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アルファー食品株式会社

https://www.alpha-come.co.jp/index.html

〒699-0722 島根県出雲市大社町北荒木645番地

0853(53)2518

「非常食だからこそ、美味しく」――非常食の常識を変えるアルファー食品の挑戦|アルファー食品株式会社 経営企画部ブランド推進室 吾郷拓郎室長

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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アルファ―食品株式会社社長
提供:アルファ―食品

非常食は「仕方なく食べるもの」――そんなイメージを覆すのが、アルファー食品株式会社のアルファ化米だ。水やお湯だけで食べられ、長期保存も可能。さらに同社は、アレルギーへの配慮や高齢者向けの商品、日常でも楽しめる「フェーズフリー」な食品の開発にも力を注ぐ。なぜ同社は「非常食だからこそ、美味しく」と考えるのか。アルファ化米の生産から始まった60年の歩みと、災害時の食を支えるものづくりへのこだわりについて、経営企画部ブランド推進室室長・吾郷拓郎氏に聞いた。

 

アルファ化米とともに歩んだ60年

―本日はよろしくお願いします。御社は災害時の非常食として食べられることの多いアルファ化米を製造・販売する事業をされていますが、なぜこの事業を始められたのでしょうか?

 弊社は創業当初からアルファ化米の製造に取り組んできました。その技術を生かして学校給食向けの赤飯やおこわなどを長年提供してきましたが、1995年に発生した阪神・淡路大震災を契機に、長期保存が可能で、調理の手間が少ないアルファ化米の非常食としての有用性を改めて認識し、これを機に非常食分野への取り組みを本格化させ、防災・備蓄用途の商品開発にも力を注ぐようになりました。

―アルファ化米はどうして非常食に適しているのでしょうか?

 アルファ化米は、炊飯したお米を乾燥させた加工米で、水やお湯を加えることで再び食べられる状態に戻すことができるからです。

 そもそもは古代から保存食として用いられてきた、一度炊いた米を天日干しにした「乾飯(ほしいい)」が原型で、それを食べやすいものに改良し商品化したのがアルファ化米です。米は炊くことででんぷん質がアルファ化(糊化)します。しかし放っておくと生米と同じベータでんぷんに戻ってしまう。それを急速乾燥させることででんぷん質をアルファ化したまま、日持ちするように加工したものです。

―御社は当初、学校給食を提供する会社だった。

 創業から今年でちょうど60年になります。当時、学校給食はパン給食が主流でしたが、その後米飯給食が始まると、アルファ化米の、パンを焼く設備でも炊飯ができるという特長が注目され、弊社から供給するようになりました。以後、弊社では学校給食向けのアルファ化米の製造を本格化し、長年にわたって技術を磨いてきました。

 一方で、給食センターに炊飯設備が整ってくると、アルファ化米を取り巻く環境も変化していきました。そこで、その技術を生かして赤飯やおこわなどの商品を開発し、学校給食だけでなく、業務用や家庭用へと用途を広げていきました。現在も赤飯は当社にとって大切な商品の一つで、「赤飯といえばアルファー食品」と思っていただけるような存在を目指しています。

―赤飯をアピールしていきたい、というのは珍しいですね。

 近年は、食の多様化やライフスタイルの変化もあり、お祝いの場で赤飯を食べる機会が以前より少なくなっていると感じています。だからこそ、ハレの日に赤飯を食べるという日本の食文化を、改めて大切にしていきたいと考えています。

 弊社は一般社団法人赤飯文化啓発協会を立ち上げ、その活動を通じて赤飯文化の継承や普及にも取り組んでいます。また、11月23日を「お赤飯の日」として制定し、毎年明治神宮ではお赤飯を配布しております。

アルファ―食品株式会社
(同社の展開する「出雲のおもてなし」シリーズ丹波大納言小豆のお赤飯はジャパンフードセレクションのグランプリを受賞している)

非常食は「美味しくない」が当たり前だった

―御社では、創業期からアルファ化米の製造に取り組まれていたとのことですが、その技術はどのように培われてきたのでしょうか?

 弊社がアルファ化米の製造に取り組み始めたきっかけは、会社設立より前の1965年に、アメリカ政府からの要請を受けてアジア向けのアルファ化米を製造したことでした。そこから加工技術を培い、長年にわたって改良を重ねてきました。

―アルファ化米はどうしても非常食というイメージが強いですが、国内の業界地図としてはどうなっているのでしょうか?

 国内では、当社を含めアルファ化米を製造しているメーカーが複数あります。大規模災害を契機に防災への関心が高まり、現在は非常食市場にもさまざまな企業が参入するようになっています。

―保存食としては以前から存在していたアルファ化米が、どうして近年になって災害用の非常食として注目されるようになったのでしょうか?

 1995年の阪神・淡路大震災が大きなきっかけの一つでした。その後災害時の食料備蓄への意識が高まり、自治体を中心に備蓄の動きが広がっていきました。さらに2011年の東日本大震災以降は企業でも防災備蓄への関心が高まり、非常食の需要も広がっていきました。

―御社の商品を試食しましたが、想像よりはるかに美味しかった。アルファ化米は食べる気にならない、箸が進まない味だと聞いていましたから驚きました。

 以前は非常食としてだけではなく、登山家が山に持って行く食料としても用いられていたのですが、昔の味を知っている人からはお世辞にも美味しいとは言えなかったと聞きます。しかし災害時の食料として使うのであれば、老若男女を問わず多くの人にとって美味しく食べられるものでなければならない。特に被災地では温かい食事が人々の生きる希望になることもある。ですから味にはこだわっていて、普通に食べても美味しいものを、と考えて開発しています。

―戻し方も様々できるようにしてある。お湯でも水だけでも戻せる。何もせずに封を開ければすぐに食べられるものもある。

 弊社は経営理念に健康・美味・簡便の3つを掲げていて、電気が止まっていて温められない、水が止まっていてきれいな水が手に入らない状況でも食事を摂ることができるように配慮しています。スプーンも中に封入してあります。

 さらに元々は水で戻して食べるアルファ化米ですが、災害発生直後の水不足の状況向けにお粥やスープ、おこげなど水無しでも食べられる商品も充実させています。

―白米やお粥だけでなく、商品ラインナップにはまぜご飯やスープまである。

 それも利用された方からのニーズを聞いて開発してきました。望まれる商品に対してどうやってアプローチしていくかは、ずっと課題ですね。

―2024年の能登半島地震の際、救援物資として送られてきた食料の中にカップラーメンや電子レンジで加熱調理しなければならないものも多くあり、電気・ガス・水道といったライフラインが寸断されている中では役に立たなかった、という情報を聞いたことがあります。

 例えばスープについては、それを白米に入れて戻して食べられる、といったアレンジも考えて開発しました。被災地ではビタミンや食物繊維といった栄養素が不足しがちになります。そういう部分もカバーできるようになれば、おなかを満たすだけでなく、健康を維持することもできる。そういった使い方もご提案できるように今後も商品開発を進めていきたい。

 
アルファ―食品株式会社
(同社の商品ラインナップ)

災害時こそ、誰一人取り残さない

―災害時の非常食として希望が多かったのはどういった食料なのでしょうか?

 一番要望が多かったのが食物アレルギー対応でした。この問題は深刻で、避難所に支援物資が来ても食物アレルギーをお持ちのお子様がいる親御さんは一つひとつ、アレルギー反応を起こす素材が入っていないかチェックしなければならず、それがとても負担になっている。しかもそれを見落として食べてしまったら命に関わることにもなる。その話を聞いて、弊社もそこに寄り添っていかなければならないと考え、早い段階から開発を進めてきました。現在は、消費者庁が定める特定原材料等に配慮し、それらを使用していない商品も展開しています。

 また、飲み込む力が弱くなっている高齢者の方に対しても、舌や歯茎で潰せて飲み込みやすい商品をラインナップに加えています。

―様々な人が集まる避難所だからこそ、誰でも安心して食べられるものにしていきたい。ただ食料を用意しておけばいい、という認識では取りこぼされてしまう人たちも救っていかなければならない。

 そうですね。災害時だからこそ、食べられる人だけが食べられるのではなく、できるだけ多くの方が安心して食事をとれることが大切だと思っています。アレルギーへの配慮や、噛む力・飲み込む力への配慮など、一人ひとりの状況に寄り添った商品をつくっていく。それが、私たちが食を通じてできる社会貢献だと考えています。

註 同社の商品は一般社団法人防災安全協会が主催する「SDGs・災害食大賞©2026」審査員賞「楽しもう!にほんの味」賞を受賞した(2026年8月)。

―今後の展開としては?

 非常食は当社の重要な事業の一つですが、今後は「フェーズフリー」の考え方を取り入れ、日常の中でも食べていただける商品開発を進めていきたいと考えています。普段から食べ慣れている商品が、いざという時にはそのまま非常食として役立つ。そうした「日常と非常時を分けない」商品づくりを目指しています。

 例えば、キャンプなど日常のレジャーで食べているものが、そのまま非常時にも活用できる、といった考え方です。実は、最初にお話しした弊社の赤飯もアルファ化米を使っていて、一年間保存できますが、そうした商品も、日常の中でおいしく食べてもらえる一方、いざという時にも役立つ。今後は、そういった商品のあり方をさらに考えていきたいですね。

―確かに御社のラインナップにあるお粥は、家に置いておけば風邪をひいたり体調を悪くした時に食べることができますし、いざという時の非常食にもなります。

 このフェーズフリーという考え方は、非常食を扱う業界でも広がってきています。災害時でも、普段から食べ慣れているものを食べることが安心感につながったり、気持ちを少し楽にしたりすることもあります。そういった意味でも、フェーズフリーの需要は益々高まっていくと考えます。

―アルファ化米の保存期間はどのくらいなのでしょうか?

 当社の防災用のアルファ化米商品では、5年間保存できるものがあります。アルファ化米は保存料を使わず、炊いたお米を乾燥させて水分を少なくすることで保存性を高めています。さらに、包材の密閉性やバリア性にも工夫をすることで、長期保存を可能にしています。

アルファ―食品株式会社

「非常食」を、もっと日常の食卓へ

―最後の質問になりますが、御社の所在が島根県出雲市ですね。出雲で事業をされるメリットなどについてお聞かせください。

 出雲で事業を行っている理由は、地元の雇用創出が出雲での起業の理由の一つですが、出雲は自然豊かで景色も良い。また出雲大社などから分かるように古代から人が住みつき、生きてきた歴史ある場所です。もちろん農業も盛んでおいしいお米も豊富に生産されている。それに良い意味で田舎らしく、住んでいる人々も穏やかで温かみがある。私自身、この土地で、人の暮らしの根幹である米に携わる仕事をやっていることを誇りに思っています。

―本日はありがとうございました。

アルファ―食品株式会社

アルファ―食品株式会社ロゴ
アルファー食品株式会社
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所在:島根県出雲市大社町北荒木645
連絡先:0853(53)2518

 

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ライター:

1980年千葉県生まれ 筑波大学大学院博士課程中退(台湾留学経験有り)。専門は中国近代政治外交史。その他、F1、アイドル、プロレス、ガンダムなどのジャンルに幅広く執筆。特にガンダムに関しては『機動戦士Vガンダム』blu-ray Box封入ブックレットのキャラクター・メカニック設定解説を執筆(藤津亮太氏と共著)。

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