
「子供が傷つくから炎上したくない」。人気YouTuberのカジサックことキングコング・梶原雄太が明かした父親としての悩みに、お笑い芸人の永野が鋭く切り込んだ。「じゃあ、なんであんなに子供出すの?」。妻や5人の子供たちを動画に出演させ、家族の日常を発信してきたカジサック。炎上から子供を守りたいという訴えに、永野は家族を公開する活動そのものへの疑問をぶつけた。折しも、家族系YouTuberの収益化停止や子供のプライバシーが問題になっている。永野の一言は、家族の姿をコンテンツにして稼ぐYouTubeのあり方に一石を投じた。
カジサックが「なぜ嫌われる?」と相談 5万8800円の投げ銭が炎上
11月3日深夜放送のテレビ朝日系『永野&くるまのひっかかりニーチェ』に、カジサックがゲスト出演した。番組で持ち込んだ悩みは、悪いことをしているつもりがないのに、なぜか世間から嫌われてしまうというもの。具体例として挙げたのが、ショートスリーパーとして知られる実業家・堀大輔が行ったライブ配信での出来事だった。堀は1週間にわたって1日30分睡眠に挑戦する配信を実施。カジサックはその模様を視聴し、最後に感謝の気持ちを込めて5万8800円のスーパーチャット(投げ銭)を送ったという。しかし、カジサック名義のアカウントから高額な投げ銭をしたことで、一部から売名行為だと批判された。
本人は純粋に応援したかっただけだと主張したが、令和ロマンの髙比良くるまは、著名人が自身の名前を出して投げ銭をすれば宣伝目的だと受け取られることもあると指摘した。永野も売名の意図が少しはあったのではないかと問いかけたが、カジサックは否定。テレビ朝日の三谷紬アナウンサーは、YouTuberという立場が世間の受け止め方に影響していると分析した。本人がどれだけ善意を訴えても、その行動が視聴者にどう映るかまではコントロールできない。議論が進むなか、カジサックは炎上を嫌がる本当の理由を明かした。
永野「なんであんなに子供出すの?」父親の悩みに直球質問
カジサックが最も心配していたのは、5人の子供たちへの影響だった。自分が批判されることは我慢できても、成長した子供たちが父親への悪口を目にして傷つくことがつらいという。そんな父親としての思いを語ったところ、永野が「じゃあ、なんであんなに子供出すの?」と疑問を投げかけた。カジサックは、子供を出演させることと自分への批判は別の問題だと反論。子供を動画に出演させていなくても、父親が活動する以上、批判される可能性はあると説明した。
しかし、髙比良くるまは、子供が傷つくことを避けたいのであれば、発信のあり方自体を見直す必要があると指摘した。自らの繊細さを自覚しながら、反応の激しいネット上の話題に積極的に関わっている点にも疑問を示した。ORICON NEWSなどが報じた一連のやり取りでは、永野が今回の番組出演についても帰宅後に動画で話すのではないかと予想すると、カジサックはその可能性を認めている。批判に悩みながら、その経験さえ新たな発信につなげる。YouTuberとしての行動を、永野と髙比良くるまは厳しく指摘した。
家族の顔出しで成功したカジサック 子供たちも人気コンテンツに
カジサックがYouTubeを始めたのは2018年。芸人としての知名度を生かしながら、妻の「ヨメサック」や5人の子供たちを動画に出演させ、登録者数200万人を超える人気チャンネルへと成長させた。家族旅行や誕生日、子育ての悩み、子供たちの成長など、家庭内の日常を視聴者と共有するスタイルが特徴だ。芸能人の素顔や家族の温かなやり取りを見られることが、長年にわたって多くのファンを引きつけてきた。
家族系YouTuberの魅力は、子供の成長を継続して見守れることにもある。視聴者は幼い頃から動画に登場する子供たちに親しみを感じ、家族の出来事を自分のことのように喜ぶ。再生回数が増えれば広告収入にもつながり、企業案件などのビジネスにも発展する。だが、視聴者との距離が近くなるほど、家庭内の出来事が外部から評価される機会も増えていく。親にとっては仕事の一部でも、出演する子供にとっては自分自身の生活だ。成長に伴い、過去に公開された映像への感じ方が変わることもある。親がよかれと思って残した動画が、子供にとって将来も歓迎できるものとは限らない。
「しょうやん男三兄弟」収益化停止から復活 家族系YouTuberに何が起きている?
家族系YouTuberをめぐっては、子供の出演方法や収益化に厳しい目が向けられている。その象徴的な事例が、登録者数約62万人の「しょうやん男三兄弟」だ。父親のしょうやんと母親、3人の息子による日常を発信してきたが、2026年にYouTubeの収益化が停止された。未成年者が本人の意思に反して注目を浴びるよう促すコンテンツと判断されたのが理由だ。父親が子供を怒鳴る過去動画の切り抜きもSNSで拡散し、子供を出演させて収益を得ることへの批判が強まった。
チャンネル側は引退を示唆し、過去動画約2200本を削除するなどして再審査を申請したものの、いったんは承認されなかった。しかし、11月4日に収益化の復活を発表。しょうやんは、収益が戻ったからといって問題がすべて解決したとは考えていないと説明し、今後は子供たちの意思やプライバシーを尊重し、過去動画の公開基準も見直す方針を示した。
YouTubeは、子供に精神的苦痛を与えるコンテンツや、未成年者を危険にさらす動画などを禁止している。また、子供や家族向けコンテンツには品質に関する基準があり、内容によって収益化を制限される場合がある。家族を出演させること自体が禁止されているのではなく、子供がどのように扱われ、どのような姿を公開されているかが重要になる。家族の自然な日常を届ける動画であっても、親の判断だけで公開し続けてよいのかが問われる時代になっている。
子供を守りたいなら、どこまで公開する? 永野の一言が突いた問題
カジサックの「子供を傷つけたくない」という思いには、父親として切実なものがある。著名人への誹謗中傷は、その家族にも影響を及ぼす。子供が父親への批判を目にして悲しむことと、家族をYouTubeに出演させることを別の問題だと説明したのも、本人なりの考えだろう。しかし、家族の顔や日常を公開する活動を続ける以上、子供たちがインターネット上で注目される機会も増える。自分の活動によって家族が世間の関心を集めるという点では、両者は深く結びついている。
家族系YouTuberには、子供が楽しんで出演しているケースもあるだろう。だが、出演するかどうかを決める権利や、公開された映像を削除してもらう権利が、子供自身にどこまで保障されているのか。さらに、家族の出演によって生まれた収益がどのように管理され、将来の子供たちに還元されるのかも重要な問題だ。子供を出演させることで人気を獲得した親には、再生回数や収益以上に、子供の将来を考える責任がある。
永野の「なんであんなに子供出すの?」という質問は、カジサック個人への批判にとどまらない。家族の仲のよさや子供のかわいらしさを発信する動画は、多くの人を楽しませてきた。その一方で、子供たちは成長し、やがて自分の人生を自分で選ぶようになる。そのとき、幼い頃の姿が世界中に公開されていることを、本人はどう受け止めるのか。家族を見せることで成功したYouTuberたちは今、その成功を支えた子供たちの未来をどう守るのかという問いに直面している。



