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「満足度98.2%」は信用できる? 堀大輔氏の短眠メソッド、返金訴訟検討で問われる“高評価広告”

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短眠メソッド
DALLーEで作成

「1日30分睡眠」を公言する堀大輔氏の短眠プログラムを巡り、弁護士が受講経験者から情報を集め、返金訴訟を検討している。そこで改めて注目されているのが、「満足度98.2%」「睡眠の質改善率92.7%」といった高い数値だ。

98%と聞けば、ほとんどの利用者が満足したように見える。だが、その数字が誰を対象に、どんな質問で、どのように集計されたのかで意味は変わる。今回の問題は、短眠そのものの是非だけではない。広告に並ぶ「満足度○%」を、私たちはどこまで信用していいのかという問いでもある。

 

堀大輔氏の短眠プログラムに並ぶ「98.2%」

堀氏は日本ショートスリーパー育成協会の代表理事を務め、短眠カリキュラム「Nature sleep」を展開してきた。著書紹介などでは、2023年8月時点で受講生2200人以上、カリキュラム満足度98.2%、睡眠の質改善率92.7%と紹介されている。

一方、返金訴訟を検討している藤吉修崇弁護士は、受講者がどのような表示や説明を見て契約したのかを確認するため、情報提供を呼びかけている。現時点で裁判所による判断が出たわけではなく、これらの数値が違法と認定された事実もない。焦点になるのは、高い数値がどのような根拠のもとで示され、契約判断にどの程度影響したのかという点だ。

 

「98%」でも、98%に効果があったとは限らない

「満足度98%」という言葉から、「100人中98人に効果があった」と受け取る人もいるかもしれない。しかし、満足度と効果は同じではない。講師の説明が分かりやすかった、相談しやすかった、生活を見直すきっかけになった。こうした理由でも満足度は上がる。

さらに、数字を見るには調査対象も重要になる。受講者全員なのか、修了者だけなのか。途中で辞めた人を含むのか。回答者数や回答率、質問文は公開されているか。「非常に満足」と「やや満足」を合算している場合もある。98%という数字だけでは、利用者が何に満足したのかまでは分からない。

 

消費者庁が「高評価%表示」を警戒する理由

こうした表示は、堀氏のサービスに限った話ではない。消費者庁は2024年、「顧客満足度No.1」などのNo.1表示や、「医師の○%が推奨」といった高評価%表示について実態調査を行っている。

調査では、「満足度No.1」と表示しながら、回答者が対象の商品やサービスを実際に利用した経験があるか確認していない事例も見つかった。消費者庁は、合理的な根拠がなく、実際より優れていると誤認させる表示は景品表示法上の問題になり得るとしている。

問題なのは、高い数字を広告に使うことそのものではない。表示と調査内容がきちんと対応しているかどうかだ。「利用者の満足度」とうたいながら、利用経験のない人まで調査対象に入っていれば、数字の意味は大きく変わってしまう。

とくに、高額なサービスでは高評価の数字が契約の背中を押す可能性がある。「多くの人が満足しているなら、自分も大丈夫だろう」という安心感が生まれやすいからだ。数万円、十数万円を支払うサービスであれば、満足度や改善率がどのような条件で算出されたのかは、価格やサービス内容と同じくらい重要な判断材料になる。

 

自社アンケートなら信用できない、でもない

サービス提供者自身がアンケートを実施したからといって、直ちに信用できない数字になるわけではない。実際の利用者を対象にし、回答者数や質問内容、実施時期、集計方法が明示されていれば、利用者の評価を知る材料にはなる。

見るべきなのは「誰が調査したか」だけではなく、「どう調査したか」だ。100人中98人なのか、2000人中1960人なのか。回答率はどの程度だったのか。不満を持って途中離脱した人にも回答機会があったのか。条件が分かれば、同じ98%でも受け止め方は変わる。

逆に、巨大な「98%」だけが目立ち、母数や設問がほとんど示されていない場合は注意が必要だ。広告としてのインパクトは強くても、利用者が契約を判断する材料としては十分とは言いにくい。

 

健康サービスでは「満足度」と「効果」を分けて見る

睡眠、美容、健康食品など、身体に関わるサービスではこの区別がさらに重要になる。「説明が丁寧だった」「モチベーションが上がった」と感じれば満足度は高くなるが、それだけで医学的な効果や安全性まで証明されたことにはならない。

広告を見る側は、「何%だったか」だけではなく「何を測った数字なのか」を確認する必要がある。満足度なのか、症状の改善率なのか、継続率なのか。それぞれ意味は異なる。

「睡眠の質改善率92.7%」という表示についても同じだ。「改善」をどのように定義したのか、自己申告なのか、何らかの測定指標を使ったのかで数値の受け止め方は変わる。健康分野では、利用者の感想と客観的な効果を一つの数字として扱わないことが大切になる。

 

「98%」を見たら確認したい5つの条件

高評価の数字を見たときは、少なくとも5つの条件を確認したい。調査対象、回答者数、実施時期、質問内容、調査主体だ。これらが示されていれば、その数字がどの程度参考になるのかを判断しやすい。

たとえば、「修了者100人に調査した満足度98%」と「全受講者2000人を対象にした満足度98%」では意味が違う。「サービスに満足したか」と「期待した効果が得られたか」も別の質問だ。数字が同じでも、調査設計が違えば中身は同じではない。

広告を見る際に必要なのは、数字そのものを疑うことではなく、数字の後ろにある条件を読むことだ。

 

問われているのは「98%の作られ方」

今回の返金訴訟検討の動きを、「満足度98%だから怪しい」という話に縮めるのは適切ではない。反対に、「98%も満足しているから問題はない」と結論づけることもできない。

美容、健康食品、オンラインスクール、コンサルティングなど、ネット広告には「満足度」「改善率」「継続率」「推奨率」があふれている。数字は短時間でサービスの魅力を伝えられる一方、調査条件が省かれれば、実態以上の安心感を与える可能性もある。

大切なのは、98%という大きさではなく、その98%がどう作られたのかを見ることだ。今回の問題は、短眠サービスだけでなく、数字を使った広告全体と消費者がどう向き合うべきかを改めて問いかけている。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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