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日本システム企画株式会社

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海流を利用した新発電システム”Kグリーンエナジー”が日本のエネルギー問題を救う

サステナブルな取り組み SDGsの取り組み
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熊野活行さん
日本システム企画株式会社 代表取締役社長 熊野活行(画像提供:日本システム企画株式会社)

日本のエネルギー自給率は低い。世界有数のエネルギー消費大国であるにもかかわらず、2019年度の自給率は12.1%と、OECD36カ国中35位である。

輸入頼みの日本にとって、ロシアのウクライナ侵攻や、新型コロナウイルスの沈静化に伴うエネルギー需要の急増による石油や天然ガスの価格高騰は死活問題だ。

そんな逼迫した状況を変えるべく新発電システムの実現に力を注ぐのが、日本システム企画株式会社(以下:日本システム企画)代表取締役社長の熊野活行氏である。

配管の赤錆防止装置など独自開発した画期的な製品によって業界にインパクトを与え続けてきた熊野氏は、2009年から海流発電に着目。

欧米諸国が数十年に渡って心血を注ぐも難航してきた分野において、数々の実証試験を成功させてきた。2021年には開発部門を分社化し、事業会社「Kグリーンエナジー」を設立。

海洋での試験や実用化の道を着々と進めている。今回は熊野氏に、日本が抱えるエネルギー問題や、救世主として注目される海流発電について伺った。

日本は潜在的な「海洋エネルギー資源大国」である

ー日本で採用されている発電方法には原子力発電を中心に、火力発電、水力発電、風力発電、バイオマス発電などがありますが、なぜ「海流発電」に注目されたのでしょう?

数あるクリーンエネルギーのなかでも、海流発電は膨大なエネルギー源となる可能性を秘めているからです。順を追って説明しましょう。エネルギーを軸に社会を振り返ると、19世紀は石炭の時代でした。

イギリスで産業革命が起こり、蒸気機関が発明されたことで、生産性は飛躍的に向上しました。19世紀後半になると、世界最大の産油国アメリカを中心に石油産業が瞬く間に巨大化します。

便利で安価な石油化学製品が次々と生まれ、人類は史上最大の経済成長を経験しました。

このように19世紀、20世紀の経済発展を支えた石炭や石油などの化石燃料は、元を辿れば太陽エネルギーに行き着きます。

なぜなら化石燃料は数億年前の植物由来からできたものであり、植物は水と炭酸ガスと太陽の光のエネルギーから作られたからです。

つまり、化石燃料は太陽エネルギーを数億年分積み立てた貯金のようなものといえます。この貴重な貯金をひたすら消費して達成したのが過去の経済発展でした。

その結果、大気中の CO2 ガス濃度が上がり、私たちは深刻な地球温暖化に悩まされています。

そのため21世紀は、過去の太陽エネルギーの蓄積(化石燃料)を使い続けて有限資源を枯渇させるのではなく、フローの太陽エネルギーと地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーを上手に活用しなければいけません。

ーそれが再生可能エネルギーと言われるものですね。

そうです。再生可能エネルギーには、1年間に太陽が地球に与えるエネルギーによって成長する植物を燃料に変えるバイオマスエネルギーや、太陽エネルギーそのものを電気エネルギーに変える太陽光発電、太陽の熱分布が異なることにより発生する風を利用した風力発電、太陽エネルギーが海面を温め蒸発した水分が雨となり、その雨によって発生した水の位置エネルギーを利用した水力発電などがあります。

これらも化石燃料と同様に太陽エネルギーを源にしていますが、蓄積された太陽エネルギーの消費と異なり、「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」という特徴を持っています。

私たちは地球温暖化を防ぐためにも、こうした再生可能エネルギーを最大限に活用していかなければなりません。

しかし、残念なことに現在人類が活用できているのは、地球に注ぐ太陽エネルギーのわずか30%に過ぎません。この30%とは地上に降り注ぐ分であり、大部分の70%は海洋に注がれています。

絶えず温度差で海水の移動や運動が起こる海洋には膨大なエネルギーがあるにもかかわらず、ほとんど活用されていないのが現状です。

太陽エネルギー

ー私たちは貴重な太陽エネルギーを随分と無駄にしています。

ですから海流エネルギーを使いましょうと訴えているのです。

海水の質量は空気の最大 796 倍ですから、同じ設置面積の場合、風力に比べて発電量が大きいうえ、風力発電に比べると設置可能場所がはるかに広いというメリットがあります。

また、海流は昼夜や季節による流れの速さや向きの変動が少なく、24 時間 365 日休みなく発電が可能という点で、太陽光発電や風力発電に比べて常に安定的な発電が期待できます。

幸運なことに日本はメキシコ湾流とともに「世界の2大海流」と評されるほど強いエネルギーを持つ黒潮を有しています。

黒潮を活用できれば化石燃料の輸入を減少させられ、日本のエネルギー自給率を向上させることが期待できます。

そう考えると、意外に思われるかもしれませんが、日本は潜在的な海洋エネルギー資源大国なのです。

日本が抱えるエネルギー問題を解決したいという思いから、13年前に日本システム企画では海流(黒潮)発電システムに着手し始めました。

そして2021年に研究・開発部門を分社化させて「Kグリーンエナジー」を設立し、実用化への準備を進めています。

Kグリーンエナジーの”K”は、Kairyu(海流)と Kuroshio(黒潮)という私たちの希望を現しています。

“定説”に縛られ海流発電は30年近く難航していた

ー海流発電には多くのメリットがあることはわかったのですが、同時に問題点などもあるのでしょうか?

設置場所や、設備の強度と耐久性、海洋生物への影響などは、実用化にあたって今後検討すべき課題です。

私たちは海流発電だけが素晴らしいと言いたいわけではなく、多くの人に海流発電が持つ可能性を知らせることで、興味を持っていただきたいのです。

海流発電は、欧米を中心に世界各地で研究が30年近く精力的に進められているものの、なかなか実現に至らなかったため、他の再生可能エネルギーに比べると認知度は高くありません。

今後Kグリーンエナジーでは海流発電の実用化に向けて各機関と連携をとることを急務としているので、これを機に関心を持っていただけると嬉しく思います。

ー世界各地で30年近く研究されていたにもかかわらず、海流発電の実用化が難航していたのはなぜなのでしょう?

海流発電は流体力学という学問を基盤に研究が行われてきました。研究がうまくいかなかった理由は、多くの人たちが流体力学の定説に縛られてきたからだと思います。

その定説とは、「液体も気体も自由に変形できるという特徴を有する同じ流体であるのだから、発電方法も同様であるべき」という考えです。

気体を使う発電方法、つまり風力発電では、丘の上に 20或いは30mほどの塔を立ててプロペラを回せば、最大流速でプロペラの回転運動を電気に変換することが可能です。

このやり方を液体、つまり海流発電でも踏襲してみるとどうなるか。韓国が海底近くにプロペラを設置して実験したところ、十分な発電量を得ることはできませんでした。

理由はシンプルで、海底では流れはほとんど止まっているので、流速の3乗に比例する発電量は極めて低かったためです。海流は表面では活発に動くものの、海底に近づくほど動きは無くなります。

海流の流速が早い海域は、水深がどんなに浅い場所でも最低500mの深さになります。東京タワーより高い塔を海中に建設し、その高さに見合う大きさのプロペラを設置するのは現実的ではありません。

米国のフロリダ海洋大学では、活発な流れのある場所にプロペラを設置する研究を20年間ほど続けていますが、思うような結果は得られていないようです。

海底に置いたアンカーから、飛行機の羽根の形状をした基体につけた巨大なプロペラを係留させる方式も、流れが速い場所ではプロペラが安定せず上手くいきませんでした。

その後も様々な方法が試みられましたが、どれも満足な結果は出せず、開発者たちは長年頭を悩ませてきました。

ーそれもこれも、「風力発電と同様の方式を用いるのが良い」という定説に縛られているからということですね。

そうです。世界の様々な実例を研究した結果、流体力学の定説に縛られるとうまくいかないとわかったので、私たちはプロペラを使わない方式を考えました。それが水車を利用した方法です。

川などに設置してある水車の羽根は、一定方向に流れる水の圧力と速度を利用し、帰りは空気中なので回転しますが、海中では水の流れに対し、行きと帰りは同じ速度で反対方向ですから水車を設置しても上手く回りません。

それを私たちは特殊な技術を用いることで回転させることに成功し、水車羽根型発電装置として特許を取得しました。

また、先ほど申し上げた、海底に置いたアンカーから発電装置を係留すると不安定になってしまう問題も、簡単に言えば上下から引っ張る仕組みを開発することで解決することができました。

可変型発電装置の図
可変型発電装置の図(画像提供:日本システム企画株式会社)

このように独自のアイデアで様々な技術的課題を克服したことで、比較的安価に海流発電装置を海底から係留させる目処がつき、2009年からは実証実験に取り掛かることができました。

荒川上流での試験や、流速の増加を確かめる試験、発電効率を向上させる試験など、数多くのトライアンドエラーの結果、2014年に理論値で37%の発電量という高発電効率を達成することができたのです。

これでようやく実際の黒潮海流での発電実験を実施する段階にくることができました。黒潮海流での実験で良い結果が出さえすれば、実用化に向けて投資を呼びかけることができます。

ここが正念場ですから、気合が入ります。

実用に向けて数々の実験試験
実用に向けて数々の試験を行いました。(画像提供:日本システム企画株式会社)

社会に変な人が私1人くらいいても良いでしょう

ー2009年から開発を始めてはや13年、黒潮海流での実験に期待がかかりますね。13年の歴史のうち、困難も多数経験されたかと思いますが、なぜ開発を継続することができたのでしょう?

その理由は、そもそも私たちが海流発電の開発を始めた理由に関係があります。日本には「油断大敵」という言葉がありますが、油を断つと本当に大変なことが起こります。

限られた石油資源を奪い合うことで、どれほどの戦争や格差や社会不安が生じたことでしょう。

日本が第二次世界大戦に参戦しなければ、今頃もっと良い国になっていたのではないか?と思わずにはいられません。

「衣食足りて礼節を知る」といいますが、生活の源であるエネルギーが不足すれば、再び過ちを犯す危険があります。

エネルギーの安定供給は、国家の繁栄の基盤であるだけでなく、日本が将来誤った方向に進むことを押し止める抑止力になります。

資源小国といわれる日本ですが、実は世界第6位の排他的経済水域と世界2大海流の黒潮を有する潜在的な海洋エネルギー資源大国です。

海流発電を実用化できれば、産油国への依存も環境破壊の程度も大幅に減少することが期待できるうえ、今後何が起こっても私たちは正しい方向に進めるという余裕が生まれます。

日本の将来を考えるうえで非常に意義深い挑戦だと思ったので、海流発電の開発を始めました。

ーKグリーンエナジー設立し、海流発電の実用化に着手した背景には、日本の未来に対する危機感があったのですね。

今から35年前に日本システム企画を設立したときも、「このままいけば日本はいつかおかしくなる」という危機感がありました。

当時は昭和63年6月、ちょうどバブルがはじける直前で、「東京都23区の土地価格でアメリカ全土が買える」と言われた時代です。

本業を捨てて財テクに走る、利益を出すためなら何でもするという企業がまかり通っていました。いつか大きなしっぺ返しが来ると思っていましたが、その通りでしたね。

ー確かに、日本は1人当りのGDPで韓国に抜かれ、(相対的)貧困率は先進国の中では一際高いのが現状です。

そうなっている理由のひとつは、「事業そのものが社会貢献であり、利益はその手段である」という企業の本来の姿が忘れられていたからです。

酷い有様を間近で見たからこそ、社会貢献にならない仕事はしないと心に決めて、日本システム企画を設立しました。

ー設立当初の軸がぶれない理由はどこにあるのでしょう?様々な葛藤や軋轢もあったかと思うのですが。

Kグリーンエナジーで海流発電を提唱したときも、日本システム企画の主力製品で防錆効果を持つ「NMRパイプテクター」を世に出したときも、多方面から反発の声があがりました。

従来とは異なる新しい価値を生み出そうとしているのですから、ある程度は仕方ありません。簡単には受け入れられなかったり、否定したくなったりする事情があるのでしょう。

このように確かに苦労も多かったのですが、私はあまり気にしていないので軸はぶれませんでした。「社会に変な人が1人くらいいてもいいでしょう」と思って自分の信じる道を進むだけです。

それに、人の役に立つものは時期が来ればきちんと理解されます。現に円安の今だからこそ、エネルギーを輸入に頼る危険性が世の中に広まり、エネルギー自給の重要性が見直されています。

今後Kグリーンエナジーとしては、海流発電の実現化に向けて皆さんに協力を募っていきたいと思っているので、エネルギーへの関心度が高い今は格好のタイミングです。

ーなるほど。今後はどのような展開をお考えですか?

兎にも角にも、実証ですね。今まで開発は自社だけで行ってきましたが、海流発電は社会性の高い取り組みなので、今後はよりオープンな姿勢で実用化に向けたアクションを進めていきたいです。

パートナシップ形成のためのアプローチをかけている最中なので、ご協力いただけますと非常に嬉しく思います。

どの国も企業も「地球温暖化防止、CO2排出量削減」と声高にうたっていますが、実際に問題を解決できる素晴らしい策を持っているケースは多くありません。

しかし、私たちには海流エネルギーを利用するという具体的な策があります。今後の動向にぜひ注目してくださると嬉しいです。

◎プロフィール
熊野活行(くまの・かつゆき)氏
1949年、東京都出身。東京理科大学工学部工業化学科卒業後、大日本印刷株式会社入社。1988年日本システム企画株式会社・日本ヘルス食品株式会社(現日本ヘルスケア株式会社前身)を設立し代表取締役社長に就任、現在に至る。日本モンゴル友好交流協会と日本ミャンマー友好交流協会の両会長を務める。

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