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南あわじ市、温泉×交流×運動で高齢者の「通いたくなる健康づくり」を推進

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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南あわじ市 高齢者の「通いたくなる健康づくり」
画像:南あわじ市

関心はあっても、最初の一歩が踏み出せない。高齢者の健康づくりには、そんな壁がある。兵庫県の南あわじ市は、温泉や交流、運動を組み合わせ、高齢者が「通いたくなる」場づくりを進めている。

義務感からではなく、楽しいから足が向く。そんな仕掛けで、地域活動への参加を後押しする狙いだ。

 

「関心49%、参加8%」のギャップ

同市によると、施策の背景には、関心と行動の間に開いた大きな差がある。市の調査(令和5年度)では、地域活動への参加に関心を持つ人は49.1%にのぼる一方、実際に参加している人は7.8%にとどまる。国は2040年に、高齢者が集う「通いの場」への参加率を15%に高める目標を掲げている。南あわじ市の現状はその半分ほどで、関心を行動へとつなげる最初の一歩の支援が課題となっていた。呼びかけるだけでは、この差はなかなか埋まらない。

参加をためらう理由は人それぞれだ。体力への不安、きっかけのなさ、一人では行きづらいという気後れなど、小さなハードルが積み重なって足を遠ざける。健康づくりの必要性は理解していても、実際に行動へ移すには後押しがいる。南あわじ市が「通いたくなる」という言葉に込めたのは、そうしたハードルを一つずつ取り除こうとする姿勢だ。無理に誘うのではなく、思わず足が向く理由をつくることに主眼を置いている。

 

温泉施設を拠点にした三つの取り組み

同市は、温泉やスポーツ施設を拠点に、三つの取り組みを展開する。老人福祉センター湯の川荘では、2026年3月に始まった「ふらっと湯の川」を毎週月・水・金曜に開く。百歳体操や健康教室に加え、入浴や移動販売、囲碁、将棋、テレビゲームまでそろえ、気軽に立ち寄れる居場所とした。クア施設さんゆ~館の「ほっと健康づくりプログラム」は毎月第3金曜に開き、やさしい体操やミニ健康講座、健康相談を行う。65歳以上の参加者には入浴料を100円割り引く特典も用意した。スポーツクラブ「ゆとりっく」では、2026年6月から「ゆるっとふぃっと」を始めた。3カ月・全12回の短期集中型で、運動が苦手な人や運動の習慣を身につけたい人を対象とする。

 

医療・介護から地域活動へ

こうした場づくりは、少しずつ成果を見せている。同市によると、2026年4月から6月末までの間に、医療や介護のサービスを受けていた複数の人が、地域の活動へと移った。健康な状態を保ち、人とのつながりの中で暮らし続けることは、本人の生活の質を高めるだけでなく、医療や介護にかかる社会的な負担を抑えることにもつながる。「通いたくなる」という感覚を入り口に据えたことが、参加のハードルを確かに下げている。

国が掲げる「通いの場」は、体操や交流を通じて高齢者の心身の衰えを防ぎ、要介護の状態になるのを遅らせる狙いがある。参加が広がるほど、その効果は地域全体に及ぶ。南あわじ市の三つの取り組みは、いずれも温泉や娯楽といった「行く楽しみ」を伴う点で、無理なく続けやすいよう配慮されている。医療や介護のサービスから、こうした地域の活動へと緩やかに移っていける道筋を用意した点にも工夫がうかがえる。

 

「最初の一歩」をどう支えるか

高齢化が進む中で、高齢者が家に閉じこもらず、地域とのつながりを保つことの重要性は増している。閉じこもりは心身の衰えを招きやすく、その予防は本人にとっても地域にとっても大切な課題だ。人と会い、体を動かす習慣は、暮らしの張りにもつながる。

南あわじ市の取り組みは、温泉という日常の楽しみや、囲碁・将棋といった気軽な娯楽を入り口に据えた点に特徴がある。健康のために通うというより、行きたいから通う。その積み重ねが、結果として健康を支える。

楽しみを入り口にした通いの場は、孤立しがちな高齢者に人と会う機会をもたらす。健康の維持と、地域のつながりの回復。その二つを同時に狙える点に、この取り組みの意義がある。 関心を行動に変える「最初の一歩」を、いかに自然に踏み出してもらうか。南あわじ市の実践は、同じ課題を抱える各地の自治体にとっても、参考になりそうだ。

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ライター:

Sacco編集・ライター。企業に直接出向く取材が中心。扱う記事はサステナビリティ、ウェルビーイング関係が多め。

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