「出版業界を変革する自費出版のDXを起こしたい」
そう語るのは、ゴマブックス株式会社会長の嬉野勝美さん。嬉野さんにとってグローバルパートナーズ株式会社(以下、GP社)代表取締役の山本康二さんは、25年来の戦友。
そして今回山本社長と組んだプロジェクト「出版革命247」では、文字どおり出版業界に革命を起こし、若い経営者のビジネスを書籍の力で後押ししたいと語ります。
25年来の戦友、そして未だに挑戦者として新しいことに挑み続ける2人。嬉野さんに、グローバルパートナーズとのプロジェクトにかける想いと、自社ビジネスへの展望を伺いました。 |
サステナブルな出版社を目指す「ゴマブックス」
嬉野
当社は電子書籍を中心に、デジタルコンテンツの企画・編集・制作・販売なども手がけている出版社です。
創業は1988年と比較的老舗ではありますが、2014年にはAmazonとパートナーシップを組んでいち早く電子書籍やプリントオンデマンドの販売を開始するなど、新しい事業にも積極的に取り組んでいます。
プリントオンデマンドというのは、オーダーされてから紙に印刷して販売するという方法です。
現在、当社はAmazonと正式にパートナーシップ契約を結んでおりますが、日本にある3,000社以上の出版社のうち、Amazonと正式にパートナーシップ契約をしているのは、当社を含めて7社のみです。
嬉野
当社はサステナブルな出版社を目指しています。現在、日本では新刊が年間8万冊ほど出版されていますが、店頭に並ぶ期間は1ヵ月から2ヵ月程度です。
次から次へと新刊が出てしまうので、新刊が並んでも7割が返品されてしまう。それでも印刷・製本してトラックに乗せて本屋さんに運ぶ。これに何百、何千万円というコストがかかってしまうのです。
我々が10年以上培ってきた電子書籍とプリントオンデマンドのノウハウを使うことによって、そこのコストが大幅にカットされるわけです。
そして今、当社が力をいれているのが、GP社との協同プロジェクト、「出版革命247」です。きっかけは、昨年GP社の山本社長と再会したことでした。
「出版革命247」は、出版業界を変える、文字どおり革命的なプロジェクトになると確信しています。
グローバルパートナーズ山本社長とは25年来の「戦友」、そして未だに「挑戦者」同士
嬉野
GP社の山本社長と私は、25年来の仲です。ゴマブックスの株主のうちの1社が光通信だったことから山本社長と知り合いました。
光通信は山本社長が以前所属していた企業であり、IT黎明期に携帯電話や電子メール、ホームページなど、今では当たり前になっているツールを日本に普及させた会社です。
当時の山本さんは、その法人営業部でトップをとってきた人。厳しいノルマに挑戦して、自分の力でのし上がって取締役にまで就任しました。
一方、自分も新しいことに挑戦することが好きで、新卒入社したリクルートでは新しいプロジェクトにどんどん取り組みました。
リクルートを出た後も、会社を作って上場させたりしましたね。その後、現在のゴマブックスに入社しました。
嬉野会長は、ゴマブックスの厳しい時代も経験されていますよね。
嬉野
はい。ゴマブックスは2009年リーマンショックのあおりで業績悪化し、私は会社の再生手続きを経験しました。
そのとき社員はたった3人にまで減りましたが、電子書籍やプリントオンデマンド事業で再び業績を上げることができたんです。
私たちは戦う場所は違いますが、2人ともチャレンジ精神旺盛で、戦友みたいなものでしょうか。そして今度は二人でタッグを組んで、出版業界に革命を起こすビジネスに挑戦しています。
タッグを組んだ「出版革命247」は自費出版のDX
「出版革命247」を始めたきっかけを教えてください。
嬉野
きっかけは昨年、山本社長と電子書籍の話をしたことでした。電子書籍とかプリントオンデマンドの話をしていくなかで、企業のブランディング手法として出版を使えないかという話題になったんです。
今までは自費出版をしようと思ったら、600万から1,000万円以上かかってしまっていました。しかも、書店に並ぶのは1ヵ月から2ヵ月程度です。
知り合いに「本が出たから読んでね」って宣伝しても、その人が書店に行く頃には既に本は返品されていて見つからない可能性も高い。
そんな状態なので、今までの自費出版は、引退直前の医師や大学教授、政治家などの自叙伝がメインでした。
しかし、電子書籍やプリントオンデマンドの技術を使えば、247万円、つまり今までの5分の1程度のコストで自費出版ができます。それが「出版革命247」です。
嬉野
出版業界に革命を起こす事業になるという思いで「出版革命247」と名づけました。山本社長の言葉を借りると、「自費出版のDX」です。
山本社長はWebマーケティングや法人向けソリューションをやってきている方ですから、話をしていると斬新なビジネスモデルやサービス設計のアイデアを出してくれます。
山本社長からは、出版費用を分割で払えるようにしようという提案もありましたし、GP社の若い社員からはスマホコンテンツやwebサイトとミックスしたような書籍にしてはどうかなど、新しいアイデアがどんどん生まれています。
出版業界にはない斬新なアイデアを持ち込んでくれるのですね。
嬉野
はい。それに、GP社は若くて元気な経営者をいっぱい知っています。出版革命247では、それらの経営者たちが自社のブランディングのために本を出しています。
20代から40代が多いですね。そういう方々が、自社の採用におけるツール、もしくはソリューションとして本を出します。著作が、企業の売り上げアップや、優秀な人材獲得にも貢献できるのです。
今後もゴマブックスは出版のノウハウを、GP社からは斬新なアイデアを持ち寄って、出版業界に革命を起こすつもりです。
高みを目指すだけでなく、ゼロ・イチを生み出す山本社長の魅力
嬉野
一番魅力的だと思える点は、光通信時代と今の山本社長が全く違った一面を見せているということでしょう。
山本社長は、光通信時代は営業でトップをとっていた人です。法人営業部で1万人の統率をして、1兆円規模の売り上げを目指していた、まさにゴリゴリの営業マンです。
しかし、今の山本社長は全く別人です。今は自分が成長するのではなく、日本の若者の成長を全力で支援する側に回っています。
いかに売り上げ目標を達成するかではなく、今までにない価値を生み出していく事業に視点を置いている。数字から価値への転換です。
山本社長は、光通信時代のように、とにかく高みを目指して自らを追い込むこともできる。
そして、今のようにゼロからイチのことを生み出すこともできる。両方できる人はめったにいないと思います。そしてそれこそが山本社長の魅力でしょう。
そんな山本社長だからこそ、タッグを組んだら業界に革命を起こせるんじゃないかと思っています。
グローバルパートナーズは業界変革の「パートナー」
御社から見て、GP社とはどのような存在ですか?また、今後御社とGP社との関係をどのように発展させていきたいとお考えでしょうか?
嬉野
GP社は単にデジタルマーケティングの手助けをしてくれる会社ではないと私は考えています。「グローバルパートナーズ」という社名だけに、まさに「パートナー」なのです。
GP社は、企業の悩みや到達したいゴールに対しての必要なツールを与えてくれるだけではありません。自社にない「ひらめき」のようなものを与え、一緒に成長してくれる会社だと思っています。
ゴマブックスにとってはそれが「出版革命247」です。GP社と組むことで、単に売り方を変えるだけでなく、出版業界そのものに変革を起こすことになるでしょう。
山本社長の構想では、ミニマムでも月間50社から100社ぐらいの経営者に本を出してもらう計画です。すると、年間600冊以上の本を出すことになります。
それは業界にとっても大きなインパクトになるでしょう。読み手にとっても、電子書籍やプリントオンデマンドというかたちをとることで、全く新しい体験が始まっているのです。
一緒に成長し、新しい価値を生み出すパートナーなのですね。出版業界の革命、楽しみにしております。本日はありがとうございました。
◎企業概要
・名称:ゴマブックス株式会社
・代表取締役:赤井仁
・所在地:〒153-0064東京都目黒区下目黒一丁目8番地1号アルコタワー7階
・事業内容:
出版業、書籍・雑誌・電子出版物・デジタルコンテンツの企画・編集・制作・販売、電子書籍コンテンツのアグリゲート事業、デジタルコンテンツのオーサリング事業など
・URL:http://www.goma-books.com/
◎プロフィール
嬉野勝美
ゴマブックス株式会社、取締役会長。
大学卒業後、株式会社リクルートホールディングスに入社、いくつもの雑誌編集やアメリカ支社立ち上げにも携わる。その後、株式会社ディジットを立ち上げ、常務取締役兼パソコン雑誌「HOME PC」の創刊編集長となり、2000年にはジャスダック(当時のナスダックJAPAN)に上場を果たす。2003年ゴマブックス株式会社に入社。2009年、リーマンショックのあおりを受けて再生手続きに陥った同社を電子書籍や受託出版によって黒字転換させた。現在は会長となり、GP社と組んだ「出版革命247」に取り組んでいる。