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クラックス合同会社

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〒124-0006 東京都葛飾区堀切8丁目24番12号

03-6662-5105

建物を“資産”として残す――無機質浸透コーティング「プロトケア(XOP・FC)」の挑戦

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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クラックス合同会社 吉岡代表
クラックス合同会社 吉岡 正彦代表

建物の老朽化――。高度経済成長期に建てられたインフラやビルの寿命が迫るなか、メンテナンスや建て替えにかかる莫大なコストが社会課題となっている。そうしたなか、業界の常識を覆す技術が静かに広がりを見せている。塗るだけで建材を保護し、長期にわたって劣化を防ぐ無機質浸透コーティング「プロトケア」だ。石・コンクリート用の「XOP」、木材・鉄用の「FC」という用途別ラインで、建築に使われる建材の大半をカバーする。

開発元である株式会社キーストンとタッグを組み、この技術の普及と施工を担うクラックス合同会社の吉岡代表に、その性能と、建物の「延命」がもたらす真のサステナビリティについて話を伺った。

 

研究者とのタッグから生まれた“無機質”保護剤

――本日はよろしくお願いします。まず、御社が普及を担う「プロトケア」について、その生い立ちからお伺いします。

「プロトケアは、株式会社キーストンが約30年前に開発した無機質浸透コーティングです。
事の発端は、沖縄・宮古島で、強烈な紫外線によってコンクリートが劣化してしまう――この問題をどうにかできないか、というご相談でした。宮古島は塩害だけでなく、遮るもののない紫外線が降り注ぐ、コンクリート建造物にとって世界でも有数の過酷な環境です。ここでいかにインフラを長持ちさせるかという課題に対し、当時の最先端の化学を結集して共同開発されたのがプロトケアの原型です。民間企業の商業的な思惑からではなく、『インフラを守る』という大義から生まれた技術なのです」

――大手商業施設や鉄道の駅など、名だたる施設で採用されていますね。

「ええ。ある大手商業施設では約2万平米(約7,000坪)という広大な面積のコンクリートや石材に塗布され、20年近くにわたって美観と強度が保たれています。地下鉄でも摩擦係数などの安全性検証を重ねて認められ、現在は50駅以上に採用が広がっています。速乾性が高く施工が簡単な点も、現場から高く評価されています。厳格な防汚・防食基準が求められる重要インフラの現場でも、数多くの実績を積み上げてきました」

 

塗膜を作らず内部に浸透する――有機と無機の決定的な違い

――プロトケアは、これまでの塗料やコーティング剤と何が根本的に違うのでしょうか。

「石やコンクリートを保護する塗り物は、大きく『表面に塗膜を作るタイプ』と『内部に浸透するタイプ』の2種類に分かれます。

まず塗膜タイプは、時間が経つと剥がれてしまいがちです。建材は内部から湿気や水分が呼吸するように上がってくる性質があり、表面を膜で塞ぐと通気性が失われる。逃げ場を失った水分が太陽光で温められて蒸発し、内側から塗膜を押し上げ、水ぶくれのように膨れて、やがて剥離してしまうのです。

では浸透タイプならすべて良いのかというと、そうではありません。従来の浸透型の多くは、シリコンをベースにしながら骨格に油などの『有機物』を含んでいました。油を染み込ませれば一時的に水を弾く性質は得られますが、有機物は紫外線に弱い。分子構造(炭素結合)が強い紫外線のエネルギーで切断されやすく、当社の蓄積データでは、実質8か月ほどで機能が低下し始めます。内部に染み込んでいて表面に膜がない分、劣化に気づきにくいのですが、実際には成分が壊れている。初期コストは安いものの、結局は5〜10年で防水効果が薄れ、水分が侵入して鉄筋を錆びさせ、再び大規模な塗り直しが必要になる――この繰り返しでした」

――プロトケアはそこがどう違うのですか。

「プロトケアが根本的に異なるのは、XOP(フッ素系)やFC(セラミックス系)といった、ほぼ“無機質”の成分だけで構成され、それを建材の内部に深く浸透・結晶化させる点です。『セラミックスのような無機物を、液体にしてどうやって石の微細な隙間に染み込ませるのか』――そこがこの技術の核心です。

私たちはあえて特許を取得していません。申請すれば配合やプロセスが世界中に公開され、模倣されるリスクがあるからです。技術は完全に秘匿する、という考え方です。

無機質はガラスや石と同じで、可視光線や遠赤外線、そして紫外線のエネルギーを浴びても分子結合が切れにくい。当社の長期データでも、紫外線に晒されても安定し続けています。ですから、塗膜が剥がれる水ぶくれのリスクもなく、紫外線で内部が崩壊することもない。これがプロトケア、XOP・FCの大きなアドバンテージです」

――耐久性はどのくらいですか。

「実際に施工から27年が経過した現場がありますが、保護効果と美観をそのまま維持しており、性能低下は確認されていません。ポテンシャルとしては30年、あるいはそれ以上と考えていますが、建築のライフサイクルを踏まえ、製品保証は15年という形で設定しています。

仕様としては、IPA(イソプロピルアルコール)で希釈して使います。IPAは揮発性が高く、施工後すぐに蒸発して有効成分だけが建材内部に残る。希釈するため1リットルあたりの有効成分は数パーセントですが、それがナノレベルの隙間に入り込んで強固な結合を形成します。一度正しく定着すれば、長期間にわたって建物のポテンシャルを維持し続けます」

クラックス合同会社 吉岡代表
 

「素早く乾き、質感が変わらない」現場が選ぶ理由

――大規模施設や地下鉄で選ばれている理由は何でしょう。

「ベンチャーや民間企業が、公共性が高く安全基準の厳しいインフラ施設に入り込むのは、並大抵のことではありません。それでも採用が広がっているのは、プロトケアが『現場の制約をクリアする施工性』と『利用者を守る安全性』を両立しているからです。

まず施工面。不特定多数が行き交う空間は、出入口から階段、売り場、エントランス、外広場まで、頑丈な石材やコンクリートで構成され、施工面積は数千〜数万平米に及びます。最大の制約は、業務終了から翌日の業務開始までのわずか数時間しか作業できないこと。お客様の動線を妨げるわけにはいきませんから、『今夜はこの30平米、明日はあちらの100平米』と、パズルのようにタイトな計画で進めます。職人の間では『一生終わらない現場』と言われるほどです。

ここで威力を発揮するのが、IPAによる速乾性です。塗った瞬間から揮発が始まり、数十秒で表面は乾いた状態になる。あまりに早く馴染むので、ベテランでも『どこまで塗ったか分からなくなる』ほど。そのため施工マニュアルでは2回塗りを義務づけています。成分を確実に行き渡らせ、塗り残しを物理的になくすためのセーフティネットです。施工後1時間ほどで表面が乾燥するため、始発の乗客が訪れる頃には、硬化した保護層が完成しています」

――もう一つの理由、安全性についてはいかがですか。

「インフラ施設で最も恐れられるのは、お客様の転倒事故です。特に雨の日の階段や通路は、濡れた石床で滑るリスクが常にある。多くのコーティング剤やワックスは、塗ると表面がツルツルになり、濡れた瞬間にスケートリンクのようになってしまう。

ある施設では導入にあたり、半年以上をかけて、塗布した各種石材のサンプルに水を浴びせながら『濡れた状態での摩擦値』を試験機で徹底検証されました。その結果、プロトケアは表面に余分な膜を作らず建材内部に吸い込まれていくため、施工前後で摩擦係数(グリップ力)に有意な変化が出認められないことが確認されたのです。

実際、御影石のプレートの右半分だけに塗り、左半分を未施工のまま水をかけて触り比べても、指の感覚ではどちらが塗ってあるか判別できません。石本来のザラザラした質感グリップがそのまま残る。この『質感を変えない、滑らせない』特性が、採用の決め手になりました。

さらにこの特性は美観の維持にも直結します。通常のコーティングは、人が歩く動線だけが擦れて剥がれ、数か月で『真ん中だけ黒ずみ、端だけ光る』まだら模様になりがちです。プロトケアは内部に浸透しているため、歩行摩耗で剥がれるという概念そのものがない。高価な石や建材本来の風合いを、15年以上にわたって均一に保ち続けられるのです」

クラックス合同会社 吉岡代表
 

「良すぎる」がゆえの障壁物語――業界構造との戦向き合い方

――それほどの性能と実績があるなら、なぜ日本中のビルやマンションに一気に普及しないのでしょう。

「ここが、このビジネスの面白くも悩ましいところです。建物の所有者であるオーナー様にとっては、一度塗れば長期間メンテナンス費用を抑えられ、美観も保てる。これ以上ない建材保護ソリューションです。

一方で、建物を管理する会社や、定期メンテナンスを生業とする会社の視点に立つと、景色が変わります。5年ごとの外壁洗浄や、10〜15年周期で数千万〜数億円が動く大規模修繕は、事業を支える大切な収益源です。そこに『一度塗れば修繕周期を大きく延ばす』製品が入ると、ビジネスモデルとの折り合いが難しくなる。現場の技術担当者は『これは画期的だ』と目を輝かせてくれるのに、経営判断のレベルでは慎重になる――そんな場面もありました。

だからこそ私たちは、既存の業界と対立するのではなく、“建物のライフサイクルコストを本気で下げたい”という思いを共有できる方々と手を組むことにしています。効果が高いからこそ、その価値を一番喜んでくださる方に、まっすぐ届けたいのです」

――印象的なエピソードはありますか。

「私たちの間で有名な『狛犬の話』があります。ある由緒ある神社の石造りの狛犬に、風化を防ぐ目的でプロトケアを塗布したことがありました。すると数年経っても、その狛犬だけが一切汚れず、苔も生えず、まるで昨日彫り上げたような美しさを保ち続けた。ところが神社側から『いつまでも苔が生えず、歴史的な風合いやわびさびが出ない。どうにかしてくれ』と、真面目なクレームが入ってしまった(笑)。汚れを寄せ付けない性能が完璧すぎて、時に文化的な“不都合”すら生む。技術の本質を物語るエピソードだと思っています」

 

スクラップ&ビルドからの脱却と、ストック型社会へ

――今後、クラックスはどのような役割を担っていくのでしょうか。

「メーカーであるキーストンは、技術に特化した素晴らしい職人集団です。ただ、職人気質ゆえに、これまで営業や広報、マーケティングをほとんど行ってきませんでした。そこで、キーストンは『製造・研究開発・技術ブランディング』に専念し、クラックスが『製品を正しく世に伝え、営業・販売の窓口となり、国内外へ普及させる』――役割分担の座組みを整えました。

いま、複雑な化学式やエビデンスを、ビジネスパーソンやビルオーナー向けに分かりやすく翻訳したWebサイトへの刷新を進めています。プロトケア(XOP・FC)のライフサイクルコスト(LCC)削減メリットを、数字として定量化して発信する準備も整えつつあります。建物のLCCを下げたいオーナー様、修繕予算に悩む自治体、資産価値を中長期で高めたいインフラ企業に、この価値を直接お届けしていきます」

――最後に、プロトケアを通じてどんな社会を目指すのか、ビジョンをお聞かせください。

「私たちが目指しているのは、『スクラップ&ビルド(建てては壊す)』という消費型の文化からの脱却です。

SDGsやカーボンニュートラルが叫ばれるいま、植林や電気自動車も大切ですが、それと同じかそれ以上に、先人が膨大な資源とCO₂を費やして築いたビルやインフラという“ストック”を、数十年、100年と美しく頑強に保ち続けることこそ、最も合理的でインパクトのある環境保護だと確信しています。

ヨーロッパの古い都市では、数百年前の石造りのビルが今も現役で、新築より歴史あるストックのほうが資産価値が高く、高い賃料を生んでいます。人口減少社会に入った日本も、新築至上主義から抜け出し、今ある資産のポテンシャルを最大限に高める『ストック型社会』へ移行すべきです。

石・コンクリート用のXOP、木材・鉄用のFC――この無機質浸透テクノロジーは、建物の寿命を大きく延ばし、修繕にかかる資源の浪費を物理的に減らせる鍵です。プロトケアを日本中、そして世界の都市へ正しく届けることで、街の景色を『未来へ残せる美しい資産』へと変えていく。それが、クラックスの使命であり、私の挑戦です」

――本日は貴重なお話をありがとうございました。

あなたの建物は、あと何年“資産”のままでいられますか。プロトケア(XOP・FC)は、石・コンクリート・木材・鉄など、幅広い建材の長寿命化を実現します。保有物件のLCC(生涯維持コスト)無料診断を承っています。まずはお気軽にご相談ください。

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ライター:

株式会社Saccoマネージャー、株式会社Blockchain Tech Farm 代表取締役。営業や多岐にわたる事業での経営経験を経て、2014年にブロックチェーン分野へ参入。2017年に株式会社Blockchain Tech Farmを設立し、非金融領域でのブロックチェーン活用を推進。多くの企業との縁から、現在は株式会社Saccoのマネージャー、ライターとしても活動している。

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