
Netflixの恋愛リアリティ番組『ラヴ上等2』とのタイアップをめぐり、批判を受けて企画を取りやめた法務省。その騒動が収まらないうちに、今度は三谷英弘法務副大臣の事務所をめぐる問題が報じられた。週刊文春は、三谷氏の事務所でこの2年間に9人の秘書やスタッフが退職したと報道。元秘書からは職場環境や賃金をめぐる証言も出ている。一方、三谷氏側はパワーハラスメントについて「事実関係は一切ありません」と否定している。
「人は変われる。一緒なら」を掲げた更生保護の広報は、わずか16日で撤回された。そして、その企画を「攻めてるね」と評価していたとされる副大臣には、自身の事務所で働く人たちをめぐる問題が浮上した。法務省が発信しようとしたメッセージと、その足元で起きている出来事の間に奇妙なねじれが生まれている。
法務省「ラヴ上等2」タイアップはわずか16日で撤回
発端は、法務省がNetflixの『ラヴ上等2』と組んで制作した「更生上等!!」のポスターだった。法務省は8月5日、同番組との更生保護タイアップを発表。『ラヴ上等2』は、過去の罪や生きづらさを抱えた出演者が他者との関わりの中で変化していく姿を描く恋愛リアリティ番組で、法務省は番組の内容と更生保護が掲げる「人は変われる。一緒なら」という考え方に通じるものがあるとして、若い世代に更生保護を知ってもらう狙いを説明していた。
しかし、番組には犯罪歴のある出演者も登場する。「更生上等!!」というコピーを国の機関が掲げたことで、犯罪被害者への配慮を欠いているのではないかとの批判が広がった。法務省は8月21日、犯罪や非行を肯定したり過去の行為を美化したりする意図はなかったと説明したうえで、犯罪被害者が「不快感や割り切れない思い」を抱くのではないかとの懸念や批判、更生保護に協力する民間ボランティアからの心配の声を踏まえ、タイアップを取りやめた。8月5日の発表から、わずか16日だった。
三谷英弘副大臣は「攻めてるね」と評価していたと報道
その法務省で副大臣を務めているのが三谷英弘氏だ。三谷氏は東京大学法学部を卒業後、弁護士として活動し、米ワシントン大学ロースクールを修了。2012年の衆院選で初当選し、現在は衆院当選5回を数える。週刊文春によると、『ラヴ上等2』とのタイアップが持ち上がった際、三谷氏は「いいね、攻めてるね」「思い切ったね」などと好意的に受け止めていたと法務省関係者が証言している。
行政の広報としては異色の組み合わせだっただけに、更生保護という硬いテーマを若者にも届くコンテンツと組み合わせようとした発想を「攻めた」と評価したこと自体は理解できる。ところが、その企画が撤回された直後、三谷氏自身の事務所について別の問題が持ち上がった。
2年間で9人退職 元秘書3人が事務所の内情を証言
報道によると、三谷氏の事務所ではこの2年間で9人の秘書やスタッフが退職したという。元秘書3人が取材に応じ、職場環境について証言。このうち適応障害の診断を受けた元秘書がいるほか、賃金をめぐってトラブルになっているケースもあるとされる。
三谷氏の事務所は、適応障害や賃金に関する問題については個人のプライバシーを理由に回答を控えた。一方、パワーハラスメントについては「いわゆるパワーハラスメントとされる事実関係は一切ありません」と否定している。9人という退職者数、元秘書側の証言、事務所側の否定が並ぶ中、法務副大臣という立場にある人物の事務所で何が起きていたのかは関心を集めそうだ。
「人は変われる」を掲げた法務省、その足元で起きた「人」の問題
『ラヴ上等2』とのタイアップで法務省が発信しようとしたのは、犯罪や非行をした人を地域の中で支え、社会復帰につなげる「更生保護」だった。掲げたメッセージは「人は変われる。一緒なら」。ところが、その広報は犯罪被害者への配慮が足りないとして批判を受け、16日で撤回された。
その直後、企画を「攻めてるね」と評価していたとされる三谷氏には、自身の事務所で働く人たちをめぐる証言が出た。8月5日に「人は変われる。一緒なら」と発信し、8月21日に広報を撤回。そして9月に入り、副大臣の事務所で「2年間に9人退職」との報道が出た。法務省が『ラヴ上等2』で伝えようとしたのは、人とどう向き合うかという話だった。ポスターはすでに撤去されたが、今度はその言葉を発信した側の「人との向き合い方」が問われている。



