えばテレワーク率が比較的高い事業所にもかかわらず、電気使用量があまり削減できていない場合もあります。

どこに要因があり、どのような対策が有効なのかを考えていくことはチャレンジングではありますが、やりがいがあります。

事業所の照明の間引きや、空調の設定温度の見直しなど、基本から徹底的に見直し、全社員が目を通せるチャットでアナウンスを複数回行うことで、社員の意識改善を行っている最中です。

久保田

各拠点の業務車両のCO2排出量の計算も大変でした。

給油量からCO2排出量を算出していたのですが、過去の車は燃費が悪く同じ計算式を使うと不都合が生じてしまいます。そもそも当時の車両情報がメーカーに問い合わせても分からないこともありました。

それでも何とか現状把握を進めると同時に、業務車両更新時にハイブリッド車、EV化を推進するなどCO2排出量削減のためにできることから実行しています。

なるほど。では、「自動ドアの使用で発生するCO2排出量」についてはいかがですか?

藤井

自動ドアのCO2排出量は待機電力と開閉回数で決まります。

例えばコンビニと小規模マンションでは排出量が大きく異なります。ですから、どこを平均と見るかが難しかったですね。

それでも集計を行ってみると、実は自動ドアは1台で1日数円程度の電気料金しか発生しない省エネな製品であり、CO2排出量も1台で1日0.1~0.2「kg-CO2」と非常に少ないということが明らかになりました。

既に省エネな製品をさらに環境に優しく進化させるには、工場組や開発組と連携して、自動ドアの仕組みを根本的に考え直す必要があります。

弊社では、木製自動ドア「Selvans」を開発し、自動ドアを製造時に排出されるCO2の削減を実現させましたが、今後もこのような業界に先駆けた開発などを進めていきたいと思っています。

このように自動ドア装置の省エネ化を目指す一方で、老朽化した自動ドア装置の更新や再生エネルギーの活用も精力的に行っています。

例えば、自動ドア装置の吊り車を小まめに交換することで電気使用量を抑え、CO2を削減することができます。そうした様々な工夫によって、2030年までに実質ゼロを目指したいと思っています。

キャプション:日本自動ドアが掲げる環境ビジョン(日本自動ドアHPより)

ありがとうございます。

今までお伺いしたのは自社で実施してきた排出量可視化のための取り組みですが、サプライチェーンの排出量の数値化についてはいかがでしょう?より実行のハードルが上がると思いますが、どのように実施したのかお聞かせください。

勝山

全ての取引先に対して環境に関する取り組みをヒアリングさせていただきました。

印象的だったのは、ISO14001認証やエコアクション21を取得するなど環境問題に意欲的な企業であっても、CO2排出量の数値化には苦労しているということです。

先方には算出のお手数をおかけしてしまいましたが、弊社だけの取り組みではカーボンニュートラルという大きな目標を達成することは不可能であるため、巻き込みを意識しながらご協力をお願いしました。

その際、言い出した弊社が何も努力していないと説得力がないので、弊社としては、働き方改革の推進・全社員の意識改革(業務上におけるあらゆるムダの改善)

・業務車両更新時にハイブリッド車、EV化を推進・自動ドア関連製品の省資源化、リサイクル率の向上・自動ドア装置の技術革新・森林事業におけるCO2吸収効果向上・定期的な取り組み内容の情報発信という7つをCO2排出量削減の柱として実行していることをお伝えしました。

新谷

この7つの柱はCO2排出量を数値化したからこそ設定できたものですから、苦労しながらも可視化を進めたことには大きな意義があったと感じています。

CO2排出量可視化は企業の生産性にも寄与する

CO2排出量を可視化したことで削減の7つの柱が生まれたということでしたが、他にも可視化の過程で学んだことや他社が生かせるポイントなどがあれば教えてください。

CO2排出量の可視化は、環境問題に寄与するだけでなく、会社の生産性を上げるためにも役立つというのは学びの一つでした。

例えば社用車のCO2排出量を減らす施策の一つに、無駄は運転を減らすということがあります。ここでいう無駄な運転とは、忘れた部品を会社に取りに戻るなどを指します。

可視化しないとなあなあになってしまいそうな小さなことでも、数値に落とし込むことで改善すべきポイントになります。

例えば、忘れ物をしないためにチェックリストを作成すれば、無駄なガソリンを使わずに済むだけでなく、余剰時間にもう一つ現場を入れられるかもしれません。

可視化によって得られるメリットは多いと思うので、社員全員が何らかのかたちで参加できるような仕組みを作って積極的に進めていけると良いと思います。

岩田

CO2排出量を数字によって可視化したことで、改善策もその結果も明確になったことは大きな学びでした。

以前は節電というと、「エアコンの設定温度を一律にしてください」と各拠点に周知するだけだったのが、今は例えばある拠点だけが電気使用量が下がっていないということもデータから一目瞭然となります。

その場合、その拠点だけエアコンが旧式だったということが明らかになり、それを改善することで節電だけではなく職場環境の向上にも繋げることができます。

可視化することで色々な問題が浮かび上がってくると思いますが、現状を改善するチャンスだとポジティブに受け止めて一つひとつ解決していくことが重要だと感じましたね。

久保田

私の場合、可視化を行うことで社員の環境に対する意識が向上することが大きな変化だったと感じています。

例えばある拠点で最近ガソリンの使用量が増えていることがわかったとき、以前の私なら増えた経費や、仕事に追われる社員がいないかどうかといった面に目がいっていましたが、今は燃費が良くエコフレンドリーな車に代替できないのか、新しいエコカーはどれほど効果があるのかといったことを考えるようになりました。

視野が広がったように思えるので、良い学びだったと思います。実際に改善策を実行する際には、リーダー主導で全てを進めるのではなく、当事者意識を抱える社員からどんどん巻き込んでいくことが重要だと思います。

リーダーだけが抱え込まない構造作りが求められますね。

藤井

私も、久保田さんと同じく視野が広がったと感じています。自動ドア装置の省エネ化を目指すとなると、台板から吊車等の非常に細かい備品まで改善の余地がないかと意識しなければなりません。

工夫しようと思えばいかにでもチャレンジできる領域なので、やりがいがあります。

社員によって環境問題への意識はバラバラだと思いますが、決して一人ではできないので、会社として取り組む意識が不可欠ですね。

私たちは吉原社長から、課題図書をもらって世界の現状を知るところから始めることができたので、余裕があればそういった工夫をしてみるのも良いかもしれません。

勝山

本当にCO2排出量の削減や可視化は、自社だけがいくら頑張っても達成できないので、いかに周囲を巻き込みご協力いただくかが成功の鍵になると思います。

強いリーダーシップも大切ですが、現状のままでは日本社会がどうなってしまうかを啓蒙していくことが有効だと感じますね。危機感を正しく持てば、取り組まずにはいられないテーマだと思います。

新谷

確かに環境問題は自分の身に降りかかってこない限り、行動に移しにくい側面があるので危機感は重要ですね。

いちど会社として取り組みを始めれば、弊社がそうであったように、より環境に優しい製品を提供しようという意識が社員の間で確実に醸成されると思います。

弊社でも毎月2度会議を開催し、脱プラ・製品のスリム化・製品の再選定・リサイクルの模索など、新たな課題を見つけるように努めています。

今後の課題は、我々が取り組んでいる課題を共有できるステークホルダーをどんどん増やしていくことです。

そのためには、まずは自社から改善していくという意識を強く持ち、啓蒙活動を継続していくことが重要となります。今後も現状に満足せず、進化を続けていきたいと思います。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

◎企業概要
日本自動ドア株式会社
https://www.jad.co.jp/
代表取締役社長 吉原二郎
〒165-0031東京都中野区上鷺宮3-16-5
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ライター:

1991年東京生まれ。中央大学法律学部出身。卒業後は採用コンサルティング会社に所属。社員インタビュー取材やホームページライティングを中心に活動中。

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