
登録者37万人規模のチャンネルが活動終了に追い込まれた背景には、契約一方解除、顧客無断引き継ぎ、400件超のレシピ流用疑惑があった。
人気チャンネルの軌跡と提携の始まり
管理栄養士のあおい氏が運営する「あおいの給食室」は、保育園給食レシピを家庭向けにアレンジした動画で支持を集め、登録者37万人超の人気を誇った。
レシピ本の出版や全国200園以上の献立提供実績もあり、子育て世代から厚い信頼を得ていた。TikTokやInstagramも合わせ総フォロワー110万人超の影響力を持つチャンネルだった。
2021年4月、神奈川県横浜市のハーベスト株式会社から保育園向け・個人向けミールキットの業務提携を打診され、商標貸与とレシピ提供を開始。当初1年契約だったがハーベスト側の強い希望で7年契約に延長された。
提携提案書には大手企業A社との共同事業が記載されていたが、後にA社は一切関与していないことが判明した。
2023年の契約一方解除と業務放棄
2023年7月、ハーベスト側が「A社との競業違反」を理由にサービス終了を一方的に通告。
連絡が途絶え、ミーティングを2度ドタキャンした上で、契約残り5年を残して10月末に全ミールキット事業を打ち切った。中途解約禁止条項に違反する行為だった。
あおい側は顧客への謝罪動画と手紙を発信したが、ハーベストから「名誉毀損で刑事告訴を検討」との抗議書が届いた。ハーベストは同時期に類似ブランド「はぴみる」を立ち上げ、160園超の保育園と数百人の個人顧客を無断で引き継いだ疑いがある。
一部顧客には「あおいとの契約終了、食材そのままハーベストで続けます」「このことは言わないで」との説明があったという。
レシピ流用400件超の疑惑と決定的証拠
2023年11月以降、ハーベスト(はぴみる)の献立に「あおいの給食室」のレシピと酷似したものが多数見つかった。
タイトル、材料、分量(0.1g単位)、工程がほぼ同一で、離乳食含め酷似320件・類似含め400件超を確認。
決定的だったのは非公開のレシピ管理IDが28件で完全一致した点で、外部公開されない内部番号のため組織的流用の疑いが極めて濃厚となった。
ハーベスト側のウェブサイトへのアクセスも月に500回以上記録され、2年以上にわたり商用利用された可能性が高い。
あおい側は2024年1月に横浜地裁で提訴(請求原因:著作権侵害、不正競争防止法違反、債務不履行)。裁判進行中のため詳細を2年半伏せていた。
ハーベスト側の主張と沈黙
ハーベスト株式会社は公式声明を出しておらず、公式サイトや「はぴみる」Instagramでも本件に一切触れていない。裁判記録では契約解除理由を「A社競業」から「YouTube赤字」「あおいの精神状態」へと変遷させ、レシピID一致については「不知・調査中」と回答。
レシピ価値についても「あおいはチェックだけ」と否定する主張を展開した。
過去に賞味期限切れ食材混入などのトラブル歴も指摘されており、ネット上では「子どもたちの給食を扱う企業として信じられない」「税金が投入される公共事業なのに」と批判の声が広がっている。
ハーベストは横浜市立中学給食も一部請け負う企業として注目を集めた。
あおい氏の現在と支援の動き
レシピ流用発覚による精神的ショックで、あおい氏はパニック障害・適応障害・うつ病を発症。PTSD兆候もあり、2月に肺炎を併発して寝たきり状態となった。
2026年3月にメインYouTubeチャンネル更新終了を発表。現在は薬の助けを借りながら回復傾向にあり、日中起きていられる時間が増えたが公開撮影は難しい。シークレットチャンネル(エプロン会員・クラファン支援者・保育園限定)で限定活動を続け、TikTok・Instagramでは未公開動画を公開中だ。
夫・脇森氏が前面に立ち、5月26日に動画と公式ページで全容公表。
「知的財産保護の判例を残したい」と訴訟継続を表明。訴訟費用支援のためのクラウドファンディングを開始し、支援者にはレシピ集などのリターンを準備している。
あおい氏本人は「このまま終わるつもりはない」「もう一度胸を張って美味しい!を届けたい」と再起意欲を語った。
ネットでは「体調が心配」「早く元気になって」「理不尽すぎる」と心配と応援の声が殺到。
あおい氏自身も「皆さんの温かいコメントやDMが暗闇の中で手を引いてくれた」と感謝を述べ、ファンコミュニティが回復の大きな支えとなっている。
この問題はレシピ著作権やクリエイター保護の観点で注目事例となりそうだ。裁判は横浜地裁で進行中。今後も新たな動きが予想される。
【あおいの給食室】公式サイト https://spoondreams.com/



