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ギリシャが15歳未満SNS禁止へ(2027年) SNS依存の原因とアテンションエコノミー、日本はどうなる?

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SNS
PhotoACより

夜、家の灯りが落ちたあとも、部屋の一角だけが青白く光っている。
指先で画面を滑らせるたびに、新しい動画、新しい刺激が流れ込む。止めようと思っても、なぜか止められない。

その「やめられなさ」に、ついに国家が介入し始めた。

 

 

ギリシャが踏み込んだ「禁止」という一線

キリアコス・ミツォタキス首相は2026年4月8日、15歳未満のSNS利用を2027年1月から禁止すると発表した。ロイターによると、不安の増加や睡眠障害、依存性を誘発するサービス設計が理由とされている。

すでに学校での携帯電話使用を禁じ、スクリーンタイムの制限も進めてきたギリシャ。今回の決断は、その延長線上にある“最終手段”ともいえる。

さらに政府は、EU全体にも同様の規制を広げていく方針を示している。
この動きは、一国の問題では終わらない。

 

世界で広がる「未成年SNS禁止」の波

この流れは、すでに世界に広がっている。

オーストラリアでは16歳未満のSNS利用を禁止する法律が施行され、企業に巨額の罰金を科す仕組みが整備された。
フランスやスペイン、インドネシアも追随している。

背景にあるのは共通した実感だ。
「子ども自身の意思では、もうコントロールできない」

その認識が、政策を動かしている。

 

なぜSNSはやめられないのか——アテンションエコノミーの正体

ここで見落としてはならないのが、SNSのビジネスモデルそのものだ。

SNSは無料で使える。
だが実際に取引されているのは「時間」と「注意」だ。

ユーザーが長く滞在するほど、広告が表示され、収益が増える。
つまり企業にとって重要なのは、「どれだけ長く見続けさせるか」である。

この仕組みは「アテンションエコノミー」と呼ばれる。

特徴は明確だ。

・終わりがない(無限スクロール)
・次の刺激がすぐ提示される
・ユーザーの好みに最適化され続ける

一つの動画を見終える前に、次の動画が始まる。
興味のある内容だけが流れ続ける。

その結果、脳は「次も見たい」という状態を維持し続ける。

これは単なる習慣ではない。
設計された“依存に近い状態”だ。

特に自己制御が未熟な子どもにとって、この構造は極めて強力に作用する。
ギリシャが問題視したのは、まさにこの点だった。

 

規制の矛先は「子ども」ではなく「設計」

今回の政策が象徴的なのは、責任の所在が変わり始めていることだ。

EUのデジタルサービス法に基づき、年齢制限を守らないプラットフォームには最大で売上の6%という制裁が科される可能性がある。

つまり、問題は「使いすぎる子ども」ではない。
「使い続けさせる構造」そのものが問われている。

これは、デジタル社会の価値観が転換し始めていることを示している。

 

日本はなぜ踏み切れないのか

一方、日本は慎重な姿勢を崩していない。

理由は明確だ。
SNSがすでに「生活の一部」になっているからである。

特にLINEは家族や学校、地域との連絡手段として機能しており、単純な禁止は現実的ではない。中学生のSNS利用率は95%に達している。

さらに、日本にはもう一つの側面がある。

SNSが「逃げ場」になっている子どもたちの存在だ。

学校に行けない。
家庭で孤立している。

そうした子どもにとって、SNSは唯一のつながりになることもある。

禁止すれば守れるのか。
それとも、居場所を奪うことになるのか。

日本が踏み切れない理由は、ここにある。

 

規制の「2つの落とし穴」

ただし、規制にも限界はある。

一つは「抜け道」だ。
年齢を偽る、別のサービスに移るなど、完全な制御は難しい。

もう一つは「不可視化」だ。
隠れて利用することで、問題が表面化しにくくなる。

つまり、規制は万能ではない。
むしろ「見えなくするリスク」すら抱えている。

 

「便利さの裏側」をどう設計し直すか

スマートフォンの画面は、時間を奪う装置であると同時に、孤独を埋める装置でもある。

SNSは悪か。
それとも必要なインフラか。

答えは単純ではない。

ただ一つ確かなのは、
「個人の努力だけではコントロールできない領域に入った」という事実だ。

だからこそ、ギリシャは踏み込んだ。
そして今、世界が同じ問いに向き合っている。

日本もまた、選択を迫られている。

禁止するのか。
設計を変えるのか。
あるいは、使い方を教育するのか。

その答えは、これからの社会が決めていくことになる。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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