
しかし上場後わずか1カ月で高値225ドルから131ドル台まで急落し、時間外取引では125ドル前後まで下げた。
スターシップ試験中止が直接のきっかけとなったが、背景には公開価格自体の高さに対する懸念が広がっている。株主の不安が強まる中、機関投資家の買い増しや長期成長期待も残る。
IPO価格の高さは正当か
スペースXの公開価格135ドルは、時価総額約1.77兆ドルに相当する水準だった。
2025年の売上規模を基にした株価売上倍率は100倍を超え、スターシップによる低コスト打ち上げの実現や宇宙データセンター構想、AIインフラ投資が織り込まれた結果だ。
上場直後には225ドルまで急騰し、マイクロソフトやアマゾンを一時的に上回る評価を受けた。
しかし7月16日のスターシップ試験中止で終値131.11ドルまで下落。
公開価格を割り込む場面も見られ、市場は公開価格を高すぎると判断した格好だ。
アナリストの一部は、スターシップの商業化が遅れれば現在の評価は持続しにくいと指摘している。
一方で、成功すれば大幅な収益拡大が見込めるため、価格の高さは成長期待の表れとの見方も根強い。
株主・機関投資家の反応
個人株主の間では、IPO時の熱狂から一転して失望が広がっている。
高値で購入した投資家を中心に、短期的な損失を懸念する声が目立つ。
特に試験中止後の時間外急落で、売却を検討する動きも出ている。
XなどのSNSでは「高値掴み」「期待先行すぎた」との投稿が相次ぎ、短期売却を決断した個人投資家も少なくない。
一方、機関投資家ではキャシー・ウッド氏率いるARK Investが目立った買い増しを続けている。
IPO後の下落局面で複数回の取得を行い、複数のファンドで主要保有銘柄に位置づけ、総額数億ドル規模のポジションを構築した。
ARKはスターシップの実用化とAIインフラのシナジーを高く評価し、積極的に積み増し姿勢を維持している。
伝統的な機関投資家は様子見姿勢が強く、8月の第2四半期決算や次回スターシップ試験の結果を待つ動きが目立つ。
全体として、短期的なボラティリティを警戒しつつ、長期的な宇宙・AI事業の成長に期待を寄せる二極化が見られる。
ロックアップ解除の影響
スペースXのロックアップは標準的な180日間ではなく、段階的な解除構造が採用されている。
9月上旬の第2四半期決算公表後から、インサイダー株の最大20パーセントが早期解除可能となり株価が公開価格比30パーセント以上で一定期間推移すれば追加10パーセントが解除される。
その後、上場後70日目、90日目、105日目、120日目、135日目にそれぞれ約7パーセントずつ段階的に市場に出回る見込みだ。
12月上旬の180日目には大半のインサイダー・従業員株が解除され、浮動株が大幅に増加する。
2027年6月13日頃にはイーロン・マスク氏の大量保有分も解除され、最大の売り圧力となる可能性が高い。
この段階的解除は一時的な大量売却を避ける狙いがあるものの、解除タイミングごとに株価変動が激しくなるリスクを伴う。
今後の株価展望
短期的に株価は不安定な推移が予想される。
ロックアップ解除の進行とスターシップ試験の成否が直接的な影響を与えるため、成功すれば反発材料となるが、さらなる遅延や不具合が発生すれば下押し圧力が強まるだろう。
長期ではスターリンクの加入者拡大や低コスト打ち上げの実現、AI関連インフラ投資が成長ドライバーとなる。
機関投資家の買い支えが見られる中、8月の決算で収益動向が確認されれば市場の信頼回復につながる可能性もある。
投資家はボラティリティを覚悟しつつ、宇宙産業全体の拡大トレンドを捉える視点が重要だ。
スペースXの株価は、今後も不安と期待が交錯する局面が続きそうだ。



