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サステナブルファイナンスとは?ESG投資、グリーンファイナンスとの違いも解説!

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地球規模の気候変動の解決に向けたグリーンファイナンスの潮流、SDGs金融やESG投資の拡大、エシカル消費の浸透など、私たちは消費、事業活動、投資といった「金融」を通じて、地球規模の課題から地域の社会問題の解決まで幅広い領域で貢献することができます。こうした持続可能な社会づくりのための金融の仕組みが「サステナブルファイナンス」です。

財務諸表ではわからない本当の企業価値がサステナビリティレポートなどで可視化されていれば、社会課題の解決や環境に配慮する「応援したい企業や団体」への投資を推進したり、将来リスクにつながる環境影響や人権などの「社会的責任を遵守する取引先を選定」するなど企業のリスク対策にもつながります。

今回は、ポストコロナ時代の金融システム「サステナブルファイナンス」について解説します。SDGs金融・ESG投資・グリーンファイナンスとの違い、サステナブルファイナンスの仕組みと種類、事例も紹介しますので、資金調達や投資の際の参考にしていただければ幸いです。

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サステナブルファイナンスとは?

サステナブル

サステナブルファイナンスとは、持続可能な社会と地球を実現するための金融の仕組みです。金融庁は「持続可能な経済社会システムを支えるインフラ」と定義しています。つまり、環境問題や社会問題の解決に資する金融システムということになります。

サステナブルファイナンスの重要性の高まりとESG投資資金の推移

出典:経済産業省「サステナブルファイナンス推進の取り組み」より

持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の採択等により、グローバル社会において持続可能な社会づくりの潮流が加速する一方で、近年、過度な企業の利益追求による地球環境への影響、労働環境や人権問題などの社会課題、企業の不祥事などの問題がクローズアップされました。

近年は、アフターコロナを見据えたグリーン投資の潮流企業の情報開示にサステナビリティレポートの義務化なども追い風に、今や株式市場はESG(環境、社会、ガバナンス)投資が主流となっています。

以前より、こうしたESG課題を解決する新たなお金の流れを生み出すための投資を推進しようと始まったのがPRI(責任投資原則)です。2006年に国際連合のアナン事務総長が提唱した、「機関投資家の意思決定プロセスにESG課題を反映させるべき」というガイドラインです。2022年現在で4,000以上の投資家や運用期間が賛同しています。

このように、金融機関や投資家がわかりやすい企業評価指標である「利益」のみに着目して融資や投資をするのではなく、社会をより良くするESGの視点を重視して、社会問題解決につながる取り組みであることを評価して融資や投資をする取り組み、その活動を支えるインフラが「サステナブルファイナンス」です。

サステナブルファイナンスが注目される理由

サステナブルファイナンスが注目される理由

出典:経済産業省「通商白書2022」より

サステナブルファイナンスは、SDGsやESGなどの持続可能な社会づくりのメガトレンドを「金融」の力で促進させる働きがあります。国や自治体が積極的に推進するのは、持続可能な社会づくりがグローバル社会から地域社会までの一貫性のある政策課題のコンセンサスになった影響も大きく、企業においては、自社のSX(サステナブル・トランスフォーメーション)を加速させるための原資にすることができます。

経済産業省の通商白書2022では、図で示したように、世界的にサステナブルファイナンスが増加しています。特に米国では顕著であり、日本でも増加傾向にあります。

地方銀行も地域の中堅中小企業向けの投資・融資もサステナブルファイナンスの枠組みで推進する動きが拡大しています。

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金融庁のサステナブルファイナンスの取り組み資料(有識者会議報告書)

出典:金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議第二次報告書」より

金融庁も「サステナブルファイナンスの取り組み」として有識者会議を立上げ、サステナブルファイナンス推進に係る方針を策定して積極的に推進しており、今後、日本でもさらなる拡大が期待されます。

サステナブルファイナンスの仕組み

サステナブルファイナンスの仕組みの図解

出典:一般社団法人全国銀行協会「サステナブルファイナンスの仕組みを知ろう」より

サステナブルファイナンスの仕組みは、全国銀行協会のホームページにわかりやすく掲載されていましたのでご紹介します。

企業は、銀行などの金融機関や投資家からの融資や投資を受けて事業活動を行っています。

金融機関は、個人等から集めた預金を元手に、企業などへの融資を行っていますが、預金の使い道は限定されていませんので、どのような企業の融資に充てられるかはわかりません。

しかし、その金融機関が、ESGを重視した企業へのサステナブルファイナンスによって融資をすれば、例えば、二酸化炭素CO2の削減、人権やジェンダーに配慮した企業活動、生物多様性など自然保護につながる活動を行っている企業の資金として活用されることになります。

また、個人が投資家として、ESGを重視した企業活動を行っている企業や団体が発行するESG債券やESGファンドを購入したり、株主として企業との対話を通じて経営に参画すれば、直接的に持続可能な社会づくりにつながります。

企業は社会からヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を預かり、事業活動を行い利益を生み出します。その利益を、従業員、取引先、金融機関、株主、国や自治体などのステークホルダーに労働・役務・投融資・公的インフラなどの対価として還元する活動を行い、社会に利益が再分配されていきます。企業は社会のエコシステムとしての役割があり、地域、国、グローバルなスケールで生態系を形成しています。地球の裏側で働く人たちの暮らしや企業活動にも密接に関わり合っているのです。

銀行などの金融機関は一般の方にはやや遠い存在かもしれませんが、じつは私たちの「お金」は銀行などを通じて、地球環境や社会問題の解決の一助として活用されているのです。

ESG投資・SDGs金融との違いは?

サステナブル企業のSDGs取り組み事例55選+

SDGsは、サステナブル・ディベロップメント・ゴールズの略。国連が提唱する「持続可能な開発目標」で17のゴールがあります。個人・企業・自治体・国など、すべての人類が目指すべき共通の目標です。

「SDGs金融」は、持続可能な開発目標の達成に向けた挑戦的な取り組みを評価して債券に投資したり、融資するものです。

ESGは、持続可能な社会づくりに向けた企業の取り組みです。E:環境、S:社会、G:企業統治(ガバナンス)の略で、環境問題、社会問題、企業統治、企業戦略、想定されるリスクへの対策などの具体的な取り組み(戦略と行動指針)となるものです。

「ESG投資」とは、投資家や金融機関が、企業のESGの取り組みを重視して投資・融資を行うことを意味します。

サステナブルファイナンスは、金融庁は「持続可能な経済社会システムを支えるインフラ」と定義しています。つまり、環境問題や社会問題の解決に資する金融システムということになります。

つまり、これらの違いや関係性をまとめると、

・SDGsは、人類が目指すべき持続可能な社会の姿に向けた共通の目標(目的)
 →SDGs金融は、企業がSDGsの達成に向けた挑戦的な取り組みを評価して投資や融資を行うこと
・ESGは、持続可能な社会づくりにつながる企業別の戦略的なアクションプラン(手段)

 →ESG投資は、企業のESGを重視した企業活動を評価した投資を行うこと
・サステナブルファイナンスは、持続可能な社会づくりを支える金融システム(インフラ)

と言えるでしょう。

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グリーンファイナンスとの違いは?

グリーントランスフォーメーション

グリーンファイナンスとは、気候変動や地球温暖化対策および再生可能エネルギー等の環境分野の企業や団体の取り組みに特化した資金調達の融資(グリーンローン)や債券(グリーンボンド)です。主にESGのE(環境)にフォーカスしたファイナンス手法です。

サステナブルファイナンスは、ESGのE(環境)のみならず、S(社会)、G(ガバナンス)も重視したさまざまな投資や融資の手法の総称であり、それらを支える金融システムです。

グリーンファイナンスは、サステナブルファイナンスの一要素と言えます。

サステナブルファイナンスの種類

地方自治体によるSDGs認定・認証制度一覧マップ

サステナブルファイナンスには、以下のような種類があります。

グリーン預金

環境配慮や環境改善のための事業に資金使途を限定した預金です。特に、環境分野、再生可能エネルギーなどの分野のファイナンスに活用されます。

サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)

気候変動への取り組みと融資条件を連動させるものです。企業が設定した二酸化炭素排出量の削減目標やSDGsやESG戦略に合致する目標の達成に応じて金利などが変動する融資です。メガバンクや地方銀行などの地域金融機関がグリーン投資や社会課題の解決を目指す企業への融資や債券発行のサポートしています。

グリーンローン

グリーンプロジェクトに資金を供給するものです。資金使途が環境プロジェクトに限定されるため、確実に追跡(トレース)され、事業活動がレポーティングされます。透明性が重要ですので、借り手と貸し手の信頼関係を高めることができます。

SDGs債

グリーンファイナンスやサステナブルファイナンスに特化して発行される債券です。グリーンボンド(資金使途が環境配慮・改善を目的としたプロジェクトに限定される)、ソーシャルボンド(資金使途が社会課題の解決のためのプロジェクトに限定される)、サステナビリティボンド(資金使途は限定されないが、事前に設定した目標達成を目指すもの)があります。

ESG投資

株式に投資する際に、ESGを重視した判断を行うものです。ネガティブスクリーニング、ポジティブスクリーニング、国際規範スクリーニング、ESGインテグレーション、サステナブルテーマ投資、インパクト投資、エンゲージメント・議決権行使などの方法があります。

サステナブル認証制度・補助金

環境・社会問題の解決のための事業や人への投資を促進するための国や公的機関の認証制度や補助金、地方自治体のSDGs金融のための審査に使用されるチェックリストなどを活用することで、サステナブルファイナンスをより効果的に活用することができます。

例えば、自治体や金融機関からのSDGs融資を受ける際にSDGs認証を取得すると、自治体や金融機関からの融資や補助金の申請時の加点や優遇が受けやすくなるメリットがあります。

融資や投資は金利や配当の支払いが必要ですが、原則「返済不要」の補助金は、「利益」に相当するキャッシュフロー改善に直結しますので、キャッシュフロー改善に有効活用できますので、自社のサステナビリティ・トランスフォーメーションを加速させることができるだけでなく、さらなる財務基盤の強化と、人的資本の増強を実現しやすくなりますので、持続可能な企業体質づくりの原資にすることができます。

自社のサステナビリティ戦略に基づき、積極的に活用することをおすすめします。

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サステナブルファイナンスの事例

サステナブルファイナンスは、ポストコロナ時代のサステナビリティトランスフォーメーションを推進する金融の仕組みとして、メガバンク、地方銀行、信用金庫、信用組合などのさまざまな金融業態が積極的に取り組んでいます。

日本のサステナブルファイナンスの取り組み

一般社団法人全国地方銀行協会「地銀協レポートvol.4地方銀行のサステナブルファイナンスへの取り組み」によると、国内金融機関による「サステナビリティ・リンク・ローン」(気候変動の取り組みと融資条件を連動させる融資)の融資残高は、2019年の550億円から、2021年は3,523億円に拡大しています。また、「グリーンローン」(グリーンプロジェクトに資金を供給する融資)は2017年の157億円から2021年には1,345億円へと急増しています。

世界的なサステナブル経営へのパラダイム転換、日本政府の「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」を実現する政策により、今後も日本の金融機関においてサステナブルファイナンスは増大が予測されています。

地方銀行のサステナブルファイナンスの取り組み

実際に2022年5月に同協会が公表したアンケート結果では、地方銀行62行中32行が「SDGs/ESGを意識した融資方針の策定」を実施、サステナビリティ・リンク・ローンは26行が取り組み済みと回答。実際にどのような取り組みを推進しているのは、本誌では山梨中央銀行に取材させていただきました。

山梨中央銀行のサステナブルファイナンスの取り組み

山梨中央銀行は、中期経営計画「TRANS³(トランスキューブ)2025」において、「サステナブルファイナンス」の投融資額について2021年度の実績715億円に対して、2025年には2,500億円以上へと拡大するという大変意欲的な計画を公表しています。

同行代表取締役専務の古屋賀章さんは「これからの地方銀行は、『ファイナンス機能付き商社』のような存在であるべき。地域企業が社会の変化に適応し続けるために最適なソリューションを提供し、変革に併走していきたい」と本誌に語っています。

驚かされるのは、実際に山梨中央銀行は、地域企業へのサステナブルファイナンス等の資金需要に応えるローンやビジネスマッチングだけでなく、経営環境の変化に対応するために必要な中堅・中小企業のDXやSXの現場に踏み込んだコンサルティングや、ESG経営を推進する二酸化炭素排出量の算出や、サステナブルレポート(広報誌等)の作成支援などの実務サポートまで行っている点です。

銀行がここまでやるのか、という具体的な支援事例が紹介されていますので、詳細はこちらの記事も参照してください。

<関連コラム>地銀がけん引する企業のSX推進。銀行がここまでやるのか、山梨中央銀行3つの変革!

サステナブルファイナンスは、これまでご紹介してきたように、メガバンクから地域金融機関さらには地域の中堅・中小企業の経営にまで日本の地域社会に日々着実に広がっています。地球規模のサステナブル社会の実現は、こうした国内外の産官学金連携による「サステナブルな社会システムの構築」の取り組み、中堅・中小企業のサステナブル経営への「パラダイムシフト」の推進、私たち一人一人の「行動変容」の相乗効果で、「金融」を一つの手段として善循環のメガトレンドを生み出せるかにかかっていると言えるでしょう。

まとめ:企業のサステナビリティは認証制度とファイナンス活用で推進

サステナブルファイナンスとは、持続可能な社会づくりのための金融システムです。

サステナブルファイナンスには、ESG投資、SDGs金融、グリーン投資、サステナブル補助金などさまざまな手法があります。

ESGを重視したサステナビリティレポートを発行している企業や団体への投資銀行などの金融機関からのSDGsやESGを重視したプロジェクトを推進する企業への積極的な融資地球温暖化や気候変動などのグリーンプロジェクトなどに限定した預金など、私たちの「お金」は、サステナブルファイナンスによって持続可能な社会づくりに貢献することができます。

サステナブルファイナンスは、政府の2050年までのカーボンニュートラルの実現に向けたグリーン成長戦略の推進に向けて、メガバンクから地方銀行などの地域金融機関にも拡大するなど注目を集めています。

地域活性化を使命とする地域金融機関には、地域企業のSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)に併走する「ファイナンス付き商社」「ファイナンス付きコンサルティング」といった新たな役割も期待されています。

サステナブル認証を取得したり、サステナブル戦略に基づく持続可能なビジネスモデルの構築・事業計画を策定し、社内外のステークホルダー向けのサステナブルレポートを発行するなどの取り組みを推進することで、よりサステナブルファイナンスが活用しやすくなります。

サステナブルファイナンスを積極的に活用すれば、社会問題の解決につながる事業や人的資本増強への投資、金融機関からのビジネスマッチングやコンサルティングなどのさまざまなサポートが受けられるため、SXの取り組みを加速させることができます。

cokiは、企業のサステナビリティ推進を、サステナビリティ認証制度サステナブルファイナンス支援サステナビリティレポートの制作代行等によりバックアップしています。ぜひご活用ください。

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