
宅配ピザチェーン「ナポリの窯」などを展開するいちごHD(ストロベリーコーンズ)で、7月1日付の経営体制刷新を巡り社内外がざわついている。
労働組合「ミンナのユニオン」の報道によると、今回の親会社変更に伴う役員人事の裏側には、単なる資本政策の変更という言葉では片付かない、不可解な株式の動きや新経営陣を巡る疑惑が潜んでいるという。
カリスマYouTuberの役職変更の狙いはどこにあるのか?
ヒカル氏「取締役→CMO就任」の真相は?
今回の発表で最も世間の目を引くのは、昨年11月に取締役に就任した「ヒカル」こと前田圭太氏の役職変更だ。6月30日付で取締役を退任し、翌7月1日付で「副社長執行役員CMO(マーケティング本部担当)」に就任するという。
就任からわずか半年での取締役退任。現場からは「コラボ商品のペヤングピザが不発で在庫を抱えている」といった不満や、広告手法を巡る旧経営陣との対立も漏れ聞こえていた。
しかし、人事資料を冷静に分析すると別の側面が見えてくる。
今回、取締役を退任して「副社長執行役員」へ肩書きが変わるのはヒカル氏だけではなく、旧体制の取締役だった坂野氏も同様だ。さらに、新たな親会社となる太洋物産からも2名が執行役員として着任する。つまり、これはヒカル氏単独の降格ではなく、7月からの親会社移行に伴い、会社法上の「取締役」の人数を絞り、実務トップを「執行役員」に配置し直した「資本政策上の組織再編」である可能性が高い。
だが、社内からは「ヒカル氏にとってあまりに都合の良い“逃げ道”になっているのではないか」との指摘も上がる。
後述するように、同社の新体制にはコンプライアンス上の大きな火種が燻っている。もし会社法上の取締役のままであれば、万が一会社が不祥事を起こした際、経営陣の一角として善管注意義務違反などの重い法的責任を問われかねない。
「執行役員CMO」というポジションへの移行は、経営の法的リスクから巧みに距離を置きつつ、自身のインフルエンサーとしての影響力を保つための「賢明なリスク回避」とも映るのだ。
木野前社長の執念!太洋物産リリースが明かすもの
ヒカル氏の役職変更と並行して進んでいるのが、前代表である木野将徳氏を巡る不透明な動きだ。 7月から「ナポリの窯」の株主はエックスモバイルから太洋物産へ移行する。木野氏は「ナポリの窯」の代表を退くものの、太洋物産が2026年5月22日に発表したリリース「主要株主及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」によれば、木野氏が同社のトップに君臨し続けることが裏付けられている。
2026年5月14日現在、木野氏は議決権の数2,576個(所有株式数257,600株)を保有し、議決権比率13.33%を占める第1位の大株主となっている。さらに、変更報告書によれば、木野氏(保有割合7.57%)と「クリスタルスカイ有限会社」(保有割合5.75%)が共同保有者とされている。
旧経営陣側の大株主であった桑畑一族の保有株数と、木野氏が市場外で買い取ったとされる株数が一致しているという指摘もある。木野氏は議決権基準日を経過した後も、市場で数万株の買い増しを続けているとされ、太洋物産の経営権を担おうとしているのは明白だ。
過日SNS上で大きな批判を浴びた「空港の多目的トイレからの動画配信騒動」によるイメージダウンを払拭するため、一旦表舞台からは姿を消すものの、市場内・市場外の双方から執念深く株をかき集め、太洋物産を通じて実質的な支配権を握り続けようとしているのではないかとSNSで指摘する声もある。
大塚新社長とは
木野氏に代わって7月1日付で代表取締役CEOに就任するのが、2007年にアルバイトとして入社した大塚康平氏だ。一見すると現場叩き上げの美談だが、昨年の同社の創業家宮下家からの経営権をめぐる騒動の渦中で、大塚氏がそのキーパーソンであったと指摘されている。
新体制の「ナポリの窯」はどこへ向かうのか。現場の従業員や加盟店オーナーたちの不安は募るばかりだ。



