株式会社新日本リプラスは、SDGsが提唱される10年ほど前の1996年に創業し、プラスチックのマテリアルリサイクルで循環社会を目指している会社です。
同社は毎月1,000トン以上の廃プラスチックを再資源化することで、4,000トン、つまり、25メートルプール4,000個分ものCo2削減に貢献しています。
常務取締役である小場佑二郎さんは、「マテリアルリサイクルは再生原料の品質が重要だ」と語り、同社の高い技術力を世界のリサイクル後進国にも伝えていきたいと考えています。
マテリアルプラスチックのリサイクルに特化し、環境への負荷が少ない「循環型社会」を目指す新日本リプラスの小場さんに、今後の展望について話をうかがいました。
お金をかけて「捨てる」のではなく、リサイクルして「活かす」へ
小場
弊社は廃プラスチックのマテリアルリサイクル業を営んでいます。
具体的には、不要になったコンテナ物流資材やパレットなどをお客さまから買い取り、自社工場でリサイクルし、再生原料にして販売しています。
販売した再生原料は、再度パレットやその他のリサイクル品に再加工されています。
主な取引先は物流会社や倉庫会社などです。ここ数年でリサイクルに対する意識が高まり、不用品をただ廃棄するのではなくリサイクルに回したいと考えるお客様も増えてきています。
比例して、弊社のリサイクル事業に対する共感や関心も高まってきたように感じます。
また、今は「捨てる」ことに対してコストがかかる時代です。不用品をただ捨てれば費用がかかりますが、私たちに売っていただければ、コスト減にもつながるというメリットもあります。
実際に、廃棄せずに御社に不用品を販売すると、どれくらいのコストカットになりますか?
小場
一概にはいえませんが、仮にお客様が不要なプラスチック品を1㎏ 80円で廃棄していたとします。例えば私たちが1kg 10円で買い取らせていただいた場合、この時点で1㎏ 90円のコストカットになります。
それが毎月トラック3台分になれば約10,000㎏、これを廃棄ではなく当社に販売していただければ、毎月90万円程度のコスト削減になるでしょう。
地球規模でSDGsが重視され、廃棄にペナルティが科せられている現在では、リサイクルは環境に優しいだけでなく、コスト削減になるというメリットもあるのです。
回収からリサイクル、再販まで自社で完結する「循環スキーム」
他のリサイクル業者にはない、御社ならではの強みはどんなところでしょうか?
小場
回収からリサイクル加工、加工資源の再販まで完結できることが、弊社の強みです。
弊社ではトラックを拠点ごとに配備しており、ドライバーはフォークリフトの免許も持っています。
自社で回収車を持っていることは、大きな強みです。
たとえば、お客様からすぐに回収に来てほしいといわれたとき、運送会社に回収を委託している業者ですと、調整に時間がかかり、一週間先の日程を指定されることもあります。
しかし弊社は自社で回収できるため、翌日でもご要望の時間にお伺いできるのです。関東や中部地方であれば当日対応も可能です。
お客様のなかには、廃パレットを倉庫の脇に積んでおき、ある程度溜まってから回収を依頼される会社もあります。
しかし、突然の来客があるなど、すぐにでも廃パレットをなんとかしなければならないというケースも、よくあります。
そんなとき、一週間後では間に合いません。弊社なら、「どんなに遅くなってもいいから今日中に来て!」という突然のご要望にも、ある程度柔軟に対応できます。
また、回収した廃プラスチックパレットなどは、自社のリサイクル工場で再生資源に加工し、資源化したチップをまたパレット製造業者へ販売しています。
小場
弊社の再生原料には、再生チップや再生ペレットなどがあります。
これらはリサイクル製品の原材料となるものです。チップは廃プラスチックを細かく粉砕したもので、ペレットは粉砕したチップを成形したものなので、通常ペレットの方が価格が上がります。
リサイクル製品を加工する業者側では、これらの原材料をそのまま機械に流しいれて製品を製造しますので、ある程度成形されたペレット型のものが好まれます。
しかし、弊社の再生チップは異材もなく洗浄・乾燥された良質なものなので、成形されていないチップでもそのまま原材料として使えるのです。
加工業者側でも安く原材料を仕入れられますし、購入するお客様も安全で良質な製品を得られるというよい循環ができるでしょう。
脱炭素社会の実現へ。リサイクルで毎月プール4,000個分のCO2削減に貢献
御社では、どのくらいの量をリサイクルしているのでしょうか?
小場
弊社は、全国で毎月1,000社程度から廃プラスチックを回収しています。量にすると、毎月1,000トンから1,500トン程度にのぼります。
また、自社でリサイクル工場も持っているため、集荷から加工、加工品の販売まで、1日程度で処理が可能です。
廃プラスチックを毎月1,000トン加工して再利用に回すと、どのくらいのCO2削減に繋がるのでしょうか?
小場
そうですね、たとえば、1ヵ月に1,000トンの出荷量がすべてバージン材の代替で使用されたとします。
環境省循環型社会推進室の算出方法によって計算すると、1ヵ月で約4,000トン以上のCO2削減に貢献できていることになります。
小場
想像が難しいかもしれませんが、1トンのCO2はだいたい25mプール1杯分なので、1ヵ月でプール4,000杯ものCO2が削減できたことになります。またこれは、日本人2人分の1年間のCO2排出量とも同じ量です。
リサイクルは、すればするほどCO2削減につながります。
つまり、リプラスのリサイクル料が増えれば増えるほどCO2削減にも繋がり、脱炭素社会の実現が近づくのです。だからこそ、私たちはこの循環スキームを大きくしていきたいと考えています。
「リプラス・ブランド」をリサイクルの代名詞に
小場
弊社は現在、回収、再資源化、販売までしている会社のなかでは、国内トップレベルの回収量、生産量を自負しております。
今後はリサイクル工場の拠点なども増やしつつ、国内ナンバーワンのプラスチックリサイクル業者を目指しています。
また、今後は海外展開にも力を入れていきたいと考えております。現在、マレーシアに現地法人を設立し、プラスチック市場における現地でのマーケティングも展開しております。
世界に目を向けると、まだリサイクルが浸透していない地域や、意識はあっても品質が未熟なところも多くあります。
高品質なリサイクル材料を作ることで、海外ユーザーにも持続型の循環社会を広めていきたいですね。
そして、マテリアルリサイクルの代名詞として「リプラス・ブランド」を世界に広めていきたいという想いもあります。
小場
日本でも数年前と比べてSDGsへの関心が一段と高くなり、リサイクルや再生エネルギーなど、循環型社会への注目が集まっています。
多くの方が、不要になった物がその後正しく再利用されていてほしいと考えているでしょう。
「マテリアルリサイクルといえばリプラス」と思い浮かべていただけるように、品質の高いリサイクル事業を世界中に展開していきたいと思います。
新日本リプラスについては、cokiの他に週刊エコノミストのSDGs最前線というコーナーでも、「物流用パレットのリサイクルでCO₂削減と不法投棄による環境破壊の防止を実現」というテーマで記事を2024年6月10日に取り上げました。
下記から読むことができます。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20240609/se1/00m/020/001000d
◎企業情報
会社名:株式会社新日本リプラス
創業:1996年7月1日
本店所在地:〒116-0014東京都荒川区東日暮里5-41-2 NNビル8F
事業内容:プラスチックリサイクル業
HP:https://sn-replus.co.jp/
お問合せフォーム:https://sn-replus.co.jp/customer/
◎プロフィール
小場 佑二郎(こば ゆうじろう)
株式会社新日本リプラス 常務取締役
2013年4月 株式会社新日本リプラス入社
2017年7月 同社 常務取締役 就任