
「社会を変えられる若者を増やしたい」
そんな熱い思いで設立された株式会社「笑下村塾」が、設立10周年という節目に大きな危機を迎えている。代表を務めるお笑いジャーナリスト・たかまつなな氏が自身のSNSで発した「SOS」が波紋を呼んでいるのだ。
「今年、一番大きな契約がなくなり、事業を縮小に踏み込まざるを得ない状況となってしまいました。(中略)なんとか活動を続けるため、マンスリーサポーター100人を目指すキャンペーンを始めました」
1億円企業からの転落? 突然のSOSと消えた支援ページ
昨年度は事業規模が1億円を超え、黒字を達成したと胸を張っていただけに、この急転直下の事態は驚きをもって受け止められた。若者の政治参加を促すという彼女の活動は、これまで11万人以上に出張授業を届けるなど、一定の成果を上げてきたはずだ。本来であれば、応援の声が殺到してもおかしくない内容である。
今回の支援募集は、NPOなどのソーシャルセクターに特化した分野では最大のファンドレイジング(資金調達)サイト「コングラント(Congrant)」を利用して開始されていた。しかし、事態は思わぬ方向へと動く。4月22日14時現在、支援を呼びかけていた同サイトの該当ページはアクセスできない状態となっているのだ。 サイト側の不具合か、それとも何らかの理由で公開が停止されたのか、憶測を呼ぶ事態となっている。
SNSに渦巻く厳しい声「まずは財務諸表の開示を」
突然のページアクセスの不可も相まってか、ネット上の反応は予想以上に冷ややかだ。彼女の支援を求めるポストに対し、SNSでは次のような厳しい声が目立っている。
- 「石破さんにべったりだったもんな」
- 「財務諸表も決算書も無しにサポートして、はタカリでは?」
- 「法人なら、まずは直近の財務諸表の開示と今後の事業計画の説明からすべき」
- 「役員報酬をどれだけとっているのか公開されないでお金を募るのはフェアでないのでは?」
- 「銀行に頼むのが先では?」
過去の政治的スタンスや発言から、一部で否定的な見方が定着してしまっていることも影響しているのだろう。しかし、それ以上に目立つのは、「企業として資金支援を募るなら、まずは経営状況を透明化すべき」という、ビジネスパーソンとして至極もっともな正論である。
「正しい行い」だからこそ問われる透明性
たかまつ氏が取り組んでいる「若者の主権者教育」や「異なる考えの人との対話」は、間違いなく社会性のある、意義深い活動である。しかし、正しい行い、社会に良いことをしていると掲げているからこそ、世間の目はその日ごろの言動や運営の実態に対してより厳しくなるのは世の常というもの。
持続可能な組織運営(サステナビリティ)を実践していく上で、最も重要な要素の一つが積極的な情報開示と透明性である。その点から言えば、経営力不足と嘆くだけでなく、現在の経営状況——具体的な収支、役員報酬の額、そして「一番大きな契約」とは何で、何の事業で躓いてしまったのかという定量的な情報を包み隠さず開示していく方が、結果的に多くの人の共感と納得のいく応援を集められるのではないだろうか。
それが難しいというのであれば、通常の企業と同じく、デッドやエクイティで資金を投融資してもらうことを優先すべきだろう。
批判に真摯に答え、真の「社会包摂」へ
ネット上には「事業がうまくいってないから金くれってただの乞食やん」といった辛辣な揶揄も見られるが、これは裏を返せば、彼女の活動の真の価値や事業の実態が、支援を求める層に対してまだ十分に可視化されていないことの表れとも言える。
若者の政治参加という、直接的な利益を生みにくい難しい領域でのビジネスチャレンジだからこそ、経営の壁にぶつかるのはある意味で必然だ。だからこそ、たかまつ氏には、該当ページがアクセス不可になった現状も含め、否定的な目線や厳しい指摘から目を背けるのではなく、持ち前のジャーナリズム精神で真っ向から答えてほしい。
痛いところを突く批判にも真摯に向き合い、経営の透明性を高めることで、批判的な層をも対話のテーブルに巻き込んでいく。いかにしてこの事業を持続させるのか、起業家としての手腕が今まさに問われている。このピンチを契機に、より強固な「社会包摂」を敷いていく彼女の次なる成長に期待したい。



