
愛知県・龍谷寺が、再生プラスチックを活用したご祈祷済みのお守り「OMAMORU」を販売開始した。サステナビリティと伝統文化を融合させたこの取り組みは、寺院と地域、さらには未来へとつながる新たな価値を創出しようとしている。
再生プラスチックを活用したお守り「OMAMORU」
愛知県日進市の曹洞宗寺院・龍谷寺が、新たな試みとして再生プラスチック製のお守り「OMAMORU」を販売開始した。この取り組みは、サステナブル素材を活用する株式会社REMAREの派生プロジェクト「STRUCTURE SURVIVE」とのコラボレーションによって実現した。
伝統的な寺院文化と現代の環境問題への意識を掛け合わせた本プロジェクトは、お守りの新たな形を提案するものだ。龍谷寺は1520年に創建され、格式の高い寺院として知られている。しかし、近年は仏事の減少などを背景に、新たな価値を創出する方法を模索していた。
「OMAMORU」は従来の紙や布製ではなく、再生プラスチックを使用している。これにより、持続可能な社会への意識を高めると同時に、お守りの「願いを込める」という本来の役割も受け継いでいる。
ご祈祷済みの特別な意味を持つお守り
「OMAMORU」は、龍谷寺の「大般若祈祷会」で祈祷が施され、7名の僧侶による開眼法要を経て完成する。本格的な仏教の儀式を通じて、願いが込められた特別なお守りとなっている。
お守りには「心願成就」「厄災消除」「諸縁吉祥」という三つの願目が刻まれており、誰もが持つ普遍的な願いに応える形となっている。
環境への配慮と「輪廻転生」の思想
このお守りの特徴は、購入後に寺院へ返納することでリサイクル可能な点にある。従来のお守りと同じく、寺院で供養された後、新たな製品へと再生される仕組みが整えられている。この循環型の考え方は、仏教の「輪廻転生」の思想とも通じ、物の命を大切にするという価値観を現代的に表現したものだ。
未来に向けた展開
龍谷寺では、今後も「OMAMORU」を通じて仏教の教えを広め、寺院と地域の関係を深める取り組みを継続していく予定だ。4月5日には「龍谷寺カルチャーマーケット」での販売が予定されており、STRUCTURE SURVIVEのECサイトでも購入が可能となる。
また、「OMAMORU」のバリエーションを増やし、個々の願いに対応する展開も検討されている。さらには、海外市場にも目を向け、仏教文化や曹洞宗の価値を発信するためのインバウンド施策も視野に入れている。
龍谷寺とSTRUCTURE SURVIVEのコラボレーションによって生まれた「OMAMORU」は、伝統と革新の融合の象徴として、多くの人々にとって新たな価値をもたらす存在となるだろう。