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はぎの耳鼻咽喉科

http://haginojibika.com/

東京都町田市玉川学園7-1-6 リビエール玉川学園前

「気のせい」で終わらせない。自らの闘病を礎に、原因不明の不調へ寄り添うはぎの耳鼻咽喉科

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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はぎの耳鼻咽喉科 萩野院長

つらさを抱えているのに、検査をしても異常が見つからない。病院を何軒も巡っても「異常なし」「気のせい」と言われ、行き場を失った人たちが訪ねてくるのが、東京都・町田市にある「はぎの耳鼻咽喉科」だ。

「患者さんの訴えには、必ず原因がある」──そう語る萩野仁志院長の診療哲学は、自らが患者として過ごした日々のなかで育まれたものだった。1995年の開業以来、2010年頃からはEAT(上咽頭擦過治療)を本格的に導入し、耳鼻科領域にとどまらず、腎疾患や難治性の皮膚疾患など幅広い症状にこの治療を応用してきた。日々の不調から原因不明のつらさを抱える人まで、地域だけでなく遠方からも患者が頼りにする萩野院長。治療への信念と、その根っこにある思いを伺った。

プロの声から原因不明の不調まで。「声の診療」と「EAT」

はぎの耳鼻咽喉科では、一般的な耳鼻咽喉科診療に加え、2つの治療に力を入れている。ひとつは、歌手や役者、声優、学校の教員など、声を使う仕事の人が多く訪れる音声外来「声の診療」だ。「思ったとおりの表現ができない」「高い声は出るけれど中低音が安定しない」「声が響かない」といったプロならではの悩みは、一般的な薬剤治療や吸入治療、簡単な発声指導では対応しきれないケースがある。そうした高いレベルの要求に応えるために開設された専門外来だ。

声のトラブルは職業を問わず誰にでも起こり得るもので、高齢化に伴って声が出にくくなった人や、気管支ぜんそくの吸入薬を長く続けるうちに声帯が弱った人など、訪れる患者は実にさまざまだ。

そしてもうひとつが、EAT(上咽頭擦過治療)と呼ばれる処置である。

萩野
「塩化亜鉛溶液という収斂剤を含ませた綿棒で、上咽頭という喉の奥の部分をこする治療です。重要なのは、薬液を塗って治すものではないということです。薬液はあくまで補助で、表面の薄皮を少し剥がすように粘膜をこすり、中にたまったものを外に出すことと、こすった際の刺激を粘膜に分布する神経末端に伝えることが目的となっています」

上咽頭は喉の一番奥の突きあたりにあり、鼻から吸い込んだ空気の向きが変わる場所であるため、ほこりや細菌、ウイルスが付着しやすい。風邪をひいたときにウイルスが最初に増殖するのもこの部位だ。表面には活性化したリンパ球が多数存在し、健康なときでも常に病原体を撃退している重要な場所だが、炎症が慢性化して慢性上咽頭炎になると、全身のさまざまな不調を引き起こす一因になると考えられている。また上咽頭には自律神経の一つである迷走神経が分布しており、ここに触れることで自律神経に影響を与えることができる不思議な場所とも言える。

はぎの耳鼻咽喉科 上咽頭の場所

処置は出血を伴うが、同院では内視鏡で目視しながら鼻から丁寧に行い、鼻と喉への簡易的な麻酔で負担にも配慮する。過剰な刺激は与えず、その患者に必要な刺激にとどめながらしっかり処置をすることを基本としている。

通院の頻度は月2回ほどが目安で、まずは3か月・6回ほど処置を行って効果を見極める。発症から早い段階で来院した人ほど早く落ち着く印象があるといい、一般的には1〜2年ほどでの終了を目指すが、経過には個人差が大きい。

全身の不調に届く「EAT」という選択肢

慢性上咽頭炎が多くの症状や病気と密接に関連していることが報告されるようになり、EATによって炎症が落ち着くと、長年苦しんできた症状が改善する可能性が示されつつある。

萩野
「当院でEATを行って改善が見られたケースは多岐にわたります。習慣性扁桃炎やアレルギー性鼻炎、メニエール病といった耳鼻科疾患のほか、内科的疾患として気管支喘息やIgA腎症、皮膚疾患として掌蹠膿疱症や尋常性乾癬など。その他に新型コロナの後遺症などです。もとの病気が改善しなかったとしても、頭痛や不眠が和らいだり、感染症にかかりにくくなるなどといった変化が期待できます」

皮膚や頭痛など一見関係のなさそうな症状にまで効果が及ぶ理由を、萩野院長は免疫系と神経系の2つの観点から説明する。前者は上咽頭の粘膜下にたまった「悪いもの」が血流に乗って体内を巡り、たどり着いた先で不調を引き起こす。EATで「悪いもの」を粘膜外に出すことで症状が落ち着くという考えだ。

後者は、上咽頭に分布する迷走神経への刺激が関係していると見る。迷走神経は自律神経のバランスや免疫応答の調節に関わっており、鼻から行うEATはこの神経を刺激する。イメージとしては鍼治療に近いのだという。

EATは日本で半世紀以上前から行われてきたが、内視鏡などで上咽頭の所見を詳細に調べても実際にこすってみるまで炎症の状態がわからなかったり、処置に痛みも伴うため、効果を実証する試験が行いにくい。エビデンスが取りにくいことから大学病院では導入されにくく、行う開業医も限られている。それでも萩野院長は「エビデンスは自分たちで作っていくもの」と考えている。近年は聖マリアンナ医科大学や旭川医科大学での臨床研究や学会発表も進み、地域の機関病院(他科)から同院への紹介も増えているという。地域によってはEATを行う医師が少ないこともあり、新幹線で通う人も珍しくなく、これまでにアメリカ在住の日本人が訪ねてきたこともあったという。

はぎの耳鼻咽喉科 診察室

患者として味わった絶望と回復が大きな転換点に

萩野院長がEATに力を注ぐ原点には、自らの壮絶な闘病経験がある。2007年、強いストレスを抱えていた時期に風邪のような症状が出て自己判断で抗菌薬を内服したところ、スティーヴンス・ジョンソン症候群を発症。入院でなんとか命はとりとめたものの、復帰後もひどい肩こりや脱力感、起立不耐症、全身のしびれや耳閉感に悩まされた。大学病院で検査しても原因はわからなかった。

そんなある夜、ミント味の飴をなめて鼻の奥に強い痛みを感じ、「上咽頭炎ではないか」と直感。夜中に誰もいない自らのクリニックの診察室に飛び込み、自らの上咽頭に綿棒で塩化亜鉛を塗ってみると、鉛のように重かった体がすっと楽になった。霧が晴れたような感覚に、「俺はこれできっと立ち直れる!」とクリニックで独り泣いて叫んだという。その後2〜3年かけてセルフケアで体調を戻したのが2010年頃だったが、同じように原因不明の不調を抱える患者へEATを始めた。この自らが上咽頭炎となったことの経験は、医師としての姿勢も大きく変えた。

萩野
「180度変わったと言ってもいいくらいです。以前は、医者には威厳があるべきだと思っていましたが、いざ患者の立場になると、そんな威厳は一つもいらないとわかりました。じっくり話を聞いて丁寧に優しく説明してくれた医師がいてくれて、どれほど気持ちが救われたか。患者様のお話をちゃんと聞くことこそが医師にとって本当に必要なことだと考えるようになりました」

患者との向き合い方が変わったことに加え、自身が不要な薬で重い副作用を経験したことから、患者に不要な薬は絶対に出さないとも決めているという。

はぎの耳鼻咽喉科 萩野院長

訴えには必ず原因がある。「気のせい」「歳のせい」と言わない診療

萩野院長が患者に使わないと決めている「NGワード」が2つある。「それは気のせいです」と「それは歳のせいです」だ。

たとえ検査で異常が出なくても、教科書に載っていなくても、患者の症状の一つひとつには必ず原因がある。その背景に家族や介護、職場の悩みが隠れていることもある。だからこそ、どんなことでもまずは話を聞き、改善のきっかけを丁寧にたどることを大切にしている。

患者のつらさは言葉だけでは測りきれないため、問診表で症状の程度を点数化してもらうのも同院の工夫だ。数値にすることで、何の症状でどれくらいつらい思いをしているのかがはっきりと見えてくる。検査ではわからない不調も含めて正しく評価し、治療を進めていく。

この姿勢の背景には、教科書にない訴えを軽んじない経験の積み重ねがある。たとえば耳管開放症において「大きな音を聞いた直後から耳の症状が始まった」と語る患者。当初は思い過ごしと言われたが、同様のケースが次々と現れた。

萩野
「教科書に書いていないからといって、思い過ごしと片付けてはいけない。患者様がおっしゃるなら、まずは疑ってみなければいけないと考えるようになりました」

日々の診療で見聞きした患者からの新たな事例や経過は、すべてノートに書き留めている。一見なんでもないことでも、将来何かの役に立つかもしれないからだ。

患者のちょっとした違和感や不安を見逃さず、真摯に向き合う萩野医師。今後は、効果がやり方に大きく左右されるEATの基本を、自らどこでも赴いてできるだけ多くの医師に伝えていきたいと語る。

この治療が正しく広まった先、当たり前のものとして、より多くの人の力になる未来はそう遠くないかもしれない。

▲画像をクリックすると、萩野院長のインタビューの完全版を読むことができます▲

「気のせい」「歳のせい」で片付けない診療哲学から、自らの闘病を経て見出したEATへの信念、そして声の診療や漢方の活用まで、はぎの耳鼻咽喉科が実践する医療の全貌を徹底解剖。患者として過ごした日々が医師・萩野仁志の姿勢をいかに変えたのか──その軌跡と、原因不明の不調に苦しむ人々への思いは、医療系メディア『ウィズマインド』の特集記事をご覧ください。
特集記事:『「気のせい」「歳のせい」で終わらせない。自らの経験をもとに、日々の不調から原因不明の悩みまで寄り添うはぎの耳鼻咽喉科

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【クリニック情報】
はぎの耳鼻咽喉科
院長:萩野 仁志(はぎの ひとし)
所在地:東京都町田市玉川学園7-1-6 リビエール玉川学園前
診療科目:耳鼻咽喉科(声の診療、EAT〈上咽頭擦過治療〉、漢方診療)
URL:http://haginojibika.com/
一般的な耳鼻咽喉科の診療に加え、「声の診療」とEAT(上咽頭擦過治療)を専門的に行うクリニック。歌手や役者、声優など声を使うプロフェッショナルに対応する音声専門外来を長年にわたり手がけるほか、喉の奥の上咽頭に行うEATを積極的に取り入れ、原因のわからない不調や慢性上咽頭炎に伴うさまざまな症状に向き合う。内視鏡を用いて目で確認しながら丁寧に処置を行い、簡易的な麻酔で負担にも配慮。診療では漢方も積極的に活用している。

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ライター:

取材ライター。より伝わりやすい言葉で、目で見て、耳で聞いて分かりやすい文章を書くことをモットーに執筆している。自然や地域、文化が大好きで、全国各地に赴いて書く仕事をすることが目標。

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