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鶯谷の銭湯・萩の湯で防犯カメラ設置が物議 脱衣所の撮影は違法なのか

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ひだまり泉萩の湯X
画像:ひだまり泉萩の湯X

東京・鶯谷。駅の北口から徒歩3分、都内最大級の公衆浴場として全国の銭湯ファンに知られる人気店が、思わぬ形で注目を集めている。湯の質でも設備でもない。男湯に設置された防犯カメラをめぐって、Xで批判と困惑の声が噴き出したのだ。

発端となったのは、10月28日早朝にあるXユーザーが投稿した一枚の写真だった。そこには、裸になるはずの空間にレンズを向けるカメラらしき機器が写っていた。表示回数は瞬く間に57万を超え、拡散さた。

 

発端は一枚の写真 男湯の脱衣所、さらに浴室内にまで

話が広がったのは、10月28日の午前7時台である。あるXユーザーが、ロッカーの並ぶ男湯の脱衣所を撮影した写真を投稿した。天井近くの一点が赤い丸で囲まれ、そこにはカメラとみられる機器が据え付けられている。投稿者は、脱衣所だけでなく浴室内にまでカメラが及んでいるとし、防犯で済まされる訳がないと怒りをあらわにした。

投稿は朝の時間帯にもかかわらず急速に伸び、2500件を超える「いいね」と400件超の再投稿を集めた。反応の中には、自身も利用した経験があるとして、浴室内や露天風呂にもカメラがあったと証言するユーザーが複数現れた。もっとも、これらは利用者個人の見聞であり、設置場所や台数、録画の有無が客観的に裏づけられたわけではない。

舞台となった施設は、写真に写り込んだ検索画面から特定が進んだ。台東区根岸にある、ひだまりの泉 萩の湯である。

 

批判と擁護に割れる反応 盗撮か、防犯か

Xの反応は、一方向には流れなかった。

強い言葉が目立ったのは批判側だ。カメラの設置そのものが犯罪ではないか、これは逮捕案件だ、といった投稿が相次いだ。男湯には父親に連れられた子どもが入ることもある。映像が残るなら児童ポルノに当たるのではないか、との指摘もあった。もっとも、写り込むのは女児に限らない。男児も同じようにレンズの先にいるはずで、問題は子どもの裸が記録されること自体ではないか、と論点を広げるユーザーもいた。録画した映像を誰が、どんな目的で見るのか——。最も無防備な姿をさらす場所だけに、運用への不信は膨らみやすい。

一方で、冷静に受け止める声も少なくなかった。脱衣所は貴重品を置く場所であり、盗難が起きやすい。ロッカー荒らしを心配する声は以前からあり、防犯目的ならやむを得ないのではないか、という擁護だ。自分の裸を見られることより、ロッカーの中身のほうが心配だとして、むしろカメラを歓迎するユーザーもいた。

ただ、その理屈に乗るほど、一つの疑問が立ち上がる。盗難対策が理由なら、なぜ女湯には向けられないのか——。男湯にだけレンズがあるとされる非対称を、防犯という言葉だけで説明しきれるのか、と問うユーザーもいた。論点は、次第に一点へ収れんしていく。施設が掲げて置く防犯カメラは、そもそも違法なのか、という問いである。

 

舞台は都内の公衆浴場・萩の湯

萩の湯は、単なる町の銭湯ではない。入浴料は公衆浴場の統一料金ながら、炭酸泉やマイクロバブル、電気風呂、サウナ、露天風呂までそろえ、都内最大級とうたわれる規模を誇る。2017年にビルを建て替え、階ごとに男女の浴室を分けた。店主は、銭湯一家として知られる長沼家の次男・長沼雄三氏。向島の薬師湯、東上野の寿湯もそれぞれ兄弟が営む。平日の朝から賑わう、押しも押されもせぬ人気店だ。

その知名度の高さが、今回の拡散速度を押し上げた面は否めない。なお、公式サイトのお店案内に防犯カメラへの言及はなく、本稿の執筆時点で、運営側の公式な説明は確認できていない。

 

脱衣所の防犯カメラは違法なのか 弁護士の見解

この問題には、すでに専門家の整理がある。弁護士ドットコムニュースによると、施設内の防犯カメラは施設管理権にもとづいて設置され、原則としてどこに置くかは管理者の自由とされる。ただし不特定多数が立ち入る施設では、利用者のプライバシー権との調整によって、その自由に一定の制限がかかる。設置の必要性が低く、プライバシー侵害の度合いが大きい場所ほど、設置は許されない方向へ傾くという考え方だ。

では脱衣所はどうか。盗難が比較的多い場所であり、防犯上の必要性は認められる。他方、裸になる空間である以上、侵害の度合いは大きい。同メディアに見解を寄せた弁護士は、難しい問題としながらも、結論として「ただちに違法とはいえない」との立場を示している。加えて、昔ながらの一般公衆浴場は、スーパー銭湯よりも厳しい制限を受けるとも指摘する。萩の湯は、銭湯料金で営む普通公衆浴場にあたるとみられる。

業界側の受け止めも一様ではない。東京都公衆浴場業生活衛生同業組合は、防犯カメラの設置はあまり好ましくないという話を理事会で何度かしてきたとしつつ、最終的な判断は個々の浴場主に委ねられているとの立場だ。ABEMAの取材に応じた練馬区の銭湯主人は、トラブルの多くは脱衣所で起きるとして、盗難対策としての必要性に理解を求めていた。

 

防犯と盗撮を分かつもの 問われる運営側の説明

ここで、見落とされがちな区別を押さえておきたい。議論の中心はあくまで脱衣所である。全裸を正面から捉えうる浴室内への設置となれば、プライバシー侵害の度合いは一段と高く、許される余地はさらに狭まると考えられる。そして、掲示したうえで設置する防犯カメラと、隠して撮る盗撮とは、法的にまったく別の行為だ。Xでは両者が入り混じって語られがちだが、公然と据えられたカメラが、そのまま撮影罪に問われるわけではない。

それでも、非対称という引っかかりは最後まで残る。盗難対策を大義と認めるのなら、その必要性は女湯にも等しくあるはずだ、とあるユーザーは問うた。男性従業員が女湯を撮れば直ちに事件として扱われる一方、男湯のカメラは防犯の一言で片づけられる。その扱いの差に釈然としない、という声も少なくなかった。男女どちらのプライバシーも等しく重い。その当たり前の前提が、今回はかえって問い直されている。

適法かどうかと、利用者が納得できるかどうかは、別の話である。カメラの有無、設置場所、録画の管理者、映像を閲覧できる範囲。それらが利用者に分かる形で示されているか否かで、受け取られ方は大きく変わる。前述の弁護士ドットコムの記事でも、張り紙が見当たらなかった点が問題として挙げられていた。

炎上の多くは、事実そのものよりも、沈黙によって延焼する。裸という最も無防備な状態を預ける場所だからこそ、必要性の説明と運用の透明性が欠かせない。萩の湯ほどの人気店であればなおのこと、利用者の不安に向き合う言葉が待たれている。

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ライター:

女性向け雑誌にて取材・執筆及び編集に従事。独立後は、ライフスタイルやファッションを中心に、実体験や取材をもとにリアルな視点でトレンドを発信。読者が日々の生活をより豊かに楽しめるような記事を提供し続けていることがモットー。

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