
2世紀半続く老舗が、余った糸を主役にして仕掛ける新しい風。上品さと地球への配慮を両立させた、いま注目を集めるコレクションの裏側に迫る。
余った糸が主役になる、洗練された新コレクション
1784年の創業以来、極上のニットを世に送り出してきたイギリスの老舗ジョンスメドレーが、新たな境地に踏み出した。今回お披露目されたのは、ブランド初となるディフュージョンラインだ。驚くべきことに、ここで使われているのは過去に倉庫で大切に保管されていた在庫や余剰の糸たち。
質の高い糸を無駄にせず、独自の再生技術で蘇らせてイギリス国内の工場で再び上質なアイテムへと編み上げている。メンズのシルエットをベースにしつつもジェンダーレスに楽しめるデザインで、鮮やかなストライプやスポーティな抜け感が美しく調和した現代的な仕上がりになっている。
もったいないを最高に洗練されたスタイルに変える技術

高級ブランドがサステナビリティに取り組むとき、どうしても堅苦しくなりがちな場面が多い。しかし、このブランドは環境配慮を前面に押し出すのではなく、純粋なデザインの美しさとして表現している。
伝統の職人技で丁寧に仕立てられた生地に、遊び心のあるカラーブロッキングやボックスシルエットを掛け合わせることで、洗練されたカジュアルスタイルを見事に構築している。
過去のストックをただの再利用で終わらせず、現代の感性に響く主役に仕立て上げる手腕はさすがの一言に尽きる。
変わらないために、変わり続けるという美学
240年以上も世界中で愛され続けている理由は、格式に縛られないしなやかさにある。イギリス王室御用達という圧倒的な称号を持ちながら、これまでのやり方に固執せず、時代に合わせた柔軟な変化を楽しんでいる。
地球環境への配慮も、義務感で行うのではなく、より良いものづくりの選択肢として軽やかに取り入れている。自分たちの誇り高いクラフトマンシップを次世代へスマートにつないでいくその姿勢こそが、この老舗の本当の強さと言える。
私たちの仕事や日常がより豊かになるヒント
歴史のある組織ほど、これまでのやり方を変えずに守りに入りやすい傾向がある。
しかし、ジョンスメドレーの歩みを見ていると、長く愛され続ける秘訣は過去にしがみつくことではなく、時代の空気を敏感に感じ取りながら自分たちをアップデートし続けることだと気づかされる。
自分たちの軸を大切に持ちながら、新しい価値観をフットワーク軽く取り入れていく。そうした柔軟で知的な姿勢は、日々の仕事やアイデアを広げるうえで大きなヒントになるはずだ。



