ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU
セムコ株式会社

https://www.semco-ltd.com

〒651-2271 兵庫県神戸市西区高塚台5-4-23

電話番号 / FAX:078-992-8361 / 050-3730-4362

新たな挑戦を持続させるチームコーチング|セムコ株式会社

ステークホルダーVOICE 社員・家族
リンクをコピー
セムコの宗田社長と製品を開発した福田さん

船舶の燃料などの計測機器「液面計」で国内トップシェアを誇るセムコ株式会社では、陸上の顧客をターゲットとした新製品「遠隔監視アプリ」を誕生させました。開発に携わった技術部課長の福田哲也さんと、代表取締役社長の宗田謙一朗さんに、新製品に込めた思いを詳しく語っていただきました。

さらに、宗田さんが社内で長年取り組んできたチームコーチングにおいても、別会社を設立し、新たなステージに入っています。そちらの話も併せて伺いました。

現場に行かずにデータが収集できる「遠隔監視アプリ」

新製品の「遠隔監視アプリ」とは、どのようなものなのでしょうか。

製品を開発した福田さん
福田

これまで弊社は、船舶の燃料などを計測する「液面計」をメインの事業としてきました。新製品の「遠隔監視アプリ」は、陸上のお客さまをターゲットにしています。

例えば、大学や研究機関などでは、いろいろな薬剤をためておくタンクがあります。薬剤を補充する委託業務を受けている会社では、月2回ぐらい定期的に補充に出向くのですが、減っていなければ空振りで帰ることもあるそうです。遠方であれば運送費が無駄となり、社員の疲労にもつながります。

「遠隔監視アプリ」は、そういった課題を解決します。タンクに取り付けた圧力センサーの情報を、IoTで用いられているLPWA(Low Power Wide Area)という無線通信規格で飛ばします。タンクの残量が現地に行かなくても分かるので、効率的に補充のスケジュールを組むことができるようになります。

対象となるお客さまは、薬剤を補充する会社に限られるのでしょうか。

セムコ 宗田社長
宗田

そうではありません。工場の設備管理をする会社にも興味を持っていただいております。工場の中にも、いろいろ監視していかないといけないものがあるからです。

例えばフィルターが詰まっていないか、ポンプが故障していないか、各タンクの温度がどうなっているかなど、現在ではあらゆるものを人が工場を見回って管理しています。工場が大きいほど、時間と労力がかかります。「遠隔監視アプリ」を付けておけば、工場に行かずにそれらのデータを全部見ることができるのです。

福田

船舶関係でも、液体の積み荷を搬入・搬出するカーゴポンプを作っている会社から依頼がきています。部品の交換を提案する際に、今は具体的なデータを示せないので、なかなか苦労しているそうです。弊社の製品を使って、ポンプから信号を出し、データ収集にトライしています。

宗田

船のDX化は、通信環境が陸ほど整っていないことが課題ですが、そこが改善されていけば弊社の製品もどんどん入っていくチャンスはあると思っています。

流通在庫が安定している汎用品レベルの部品で開発

遠隔監視アプリ

「遠隔監視アプリ」のデータは、リアルタイムで開示されているのですね。

福田

そうです。パソコンや携帯端末で、ホームページを開ける感覚で確認することができます。

LPWAの中にも幾つかの規格がありますが、弊社の製品ではSigfoxを使っています。Sigfoxは、もともとフランスで生まれた技術で、省電力で送れるということと、年間のランニングコストが安いという利点があります。今後は、さらにWi-FiやLTE(Long Term Evolution)などの規格にも広げ、携帯と同じようにSIMを差して使えるよう拡張していく予定です。

会社によっては社内ネットワークに新しい機械を持ち込むことを禁止するという、セキュリティー上の厳しい規定もあります。しかし、弊社の「遠隔監視アプリ」は独立したネットワークなので、そういったことは気にせずに安心して使うことができます。さらに市販のアルカリ乾電池4本で動きますので、簡単に導入できるというメリットもあります。

設置工事はどうなのでしょうか。

宗田

ある程度の工事は必要ですが、できるだけ省略できるようにしています。

福田

例えば、使用していない予備の配管のつなぎ目を利用するなど、お客さまごとにカスタマイズして、費用を最小限に抑えています。

開発に当たって、どんな苦労があったのでしょうか。

福田

センサーの信号を無線で飛ばす前に、いろいろな部品や基板を通して処理をしないといけないのですが、それを実現するためにどの部品を選んだらいいのか、回路上でどの部品をどうつなげていったらいいのか、さらに乾電池で動かすという省電力化に、だいぶ苦戦しました。

具体的にこだわっているポイントは?

福田

コロナ禍で電子部品などが手に入らないという事態がありましたので、流通在庫がかなり安定しているもの、極論すればECサイトでも買える汎用品レベルのもので構成しました。

お客さまのコスト削減、CO2排出量削減にも貢献

セムコの宗田社長と福田さんが対談している様子

同種の製品は他のメーカーで出していないのですか。

宗田

液体輸送をするために作られたものは何社かあります。

他社との大きな違いはなんでしょうか。

宗田

他社の製品は液体輸送に特化していますが、弊社の製品はどんな分野でも対応できるという点が異なります。

また、他社の製品の場合、システムとセンサーは分けて作られています。センサーメーカーはセンサーのことをよく知っています。ソフトウエア会社はシステムのことをよく知っています。しかし、互いのことをよく知らないのです。お客さまからしたら、全体をまとめてくれる人がいたほうが、コミュニケーションを取りやすくなります。弊社では、両方を一括して担当できるところが強みです。

さらに、このシステムには複雑な機能がないので、お客さまとしては使いやすいです。いろいろな機能があったほうがいいのではないかとも思いますが、複雑になってしまうとかえって分かりにくいものです。弊社のアプリは画面がシンプルで、ITに弱い人にも使いやすいです。

人とシステムのハイブリッドというコンセプトで作っています。システムでやるところと、人がやるところを分けて、シンプルにしたのです。例えば、データはCSVに出せるようにして、人が自由に分析できるようになっています。業界によって分析する観点も異なりますので、あえて分析ツールは入れていないのです。

もう一つ、そもそもお客さまが既に他のセンサーを付けている場合にも対応できる点です。その信号を利用して、携帯の電波で飛ばして、インターネットで見られるようにしています。従来のセンサーをそのまま使えるので、お客さまのほうはコストを下げられます。

福田

実際に、訪問回数が減ったおかげで、12カ月間で約60万円もコストが削減されたという声もいただいています。

宗田

輸送コストが削減するということは、CO2排出量も削減できるということです。社会全体の脱炭素の取り組みにも貢献する製品だと考えています。

お客さまの会社を発展させていく製品を目指す

そもそも、どういう過程でこの製品を作ろうという話が持ち上がったのでしょうか。

宗田

そもそもこういう需要があると思っていたところに、事業再構築補助金という話が出てきたので、使ってみようと決め、2021年から動き始めました。

今後の展望をお聞かせください。

福田

他社製品では、「センサーのラインアップはこれだけ豊富にあります」というのですが、結果的にそのセンサーでないと、通信機器や監視画面が使えないというようにパッケージ化されています。私たちは限定的なセンサーを作るのではなくて、既存のものはどんどん取り込めるようにして、お客さまが使いやすいようにしていきたいです。

宗田

とにかく、早くこの「遠隔監視アプリ」をいろいろな人に知ってほしいです。

代理店は活用しないのですか。

宗田

もちろん代理店として協力してくれている会社もあります。ただ、既存の商社は、既存のお客さまに対して、既存のものを売っていくことは得意なのですが、こういう新しいマーケットをつくっていくところは難しいです。

今、ありがたいことに、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)で、中小企業の新製品の販路開拓をやってくれるサービスがあり、利用させていただいております。弊社製品のようなシステムに強い人に来てもらって、リリースの仕方などを固めているところです。われわれ中小企業からすると、結構割安になります。こういう専門家が欲しかったので、大変助かっています。

弊社はまだ物売りのレベルにとどまっているので、早くお客さまの会社の経営を良くしていくという観点で関わっていきたいと思っています。良い製品だとしても、相手にとって良い製品だと映らなければ断られます。お客さまにとっての良い製品とは、お客さまの会社を発展させていく製品です。そういう観点が、弊社としても今後必要になってきます。

当然、社員もそういう人間に育てていかなければいけないと思います。

そこでコーチングの話になっていくわけですね。

チームコーチングで自分の会社の素晴らしさに気付く

宗田

弊社のコーチングには2つあります。一つは、普通のコーチングです。1対1の面談で行うものです。

もう一つはチームコーチングです。これは組織開発で使っています。つまり会議で議論する手法です。参加者全員の合意で物事を決めていくというプロセスになります。例えば経営戦略会議です。ビジョン・ミッションを決める時に、通常だったら社長が決めたものを社員に下ろしていくのですが、浸透が難しいです。その理由は、社員たちが決めるプロセスにいないからです。私たちの場合は、決めるプロセスに社員も一緒に入るのです。

例えば、『「セムコで良かった」と言ってもらえる会社をつくること』が弊社のビジョンです。この一言一句を参加している人たちで作ったのです。これを第三者のコーチなしで作れたかというと、難しいでしょう。

チームコーチングでは、第三者が良い意見をどんどん拾ってくれるし、脱線すれば交通整理をしてくれます。ですから、皆が意見を出すようになります。自分の意見が取り入れられたということがあるから、もっと意見を言いたくなるという効果があるわけです。当然、私がいなくても議論をしていけるようになるのです。

その取り組みを他の会社にも広げているそうですね。

宗田

はい。そのために、セムココンサルティング株式会社という会社もつくりました。

チームコーチングを広げたい理由は、私自身が経営者として相当苦労してきたからです。その苦労は私特有のものではなくて、他の中小企業の社長の多くが抱えている問題でもあるのです。それを1人で抱えるのではなくて、一緒に解決していって、会社を発展させる方向にしていきたいのです。

現在、廃業していく会社が多いです。結局、自分の会社に良いイメージがないからです。チームコーチングをすることによって、自分の会社の素晴らしさに気付き、発展させるためにはどうしたらいいのか考えるようになります。魅力あることをどんどん打ち出し、社内から後継者も出てきて、水平展開したビジネスをつくっていけるようになります。その結果、日本の中小企業がどんどん発展していくと思うのです。そのお手伝いをしていきたいです。

社員にもコンサルタントとして活躍できる場を用意してあげたい

世の中では、チームコーチングの資格は取ったけれども、自分でクライアントの開拓はできないという事例が多いようですね。

宗田

そうなのです。経営者にアプローチをしないと採用されません。研修は人事部で決められますが、チームコーチングは経営コンサルなので、全く違うのです。

私の場合は社長として苦労しているので、他社の社長とも話が通じます。さらに弊社は、チームコーチングを入れて成功して、業績を伸ばしていますから響きやすく、受注を取りやすいのです。

現在、既に3社から受注を取って、チームコーチングに取り組んでいます。

実際に宗田さんの事例を見ているわけですから、説得力がありますね。

宗田

そうです。実際に福田も、ものすごく成長しています。どんどん自主的に動いていける人が社内でも増えています。こういうものを社外でもつくっていきたいです。そういう人たちと、また一緒に仕事ができるような関係性もつくりたいと思っています。本業のセムコ株式会社にとっても、一緒にシナジーを取っていける可能性もたくさんあります。

将来的には、社員の中からもコンサルの仕事をどんどんやっていってもらおうと思っています。社員にも活躍できる場を用意してあげたいと思っています。

◎企業概要
セムコ株式会社
https://www.semco-ltd.com
代表者:宗田謙一朗
所在地:〒651-2271 兵庫県神戸市西区高塚台5-4-23
TEL:078-992-8361 FAX:050-3730-4362
設立:1985年5月

Tags

ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

タグ