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「頬タッチ」は性加害か? 橋本愛 vs 佐藤二朗騒動に透ける、文春“魔男裁判”とフェミニズムの不条理

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夫婦別姓刑事

フジテレビのドラマ『夫婦別姓刑事』が炎上しています。

タイトルからして思想の強そうな作品だな……と言われていた番組ですが、内容としては橋本愛氏(30)と佐藤二朗氏(57)演ずる刑事が職場で夫婦であることを隠したまま活躍するという、言うなら昭和のドラマ『おくさまは18歳』的な内容。既に番組そのものが6月23日に最終回を迎えているのですが……『週刊文春』の7月9日号でスキャンダルが報じられたのです。

 

『夫婦別姓刑事』に破局疑惑?

何でも「佐藤氏がアドリブで橋本氏の頬に触れた」というのがその内容。ご存じなかった方はこれを聞いて「何だそりゃ」と思われたのではないでしょうか。実は橋本氏は十年ほど前に共演者からハラスメントを受け、心に深い傷を負っていました。そのため、ボディタッチには過敏な反応を示してしまったのです。

「それにしても夫婦役なのだから、身体に触れることくらいはあるのではないか……」という気がします。橋本氏がダメージを感じたというのだから両手で頬を包み込むといった「濃厚接触」があったのかと思いきや、ボディタッチがあったとされるのは車内で橋本氏が運転、佐藤氏が隣で同席している場面で、「弾みで触れた」という程度のこととしか、考えられません。

「そうは言っても性被害に遭った者のトラウマは、他者からは窺い知れないものであり、最大限の尊重が求められるべきだ」

いや、それは確かにそうかもしれませんが、橋本氏の事務所はこの件について佐藤氏に伝えるべきかをフジのプロデューサーに尋ねられ、フジ側に判断を委ねたといいます。プロデューサーは佐藤氏のマネージャーにそのことを伝えたのですが、マネージャーはそれを佐藤氏に伝えなかったというのです。

そうなると、そもそも橋本氏の事務所の対応が、いい加減なものだったのではないでしょうか。

以降、身体接触について佐藤氏へ配慮するよう申し入れがあり、佐藤氏は橋本氏の楽屋を尋ね、「(身体接触の)制限があるなら事前に言うべきだ!」と「ものすごい剣幕でまくし立てた」のだといいます。佐藤氏が退室した後、橋本氏は怯え、号泣していたそうです。

佐藤氏は後日も彼女の楽屋を訪れ、「あなたはこの仕事を受けちゃいけなかった」「あなたは役者をやるべきではない!」と暴言を吐いた、また以降も佐藤氏の橋本氏への対応は硬化し、シカトや嫌味などが繰り返されたとのことですが……。

――ここまで見てきて、『文春』の報が正しいと前提すれば、確かに佐藤氏もやり過ぎだとも思えます。

佐藤氏側の言い分は…?

 

しかし佐藤氏の所属事務所はこれに真っ向からの反論をしています。

『オリコンニュース』の「佐藤二朗の所属事務所『文春』ハラスメント報道に反論「真実を知っていただきたく」【全文】 (https://www.oricon.co.jp/news/2465058/full/?utm_source=Twitter&utm_medium=social&ref_cd=tw)」を見ると、『文春』の記事は「一方当事者からの主張のみを前提として構成されている」とのこと。つまり、橋本氏寄りの主張というわけです。また、確かに橋本氏のトラウマの件について、マネージャーが佐藤氏に伝えなかったことそれ自体は事実だけれども、それは日常レベルの(つまりベッドシーンやラブシーンなどでもない)芝居であればそこまでナーバスになる必要もなかろうとの判断から、としています。

佐藤氏の橋本氏の楽屋への訪問も、こちらを見るとイメージが変わってきます。佐藤氏の主張は「過去の心の傷は最大限、尊重されるべき社会だと心から思うが、トラウマがあって夫婦役を演じるなら先に状況を相手に共有すべきである事、その状況が続くなら俳優を続けるべきではないのではないかと僕個人は思います、と伝えました。」というものだったそうです。

これでは『文春』のおどろおどろしい記事とは全く異なりますし、さらに「この日、橋本氏は、佐藤が退室するときも笑顔でした。」とのことで、では『文春』の「号泣」は何だったのかという感じです。

 

フジや橋本氏側も声明発表

本件についてはフジもまた、声明を発表しました。

まず今月2日のコメントでは、『文春』の記事について「関係者のプライバシー侵害や二次被害に繋がるおそれが高いものと考え、掲載中止を強く申し入れましたが、それにもかかわらず記事の掲載に至ったことは大変遺憾です(https://www.oricon.co.jp/news/2465107/full/)」と述べています。

また、7日に発表した声明(https://www.nikkansports.com/entertainment/news/202607070000801.html?Page=1)では、

>当社プロデューサーは、女性俳優に本件への出演をオファーした際に、女性俳優側から、過去の経験を踏まえ、キスシーンやベッドシーン等の場面がある場合には、実前に相談の上、インティマシーコーディネーター等の専門家を関与させることが出演の条件であると伝えられるとともに、日常動作に伴う接触は問題ないとの説明を受けました。

とのことで、これは佐藤氏事務所の意見に近い。(インティマシーコーディネーターとはまた、聞き慣れませんが、映画・テレビや舞台などで俳優の身体的接触やヌードなどが登場するシーンにおいて、演者側と演出側の意向を調整する職種だそうです)

つまり佐藤氏側にしてみれば、頬に触れることがよもやNGとは思わず……というわけですね。

 

また、続いて、

>女性俳優側は、このときの男性俳優の接触をセクシャルハラスメントであるとは受け止めておりません。

との言葉もあり、これを信じるならば一体何が問題なのかさっぱりわかりません。

ただ、例の楽屋での一件については、

>その場には、女性俳優と男性俳優のほかに、番組スタッフ1名が居合わせていましたが、女性俳優は、男性俳優の訪問が突然であったことと、その発言の内容や口調の強さに激しく動揺し、しばらくの間、女性俳優は涙が止まらない状態になりました。

とあり、佐藤氏側とはやや齟齬があります(佐藤氏も事実と異なるとXで表明しています)。

肝心の橋本氏は……となると、本件についてはあまり発言していないようです(所属事務所は「フジテレビ社による報道が事実との認識」との声明を出していますが、これは5日時点なので、7日の声明についても同様に考えているのかは判然としません)。

 

苦しい胸の内を吐露した佐藤氏

そして9日発売の『週刊新潮』7月16日号には佐藤氏の独占インタビューが掲載されました。

佐藤氏の主張は、先の同氏の事務所の声明に近く、

>チーフプロデューサーは、橋本サイドから「日常的な場面のお芝居については特段、接触制限の問題を気にされなくても大丈夫ですよ」と撮影前に伝えられていた旨を佐藤に説明。

とのことで、楽屋での橋本氏への「俳優を続けるべきではない」発言も罵倒などではなく、また橋本氏も笑顔で応じたことなども、同様に語られています。

また、佐藤氏はフジ側の弁護士、江黒早耶香氏に「橋本さんはもう限界です。いつ倒れてもおかしくない状態です。本当に彼女が潰れてしまったら、佐藤さんのタレント生命にも傷がつきますよ」と恫喝めいた対応をされ、事情を説明しても取りあってもらえなかったともいいます。

江黒氏は「橋本さんと二人の時は雑談をしてはいけない」とも言っており、先の記事の「佐藤氏が橋本氏をシカトした」原因はここにあったわけです。

(もう一つ、同日には『文春』でも本件について第二弾記事が掲載されましたが、正直、めぼしい新事実はなさそうでした)

 

何だか松本人志騒動みたい?

――ともあれ、経緯をごく簡単に並べると(いや、それでも長ったらしいモノになりましたが……)以上のような次第かと思います。

正直、「頬へのタッチ」については橋本氏を擁護しにくいところです。

何しろ、SNS上では橋本氏がかつてより数多くの映画で「身体的接触」、はおろかベッドシーンをも行っているという事実が検証されています(http://blog.livedoor.jp/qmanews/archives/52355068.html)。

2021年の大河ドラマ『青天を衝け』では吉沢亮と濃厚に抱きあっていますし、2025年のNHK大河ドラマ『べらぼう?蔦重栄華乃夢噺?』でも横浜流星とボディタッチをしています。また、2024年、デンゼル・ワシントンからハグされて喜んでいるシーンも拡散されました。

「いや、若年男性ならば平気でも、中年男性には嫌悪を憶えるものだ」、「いや、事前の通達なく障ることが問題だ」といった反論も考えられますし、わからないではないですが、ならばこそそうした通達を徹底しなかった橋本サイドにこそ落ち度があったのではと思わずにはおれません。

では、楽屋での件はどうでしょうか。これはほぼ密室でのことであり、どちらの言い分を正しいとするか、第三者が断ずることはできません。

 

(ちなみに楽屋での件は二度あったのですが、同席者は一回目は橋本氏のマネージャー、二回目はヘアメイクということは『文春』、フジ、佐藤氏と基本一致しています。二回目の同席者は、フジは番組スタッフとしていますが、同一人物と見ていいでしょう)

しかし当初は橋本氏側(ないしフジテレビ側)の言い分がまず『文春』で報じられ、佐藤氏はフジの映画、『踊る大捜査線』関連ドラマからの降板が通達され、活動休止に追い込まれました。同氏は強迫性障害を患っており、本件で多大なダメージを負ったようです。

さてこの経緯、見ていて何かに似てるな、とお感じにならないでしょうか。

『文春』によって性加害が報じられ、事実関係が曖昧なままに加害者とされる男性が有罪だと決めつけられ、キャンセルされる――。

そう、本件は松本人志事件、中居正広事件に非常によく似ているのです。ジャンポケ斉藤事件も『文春』が発端でないとはいえ、構造は同様と言えるでしょう。

これら事件についてもぼくは松本氏、中居氏、斉藤氏について、「絶対に無罪だ、濡れ衣だ」と断言するつもりはありません。しかし警察や司法が介入するでもなく、大物芸能人の「性加害」がジャッジされ(そして多くの場合、本人はそれを否定しているにもかかわらず)、確たる証拠もないままに「キャンセル」される――これはここ数年、顕著になった現象です。

そしてそれは、「#MeToo運動」に端を発していると言えましょう。

 

これは「“私も”被害者である」という意味で、SNSでこのハッシュタグを使用することで性犯罪被害を告発していこう、という運動です。しかしこれはまさにSNSを使って加害者(とされる人物)を告発する「魔女裁判」」ならぬ「魔男裁判」という側面を有しています。そのスローガンは「ビリーヴ・ウィメン」であり、「女性の自己申告絶対主義」が根底にあると言えます。いえ、女性を信じるのも結構ですが、少なくとも男性が加害を否定しているのであればただ妄信すべきではないと思うのですが、こうした女性の性被害を訴える人たちは、そこを顧みようとしません。そのため、今までいくつもの悲劇が起きてきました。日本でも草津町町長への冤罪事件などは記憶に新しいところです(https://web-willmagazine.com/social-history/JPkfr)。

いえ、それにとどまらず阪神の震災時にもフェミニストは被災地でレイプが多発しているとのデマを流していましたし(https://web-willmagazine.com/social-history/qfvJV)、今でもそれを撤回していません。

欧米では八〇~九〇年代に「記憶戦争」の嵐が吹き荒れました。フェミニストカウンセラーによって大量の「幼児期に父親から虐待を受けた」と訴える被害者が見出されたのですが、それはカウンセラーが女性患者に暗示を与えたがため、「疑似記憶」が生まれてしまったが故のことでした。他にもこうした事例は無数にあり、ことに「記憶戦争」は何万という家庭を悲劇に陥れた大冤罪事件ですが、その立役者であるフェミニスト、ジュディス・ハーマンはいまだそれを顧みることなく、活動しています。

これは「本来、フェミニズムは善きものだが、フェミニストの中には過激で暴走する者もいる」といった話ではなく、そもそも最初からフェミニズムはとにもかくにも男性を悪者だと決めつける思想である、としか言いようがないのです。

フェミニスト詩人、アドリエンヌ・リッチは「異性愛」そのものが男性による女性支配のための装置である、との奇妙な考え方を提示しましたし(しかし目下、人口に膾炙するようになった「ホモソーシャル」の概念もこの考えが根底にあります。つまりこれはフェミニストの中でも変人だけが唱えている奇妙な考えなどではなく、フェミニズムの主要理論といっていいのです)、アメリカの有名なフェミニスト、アンドレア・ドウォーキンは「結婚とはレイプを正当化する制度」とまで言っています。

 

橋本氏は「フェミニズム刑事」だった?

そして、『文春』は本件や松本氏らへの告発記事を見てもわかるように、近年、極めてフェミニズムに親和的になっています。『文春オンライン』を「フェミニズム」で検索すると記事がいくつもいくつも出て来ますし、何より橋本愛氏の連載もなされています。

そう、『文春』には「私の読書日記」というリレー連載があるのですが、橋本氏もその書き手の一人なのです。これが見ていくと登場するのはフェミ関連の本が大変に多い。

「アロマンティック・アセクシュアル」と題された回では婚姻制度がセクシャルマイノリティを抑圧しているとぶち、「無痛恋愛」では同タイトルのフェミ漫画を採り挙げ、「選択的夫婦別姓と憲法と平和」では「選択的夫婦別姓が実現しなければ、結婚したくないとまで感じている。」と述べ、といった具合です。

本件の論点は「楽屋での件」で本当に佐藤氏が橋本氏を傷つけるような言動をとったのか(『文春』やフジの言い分と佐藤氏側の言い分とどちらが正しいのか)になりましょうが、それも「藪の中」という他はありません。

しかし、繰り返すように『文春』がここ数年、男性タレントの「性加害」の告発を続けて来たことを鑑みた時、そこに「#MeToo」的な意図があるのではと思わずにはおれません。

 

そもそもが、発端は「頬を触った」という「性加害」であったはずが、いつの間にか話が「楽屋での件」へとすり替わっていること自体、勘繰ることを許されるならば、本件を事件化したいという意図が働いている(当初は「性加害」を事件化しようとしたが、さすがに通らないと話をすり替えた)といった想像も、成り立たなくはありません。

そして、そう考えるなら、同誌と縁の深い橋本氏の件が、彼女自身に近いところからリークされた――と、そんな推察も、してみたくなるのです。

とは言え今回、佐藤氏も積極的に発信していますし、SNSなどでの世論も、かなり氏に同情的であるように思われます。

本件が『夫婦別姓刑事』というドラマの撮影中に起こったということは、極めて象徴的と言わねばなりません。フェミニズム的価値観に毒された者は男性からの加害に敏感になるが、その判断が常に正鵠を得ているとは限らない。そして、そこで男性へ責を押しつけようとするばかりでは、結局は「夫婦別姓」どころか男女関係そのものが根源から破綻していく。

フェミニズムという思想の不条理を、本件は暴いてくれたのです。

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ライター:

本来はオタク系ライター。 フェミニズム、ジェンダー、弱者男性問題について考えるうち、女性ジェンダーが男性にもたらす災いとして「女災」という概念を提唱、2009年に『ぼくたちの女災社会』を上梓。noteやYouTubeでも活動中。 YouTube(https://www.youtube.com/@%E5%A5%B3%E7%81%BD%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB) note(https://note.com/hyodoshinji)

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