
「コンサルティングを民主化する」というスローガンを掲げ、質の高い経営支援を提供するエクイティ・コンサルティング・グループ株式会社。大企業だけでなく、あらゆる企業へプロフェッショナルの知見を開放し、事業会社の一員のように現場に入り込んで成果創出まで伴走する「実行型」のスタイルで支持を集めている。
「コンサル業界のあり方を根本から変えたい」という思いのもと大きな変革に挑む、代表取締役・中川晃太氏。キャリアや創業の背景、未来を見据えた思いに迫る。
最高品質・最適価格。コンサルの常識を覆すアプローチ
エクイティ・コンサルティング・グループ株式会社は、2025年1月に設立されたコンサルティングファームだ。経営コンサルティングを中心に、新規事業開発、事業再生、AI導入など幅広く対応。さらに自社開発のAIシステムも活用し、企業の多様な経営課題に対して一気通貫の支援を提供している。
同社には、他社にはない大きな強みと特徴がある。
まず象徴的なのが「BIG4プログラム」だ。Deloitte、EY、PwC、KPMGからなる「BIG4」と称される世界的な会計事務所群での実務経験を持つコンサルタントのみでチームを組んで支援を提供している。多様な業界での経験と知見をもとに、最高品質の価値を届けている。
そして、提案だけで終わらない「実行型コンサルティング」だ。一般的なコンサルファームでは戦略提案で終わるケースも少なくないが、同社はクライアント企業の一員のような形で現場に入り込み、外部パートナーも動かしながら成果創出まで伴走する。
「私たちのアプローチは、世間がイメージするコンサルタント像とは全く違うと思います。単なる知識の提供ではなく、シナリオプランの作成から、それを実行するフェーズまでお客様と一緒に行います。
何よりも成果が出なければ意味がないので、“請け負う”ではなく、“仲間が増えた”と感じていただけるよう、そこの社員になったつもりでお客様と同じ目線に立って物事を考える。そして、高い生産性と熱量を持ち、インテリジェンスとパッションを掛け合わせて強力にお客様を引っ張っていく。それが私たちの仕事です」(中川氏)
問題解決ファーストで、現場に密着してクライアントの課題解決に取り組む。この姿勢こそ、同社が選ばれる理由だ。実際、他のコンサルティングファームに依頼したものの、「コストパフォーマンスが合わなかった」「結局課題が解決されなかった」といった企業に刺さることが多いという。

そんな同社のスローガンは「コンサルティングを民主化する」。従来のコンサルティングは多大な工数と高額な報酬がネックとなり、多くの企業にとって“高級品”だった。一部の大企業しか享受できなかった高度な知見を、日本企業の99%を占める中小・中堅企業へも開放していく考えだ。
「まずは、コンサルタントの思考プロセスやノウハウを全て伝えたいと考えています。そうしたスキルは限られた人にしか使えないと思われがちですが、実際は“慣れ”の問題でもあります。とはいえ、いきなり実践するのは難しい。そこで、AIを活用しながら、自社でもプロと同等のアウトプットを出せる状態にしたい。このような状態を私たちは『民主化』と呼んでおり、そのサポートをするのが我々の使命だと考えています」(中川氏)
この構想を実現するため、独自のLLMプロダクト「Strategy AI」を開発。議論の内容をデータベース化して潜在的な悩みを言語化し、分析業務や戦略構築を効率化することで、より高次元な意思決定の議論にリソースを集中することを可能にした。また、従来のコンサルファームに見られるパートナー制度を廃止することで、不要なコストを削減。より多くの企業へ、最適な価格で最高のサービスを届けることを目指している。その先に見据える未来について、中川氏は次のように語る。
「コンサルティング業界は一兆円市場と言われています。適正価格でコンサルティングを受けられるようになれば、これまで企業が費やしていた予算に余剰が生まれます。これからの時代、そのお金は、外部の視点で気づきを与え、理解・共感してくれるカウンセラーのような、本質的に企業を支えるものに使われるようになると思うのです。
今、企業にとって、ポジショントークや余計なコストを抜きにいつでも相談に乗ってくれる相手がいないんですよね。企業が生き残っていくために必要なピースは、本来そういうところにあるはずです。頼れる存在によって心理的安全性が高まれば、生産性やクリエイティビティが向上し、結果として会社自体も業績も必ず良くなっていく。そのためにお金が使われ、経済や価値が循環する状態を作りたいと考えています」(中川氏)
従来のコンサルティング業界を「このままでいいのか」と問い直す中川氏。今、コンサルティングの新たなあり方と付加価値を見出している。

「ChatGPT元年」の危機感から独立へ
中川氏は大学時代、九州大学で経済工学を学んでいた。「IT」という言葉が世間に広まり始めた当時、その領域がこれから拡大する可能性があると感じた中川氏は、新卒で日産自動車に入社。情報システム部に配属され、プログラミングやプロジェクトマネジメント、さらにはインドでの業務なども経験した。
その後、「この経験や知識をどう価値に変えていくか」を考えた中川氏は、台頭し始めていたデジタルマーケティングの領域に目を向け、本社DX部への異動を希望する。マーケティングを中心にビジネスレイヤーの業務に携わり、当時のCMOの直下で約2年間経験を積んだ。
その実績が評価され、経営企画部へ異動。CEOの近くで業務に従事し順調にキャリアを積んでいたが、そんな折にカルロス・ゴーン元会長を巡る騒動が起きる。
「案件も予算も完全に凍結されてしまいました。1、2年で収まる話でないことは見えており、当時29歳で『これからのキャリアを火消しだけで終わらせるのか』と悩みました」(中川氏)
葛藤の末、転職を決意した中川氏。仕事で協働していたコンサルタントの働き方を見て興味を持ち、コンサルティング業界へ転身。デロイト トーマツ コンサルティング合同会社の経営戦略部門「Monitor Deloitte」へ入社した。入社後はグローバル企業からスタートアップまで、多岐にわたるプロジェクトをリードし、戦略設計、M&A、デジタル変革支援で成果を出していた。
多くの経営者と接するうちに、自分自身も経営の現場に立って挑戦したいという思いが強くなったという中川氏。さらに、ファームの経営に携わるキャリアが見えていた中で「現場でのクライアントワークから離れるのか」という葛藤も抱えていたという。
そんな中、2023年に“ChatGPT元年”が訪れる。生成AIの爆発的な普及を目の当たりにし、これまでのコンサルティングの価値が根本から覆されるのではないかという強い危機感を抱いた。
「生成AIがここまで台頭してくるとは思いもしませんでした。これではコンサルの仕事が潰れると本気で思いましたね。その危機感が、独立の最終的な決め手になりました」(中川氏)
こうして30代で独立を決意し、2025年1月に設立されたのが、エクイティ・コンサルティング・グループ株式会社だ。

担当者の5倍考える。役に立てる存在であるために
——お客様との信頼関係を築くために大切にしていることを教えてください。
中川:相手が求めていることを、誰よりも想像することです。企業の方、特に発注担当者の方は、それなりの志や切実な理由がなければ、そもそもコンサルタントに依頼しません。最後の手段として頼ってくださっている部分もあると思います。ですから、成果を出すためには「なぜコンサルティングに頼らなければならないのか」「依頼するに至った背景は何なのか」を把握し、求めていることを理解することが欠かせないのです。言われたことをやる姿勢では絶対に信頼関係は生まれません。
メンバーにも「その企業のことを、担当者の5倍考えろ」と伝えています。その社員になりきって、自分が担当者だったら何をしたいか、どう思うかを考え抜き、自分なりにその視点で話せば自然と目線が合ってきます。
またAI時代ではありますが、どれだけAIが優れていても、結局はその先にいるプロフェッショナルの存在がサービスの質や価値に如実に反映されると思うのです。だから、感情の理解力や共感を大切にしており、「最も優秀なファーム」ではなく「一番理解してくれてるファーム」と言われることを目指しています。そのためにも、誰よりもその企業のことを考え抜くことがとても大切です。
——仕事柄、もともと経営側の視点はお持ちだったと思いますが、実際にご自身で経営をするようになって感じたことはありましたか。
中川:本当に日々勉強です。コンサルタントが口で言うほど、実際の経営は甘くないと改めて感じています。コンサルタントの視点から見る経営は、どうしてもロジックに偏りがちなんですよね。確かに正しいのかもしれませんが、実際はロジックだけでどうにかならない要素が強いことも多く、それだけで上手くいくとは限りません。
それが前提に考えられていないがゆえに、何も変わらなかった、成果が出なかったということが実はかなりあったと思うんです。でも、それが見過ごされてここまで来ていて、価値が循環していないように感じています。それが日本にとって相当不利益なのではないかと、本気で思っています。
今のコンサルティングファームを否定したいのではなく、この業界にさらなる可能性を感じているからこそ、「コンサルティングは日本の役に立っている存在だ」と思われるようになりたい。そのためには、前提から変えていかなければならないですし、変えていきたいと思っています。

AIと人間は対立しない。役割分担で知のインフラを築く
——生成AIの普及で危機感を感じたとのことですが、AIとの関係性において何が重要だとお考えですか?
中川:「役割分担」の世界だと思っています。重要なのは、人間が価値として残す部分と、AIに任せる部分の線引きを、それぞれの業界でしっかりと定義していくことです。
結局、人とAIは一緒だと思うんですよ。例えば人を雇う時、ほしい役割や経歴をイメージしますよね。それと同じで、AIに対しても「何をしてほしいのか」という要件をきちんと投げる必要があります。何かを誰かに依頼したいから人やAIを雇うわけですから、その分担をするということです。
だから、AIは「共存する」も「使い倒す」も違うと思うのです。人に対してそういう言い方はしませんから。脅威でもなければ、すべてを任せられるものでもない。フラットに、人と同じように接する存在として捉えていればいいと思っています。
――最近、AI関連で新たなサービスの提供を開始されたそうですね。
中川:「Procjet AI(仮)」を開発し、4月より提供を開始しました。まさに、コンサルタントとAIの融合をサービスとして形にしたものです。
このサービスでは、人間とAIがペアになってコンサルタントとして対応する仕組みとなっています。例えば、お客様がチャットでボタンを押すと専属のコンサルタントに通知が届き、その場に入ってAIに指示を出します。そしてAIに作業をしてもらった上で、コンサルタントがレビューをしてお客様に成果物を渡す。このように人間が間に入ることでクオリティを担保しながら、より早く質の高いサービスを提供します。これはプロがいるからこそ実現できる融合だと考えています。
また、開発においては「AIをどれだけ人間化できるか」にこだわりました。従来のLLMは壁打ち相手としては非常に優秀ですが、話し相手となると少し違うと思っていて。人によって好む話し方も違いますし、ロジカルな対応を好む人もいれば、強く共感してほしい人もいます。私たちのマインドをAIにしっかりと実装したうえで、そのようなパーソナリティのチューニングをし、さらに頼れる存在となれることを目指しています。
——最後に、今後の展望をお聞かせください。
中川:「ECGスタンダード」という構想を描いており、大手企業だけでなく、中小企業も含めて、“知”のインフラを作りたいと考えています。
現在、フレームワークや考え方などの“知”は、コンサルティング企業が独占してしまっています。でも、本来はそういうものではなく、クオリティが担保された状態で、誰かが事業として体系的に知を広めていく必要があると思うのです。ただ構造上、今はそれがコンサルファームにしかできず、そこに集まってしまっている状態です。
私は、そこにAIを活用することでその知を広く浸透させ、「知のインフラ」として整えたいと考えています。そして、AIと人間の対立構造ではなく、AIと役割を持ち合いながらシナジーを生み出していく社会にしたい。私たちがきっかけでなくても構わないので、それが当たり前の社会になってほしいと思っています。
◎企業情報
会社名:エクイティ・コンサルティング・グループ株式会社(Equity Consulting Group Inc.)
所在地:東京都中央区八重洲1-6-1 TOFROM YAESU TOWER 41F
設立:2025年1月
代表者:代表取締役 中川 晃太
URL:https://www.ecgjapan.com/
◎インタビュイー
中川 晃太
デロイトトーマツコンサルティング出身。戦略・M&A領域で経験を積み、独立後はエクイティ・コンサルティング・グループを設立。実行責任まで担う経営変革支援を推進。



