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株式会社SUSTAINABLE JAPAN

https://www.sustainablejapan.org/

熊本県熊本市中央区新市街13番10号

096-353-0750

「未来の子供たちのためにキレイな海を残す」海洋ゴミの回収からリサイクルを目指して

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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マイクロプラスチックの海洋汚染問題は、生態系のバランスを崩すだけでなく、食物連鎖による人の健康への影響が懸念され、地球規模での問題となっています。環境省の調べでは、世界中で年間約500万~1300万トンのプラスチックゴミが海に流出していると報告されています。

熊本県の株式会社SUSTAINABLE JAPANは、海洋ゴミの回収だけでなく、最終的には無害化して環境に循環させるシステムの実証実験に取り組んでいる企業です。今回は、代表取締役社長の東濵孝明さんに、事業にかける想いとステークホルダーへの感謝の気持ちをお伺いしました。 

「このままでは大変なことになる」故郷・熊本の海の汚れに驚き起業を決意

 -株式会社SUSTAINABLE JAPANの事業内容を教えてください。

海をキレイにすることで、海洋環境の保全を目指しています。事業内容としては、海のゴミを回収するための機械をリース・販売 ゆくゆくはゴミのリサイクルを行なって無害化することで、循環社会を作り上げるのが目的です。

-なぜ、海をキレイにすることを事業にしようと思われたのでしょうか

私は現在37歳。20歳から30歳まで東京で暮らし、結婚して子供が生まれ、10年ぶりに実家の熊本に戻ってきました。すると、母の地元の漁港が、自分の子供時代と比べてあまりに汚れていて衝撃を受けたのがきっかけです。「このままだと将来大変なことになる」と強烈な危機感を感じました。

「どうにかできないか?」と調べて見つけたのが、現在、弊社で取り扱っているSeabin(https://Seabin.co.jp/)という海のゴミを回収する機械です。Seabin本社や代理店企業に問い合わせをしましたが、個人事業主ではSeabinを取り扱うことはできなかったので、法人を設立したという経緯です。それが現在の株式会社SUSTAINABLE JAPANです。

-Seabinとはどのような機械なのですか?

Seabinは、オーストラリアのサーファーが開発した機械なのですが、構造は至ってシンプルです。形はポリバケツ状で、水中ポンプと連動して水流を作り出し、海水ごと海のゴミを吸い寄せます。Seabinに入るとゴミだけ取り除かれて、海水はろ過されて海に戻される仕組みです。1つのSeabinで最大20kgのゴミが回収でき家庭用電源で稼働します。

-Seabinを実際に使ってみていかがだったのでしょうか。

海に放ったSeabinは毎日満杯になってしまいます。私たちが思っている以上に海はゴミだらけだと実感させられます。全部取るのは難しいとしても、できることからやっていくことが重要だと思いますね。

取材を通じて意識するようになったSDGs

-株式会社SUSTAINABLE JAPANさんは、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」のうち、特にターゲット14.1「2025年までに、海洋ゴミや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」をまさに体現したような企業ですよね。

先ほどもお話ししたように、自分は単に「海をキレイにしたい」という動機が活動の発端になっているので、起業にあたっては特にSDGsを意識したわけではないんですね。

ですが、ここ最近SDGs関係で取材を受けることが非常に多くなり、SDGsのターゲット14.1「2025年までに、海洋ゴミや富栄養化を含む、特に陸上活動による汚染など、あらゆる種類の海洋汚染を防止し、大幅に削減する」に合致することをより意識するようになりました。

実際に行動することが将来に向けて大事なことだと思うので、これからもコミットしていきたいと考えています。

現在の課題は、海から集めたゴミをどうするかです。社名の通りSUSTAINABLEを実現するのであれば、廃棄ではなくリサイクルすべきだと思います。循環型社会に役立つように、プラスチックをリサイクルする方法をいろいろと検討・開発しているところです。

海に流出する前のゴミを用水路で回収する機械を開発。熊本工業高校の協力も

-海だけでなく、用水路のゴミ回収装置を自社で開発されたそうですね。

地元のお米農家さんからの依頼がありまして、開発に踏み切りました。そろそろ実証実験が終わり実用化できそうです。最終的に海に流れ込む前に、水路でゴミを回収するのは、理にかなっていると思い、依頼をお引き受けしました。

海と違って、水位が大きく変わる用水路でのゴミ回収の仕組みを作り上げるのに難航しましたが、多くの方の協力で形になりました。

この機械は太陽光で動作します。実は太陽光のシステムは地元の熊本工業高校で開発していただいたんです。きっかけは私の講演でした。熊本工業高校は、江津湖(えづこ)のマイクロプラスチックの調査をやっており、環境に対する取り組みの姿勢も合致していました。

-マイクロプラスチックは、環境問題のキーワードの1つです。あらためてどのようなものかお聞かせください。

マイクロプラスチックは、その名の通りプラスチックの小さな破片です。大きさの定義はいろいろありますが、大体2mm~5mm以下とされています。とても小さいので、海に流れると、魚が餌と間違えて食べてしまうんですね。それ自体が生物にとって良くないことですが、さらにプラスチックは有害物質を付着させやすいという特徴があります。マイクロプラスチックを食べた生物は血液循環を通じて汚染されてしまうのです。食物連鎖を通じて海の生態系が汚染されるだけでなく、最終的には人間にも影響があります。

環境汚染というと、なんだか大規模な話に聞こえますが、まずは、ビニールやペットボトルなどのプラスチック製品を川や海に捨てないことです。私たち一人ひとりが日常生活から気を付けることが、マイクロプラスチックを減らすことにつながります。

機器の設置からゴミ回収後のリサイクルも視野に一気通貫のサービスを

-株式会社SUSTAINABLE JAPANの特長はどのような点にあるとお考えですか?

当社の強みは、機械を設置して終わりではなく、ゴミの回収までを一貫して行なっていることですね。

また、SDGsありきではなく、キレイな海を自分の子供も含めた未来世代に残すのが使命であり、そこからブレずに活動できることも強みだと思っています。熊本工業高校との協業もその気持ちからです。

-マイクロプラスチックの海洋汚染の問題は国境を越えた取り組みが必要です。御社のように他の企業や地域社会と協力して取り組むことで、面的な活動が展開できるように思います。

もちろん、当社一社、熊本の海だけで問題が解決できるわけではありませんので、そのためにSDGsがあるのだと思います。

もともとキレイな海が汚れたのは、人間の社会活動が原因です。これからの子供世代には何の責任もありません。当社は、今まで生きて来た大人たちの責任を放棄することなく、キレイな海を残すことをミッションとして、これからも活動し続けます。

ゴミ問題は、捨てる人だけでなく作る側の問題もあります。消費者に向けて製品を作る企業は「売って終わり」ではなく、処分方法までも注意喚起を行なっていただきたいですね。捨てられたゴミは、最終的に海に流れていきますが、その前段階で正しい処分方法ももっとPRしてほしいですね。

SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」のうち、12.5「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」にもつながります。

その通りです。これはプラスチック製品のみならず、海に流出するゴミになりうるすべての製品を製造するメーカー、その製品を使用してサービスを提供する飲食店や小売店などの企業に関わる全ての人の行動で変えることができます。さらには、その製品やサービスを購入・消費する私たち一人ひとりの選択にかかっているように思います。

株式会社SUSTAINABLE JAPANのステークホルダーについて

お客様との向き合い方
ソウヨウファーム株式会社  杉本社長

ソウヨウファーム株式会社の杉本社長は、私の小・中学校時代の同級生の兄が経営する会社です。熊本のお米農家で、安心・安全・持続可能な農業の実現を目指すJGAP(https://jgap.jp/)の認証を受けており、環境に対しての意識が非常に高い企業です。

 

当社の用排水路浮遊沈殿ゴミ回収機の開発は、杉本社長から「用水路をキレイにしたい」という要望をいただいたことがきっかけです。海に流れ出るゴミは用水路や河川を経由しているわけで、海にだけ向いていた自分の視点を広げることにつながりました。本当に感謝しています。

 

実証実験が終わり、実用化したらぜひこの機械をソウヨウファームさんと一緒に普及していきたいですね。お米農家だけでなく、さまざまな農家さんで用水路をキレイにするお手伝いができるのは杉本社長のおかげです。ありがとうございます。

取引先との向き合い方
上田弁護士

当社の顧問弁護士です。小・中学校時代の同級生(ソウヨウファームの杉本社長の弟さん)に紹介していただきました。

 

海にSeabinを設置するためには、自治体をはじめさまざまな許可申請が必要になります。法的な面で支えていただき、ありがとうございます。上田先生がいるおかげで事業を迷いなく進めることができています。

 

環境保全事業についても関心を持っていただくだけでなく、自分が知らない部分をサポートしてもらっているのでとても心強いです。上田先生がいれば何でもできる気がしています。今後もずっと長くお付き合いしたいです。

株式会社平泉洋行

Seabinについて、開発元であるオーストラリアとコンタクトを取り、いち早く日本に取り入れた企業です。私が会社を設立する前から、海洋ゴミの件でコンタクトを取っていたのですがSeabinを扱うために、法人化するのを待っていただきました。

 

まずは、Seabinを日本に導入してくれてありがとうございます。もし私が日本の代理店をするとなったら、海外の事業会社を相手に言葉の壁もありとても大変だったと思います。また、歴史ある大企業なのに、設立したての小企業である当社を信頼して取引していただいたことにも感謝です。

 

Seabinがあったおかげで、実証実験を行なって実績を積むことができました。当社が注目されるきっかけを作っていただけて、本当にありがとうございます。Seabinを日本に普及させるため、引き続きよろしくお願いたします。

 

 

多久島デザイン

多久島デザインさんには、用排水路浮遊沈殿ゴミ回収機のデザイン設計を行なっていただきました。

 

出会いは、事務所近くにあるオシャレなバー、Bar BleBle(ブレブレ)のオーナーさんの紹介です。一緒にお酒を飲むうちに、仕事や環境問題についても語り合うようになりました。店舗やオフィスをはじめ、どのデザインもカッコいいので、用水路の機械デザインを思い切ってお願いした次第です。

いつも一緒に飲んでくれて、ありがとうございます。事業やこれからの社会について話が盛り上がる場があって、さまざまなアイディアとヒントが得られるのは仕事の原動力です。コロナが収束したら、また飲んで熱く語りたいですね!

 

社員・家族との向き合い方

妻は、SUSTAINABLE JAPAN創業時から私を支えてくれている大切な存在です。私が海洋ゴミに興味を持ってから7年、会社を設立してから3年。常に私の仕事がしやすいように気遣ってくれています。2020年からは取締役も引き受けてくれました。普段はあまり言わないのですが、ずっと感謝のし通しです。それ以外の言葉がありません。妻の存在と頑張りは、公私ともになくてはならないものです。本当にいつもありがとう。

 

母親

母は、女手一つで私たち3姉弟を育ててくれました。私は、長男なのに迷惑かけ通しで、20歳の時に「東京に行く」と思い立ち、10年間実家に帰らなかったんです。でも、母は「とにかく頑張りなさい」「人に迷惑かけないように」と言ってくれました。

30歳で結婚・子供ができて実家に戻ると、とても喜んでくれ、事業を始めると「頑張るなら協力するから」と出資してくれたり、漁師さんを紹介してくれたりと、常に自分を応援してくれます。

 

私が起業したのは、母親が生まれ育った漁港の海がきっかけです。

母には、これからも元気で長生きして、会社が大きくなるのを見ていてほしいと思います。会社が大きくなるということは、海が少しずつキレイになることです。もっともっと事業を拡大して、これまでの恩返しをしたいですね。

 

地域社会との向き合い方
Bar BleBle(ブレブレ) オーナー高田さん、社員 能田さん

Bar BleBle(ブレブレ)のオーナー、高田さんと社員の能田さんです。コロナ前は週に2~3回通っていました。

 

高田さんはとても顔が広くて、多久島デザインさんだけでなく、肥後銀行の方、多くの企業経営者の方々も紹介していただきました。

初めてSeabinの実証実験を行った、熊本県水俣市の関係者を紹介してくれたのも高田さんです。コロナ前は週に2~3回通っていたので、ちょっとしたビジネスマッチングの場所にもなっていました。

 

能田さんも、いろいろなアイディアを出していただける良きアドバイザーです。用水路の機械にも反映されています。

 

Bar BleBleは、いつも当社を応援してくれて、それだけでもありがたいのに、本当に当社のためを思ってくださいます。お店と顧客という以上の関係です。本当に感謝しています。SUSTAINABLE JAPANの事業を拡大し、もっと売り上げを増やすことで、Bar BleBleの売り上げにも貢献できるよう、今後も頑張ります。コロナが収束したら、これまで以上に飲みに行きたいです。

 

株主との向き合い方
肥後銀行 水道町支店 渡邉様

Bar BleBleから紹介していただいた当社のメインバンクの担当の方です。金融機関目線からさまざまなアドバイスをいただいています。

資金面だけでなく、経営マネージメントなど多岐にわたるアドバイスは非常に役立っており、渡邉様は、当社にとっては無くてはならない存在です。

SUSTAINABLE JAPANは、国内では珍しい事業でいろいろと注目されていますが、これから事業を拡大しても、今後もずっと一緒にやっていきたいと思っています。いつもありがとうございます。

 

未来世代との向き合い方
未来世代へ

自分が事業を始めるきっかけ「海洋ゴミ」は、これまでの文明の負の遺産です。

もともと海はキレイでした。それがどんどん汚されてきたのは我々大人のせいです。いま生きている子供や、これから生まれる子供たちの責任はありません。

講演に行くと、子供の方が海洋ゴミに関して真剣に考えてくれています。われわれ大人たちは、責任を放棄せず負の遺産の片づけをやらないといけません。

 

もちろん、かつてのように100%キレイな海を取り戻すのは難しいでしょう。でも、1%でもキレイにできるならするのが大人の責任だと思いますし、それが当社の存在意義です。当社は「未来の子供たちのためにキレイな海を残す」をミッションに日々活動し、それが事業を進める活力となっています。

将来は、海がキレイになって「うちの会社はいらない」という状態になるよう願ってやみません。

 

 

株式会社SUSTAINABLE JAPAN東濵孝明

【企業概要】

株式会社SUSTAINABLE JAPAN

SUSTAINABLE JAPAN Co.,Ltd.

https://www.sustainablejapan.org/

代表取締役社長 東濵 孝明

設立:平成31年1月21日

所在地:熊本県熊本市中央区新市街13番10号

事業内容: Seabin(シービン)販売・リース、用排水路浮遊沈殿ゴミ回収機​製造・販売・リース、回収プラスチックの二次製品製造販売

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