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巴山建設株式会社

https://www.tomoyama-group.co.jp/kensetsu/

〒182-0025 東京都調布市多摩川2-25-1

042-484-2828

「現場に行かない建設」が始まる 遠隔操作で変わるインフラの未来と人材不足の突破口

ステークホルダーVOICE 社員・家族
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巴山建設写真
巴山建設株式会社 土木部技術システム課 松村大生 課長代理 
同 土木部技術システム課 山崎涼
OEDO Dynamics株式会社 田中良道 代表取締役

深刻化する建設業界の人材不足と「2030年問題」。進行する高齢化と若手不足、さらに残業規制の強化が重なり、工事の担い手は急速に減少している。受注しても着工できない――そんな危機的状況の中、現場の常識を覆す新たな解決策として注目されているのが、建設機械の遠隔操作技術だ。

東京都多摩地域で数多くのインフラ工事を手がける巴山建設株式会社は、ICT建機やドローン測量に加え、この遠隔操作システムをいち早く現場に導入している。オフィスや自宅から重機を動かすという「現場作業のリモート化」は、働き方をどう変えるのか。人材不足解消の切り札となり得るのか。最前線の現場から、その実態と可能性に迫る。

 
巴山建設写真

迫る2030年問題…高齢化と人材難に揺れる建設業界の現実

 巴山建設株式会社は東京都調布市に本社を置き、多摩川の河川⼯事や橋梁⼯事、街路築造⼯事、崖崩れ修復の道路災害防除⼯事など多摩地域を中心に数多くの大規模工事を手がけている。

 同社の特徴はドローン測量や3DCAD、ICT建機といった新技術を積極的に取り入れ、現場で活用しているところだ。特にICT建機の導入台数は国内で有数の規模を誇る。

 近年、さらに同社はOEDO Dynamics株式会社(23年7月創業、田中良道代表取締役)と協力して建設機械の遠隔操作機を導入、すでに施工現場で運用を開始している。

 建設業界の人材不足は深刻だ。日本の高齢化率(65歳以上人口比率)は2023年時点で29.1%、75歳以上人口比率は16.1%で、日本は高齢化社会や高齢社会のレベルを遥かに超え、未曽有の超高齢社会に突入している(2023年、内閣府調べ)。2030年になるとそれがさらに加速し、国内人口の3人に1人(30.8%)が65歳以上に達すると推計されており、それに伴う諸問題がいわゆる「2030年問題」だ。

 2030年問題は建設業界では非常に深刻な問題と受け止められている。建設業界の平均年齢は現在おおむね44歳前後とされており、全産業平均より高く高齢化が進んだ業界だが(厚労省調べ)、中でも55歳以上の割合が3割を超え、ベテラン層の比率が高く若年層が少ない。29歳以下の就業者に至っては全体の僅か1割ほどだ。

 こういった人材不足の現況に加え、24年から本格適用が開始された残業規制強化の影響もあって建設工事の処理能力は激減、受注できても着工ができない状態になっており、建設会社の倒産件数も増加の一途をたどっている。2030年を待たずして建設業界は手詰まりになりつつあるのだ。

 今後は国民生活を支えるインフラ維持も困難になっていくのではないか、そんな悲観的な予想もされている中、この問題を解決する方法として注目されているのが、巴山建設株式会社で今年から運用が開始された建設機械の遠隔操作技術だ。

 今回は実際に遠隔操作で操縦されている建設機械が導入されている現場にお伺いし、その活用の実態と今後の展望について巴山建設株式会社土木部技術システム課松村大生氏と山崎涼氏、そして遠隔操作システムを開発したOEDO Dynamics株式会社田中良道氏にお話を伺った。

現場作業をリモートワーク化する

本日はよろしくお願いします。まず建機遠隔操作のシステムとはどういったものなのかご説明をお願いします。

松村

まずその土台となるICT建機についての説明からさせていただきます。ICT建機とは衛星からの位置情報を受信しながら操作する建機で、例えばショベルカーなら、リアルタイムで今の作業がどこで、どのくらい掘られているか確認できるものです。また現場の図面を 3D で読み起こして座標を持たせてあるので、図面の通りに操作していくことができます。

操縦者は運転席に座って、現場図面を3D化して表示しているタブレット画面を見ながら建機を操作するのですが、さらにICT建機にはマシンガイダンス・マシンコントロールも備わっており、図面のここまでを掘削すると指示を入れることで、設計面までナビをしてくれるマシンガイダンス、そこまで掘ったらピタッと止まるマシンコントロールのICT建機が登場したことによって熟練技術者でなくても作業を短時間で行えるようになりました。

今回ご紹介する建機の遠隔操作システムとは、そのマシンガイダンスの ICT建機に遠隔装置を取り付け、操縦席に乗り込むことなく操作できるようにしたものになります。

巴山建設株式会社土木部技術システム課課長代理の松村大生氏
巴山建設株式会社土木部技術システム課課長代理の松村大生氏
 

操縦席に座って操作しなくてもよくなる、そのメリットとはどのようなものなのでしょうか?

松村

これまでは当然ですが、建機の操縦は人が現場に行って、乗り込んでやらなければならなかったわけです。しかし遠隔操作できるようになれば、現場に行かずともオフィスや家の中など離れた場所からでも操作が可能になる。この遠隔操作はインターネット回線を通じて行われていますので、パソコンがありインターネットが繋がっている環境であればどこでもできる。

そうなるとまず通勤時間が無くなります。これまでは現場が遠隔地の場合は操縦するオペレーターを探すのが大変でした。ただでさえ人材不足で技術を持ったオペレーターを確保するのは困難なのに、せっかく見つけても現場までの通勤時間が長いと断られてしまっていたのを、遠隔操作があれば解消できる。また女性が仕事をしやすい環境にできるのも大きいでしょう。子供がいるお母さんが、保育園にお迎えに行かなければならないから仕事ができない、といった悩みも、遠隔操作なら家にいて仕事ができる。「現場作業をリモートワーク化」することができるのです。

現場作業なのに「現場」に行かないでもできるようになる。

松村

はい。若い世代には今も現場作業はきつい・汚いといったイメージがあります。それが建設業界が敬遠される原因にもなっていますが、遠隔操作であれば夏場は涼しいところにいながら作業ができるので熱中症の心配もなく、服が汚れることもない。ヘルメットを被る必要もありませんし、女性なら化粧が落ちず、髪型が乱れません。これらの要素が若者層や女性への訴求力になり、人材不足解消への効果的な一手になると考えています。

巴山建設写真
ジョイスティックコントローラーは市販のものを使用している
 
 

遠隔操作導入の狙い…人材不足解消と安全性向上

導入されたきっかけをお伺いします。

松村

弊社では現場作業の自動施工を目指しています。それにより人材不足の解決と同時に現場作業の安全性も高めていきたいのです。日本では自然災害が多く発生しているので、災害復旧作業で使用するため導入しました。災害発生時に迅速に対応できるよう、平時に操作の習熟を図っています。こういった遠隔操作が一般化することによって災害時の復旧作業に役立つことが見込まれます。極端なことをいえば、噴火した火山の近くに行って作業しなければならないような状況の時、人が機械の中で操縦していては人命が危険に晒されてしまう。そこを遠隔操作に切り替えることができれば、機械は損傷したとしても、人の命は守られるのです。

田中

建機の遠隔操作それ自体は80年代から開発されていて、90年代には長崎県雲仙普賢岳の噴火に際し警戒区域内での除石作業で使用された実績もあります。しかし大手建機メーカーが開発しているものは1台あたりの費用も高く、また今回のようなネット回線を介して操作するものに関しては、現在もほとんど稼働していません。

弊社OEDO Dynamicsが開発したのは、既に使用されているICT建機に後付けで取り付けられるシステムです。後付けにしたことで費用を大幅に減らし、また取り付け時間も短縮できました。実際には1日から2日で従来のICT建機を遠隔操作可能な状態にできます。価格についても最初から遠隔操作装置が取り付けられている大手メーカーものと比べて大幅に低価格です。

OEDO Dynamics株式会社代表取締役 田中良道氏
(OEDO Dynamics株式会社代表取締役 田中良道氏)
巴山建設写真
(巴山建設株式会社土木部技術システム課の山崎涼氏)

使用環境としては?

山崎

基本的にはインターネット回線が通じているところであればどこでも使用可能です。WiFiで動作しているのですが、この現場ではスターリンク(Starlink)を使っています。土木の現場では地域によってはキャリア回線が通じづらかったりすることがあるので、その問題を考慮して人工衛星を用いて世界中あらゆる環境下でも通じるスターリンクを採用しています。

無人施工を当たり前にしていきたい

 

今後の展望についてお伺いします。

松村

ゆくゆくは現場内での作業は全て遠隔操作でやっていきたいと考えています。現場内で土砂の運搬に使用されるクローラーダンプなどにも搭載して、土砂の積み込みと運搬、そして目的地に行って荷下ろしするまで全てを無人で自動化できるようにしていきたいですね。

将来的には複数の建機を切り替えながら一人で操縦することも可能になるでしょう。そうなれば積み込みから運搬、荷下ろしまでを一人が、パソコンの前に座ったままでショベルカーからダンプ、そしてまた別のショベルカーと切り替えて操作できるようになる。

山崎

安全面について言えば、今は動いている機械を現場で監視する人間を置くことが義務付けられていますが、監視員には緊急停止装置を常時携帯させ、緊急時には即座に機械を停止させられるようにしています。また施工範囲を区画して、人が立ち入らないようにしてリスク回避に努めています。

松村

この技術が普及すれば、例えば北海道の現場を関西在住のオペレーターに頼む、といったこともできるようになる。自宅にパソコンがあるだけでそれが可能になるのですから、建築現場の人材不足を解消する決定打になるのは間違いないと思います。

本日はありがとうございました。

(後編に続く)

巴山建設写真
(取り付けられた遠隔操作装置(OEDO Dynamicsの記載がある部分))

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巴山建設株式会社
https://www.tomoyama-group.co.jp/kensetsu/
所在地 〒182-0025 東京都調布市多摩川2-25-1
連絡先 TEL:042-484-2828 FAX:042-484-4186

 

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ライター:

1980年千葉県生まれ 筑波大学大学院博士課程中退(台湾留学経験有り)。専門は中国近代政治外交史。その他、F1、アイドル、プロレス、ガンダムなどのジャンルに幅広く執筆。特にガンダムに関しては『機動戦士Vガンダム』blu-ray Box封入ブックレットのキャラクター・メカニック設定解説を執筆(藤津亮太氏と共著)。

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