
頻尿や尿もれ、フェムゾーン(腟と外陰部)の不快感――。年齢を重ねるなかで、「もう年齢のせいだから仕方ない」とケアを後回しにしている女性は少なくない。しかし、その不調は適切なケアや治療によって向き合うことができる。
「女性泌尿器科」という分野がまだ日本になかった時代から、約25年にわたって数多くの女性の悩みに向き合ってきたのが、「女性医療クリニックLUNA 横浜元町/ネクストステージ」の関口由紀理事長だ。泌尿器科医としての専門性を軸に、西洋医学と東洋医学、保険診療と自由診療を組み合わせた女性医療を実践してきた。
自身も乳がんや劇症肝炎という大きな病を乗り越えてきた関口医師。これまで歩んできた道のりと、女性が自分らしく生きるために必要な「ヘルスリテラシー」への思いを紐解いていく。
女性の一生に寄り添う、ワンストップの女性医療
同院は女性専門の医療クリニックだ。頻尿・尿もれ・骨盤臓器脱といった骨盤底領域のトラブルから、婦人科、乳腺外科、女性内科、さらには性交痛やフェムゾーンの相談・治療、美容医療まで、グループ全体で女性の一生を幅広くカバーする。自覚症状がなくてもフェムゾーンの状態を確認できる「腟ドック」も用意している。
なかでも特徴は、関口医師の専門である女性泌尿器科において、診断から手術までのワンストップ体制を整えている点だ。理学療法士がマンツーマンで指導する「骨盤底リハビリテーション」を20年前から導入し、日帰りのTFS手術といった外科治療まで、一つの窓口で対応できる。
クリニックは2階と3階でコンセプトを分けている。2階「LUNA横浜元町」は仕事や育児に忙しい閉経前の女性をスピーディーに、3階「LUNAネクストステージ」は閉経以降の女性をじっくりと診療するフロアだ。これは、閉経の前と後で女性の人生そのものが変わるという考えに基づいた設計だという。


その背景には、日本の女性医療への問題意識がある。
関口
「乳がんのように命に関わる病気への医療は世界標準の水準にありますが、命に直結しないけれどQOL(生活の質)に関わる『QOL疾患』への対応は遅れています。なかでも私の専門であるフェムゾーンのケアは、長らく手つかずに近い分野でした」
自分の体なのに自分で触れてはいけないと思い込んでいる高齢女性は、想像以上に多いと関口医師は語る。本来なら歯みがきと同じように自分でケアすべき場所なのに、その意識が根づいてこなかった。加えて、「自分のことは後回しにする」ことを美徳とする文化も根強く、本当に困るところまできてようやく受診する女性が後を絶たないという。「自分の体の状態を自分で知り、自分で守る」というセルフケアの意識を広めたい――その思いが、同院の掲げる「自助的(セルフヘルプ)な医療」につながっている。
西洋医学×東洋医学、保険×自由診療で選択肢を
同院のもう一つの柱が、西洋医学と東洋医学の融合だ。関口医師は女性医療に注力するより前、約30年前から漢方を学んできた日本東洋医学会の漢方専門医でもある。
関口
「女性の体は年齢やホルモンバランス、季節によって常に揺れ動き、症状には個人差が大きく出ます。同じ『頻尿』でも、年齢によって処方する漢方薬は異なります。西洋医学で体の土台を守りながら、東洋医学で日々の揺らぎを整えていく。この両側面からのアプローチが女性医療では重要だと考えています」
診療も、まずは保険診療から始め、今の制度でカバーしきれない病気に限って自由診療を提案するのが基本方針だ。薬や手術が合う人もいれば、伝統医療・代替医療が合う人もいる。一人ひとりに複数の選択肢を示しながら、段階的に進めていく。
新しい治療にも積極的だ。近年注目しているのが、骨盤内の血流低下や慢性的な炎症による痛み・不快感に対し、抗炎症・組織再生成分を直接注射する「フェムリバイブ」。これまで対応が難しかった不調にアプローチできるケースも出てきているという。国際学会や古い文献から世界標準と日本の常識のずれに気づくなど、常にアンテナを張り、良さそうだと思えば実際に動く姿勢は昔から変わらない。
その延長線上にあるのが、2026年4月に開院した「アクティブシニアクリニックLUNA沖縄」だ。中高年女性が幸せになるにはパートナーである男性も一緒に幸せであることが大切だという思いから、男性更年期と女性更年期を総合的に診る。海や自然のなかで心をほぐしながらホルモンやGSM(閉経関連尿路性器症候群)のケアを受けられる場として、都市部で忙しく過ごす人にこそ訪れてほしいという。
「女性泌尿器科」を切り拓いた歩み
関口医師が医師を志したのは、当時はよくみられた父のプチ家庭内暴力がある家庭で育った経験からだ。耐える母の姿を見て、幼いころから「女性は自分で手に職をつけて働かなければならない」と強く思うようになったという。
泌尿器科を選んだのは、「女性医師は内科・眼科・皮膚科・麻酔科へ」という当時の通念に乗るのが嫌だったこと、そして高齢化に伴い中高年女性の尿もれや骨盤臓器脱のニーズが高まると予測したことが理由だった。
そして泌尿器科医として10年ほど経ったころ、欧米では1980年代から女性泌尿器科が独立した診療科として存在することを知る。当時の日本の女性医療は乳腺・内科・婦人科が中心で、泌尿器のトラブルはそこに含まれていなかった。
「女性医療のなかに女性泌尿器科という分野を位置づければ、見過ごされてきた悩みにきちんと向き合えるのではないか」。そう考え、約25年前からこの分野の開拓を始めた。
開業は、友人の内科医からの打診が破談になった際、集まったスタッフの後押しで決意したものだった。「開業してみると想像以上に居心地がよく、もっと早く踏み出しても良かったと思っています」と振り返る。その後、経営学修士(MBA)も取得。「面白そう」と思ったことにはとりあえず飛び込んでみる姿勢が、今の多彩な診療につながっている。

閉経は「第二の誕生」。自分らしく生きるためのヘルスリテラシー
40歳を超えて「本当に好きなように生きたい」と感じるようになったきっかけは、大きな病の経験だった。42歳で乳がん、56歳で劇症肝炎を経験し、一番大切なのは自分自身であり、その自分が「楽しい」と感じられるかどうかが重要だと気づいたという。
女性は生殖の時期に入ると、男性のためか子どものためか、本能的に自分の「好き」を押し込め、利他に傾きがちだと関口医師は言う。若いうちは頑張り続けられても、更年期に女性ホルモンが揺らぐと、それまで我慢できていたことが我慢できなくなる。そんな変化を経て、関口医師は閉経を「第二の誕生」と捉えるようになった。
関口
「人間の女性は生殖の役割を終えた後にも、人生100年時代では50年ほどの長い時間が与えられています。これは生物のなかでも人間の女性だけ。閉経後の第二の人生は、女性に与えられた特別な時間なんです」
その50年を楽しく過ごす土台となるのが健康だ。動脈硬化や骨粗しょう症の予防、がんのチェックを続け、できるだけ最後まで自分のことは自分ででき、好きなことを長く楽しむ。そのために、健康や医療の正しい情報を入手し理解して活用する「ヘルスリテラシー」を持ってほしいと関口医師は願う。
治療を通じて患者の状態が変わっていくこと、そして長く通う患者の人生に寄り添えることが、この仕事の大きな喜びだと関口医師は話す。以前は手立てが乏しかった性の悩みも、少しずつ手応えがある治療が増えてきたという。しかしまだ性交痛や更年期の不調を「仕方ない」と我慢し、諦めている女性はとても多い。だが、それらには治療の選択肢があり、それ以前にパートナーとのコミュニケーションの改善が必要であると女性自体が認識する必要がある。
関口
「閉経後の50年を、痛みや不快感を我慢しながら過ごすのはもったいない。どんな些細なことでも構いませんので、一人で抱え込まずに、私たち専門家に相談してください」
身体や性に関するデリケートな悩みは、生活の質に大きく関わる一方で口にしづらく、受診をためらいがちだ。しかし「相談してはいけない悩み」などない。女性泌尿器科という分野の開拓から、西洋医学と東洋医学の融合、そして自身の闘病を経てたどり着いた「第二の誕生」という哲学まで、関口由紀理事長が約25年をかけて築いてきた女性医療の全貌は、医療系メディア『ウィズマインド』の特集記事をご覧ください。
特集記事:『「閉経後は、第二の人生の始まり」女性が自分らしく楽しい人生を送るためのセルフケアと医療』
※ウィズマインドは、あなたの悩みに寄り添った美容クリニック・医療機関を発見するために、医師・スタッフの「想い」をお届けするメディアです。
【クリニック情報】
女性医療クリニックLUNA横浜元町/女性医療クリニックLUNAネクストステージ
理事長:関口 由紀(せきぐち ゆき)
所在地:神奈川県横浜市中区元町1-32 元町132ビル 2F・3F
アクセス:みなとみらい線「元町・中華街駅」5番出口より徒歩約2分
診療科目:女性泌尿器科、婦人科、乳腺外科、女性内科、美容皮膚科 ほか
URL:https://www.luna-clinic.jp/
2005年に横浜・元町で開業した女性専門の医療機関。泌尿器科医としての専門性を軸に、婦人科・乳腺科・女性内科・美容皮膚科・骨盤底リハビリテーション部・メディカルビューテーラボ・ヘルススタジオなどを備え、頻尿・尿もれ・骨盤臓器脱・性交痛・更年期の不調といった、命には直結しないがQOLを左右する女性特有の悩みに対応する。西洋医学と東洋医学、保険診療と自由診療を組み合わせ、一人ひとりに複数の選択肢を提示するオーダーメイド型の診療を行う。理学療法士による骨盤底リハビリテーションや日帰りのTFS手術など、診断からリハビリまでを一つの窓口で受けられる体制を整えている。




