
共同通信によると、埼玉県警は2026年7月27日、加須市岡古井の国道125号で速度違反の取り締まりに使っていた可搬式オービス1台を盗んだとして、窃盗の疑いで同市北小浜の配送業・倉本浩司容疑者(58)を逮捕した。
装置の購入価格は約900万円で、逮捕発表時点でも見つかっていない。倉本容疑者は「盗んでいません」と容疑を否認している。県警によると、取り締まり中の可搬式オービスが盗まれたのは全国初とみられる。
法定速度を超えて通過後に引き返す 「光ったので確認に戻った」
逮捕容疑は6月18日午後11時5分ごろから約10分間、国道125号沿いの歩道に設置されていた可搬式オービスの本体1台を盗んだというものだ。
FNNプライムオンラインによると、倉本容疑者が運転する軽貨物車は、装置の前を速度超過で通過した後、現場方向へ引き返していた。付近の防犯カメラにその様子が映っており、県警は速度違反の発覚を免れるために持ち去った可能性もあるとみている。
倉本容疑者は逮捕前の任意聴取で、走行中に装置が光ったことに気付き、「確認に戻った」と供述していた。逮捕後は「盗んでいません」と否認している。
警察官2人は100〜200メートル先 約20キロの本体だけ消える
加須署交通課の警察官2人は6月18日午後7時ごろ、歩道に装置を設置し、100〜200メートル離れた場所に止めたパトカー内から監視していた。午後10時50分ごろに本体があることを確認したが、同11時25分ごろに再び確認した際、なくなっていることに気付いた。
盗まれた本体は縦約50センチ、横約25センチ、奥行き約50センチ、重さ約20キロ。三脚と電源コードは現場に残され、本体部分だけが外されていた。埼玉県警が保有していた5台のうちの1台で、約10件の車両に関するデータが記録されていたとみられる。
県警は盗難発表時、データが悪用された形跡は確認していないと説明した。約900万円の公費で購入された機器が警察官2人の監視中に持ち去られたことを受け、県警交通指導課は「同様の事案を発生させないよう指導を徹底する」とコメントしている。
警察庁は「1カ所2人程度」で運用 2027年度までに200台配備へ
可搬式オービスは、通過車両の速度を自動で測定し、一定の速度を超えた車両と運転者を撮影・記録する小型の速度違反自動取締装置。違反車両を停止させる場所を確保できない通学路や生活道路、「ゾーン30」でも設置できる。
警察庁は2015年度から整備を進め、2023年度末までに全国で149台を配備した。2027年度までに累計200台とする計画を掲げている。
警察庁の2024年度行政事業レビューでは、従来の定置式による取り締まりには相当数の警察官が必要だったのに対し、可搬式は装置管理が中心となるため「1カ所あたり2名程度の人員で足りる」と説明している。今回も警察官2人が配置されていたが、100〜200メートル先からの監視では本体の持ち去りを防げなかった。
9月1日から生活道路は法定30キロ 40キロ標識があれば指定速度
2026年9月1日には改正道路交通法施行令が施行され、中央線や車両通行帯がなく、工作物によって往復方向が分離されていない一般道路の法定最高速度が時速60キロから30キロへ引き下げられる。
中央線や車両通行帯がある一般道路、中央分離帯などで往復方向が分けられた道路は、引き続き法定速度が時速60キロとなる。道路標識や道路標示で最高速度が指定されている場合は指定速度が優先され、生活道路でも40キロの標識があれば最高速度は時速40キロとなる。



