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土の中から見つかった知人の遺体 東広島殺人放火事件の「口封じ」か、地元で囁かれた29歳男の名前

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三原市 遺体
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広島県三原市の会社敷地から男性の遺体が見つかった事件で、29歳の男が強盗殺人容疑で逮捕された。警察は、男が隣接する東広島市で起きた殺人・放火事件で共犯関係にあったとされる知人を、口封じと700万円の借金返済逃れのために殺害した疑いがあるとみている。三原市の土の中から見つかった男性遺体、東広島市の元勤務先社長殺害、逮捕前から地元で囁かれていた男の名前。離れた2つの現場は、捜査が進むにつれて同じ線上に浮かび上がってきた。

 

 

三原市の会社敷地から見つかった男性遺体 東広島の捜査がたどり着いた場所

4月下旬、山あいの会社敷地に捜査員と重機が入ったとき、周囲に響いていたのは普段の工事音とは違っていた。地面を掘り返す重い音、現場を行き来する捜査車両、近くの住民が窓越しに感じたであろう張りつめた空気。警察が三原市の現場を調べていたのは、行方不明者を捜すためだけではなく、約35キロ離れた東広島市で起きた殺人・放火事件を追う中で、この敷地に事件に関係する証拠品が埋まっている可能性が浮上していたからだった。

ところが、土の中から出てきたのは証拠品ではなく、人だった。遺体で見つかったのは、三原市の自営業、徳田雅希さん。徳田さんは3月9日を境に足取りが途絶えていたが、会社敷地の土中から発見された。目立った刺し傷などはなく、死因は窒息死とみられている。警察は6月29日、徳田さんを土砂で埋めるなどして殺害したとして、29歳の男を強盗殺人容疑で逮捕した。男は調べに対し、容疑を否認しているという。

三原市の現場が異様だったのは、土の中から男性の遺体が見つかったからだけではない。そこは、東広島市の殺人・放火事件を追っていた警察が、証拠品の手がかりを求めてたどり着いた場所だった。事件に関係する物が埋まっているかもしれないとして掘り起こされた地面から、別の被害者が見つかった。その時点で、2つの事件は別々のものではいられなくなった。地元では逮捕前から男の名前が囁かれていたといい、防犯カメラを確認する警察の動きや、捜査車両が周辺を出入りする様子を目にしていた住民にとって、事件は報道で突然降ってきたものではなく、日常のすぐ横で少しずつ輪郭を帯びていた。

 

東広島殺人放火事件 元勤務先社長が殺害された夜

その不穏な線をたどると、2月16日未明の東広島市に戻る。住宅で火災が起き、この家に住むリフォーム会社社長、川本健一さんが首を刃物で複数回刺され、死亡しているのが見つかった。住宅には火が放たれており、警察は殺人・放火事件として捜査を始めた。深夜の住宅街で火の手が上がり、その裏で住人が命を奪われていたというだけでも重い事件だが、その捜査はやがて三原市の会社敷地へ伸びていく。

逮捕された男は、川本さんの妻のおいにあたり、かつて川本さんが経営するリフォーム会社で働いていた。報道では、会社の後継者とみられていた時期もあった一方、会社や取引先から金をだまし取ったとして、詐欺などの疑いで複数回逮捕・起訴されている。川本さんは、男にとって遠い相手ではなかった。親族であり、元勤務先の社長でもある人物だった。仕事の関係、親族としての距離、金をめぐる問題が重なった先で、東広島市の事件は起きたとみられている。

さらに警察は、逮捕された男と徳田さんが、この東広島市の事件で共犯関係にあったとみている。徳田さんは事件後の比較的早い段階で捜査線上に浮上していたとされるが、警察が事情を聴く前に行方が分からなくなり、やがて三原市の土の中から遺体で見つかった。東広島市で殺害された元勤務先社長、三原市で埋められていた地元の知人、そして2つの現場の間に立つ29歳の男。事件の輪郭は、見知らぬ者同士の突発的な衝突ではなく、近い関係の内側で何かが壊れていったものとして見えてくる。

 

700万円借金と口封じ 近い関係が事件の火種になった疑い

徳田さんと逮捕された男は、地元の同学年の知人だったとされる。中学生時代からの知り合いで、互いの過去や人間関係が見える距離にいた。そこへ仕事や金の話が入り込むと、近さは安心ではなくなる。借りた金、返せない金、知られている事情。顔を合わせれば済むはずだった関係が、顔を合わせるほど逃げ場のないものへ変わっていった可能性がある。

警察は、男が徳田さんに700万円の借金をしており、その返済を免れる目的があったとみている。さらに、徳田さんが東広島市の殺人・放火事件で捜査線上に浮上したことを知り、口封じを図った疑いもあるという。金を返さなければならない相手が、別の重大事件についても何かを知っている。そこまで関係がこじれていたのだとすれば、2人の間に残っていたのは、昔からの知り合いという穏やかな言葉ではなく、金と秘密をめぐる張りつめた空気だったはずだ。

徳田さんの足取りが途絶えたのは3月9日。報道では、その日の朝以降、現場周辺の防犯カメラに、徳田さんと男が一緒に車に乗っている姿が映っていたとの捜査関係者情報が出ている。現場近くで重機が動いていたとの話もあり、警察は、男が重機などを使って穴を掘り、徳田さんを土砂で埋めた疑いがあるとみて調べている。もし徳田さんが、危険を知らないまま顔見知りの車に乗ったのだとすれば、この事件の怖さはそこにある。見知らぬ相手に襲われる恐怖ではなく、知っている相手だからこそ警戒しきれないまま、いつもの距離の先で逃げ道を失っていく怖さである。

 

防犯カメラ、重機、土の中から見つかった遺体 3月9日の空白に残るもの

3月9日の空白は、これからの捜査で埋められていくことになる。徳田さんはどのような経緯で現場に向かったのか。車内で何が交わされ、現場に着いた時点で異変に気づく余地はあったのか。防犯カメラに残された車の動き、重機の使用状況、通信記録、周辺住民の証言が重なれば、土の中に隠された時間の輪郭は少しずつ見えてくる。

男は容疑を否認しているが、警察が強盗殺人容疑で逮捕に踏み切った背景には、防犯カメラや現場状況などの積み重ねがあるとみられる。とりわけ重要なのは、三原市の遺体発見が東広島市の殺人・放火事件の捜査から浮かんだ点だ。偶然見つかった遺体ではなく、東広島市の事件を追っていた捜査の線が、三原市の土の中へ伸びていた。

ここから先の捜査は三原市の殺害容疑だけでは終わらない。東広島市の事件で、男と徳田さんがそれぞれ何を担ったのか。川本さんはなぜ狙われたのか。火を放った目的は何だったのか。徳田さんは何を知っていたのか。警察が三原市の事件を口封じとみているなら、徳田さんの死は東広島市の事件の核心に近い場所で起きたことになる。

 

広島の2つの事件を結ぶもの 土の中に埋められていた金と秘密

2月の東広島市、3月の三原市、4月の男性遺体発見、そして6月の逮捕。時系列を追うほど、事件は点ではなく線になる。元勤務先の社長、親族、地元の知人、700万円の借金、殺人・放火事件の捜査線上に浮かんだ人物。そこにあるのは、見知らぬ者同士の突発的な事件ではなく、近い人間関係の内側で何かが壊れていった疑いである。

地元で逮捕前から名前が囁かれていたという事実は、事件が地域社会に残した傷の深さも物語っている。住民は普段通りの生活を続けながら、防犯カメラを確認する警察の動きや、重機が入る現場の気配を見ていた。誰かの名前が噂として広がる地域で、表向きの静けさだけが残る時間には、言葉にしづらい重さがある。三原市の土の中から見つかったのは、一人の遺体だけではなかった。そこには、金に詰まり、秘密を抱え、近しい人間関係の中で膨らんだ歪みまで埋められていた。警察の捜査がこれから掘り起こすべきものは、遺体のあった場所だけではなく、2つの事件をつないだ人間関係そのものだ。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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