
北海道旭川市の旭山動物園の焼却炉で妻の遺体を焼いたとして逮捕・起訴された同園飼育員の市職員・鈴木達也容疑者(33)が、5月22日に妻・由衣さん(33)を殺害したとして殺人の疑いで再逮捕された。さらに翌23日、押収された妻のスマートフォンについて鈴木容疑者が「壊した」と供述していることが警察への取材で判明。証拠隠滅を図った疑いが浮かび上がっており、捜査本部は犯行の計画性を慎重に調べている。
「妻からの要求に不満」供述の背景に”異性関係疑惑”
道警によると、鈴木容疑者は殺人再逮捕の調べに対し「妻からの要求に不満があった。ロープで首を絞めて殺した」という趣旨の供述をしている。
北海道新聞などの報道によると、鈴木容疑者は妻・由衣さんから異性関係を疑われており、そのことへの不満を動機の一端として供述しているとみられる。知人への取材では鈴木容疑者が妻について「束縛が厳しい」と不満を漏らしていたとも伝えられており、夫婦間の亀裂が深まっていたことが浮かぶ。
妻のスマホを「壊した」 消えたデータの意味
事件の捜査を複雑にしているのが、証拠品の状況だ。5月23日、警察への取材で、鈴木容疑者が妻のスマートフォンを「壊した」と供述していることが新たに判明した。このスマートフォンは閉園中の園内から発見されており、鈴木容疑者がデータ消去を図ろうとしたとみられている。
スマートフォンには、事件前後の由衣さんとのやり取りや、鈴木容疑者の異性関係に関わる通信履歴などが残されていた可能性がある。捜査本部は破損したスマートフォンから復元できるデータの解析を進めており、殺害に至る経緯の解明につながるかが焦点となっている。
「残らないように燃やし尽くしてやる」事前の脅迫発言
時事通信などの報道によると、鈴木容疑者は事件前、由衣さんに「残らないように燃やし尽くしてやる」と伝えていたとみられている。3月31日午後9時ごろ、職員用の門の近くの防犯カメラには、鈴木容疑者が車から大きな荷物を下ろす様子が映っており、由衣さんの遺体を園内に持ち込んだとみられる。
任意聴取の段階で鈴木容疑者は「2時間以上燃やした。妻は灰になった」という趣旨の供述をしていた。
幼い頃からの夢を叶えた飼育員 表と裏の落差
文春オンラインなどの報道によると、鈴木容疑者は幼少期から動物好きで、「将来の夢は飼育員」だったという。2015年から旭川市の正規職員として旭山動物園に勤務。2018年からは飼育員としてレッサーパンダや爬虫類両生類などを担当し、園の公式ブログの執筆にも携わる熱心な職員だった。観光ガイドブック『るるぶ』に顔出しで登場したこともあり、知人からは「責任感が強く、自分なりの考えを持っていた」と評されていた。
その一方で、こうした凶行に及んでいたという落差が事件の衝撃を一層深めている。
事件の経緯
3月下旬、由衣さんと連絡が取れなくなったことを不審に思った関係者が警察に相談。4月24日の任意聴取で鈴木容疑者が「焼却炉で遺体を燃やした」と供述し、捜査が本格化した。4月30日に死体損壊容疑で逮捕、旭川地検は5月21日に同罪で起訴した。道警は殺人容疑でも捜査を進め、5月22日に殺人の疑いで再逮捕した。
遺体そのものは発見されていないが、焼却炉からは複数の人骨とみられるものが押収されており、DNA鑑定が進められている。
今後の焦点
捜査本部は、スマートフォン破壊による証拠隠滅の有無、「残らないように燃やし尽くしてやる」という発言が示す犯行前からの計画性、そして「異性関係を疑われた」という動機の詳細について引き続き調べを進める方針だ。遺体が発見されない中での立証作業が続いており、遺骨のDNA鑑定や防犯カメラ映像、各種供述の積み上げが裁判の行方を左右することになる。



