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B&ZAI本髙克樹、チケット研究論文が国際賞 現役アイドルはなぜ「自分たちの業界」を研究したのか

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本髙克樹
DayDay. 公式Xより

&ZAIの本髙克樹が、ライブのチケット販売をテーマにした研究論文で国際的な賞を受賞した。しかも研究対象は、アイドルである自身が日々立っているライブの現場そのものだ。「良い席も後ろの席も同じ価格でいいのか」「高額転売で生まれる利益を、主催者やファンに戻せないか」。本髙が向き合ったのは、ライブに通う多くのファンが一度は感じたことのある疑問だった。

414本から2本 B&ZAI本髙克樹の論文が国際

本髙は18日、日本テレビ系「DayDay.」に生出演し、自身の研究論文が国際学術誌の「Young Researcher Award」を受賞したと報告した。本人によると、2023年から2025年に世界各国の研究者が発表した414本の論文の中から、受賞した2本のうちの1本に選ばれたという。論文は全編英語で、タイトルは「Empirical Analysis of Ticket-Sales Strategies in the Live Entertainment Market」。日本語にすれば「ライブエンターテインメント市場におけるチケット販売戦略の実証分析」だ。

論文は2025年7月、国際学術誌「Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics」に掲載された。本髙と早稲田大学の蓮池隆氏による共同研究で、実際に日本で行われた公演データや、チケット二次流通市場の取引価格を使って分析している。

 

なぜ現役アイドルがチケット販売を研究したのか

本髙は早稲田大学から大学院へ進み、2026年3月に博士号を取得した。研究していたのは「オペレーションズ・リサーチ」と呼ばれる分野で、数学や統計、データ分析を使い、社会やビジネスの問題をより良い形にする方法を考える学問だ。

そして本髙が選んだのが、自分自身が長年身を置いてきたライブエンターテインメントだった。2024年のインタビューでは「エンタメ分野に貢献したい」と語り、博士号取得後には自身の研究について「チケット販売に関する研究をして、どうやったらみんな喜んでくれるかなという社会シミュレーションをやっていました」と説明している。学問のために無理にテーマを探したというより、自分が毎年100公演以上立ってきた現場にある問題を、数字で解こうとしたことが分かる。

 

「良い席も悪い席も同じ値段」でいいのか

ライブのチケットには独特の難しさがある。同じ公演でも、ステージ最前列と最後列では体験が大きく違う。それでも日本のライブでは、座席によらず一律価格で販売されるケースが多い。ファンからすれば、運良く前方席を引いても、後方席でも料金は同じだ。

一方、人気公演では定価を大幅に上回る価格でチケットが転売されることがある。その価格差は、公式販売価格と「実際にそこまで払ってでも見たい」という需要の差でもある。本髙らは、実際の会場で座席ごとの価値を数値化し、転売市場の取引データから、購入者がどこまで支払えると考えているのかを推計した。

 

一律価格+オークションならどうなる?

研究では、すべての座席を同じ値段で販売する方法に加え、一部をオークション形式で売る「ハイブリッド型」の販売方法をシミュレーションした。その結果、オークション席を一定数加えると、主催者側の収益と購入者側の満足度がともに上昇した一方、オークション席を増やしすぎると購入者の満足度は下がった。

研究では、約40%、700席程度をオークション販売にするケースで、購入者側の満足度を高める結果も示された。つまり、「人気席なら全部高く売ればいい」という話ではない。高い金額を払ってでも良い席を求める人には選択肢を用意しつつ、通常価格で購入できる席も残す。その間に落としどころがあるという研究だ。

 

転売で生まれる利益を誰が受け取るのか

この研究が興味深いのは、転売価格を単なる迷惑行為として扱っていない点だ。人気公演の良席が、定価1万円から数万円に跳ね上がる。その差額は、現在なら転売者の利益になる場合がある。本髙らの研究では、その高い需要を公式販売に取り込み、そこで得た追加収益を通常席の価格調整などに回す方法を検討した。

ここには、ライブ業界が抱えてきた難題がある。チケット価格を安く設定すれば、多くのファンが買いやすい。だが人気が集中すれば抽選になり、当選したチケットが高額転売される。逆に需要に合わせて価格を上げれば、経済力によって見られる席が決まるとの反発も起こる。研究は、そのどちらか一方に振り切るのではなく、両方を組み合わせようとしている。

 

アイドルだから見えた「ファンと運営」の両方

本髙の研究が珍しいのは、研究者であると同時にライブを行う側の人間でもあることだ。ファンがチケットを取れずに苦労することも知っている。一方で、公演には会場費、照明、音響、舞台、人件費など多くのコストがかかる。主催者側の収益だけを最大化すればいいわけでもなく、ファン満足度だけを追えば事業が成立しにくくなる。

本髙自身が「どうやったらみんな喜んでくれるかな」と語っていたのは、この両立を考えていたからだと読み取れる。アイドル活動と研究が別々に存在していたのではなく、現場で感じた疑問を研究室へ持ち込み、数字で検証した。そこが今回の論文の一番面白いところだ。

 

博士号取得までには1年半以上の停滞も

華々しい受賞の一方、研究が順調だったわけではない。博士課程では1年半以上、論文が学術誌に通らず、研究成果を出せない時期が続いた。2024年秋ごろには、博士号取得を諦めるべきか指導教授に相談していたという。

転機となったのは、その後に国際論文誌への掲載が決まったことだった。本髙は博士号取得時、論文を投稿すると厳しい指摘が返ってくることも多く、精神的に挫折する研究者もいると話している。一方、自分にはアイドル活動という「もう一つの足」があったことが支えになったとも語った。アイドルと研究の両立は時間面では厳しいが、本髙にとっては片方がもう片方を支える関係にもなっていた。

 

「高学歴アイドル」で終わらない本髙克樹

STARTO ENTERTAINMENT所属タレントとして初めて博士号を取得し、今度は研究論文が国際的な賞を受賞した。それだけでも異例だが、本髙が研究したのは、自分とは無関係な遠いテーマではなく、自分が毎日のように立っているライブの現場だった。

チケットが取れない。良席が高額転売される。席によって価値が違う。ファンには負担を抑えて来てもらいたい。主催者側にも利益は必要だ。ライブに関わる人なら誰もが感じる問題を、数学とデータで解こうとした。ステージで見えている課題を研究室へ持ち帰り、研究で出した答えを再びエンタメ業界へ返す。本髙がかねて語ってきた「エンタメ分野に貢献したい」という言葉は、今回の受賞で一つの形になった。

 

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ライター:

Webライター。きれいごとだけでは済まない現実を、少し距離を置いて綴っています。

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