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さいしょ糖尿病クリニック

https://saisho-dc.jp/

〒164-0001 東京都中野区中野5-67-5 SKGT長谷部3階

03-5942-9393

注射一本で痩せられる時代に、糖尿病専門クリニックは何を担うのか。さいしょ糖尿病クリニックが見据える薬の先

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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さいしょ糖尿病クリニック 税所 芳史 院長
さいしょ糖尿病クリニック 税所 芳史 院長(撮影:加藤 俊、以下同)

週1回の注射で体重が落ちる。そんな薬の登場で、糖尿病と肥満の治療をめぐる景色が、ここ数年で大きく変わった。いまやその薬は、糖尿病の専門医以外の手によっても、美容やオンライン診療の領域で広く処方されている。

効果的な薬が誰の手からでも処方される時代に、糖尿病を専門とするクリニックは、何を担う場所であり続けるのか。

 

注射一本で痩せられる時代の到来

少し前まで、体重を減らすために頼れる薬はほとんど存在しなかった。生活習慣を見直しても結果が出にくい人にとって、選択肢として注目されたのは、胃を小さくしたり、食べたものの通り道を変えたりする外科手術だった。手術によって20キロ、30キロと減量できると、それまでインスリンを使っていた人でも、薬なしで血糖値がほぼ正常に近づくことがある。手術という大がかりな手段ではあったが、その結果は、減量こそが糖尿病の改善の鍵であることをはっきりと示していた。

そこに登場したのが、「マンジャロ」などをはじめとした、GLP-1受容体作動薬と呼ばれる薬だ。もともと血糖値を下げる目的で使われていたが、食欲を抑えて体重を減らす効果があることがわかってきた。手術をしなくても、週1回の注射で体重を減らせる。この薬は、治療のあり方を一変させた。

さらに、減量だけでなく、心臓や腎臓を守る効果も報告され、いまでは循環器や腎臓を専門とする医師も処方するようになっている。糖尿病という枠を超えて使われる薬になった、というのが2026年の状況だ。

2022年に東京・中野で開院したさいしょ糖尿病クリニックの院長、税所芳史医師は、この変化を前向きに受け止めている。

さいしょ糖尿病クリニック 税所 芳史 院長

税所院長
「これだけ効果的な薬が登場したことは、糖尿病を専門とする立場として、素直に歓迎しています。減量は患者さんの生活の質を大きく高めますから、それを実現できる薬が出てきたこと自体、目の前の患者さんにとって本当にありがたいことだと感じています」

税所院長は、慶應義塾大学医学部を卒業後、糖尿病・内分泌内科を専攻し、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で糖尿病の根本に関わる細胞の研究に取り組んできた専門医だ。効果的な薬の登場を歓迎する一方で、その薬とどう向き合うかという点に、専門医ならではの視点を持っている。

さいしょ糖尿病クリニック 受付
受付の様子
 

薬を出すことと、糖尿病を治療すること

効果的な薬が広く使われるようになった一方で、税所院長が大切にしているのは、治療の順序だ。

税所院長
「薬を出せば糖尿病が良くなる、という考え方ではなく、まず生活習慣を整えることを土台に置いて、その上で薬を使っていく。この順序を、専門医として大切にしています」

これは、糖尿病という病気をどう捉えるかという、考え方の違いでもある。薬で症状を抑えることを中心に据えるのか、それとも生活習慣を整えることを土台に置き、薬をその補助として使うのか。アプローチの出発点が異なる。

薬の処方が、専門医以外の手にも広がっている現状について、税所院長の見方は慎重だ。

税所院長
「肥満の傾向も健康上の問題もない方に、痩せ薬として処方することは、保険診療とは別の話になりますので、推奨することはできません。一方で、実際に肥満の傾向があり、健康上の問題もありそうな方が、オンラインの保険診療で処方を受けているケースもあります。そのこと自体を、私は否定するつもりはありません」

そのうえで税所院長が強調するのは、今後どれだけ効果的な薬が開発されても、生活習慣を整えることなしに糖尿病の治療が完結することはない、という点だ。

税所院長
「薬で一時的に体重が落ちても、生活習慣が変わらなければ、薬をやめた途端に元に戻ってしまいます。それでは、その方の人生にわたる治療にはなりません。だからこそ、いかに生活習慣にこだわり続けられるか。そこが、専門医として提供できる価値だと考えています」

さいしょ糖尿病クリニック 受付の折り紙
 

なぜ「薬だけでは完結しない」と言えるのか

生活習慣を土台に置くという税所院長の診療観は、自身が長く取り組んできた研究に裏打ちされている。

私たちが食事をすると血糖値が上がり、それを下げる働きをするのが「インスリン」というホルモンだ。インスリンは、膵(すい)臓の中にある「β細胞」という小さな細胞が作り出している。膵臓の大部分は消化液を作る場所で、β細胞はそのごく一部に、島のように散らばって存在している。このβ細胞の働きが弱まったり数が減ったりすると、インスリンが足りなくなり、血糖値を下げきれなくなってしまう。これが糖尿病の根本にある仕組みだ。

税所院長が研究者の道に進むきっかけになったのは、2003年に発表された一本の論文だった。亡くなった人の膵臓を直接調べたところ、2型糖尿病(糖尿病の患者の大半を占める、生活習慣などを背景に起こるもの)の人では、β細胞の量が半分ほどに減っていた。しかも、新しく作られなくなったというより、もともとあったβ細胞が少しずつ失われていた、という内容だった。

この発見は、糖尿病という病気の見方を変えるものだった。血糖値が下がらないという表面的な問題の奥で、それを支えるβ細胞そのものが、静かに減っている。血液中のインスリンの量は測れても、β細胞の数は膵臓を直接見なければわからない。その見えにくい部分で、変化は進んでいた。

税所院長は、この論文の研究者がいたUCLAに留学し、3年間、β細胞の研究に取り組んだ。そこでわかったのは、健康な人であればβ細胞は90歳代に至るまでほぼ一定に保たれるが、いったん糖尿病で減ってしまうと、その後に元へ戻ることはほとんど期待できない、ということだった。帰国後、日本人を対象に同じ研究を行うと、日本人は欧米人に比べてβ細胞を増やす力が弱いこともわかった。

ここから、税所院長の診療観の核が見えてくる。糖尿病の治療とは、目先の血糖値を下げることそのものが目的なのではなく、その奥にあるβ細胞を、これ以上減らさないように守ることなのだ。

税所院長
「減ってしまったβ細胞は、元には戻りません。だとすれば、いかに減らさず守るかが治療の根本になります。そして、β細胞を守るためには、薬で一時的に血糖値を抑えるだけでは足りない。日々の生活習慣を整えていくことが、どうしても必要になるのです」

さいしょ糖尿病クリニック 受付付近の資料
受付のすぐそばには、糖尿病に関する資料が置いてある
 

薬の効果が高まる時代に、専門医療が担うもの

効果的な薬が次々と登場する時代に、生活習慣にこだわり続けることは、一見すると時代に逆行しているようにも見えるかもしれない。

だが、薬が効果的であるほど、「薬さえ使っていれば大丈夫」という受け止め方も生まれやすくなる。薬で体重が落ちれば、生活習慣を変える動機は、むしろ薄れてしまうこともある。ところが薬は、やめれば効果が消えてしまう。その奥にあるβ細胞を守れるのは薬ではなく生活習慣の方だ。だからこそ、その薬を生活習慣の改善とどう組み合わせ、長い時間の中でどう使っていくかを患者と一緒に考える役割が必要になる。薬が効果的になるほど、その手前にある生活習慣と向き合う伴走者の重みは、かえって増していくのだ。

糖尿病は、一度治療を始めれば生涯付き合っていく慢性疾患だ。薬が効いている間だけ良ければいいわけではなく、その人の人生にわたって血糖値を保ち続けられるかどうかが問われる。薬を出して終わりではなく、その薬をその人の生活の中にどう位置づけ、生活習慣をどう整えていくかを、長い時間をかけて共に考える。その伴走こそが、専門クリニックの役割になる。

さいしょ糖尿病クリニック 税所 芳史 院長

税所院長
「実際に治療を行うのは、患者さんご自身です。医師がずっと付き添っているわけにはいきませんし、ご自宅での生活を24時間見守ることもできません。だからこそ、患者さんが主役にならないと、糖尿病の治療はうまくいかないのです」

効果的な薬が、誰の手からでも処方される時代になった。だからこそ、その薬を一人ひとりの人生の中にどう置いていくかを共に考える場所が、これまで以上に必要とされている。薬が治療の入り口だとすれば、その薬を長い人生の中で活かしていく出口までを見据える役割を、誰が担うのか。さいしょ糖尿病クリニックの診療は、薬が広く行き渡る時代の専門医療のあり方を、静かに指し示している。

さいしょ糖尿病クリニック ウィズマインド
▲画像をクリックすると、税所先生のインタビューの完全版を読むことができます▲

「注射一本で痩せられる時代」における専門医の役割から、β細胞研究に裏打ちされた診療観まで、さいしょ糖尿病クリニックが向き合う糖尿病医療の輪郭を徹底解剖。慶應義塾大学医学部からUCLAでのβ細胞研究を経て、中野で診療を続けてきた税所芳史院長の歩みと「糖尿病治療は患者が主役」という診療姿勢は、医療系メディア『ウィズマインド』の特集記事をご覧ください。
特集記事:『「糖尿病治療は患者が主役」。β細胞研究で培った知見が支える、さいしょ糖尿病クリニックの伴走の医療

ウィズマインドは、あなたの悩みに寄り添った美容クリニック・医療機関を発見するために、医師・スタッフの「想い」をお届けするメディアです。

【クリニック情報】
さいしょ糖尿病クリニック
院長:税所 芳史(さいしょ よしふみ)
所在地:東京都中野区中野5-67-5 SKGT長谷部3階
URL:https://saisho-dc.jp/
診療科目:糖尿病・内分泌内科、内科
2022年1月開院。慶應義塾大学医学部を卒業後、米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で糖尿病の根本に関わるβ細胞を研究し、慶應義塾大学病院で診療と研究を重ねた税所芳史院長が、「糖尿病治療は患者が主役であるべき」という診療観のもと運営している。生活習慣の調整を土台に置きながら、デジタルツールを活用した個別化の診療と、管理栄養士や看護師との継続的な連携によるチーム医療を実践。糖尿病・内分泌内科を中心に、生活習慣病から内分泌疾患まで幅広く対応している。日本糖尿病学会認定 糖尿病専門医・指導医、日本内科学会認定 総合内科専門医。

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ライター:

株式会社Sacco 代表取締役。一般社団法人SHOEHORN理事。週刊誌・月刊誌のライターを経て2015年Saccoを起業。 連載:日経MJ・日本経済新聞電子版『老舗リブランディング』、週刊エコノミスト 『SDGs最前線』、日本経済新聞電子版『長寿企業の研究』

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