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「誤審より批判が重いのか」槙野智章監督の2試合停止に不公平感――J2「審判リスペクト」への疑問

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サッカー J2 藤枝 槙野智章

J2藤枝MYFCの槙野智章監督に科された2試合のベンチ入り停止と罰金10万円。
発端となった徳島戦の判定について、JFA審判委員長はハンドとすべきだったと認め、判定への指摘は正しかった。
それでも、監督は公開の場での審判批判を理由に処分された。
問われているのは発言の強さだけではない。
監督への懲罰は明確なのに、誤判定への対応は見えにくい。
「リスペクト」を求めるリーグと協会の説明は、選手や観客の納得に届いているのか。

 

指摘は正しかった

10月24日の藤枝対徳島戦。藤枝が0-1で追う後半23分、川本梨誉がペナルティーエリア内で蹴ったボールが、徳島DF田中隼人の左腕に当たった。
主審はハンドを取らず、抗議した槙野監督に警告を提示。試合は徳島が1-0で勝利した。

槙野監督は試合後のインタビューで、「誰も言わないから僕が言いますけど、マジでレベル低いんで」と発言。
判定への不満を隠さず、選手育成や日本サッカーの将来にも話を広げた。
個別の笛への怒りに加え、この水準の判定が続けばリーグの価値が損なわれるという訴えだった。

これに対し、Jリーグ規律委員会は「審判員の判定に対する悪質な抗議」に該当すると判断。
試合中の警告後も公開インタビューで批判を繰り返したことなどを加重要素とした。
一方、10月29日、扇谷健司JFA審判委員長は、正しい判定はハンドだったと説明した。
槙野監督の問題提起には、協会側の見解による裏付けが得られたのである。
発言の適否を論じる際にも、この出発点を抜きにはできない。

 

後からでは戻らない

槙野監督が訴えたのは、試合後に判定の誤りを認められても遅いという現場の切実さだった。
今回も、後日の説明によって藤枝にPKの機会が戻るわけではない。
PKが得点や引き分けにつながったかは断定できないが、得られるべき機会を失った事実は残る。

J2にはVARがない。重大な判定の見逃しを、その試合中に映像で修正する仕組みが欠けている。
2023年4月の町田対秋田でも、ゴールラインを越えた秋田のシュートが得点と認められず、後にJFA側が得点を認めるべきだったと説明した。
今回の不満には、繰り返されてきた問題への蓄積もある。
もちろん、VAR導入には機材だけでなく、資格を持つ審判員や運用人材が必要だ。
JFA審判部長は2024年の取材で、養成に時間と多額の費用がかかる事情を説明している。

だが、導入の難しさを説明するだけでは、失った機会への不信は埋まらない。
質問書や事後検証は将来の改善に必要だとしても、いつ、何を変えるのかが見えなければ、現場には「また次も同じことが起こる」と映る。

 

処分だけが見える

監督の処分は、停止試合数も罰金額も公表される。
対して、誤判定をした審判にどのような評価や指導が行われたのかは、外から分かりにくい。
この差が「指摘した側ばかりが責任を負わされる」という不公平感を生む。

扇谷委員長は今回、審判にも毎試合評価者が付き、評価の積み重ねによって翌シーズンに下のカテゴリーを担当する場合があると説明した。
審判に責任を問う仕組みがない、という理解は正確ではない。
ただし、今回の担当審判への具体的な対応までは、確認できた報道では示されていない。
求められるのは、審判を見せしめに処罰することではない。
何が見えず、なぜ審判団で補えず、どう再発を防ぐのか。
その説明こそ、判定への信頼を回復する材料になる。

RONSPOは処分発表前の10月25日、槙野監督を支持するSNSの反応を報道した。
黙っていることが審判への尊重なのか、という疑問も紹介されている。
世論全体の割合を示す調査ではないが、強い言葉への共感の背景に、従来の対応への不満があることは読み取れる。

 

敬意は一方通行か

審判への人格攻撃や脅迫を許さないことと、判定や能力への批判を認めることは両立する。
人としての尊厳は守られるべきだが、仕事への信頼まで無条件に求めることはできない。
正確な判定と、誤った際の説明によって築く必要がある。

今回の処分は、発言への規律上の判断として説明されている。
しかし、規程上の根拠を示すだけで対応全体が納得されるとは限らない。
監督の言葉を厳しく問うなら、選手の努力を適切に評価できなかった判定にも、具体的な検証と改善を示すべきだ。

改善の動きはある。
Jリーグは2026年特別シーズン、選手OBが審判と意見交換するMQA制度を試行した。
ただ、この期間の派遣はJ1のみ。公式報告には、VARのないJ2・J3への拡大を求める声も載っている。

槙野監督の表現を全面的に肯定する必要はない。
それでも、言い方の問題によって、正しかった指摘や制度への問いまで後景に追いやるべきではない。
誤判定を認めたその先に、何を変えるのか。
「リスペクト」を掲げる側にも、選手、監督、観客への敬意を、説明と行動で示す責任がある。

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ライター:

酒場で耳にした小さな違和感から企業不祥事、SNSトレンド、エンタメ、グルメまで幅広く追いかけるライター。

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