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KENZO再逮捕、30億円恐喝未遂疑惑の衝撃 詐欺撲滅YouTuberの「正義」が脅しに変わったのか

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KENZO 新宿109
DALLーEで作成

詐欺撲滅のための動画が、30億円を要求する脅しの道具になっていたのか。登録者100万人超の人気YouTuber「KENZO 新宿109」が、恐喝未遂の疑いで再逮捕された。標的となったのは京都市の不動産会社元代表の男性。金銭要求があったとされる翌月、男性を詐欺師と名指しする動画が公開され、その後、男性は36歳で亡くなった。遺族は約2億3000万円の損害賠償を求めて提訴している。悪質商法を追及し、多くの支持を集めてきたKENZO。事件は、告発動画の裏側で何が行われていたのかという重大な疑惑に発展した。

 

KENZO再逮捕 追及動画を盾に30億円要求か

共同通信によると、京都府警左京署は11月4日、YouTuber「KENZO 新宿109」として活動する28歳の男性を恐喝未遂の疑いで再逮捕した。2025年5月18~19日、ほかの男2人と共謀し、京都市の不動産会社元代表の男性に対して、追及動画を公開するなどと告げて現金30億円を要求した疑いが持たれている。捜査関係者への取材では、「おめぇの生きるも死ぬも、全部俺のさじ加減じゃ」などと告げていたとされる。KENZOは警察の調べに黙秘している。

KENZOは10月14日、同じ男性を中傷する動画を投稿したとして名誉毀損容疑で逮捕されていた。今回、新たに浮上したのは動画公開前の金銭要求への関与だ。先に逮捕されていた男2人と共謀し、動画の公開を示唆して巨額の現金を要求したと警察はみている。単に相手を批判する動画を投稿したという疑惑から、その動画を利用して金銭を脅し取ろうとしたという疑惑へ。KENZOの事件は、より深刻な局面を迎えた。

 

登録者103万人のKENZO 詐欺撲滅で支持を集めた理由

KENZOは、悪質なマルチ商法や詐欺が疑われるビジネスを追及する動画で知名度を高めてきた。問題のある勧誘現場に足を運び、関係者に直接質問をぶつける突撃スタイルが特徴だ。チャンネル登録者は約103万人。動画では相手を厳しく問い詰める場面も多く、その姿勢が視聴者の支持につながった。詐欺被害に苦しむ人や、怪しい勧誘を受けた経験のある人にとって、悪質業者に正面から立ち向かうKENZOの活動は頼もしく映っただろう。自分たちの代わりに悪質な商法を追及してくれる存在として、影響力を拡大していった。

しかし、その発信力は相手の社会的評価を大きく左右する力でもある。KENZOの動画では、追及対象者の顔や名前を公開し、強い言葉で批判する場面が見られた。登録者100万人を超えるチャンネルで「詐欺師」と名指しされれば、仕事や人間関係にも影響が及ぶ。今回の恐喝未遂容疑が立証されれば、KENZOはその影響力を利用し、動画公開を交渉材料に巨額の現金を要求していたことになる。悪質商法を告発する活動が、相手を追い詰める手段に変わっていたのか。これまで支持を集めてきた活動そのものが、厳しい目で見られる事態となった。

 

30億円要求後に動画公開 男性は翌月に死亡

事件の背景には、不動産会社の売却をめぐるトラブルがあったとされる。2025年5月、会社の経営に関係する問題を抱えていた男性に対し、追及動画の公開を示唆した金銭要求が行われた疑いがある。そして翌6月、KENZOのYouTubeチャンネルに男性の顔写真などを使った動画が投稿された。動画では男性を詐欺師と決めつけるような表現が使われ、巨額の詐欺疑惑も取り上げられていた。男性は動画公開後、警察に相談していたが、同年7月に36歳で亡くなった。母親は、息子が動画による中傷に苦しんでいたと訴えている。

母親は2025年11月、KENZOを名誉毀損容疑で告訴。さらに2026年10月15日には、KENZOら3人を相手取り、計約2億3000万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。時事通信によると、訴状では、会社売却をめぐるトラブルを背景に動画制作が依頼され、その投稿などが息子の自殺につながったと主張している。10月27日にはKENZOから動画編集などを請け負っていた男性も名誉毀損容疑で逮捕され、11月4日には金銭要求に関与したとされる男2人が名誉毀損容疑で再逮捕された。捜査では、金銭要求から動画の制作・公開まで、複数の関係者がどのように関わったのかが調べられている。

 

フナイムは「戦友を信じる」 KENZO擁護に揺れる評価

再逮捕を受け、KENZOとともに活動してきた犯罪撲滅系YouTuber「フナイム」がXで反応した。フナイムは4日深夜、KENZOへの信頼を示す長文を投稿。礼儀正しく、思いやりがあり、正義感の強い人物だと説明し、「俺は戦友を信じる」と訴えた。KENZOが10月に名誉毀損容疑で逮捕された際には、今後の展開を静観する姿勢を示していたが、今回は批判を受ける可能性も承知したうえで擁護の立場を明確にした。

長年ともに活動してきた仲間にとって、KENZOが30億円もの金銭を脅し取ろうとしたという容疑は、容易に受け入れられるものではないのだろう。とはいえ、仲間からの人物評価と事件の事実関係は別だ。これまで詐欺撲滅に取り組んできた実績も、今回の金銭要求への関与を判断する材料にはならない。KENZOは現在、容疑について黙秘している。今後は、関係者とのやり取りや金銭要求の経緯、動画制作に至った背景がどこまで明らかになるかが重要になる。

 

「正義の告発」はなぜ危ういのか KENZO事件が突きつけた問題

KENZOが人気を集めた理由は、悪質商法や詐欺疑惑に対する視聴者の怒りを代弁してきたからだ。行政や警察の対応だけでは解決が難しいと感じる問題を取り上げ、関係者に直接説明を求める。その姿は、被害者の味方として映っていた。しかし、動画の中で追及される人物が本当に犯罪を行っているのか、視聴者がすべての事実を確認できるわけではない。動画の編集や発信者の説明によって、相手に対する印象は大きく変わる。強い口調で問い詰める姿が正義に見えても、相手の主張や事情が十分に紹介されているとは限らない。

今回の事件では、その発信力が金銭要求に利用された疑いが持たれている。もし容疑が立証されれば、視聴者が支持した告発という手法が、相手を脅す道具として使われていたことになる。しかも、追及を受けた男性はすでに亡くなり、遺族は動画によって精神的に追い詰められたと訴えている。刑事事件では30億円の要求に至った経緯とKENZOの関与が、民事訴訟では動画投稿と死亡との関係が争点となる。詐欺撲滅を掲げて多くの支持を集めたKENZOが、今度は自らの行為について司法の判断を受ける立場になった。正義を掲げる発信者に、社会はどこまでの力を与えてよいのか。30億円の恐喝未遂疑惑は、告発系YouTuberの活動そのものに重い問いを投げかけている。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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