にしけんさん、助けて!……で許されたハズだったのに、動画はなぜ公開されたのか?
エンジニアのミカタ HPより
一度は交わされたはずの「手打ち」は、あっけなく崩壊した——。
急成長を遂げるITベンチャー「株式会社日本戦略ホールディングス(旧社名:株式会社エンジニアのミカタ)」と、そのトップである田代正義代表取締役をめぐるスキャンダルが、最悪の泥沼劇へと突入した。ビジネスYouTube番組『令和の虎』の“虎”としても知られる株式会社テクニケーションシード代表のにしけん氏が、同社の組織的な不正行為を暴露する動画をYouTube上に電撃公開したのだ。
本誌が前報でお伝えした通り、にしけん氏は同社が抱える経歴詐称や違法な引き抜きなどの疑惑を追及し、条件を呑まなければ証拠動画を公開すると最終通告を突きつけていた。
動画の公開直前、同社の弁護士が生配信中に入れた連絡をきっかけに、事態は沈静化へ向かうかに見えた。全株主から「内部告発者や関係者を一切訴訟しない」という同意を取り付ける約束が交わされ、情報提供者の保護を最優先としたにしけん氏は一度、動画の公開を取りやめていたのである。日本戦略HD側がにしけん氏へ送った“SOS”が実を結び、手打ちが成立したかのように思われた。
ところが、約束の期日を過ぎても相手側から誠意ある回答が示されることはなかった。「これが見られているということは、向こうが対応しなかったということ」——動画冒頭、冷ややかにそう告げたにしけん氏の手によって、封印されていた暴露動画は白日の下に晒された。
動画内で画面共有され、次々と映し出される社内チャット(Slack)の証拠。そこには、仁義をかなぐり捨てた驚くべき内情が刻まれていた。
皿洗いが即戦力に化ける? 禁断の「魔改造」
IT業界で技術者の実績を証明する「スキルシート(経歴書)」。同社ではこれを組織ぐるみで偽造する行為が日常化し、社内では「魔改造」と呼ばれていた。
短期間で契約解除になった複数の現場を1つに合体させて長く見せる「がっちゃんこ」や、わずかな経験をベテラン並みに水増しする指示。「厨房で皿洗いをしていた」「金属加工をやっていた」という全くの未経験者まで、なぜか即戦力エンジニアに仕立て上げられて現場へ送り込まれていたという。
チャット上では幹部から営業に対し、「ただ経験の黒丸を増やすな、引き算の美学を持て」と、より巧妙に偽装するためのレクチャーまで行われていた。
他社の案件を丸ごと強奪する「案件そのまま」
業界のご法度であり、裁判になれば多額の損害賠償を請求されかねない他社エンジニアの強奪行為。同社はこの禁じ手を「案件そのまま」と名付け、あろうことか社内の必達目標(KPI)に据えていた。
「会食オペレーション」と称して他社社員に接触し、担当案件ごと自社へ抱き込む。社内チャットには「案件そのまま最高!」「他社から40人引き抜いた」と幹部陣が歓喜する書き込みが並ぶ。他社が心血を注いで育てた人材と顧客をタダ同然でかすめ取る手口が、組織的に仕組み化されていたのだ。
社長の「書かないやつは死」とマチアプ罠採用
求職者や世間を欺く手口も常軌を逸している。会社の評判を上げるため、田代代表みずから内勤メンバーに対し、口コミサイトへのサクラ投稿を業務命令として強制。チャットには「書かないやつは死」と凄む言葉が残り、他社の高評価口コミを丸パクリするための指示シートまで共有されていた。
さらにエンジニアの採用口として目をつけたのが、まさかの「恋愛マッチングアプリ」だ。女性社員を使って「交流会」を口実に男性エンジニアを誘い出すという、まるでマルチ商法さながらのトラップ採用まで横行していた。
恐怖の自宅突撃、そして脱落者は「ポア」へ
本人の希望を無視して強引に現場へ押し込み、内定を辞退しようとする求職者には「自宅に突撃しなければなりません」と号令が下る。
そして、過酷な環境で体調を崩した社員や、会社にとって不要とみなされた人材を待っていたのは、「ポア(退職勧奨)」という冷酷な切り捨てだった。「次倒れたらポアしましょう」「意図的にポアしたい要員」——画面越しに突きつけられる言葉の数々は、働く人間を使い捨ての駒としか見ていない組織の体質を如実に物語っている。
今回取り上げた疑惑は、動画内で明かされた事実のほんの一部に過ぎない。違法性や倫理観を完全に度外視した「12の不正」の全容や、生々しすぎる社内チャットの流出画面については、ぜひにしけん氏のYouTube動画(『エンジニアのミカタ12の不正を暴きます。』)を直接確かめてほしい。
にしけん氏は「リーク者が訴えられた場合、訴訟費用は個人のキャッシュで全額立て替える」と宣言し、さらなる内部告白動画の公開も予告している。手打ちを自ら破棄した日本戦略HDに、もはや逃げ場は残されていない。