
月経や妊娠・出産、更年期など、女性の身体に関することを「誰にも教えてもらったことがなかった」「もっと早く知りたかった」。株式会社MTBが運営する日本メディカルフェムケアアカデミーには、そんな声が寄せられている。同社が目指すのは、フェムケアを一過性の美容トレンドにせず、女性が自分の身体を知り、周囲もその違いを理解できる“生活の知識”として広げていくことだ。
「もっと早く知りたかった」——自分の身体を学ぶところから始まる
日本メディカルフェムケアアカデミーの受講者や、フェムケアをサロンに導入した人たちから、株式会社MTBには「これまで自分の身体のことなのに、誰にも教えてもらったことがなかった」「もっと早く知りたかった」「娘にも伝えたい」という声が寄せられている。
同社が届けているのは、思春期から妊娠・出産、更年期、シニア期まで、女性が自分の身体を正しく知り、自分らしく健やかに生きるための学びとケアだ。教育の核を担うのは、日本メディカルフェムケアアカデミー校長・間宮美穂。看護師として長年、婦人科・産婦人科などの現場で女性に向き合ってきた知見を、教育へ生かしている。
対象となるのは、一つの年代や一つの悩みに限らない。思春期からシニア期まで、女性のライフステージに沿って身体を知る機会を届けることを事業の一つとしている。受講後、自身の不調への向き合い方が変わるだけでなく、家族や顧客への伝え方が変わった人もいるという。
「娘にも伝えたい」という声も、学んだ知識が本人だけにとどまらないことを示している。MTBは、フェムケアを特別な人だけのものではなく、自分の身体を知り、相手の違いを理解するための「基礎教養」にしていきたいと考えている。
「働く現場」と「女性の身体」、二つの側から見えたもの
MTBが向き合うのは、月経、妊娠・出産、更年期など女性特有の健康課題が、長く「個人が我慢すること」とされ、仕事や生活の選択肢を狭めてきたという問題である。
代表取締役の岩口俊介は、約20年間、営業・組織マネジメントに携わる中で、能力ある女性が結婚、出産、体調変化などを契機に離職する場面を数多く見てきた。働く人や組織に接する立場から、女性の健康と仕事の関係を見てきたことになる。
一方、間宮が向き合ってきたのは、医療の現場から見える女性の身体だった。看護師として、病気と診断される前の不調や、医療だけでは届きにくい産前産後の日常ケアに長年携わってきた。
同社は、この「働く現場」と「女性の身体」の両側から見えた課題を事業の原動力としている。身体の正しい知識とケアを届けること、そして管理職を含む職場側の理解を広げること。その双方を社会に実装することで、女性が健康上の理由で可能性を諦めなくてよい環境をつくりたいと考えている。
美容だけに閉じない、「医療と日常の間」のフェムケア
MTBが大切にしているのは、フェムケアを一過性の美容トレンドにしないことだ。同社はフェムケアを、「医療と日常の間」を支える生活の知識として社会に根づかせようとしている。
その考えは、事業の広がりにも表れている。日本メディカルフェムケアアカデミーの運営を軸に、女性の健康に関する教育・人材育成、フェムケアサロン支援、フェムケア機器・化粧品などの企画販売、企業向けの健康経営・女性活躍支援を手がけている。
アカデミーでは専門家を育成し、サロンには施術導入を支援する。企業に対しては研修や相談窓口を届け、商品開発にも取り組む。学ぶ場だけで完結させず、サロンや職場、商品といった異なる接点を通じて、女性の身体に関する知識やケアを届けている。
フェムケアを生活の知識として根づかせるため、教育、人材育成、サロンへの導入、企業での研修や相談、商品という複数の場を持っていることが、現在の事業の形である。
女性だけのテーマにしない。男性管理職にも届く学び
MTBは、フェムケアを女性だけの問題にせず、男女が互いの身体や違いを理解し、尊重し合える社会につなげたいと考えている。その考え方が具体的に表れる場の一つが企業研修だ。
研修では、当初はフェムケアを女性向けのテーマだと考えていた男性管理職から、「部下との接し方や職場づくりを考え直すきっかけになった」という声が寄せられることもある。
企業に届けようとしているのは、女性本人への知識だけではない。管理職を含む職場側にも、女性の身体や健康課題について理解する機会を届けている。女性が自分の身体を知ることと、その周囲が違いを知ることを、別々のものとして扱わない。
女性の健康課題を抱える本人だけに対応を委ねるのではなく、職場側の理解も広げていくことは、MTBが掲げる企業向け健康経営・女性活躍支援の取り組みにも含まれている。
学んだ一人から、家族や顧客、地域へ

フェムケアを学んだことをきっかけに、自身の不調への向き合い方が変わっただけでなく、家族や顧客への伝え方が変わり、新しい仕事として地域で活動を始める人も増えているという。
MTBにとって、フェムケアは商品や施術を販売することだけが目的ではない。一人が正しい知識を得ることで、その人から家族へ、職場へ、地域へと理解が広がっていくことを大切にしている。
学びの後に起きているのは、知識を得た本人の変化だけではない。身近な人へ伝える、顧客への伝え方を変える、新しい仕事として地域で活動するなど、それぞれの立場で知識を届ける動きが生まれている。
同社は、こうした一人から周囲へと理解が広がっていく連鎖を、社会から信頼してもらえている実感であり、事業を続ける大きな力として受け止めている。
「我慢する」「言いづらい」が当たり前ではない社会へ
MTBが5年後、10年後に描くのは、女性特有の健康課題について「我慢する」「言いづらい」が当たり前ではなく、家庭でも学校でも職場でも、正しい知識を自然に学び、相談できる社会である。
そのために、フェムケアを美容領域だけに閉じず、教育、医療・産後ケア、地域、企業の健康経営・女性活躍支援へと接続していく。全国各地に正しい知識とケアを届けられる人材と拠点を増やし、企業では「ココロとカラダの職場保健室」などを通じて、女性の健康課題を経営課題として支える仕組みを広げていく考えだ。
目指すのは、女性がライフステージの変化によって夢やキャリアを諦めず、男性も女性の身体を理解し、互いに尊重しながら力を発揮できる社会だ。医療現場で積み重ねられてきた知見と、サロンや企業の現場で聞いてきた声を大切にしながら、一つひとつ社会に実装していくとしている。
その未来に向け、同社は企業、医療・美容関係者、地域の人々と、立場を越えて一緒に取り組んでいきたいとしている。家庭、学校、職場で身体について正しく学び、相談できることを特別なものにせず、男女が互いを尊重し、それぞれが自分らしく働き、生きられる社会へつなげていくことが、MTBの描くこれからである。



