ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

【解説】ESGスコアとは?評価を上げる実務ポイント4つをご紹介

コラム&ニュース Tips
サステナブルな取り組み ESGの取り組み
リンクをコピー
esgscore_top
(Adobe Stockより)

「ESGスコアとは何か?」
「ESGスコアを向上させるにはどうすれば良いのか?」

この記事では、そんな悩みにお答えしていきます。

近年、投資家や金融機関等のステークホルダーが企業への投資判断に、ESGスコアを活用するようになったため、ESGスコアの存在感は、資本市場においてますます高まってきています。

企業にとって、自社のESG対応の遅れは、ステークホルダーからの信頼や評価の低下につながる時代になったとも言えるでしょう。

そこで、この記事では以下の内容を解説していきます。

  • そもそもESGスコアとは何か
  • ESG評価の基本知識
  • ESGスコア向上の具体的なポイント


ESGスコア向上への取り組みは、企業イメージやステークホルダーとの関係構築に大きく関わります。

近年、サプライチェーンに対しても、ESG対応を求めることが主流となる背景から、大企業や中小企業経営者の方だけでなく、非上場企業経営者の方にとっても役立つ内容になっています。

持続可能な経営を目指すためにも、ぜひこの記事を参考に、ESGスコア向上に取り組みましょう。

ESGスコアの基本

esgscore_1
(Adobe Stockより)

ここではESGスコアについて、以下の基本的な情報を解説します。

  • ESGスコアとはESG活動の評価指標
  • ESGスコアの評価項目
  • ESGスコアの算出方法
  • ESGスコアの評価機関


それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.ESG活動の評価指標

ESGスコアとは、企業のESG活動への取り組みを、相対的に評価する指標です。第三者機関によって算出・発表され、投資家等のステークホルダーが、投資や取引の判断基準に利用しています。

ESGスコアが高い企業は「社会的価値・持続可能性が高い」と評価されるため、ESGスコアを高めることは、企業価値を高めるチャンスでもあります。

ESGの基礎知識については、下記のリンクよりご覧ください。ESGに取り組まない場合のリスクについても、詳しく説明しています。

2.ESGスコアの評価機関

ESGスコアの評価機関は、全世界に600社以上あります。

ESG評価機関は、投資家が特に注目しているESGの課題や、投資判断に役立つ情報を特定、産業や業種ごとに個別化して、評価結果を機関投資家に提供しています。

情報源は企業の公開情報やアンケート等です。
主要な評価機関10社とその特徴を、以下の表にまとめました。

評価機関ESGに関する特徴
アラベスク・グループ資産運用事業を中核に、サステナビリティ金融事業を推進。ESGの情報開示プラットフォーム「ESGブック」や、AIによる運用支援プラットフォーム「AutoCIO」を開設。
ブルームバーグ・エル・ビー情報を通じて世界の資本市場の透明性を高めよう、という信念をもつ企業。公正で高品質なデータ、分析ツール、ニュース、リサーチを提供。
CDP非営利団体。気候変動、水セキュリティ、森林減少リスク・コモディティの分野における、企業や自治体のグローバルな情報開示基盤を提供。
FTSE RussellESGインデックスを含む、様々なインデックスの算出。機関投資家向けに、ESGレーティング等のデータや、分析ツールを提供。
MSCI世界中の数千社の環境・社会・企業統治に関連する企業の業務について、詳細な調査・格付け・分析を提供
株式会社グッドバンカーESG関連ビジネスに20年以上携わる、ESGに関する調査・評価と投資助言の専門会社。800のESG評価項目により、約1000社の上場企業の評価スコアと、格付けのデータベースを保有。投資機関等に、個別銘柄の定量評価データを提供。
日本経済新聞社(日経NEEDS)企業・証券データ、マクロ・金融統計、地域情報などを収録した、総合経済データベースサービス。専門的な知見を活かした、信頼性の高い「日経ESGデータ」を提供。
S&PグローバルSAMやTrucostの幅広いデータベースと、調査技術に基づく企業評価や、リスク分析、長期的な持続可能な成長に関する情報、投資ツールを提供
SustainalyticsESG調査・レーティング・データのリーディングカンパニー。40を超える産業分類において、分野横断的な専門知識を持つ200名以上のアナリストを保有し、日本を含む世界16拠点において、数百社の資産運用会社や年金基金と提携。
格付投資情報センター(R&I)日本で最も歴史のある、国内最大の信用格付会社。ESGファイナンス評価の先駆者として、国際資本市場に貢献。
参考:ESG評価機関等の紹介(日本取引所グループ)(令和5年11月26日参照)より抜粋・加工

機関投資家のESG投資推進が目的のひとつであるため、金融機関やシンクタンクが多く見られます。

3.ESGスコアの評価項目

ESGスコアの評価項目は、評価機関によって異なりますが、環境、社会、企業統治に焦点を当てた評価項目であることは変わりません。

例えば「FTSE(ロンドン証券取引所)」の評価項目は、以下の表の通りです。

Environment:環境気候変動
水利用
生物多様性
汚染と資源
環境的サプライチェーン
Social:社会健康、安全
労働基準
人権と地域社会
顧客に対する責任
社会的サプライチェーン
Governance:企業統治腐敗防止
税の透明性
リスクマネジメント
コーポレートガバナンス

表の通りFTSEでは、これらのテーマに基づいて、合計14のESG評価項目を設定しています。
環境・社会で5つのテーマ、ガバナンスで4つのテーマが選定されています。

4.ESGスコアの算出方法

ESGスコアの算出方法は、評価機関によって異なります。
各評価機関は、自社の重視する評価項目に基づき、企業の公開情報やアンケートを収集します。

収集した情報から、対象企業のESG活動への取り組み度を調査し、各評価機関のスコアリングモデルに従ってESGスコアを算出して、機関投資家等に発表する、という流れです。

以下は算出フローのイメージ図です。

esgscore_2
(筆者作成)

評価方法は、ESGの全要素を総合的に評価する「統合型」と、特定の課題(クリーンエネルギー等)に焦点を当てて評価する「テーマ型」に区分されます。

全体を重視するのか、特徴的な取り組みを重視するのかは、評価機関によって異なります。

ESG評価機関ごとに、情報の収集項目や重視項目が異なるため、同一企業でも評価が大きく分かれてしまうことが、現状の課題です。

ESG評価の基本

esgscore_3
(Adobe Stockより)

ここではESG評価について、以下の基本的な情報を解説します。

  • ESG評価の影響と対応
  • ESG評価の取り組み
  • ESG評価の課題


それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.ESG評価の影響と対応

ESGスコアは、ステークホルダーにとって、企業の新たな評価基準になっています。

特に投資家は、社会的にマイナスとなる企業への投資に、懸念を抱くようになり、ESGスコアを利用するようになりました。非上場企業にとっても、無関係ではありません。

「2024年以降は、上場企業とサプライチェーン上でつながる非上場企業のESG対応にも、厳しい目が向けられるだろう」と、INDUSTRIAL-X取締役CSO吉川剛史さんは予測しています。
(下記インタビューより抜粋)

銀行の貸出金利等においても、サステナビリティ・リンク・ローンの指標に、ESGが採用されるケースが増えつつあります。企業規模や上場非上場に関係なく、ESG評価への対応が、急務とされています。

2.ESG評価の取り組み

ESG評価の取り組みには、環境、社会、企業統治において様々なアプローチがあります。
各項目における取り組み例を、紹介します。

【環境】
株式会社新日本リプラスは、毎月1,000トン以上の廃プラスチックを再資源化することで、4,000トンのCo2削減に貢献しています。

詳細は下記リンクをご参考ください。

【社会】
窓の総合商社、マテックス株式会社は、地域に貢献するソーシャルインキュベーション(※)の拠点として、【HIRAKU IKEBUKURO01 SOCIAL DESIGN LIBRARY】を運営しています。

※ソーシャルインキュベーションとは、社会的な課題や問題に対処するための新しいアイデアやプロジェクトを支援し、育てるプロセスのこと。

本施設は図書館だけでなく、事業相談所等の様々な役割を果たしています。
本施設にて行われたイベントのひとつを下記リンクにて紹介していますので、ご参考ください。

【企業統治】
金剛株式会社では、災害時の事業継続を重視し、BCP(事業継続計画)を策定しています。

2016年の熊本大震災を経て改善されたBDPでは、各現場に即したマニュアルを作成し、災害に対応できるようにしています。

詳細は下記リンクをご参考ください。

紹介した事例のように、ESG評価への取り組み方には、様々なアプローチがあります。自社の強みを活かした取り組みで企業価値を高め、ESGスコアを向上させましょう。

3.ESG評価の課題

ESG評価は、投資判断の基準となる一方で、企業からの信頼が高いとは言えません。

同一企業についても各評価機関で差があるため、「自社の取り組みが正確に評価されていない」との不満が出ているからです。

以下は、ESG評価の相違の主な要因です。

  • 評価機関が多すぎる
  • 各評価機関の評価項目・スコアリング等に統一性がない
    • 参照するESG情報
    • 重視する評価項目
    • 評価方法(統合型・テーマ型)
    • スコアリングモデル


こういった状況の中で、各評価機関からのアンケートに対応するのは、非常に労力がかかるため、多くの企業が対応に苦慮している状況です。

しかし、ESG評価の相違は、評価機関のみでなく、企業の情報開示不足に起因する場合もあります。

課題解決のためには、ESG評価手法やESG情報の開示方法の統一のほか、評価機関と企業間の、積極的な対話が求められます。

これらの課題から生まれたのが、企業と評価機関の相互性を取り入れた、新たな評価機関「ESGブック」です。

「ESGブック」の詳細については、下記リンクよりご覧いただけます。

ESG活動が企業価値向上に大きな影響を与えるからこそ、ESG評価の課題については、評価機関と企業の双方が協力して、解決に取り組む必要があります。

具体的なESGスコア向上4つのポイント

esgscore_4
(Adobe Stockより)

ESG評価に対応するためには、次のプロセスが必要になります。

esgscore_6
(筆者作成 参考:大和総研様レポート)

各プロセスにおける、ESGスコア向上のための、具体的な実務ポイントを、4つ紹介します。
ポイントは以下の通りです。

  1. 対応を優先すべきESG評価機関を3社に絞り込み特定
  2. レポート内容の分析・自社に不足しているESG施策等の明確化
  3. ESG施策のデータの取りまとめ担当を設置
  4. 自社のESG施策を外部目線で棚卸しした積極的な情報開示


それぞれ詳しく見ていきましょう。

参考:「ESGスコアの概要と開示対応の実務」(大和総研)(令和5年11月26日参照)より抜粋・編集

1.優先する評価機関を絞り込み特定

ESGスコア向上のために、対応を優先すべきESG評価機関を、3社程度に絞りましょう。
ESG評価機関は多くあり、そのすべてに対応するのは、実務的に難しいからです。

選択肢のひとつとして「FTSE」をおすすめします。
FTSEは下記の特徴があり、自社のESG対応の課題点を整理しやすいからです。

  • ESGスコアリングの手法がシンプルである
  • スコアリングにあたってどの開示資料を参照したか説明してもらえる


ESGスコアに初期的に対応するための、良い目安となります。
投資家の評価や、自社のスコア状況等を踏まえて、重視する評価機関を特定してください。

2.レポート分析と不足している施策の明確化

ESGスコア向上のために、レポート内容を分析し、自社に不足しているESG施策等を明確にしましょう。
対応すべき事項に優先順位をつけることで、何から手を付ければ良いのかがわかります。

特に複数の評価機関から指摘されている項目については、優先的に対応すべきです。

また、「ESG情報を開示しているのに開示されていない」と判断された等、事実誤認がある場合、是正のために評価機関との対話を行う必要があります。

レポートは各ESG評価機関から購入できますが、評価対象の上場企業である場合、無料で取得することができる場合も多いため、自社の状況に合わせて入手方法を選択してください。

レポートの内容分析・指摘事項の整理により、優先的に対応すべきESG施策等を明確にしましょう。

3.ESGデータの取りまとめ担当を設置

ESGデータの取りまとめ担当を設置しましょう。ESGスコア向上のためには、社内対応体制の整備が欠かせません。

ESG施策の実績データの把握・開示については、定期的なデータ集計等が発生するためです。

全社的な取り組みとして発展していくことが理想であるため、必要に応じて、部署・組織を横断する委員会等を設置することもあります。

ESGスコア向上における、PDCAサイクルを滞りなく回していくためにも、ESGデータの取りまとめ担当を設置しましょう。

4.自社のESG施策を積極的に情報開示

ESGスコア向上のためには、自社のESG施策を外部目線で棚卸しした、積極的な情報開示が重要です。

ESG評価機関の多くは、開示情報に基づいてESG施策を評価するため、開示が行われていない項目については評価されないからです。

「社内的には取り組んでいるが、対外的に公表・説明していない施策や方針」があれば、必ず明文化して開示しましょう。

「腐敗防止」や「税の透明性」等、自社にとっては当たり前の取り組みであっても、社会的に評価される取り組みである可能性があります。

ESG評価機関が求める開示フレームワークに沿って対応できていない場合も、評価が低くなる可能性があるため留意してください。

国内外で広く紹介されている開示フレームワークについては、下記のサイトが参考になります。

参考サイト:「ESG情報開示枠組みの紹介」(日本取引所グループ)

また、開示対応においては、統合報告書やサステナビリティ報告書などの、開示媒体を活用することが代表的ですが、求められる項目数に対応できない場合もあります。

そのため、以下の情報開示を進めている企業が、近年増加しています。

  • ESG情報に特化したWEBページの作成
  • ESG評価機関を意識したWEBサイトの改修
  • ESGデータブック等の別途作成


ESG評価機関が評価しやすい、外部目線による積極的な情報開示で、ESGスコアを向上させましょう。

ESGスコア向上の支援サービス紹介

esgscore_5
(Adobe Stockより)

ESGスコア向上に取り組む中で、下記の問題にぶつかることがあります。

  • ESGに効果的に対応できない結果、ステークホルダーからの信頼や評価が下がる
  • ESGスコア向上に労力とコストばかりかかって、結果につながらない


そんなときはぜひ一度弊社にお問い合わせください。
弊社が提供する『サステナビリティ対応 支援サービス』では、以下の内容を提供しています。

1.サステナビリティ対応支援・サステナビリティ推進室立ち上げ
・ESGレポート・統合報告書の制作
・サステナビリティに関する社内研修
2.サステナブル認証・ステークホルダーへのヒアリング
・ステークホルダーエンゲージメントのスコアリング
・認証審査、付与
・表彰(アワード)
3.サステナブルメディア cokiでの情報開示・自社のサステナブルな取り組みの対外的な発信
・ステークホルダーヒアリングによる共創関係の見える化と発信
・coki以外のメディアでの取り組みの発信(メディアリレーション)

当社のサービスでは、統合報告書・サステナビリティレポートなどの、ESGデータブックの制作等も支援していますので、自社のサステナブルな取り組みを社内外の多くのステークホルダーへ周知できるようになります。

お問い合わせは無料で承っておりますので、下記ボタンよりお気軽にご相談ください。

サステナビリティ対応 COKI バナー

まとめ

この記事では、ESGスコアの基本知識や、スコア向上の具体的な実務ポイントについて、解説してきました。

下記記事では、大日本印刷会社様のESGスコア向上への取り組みについて詳しくお伺いしていますので、ぜひご参考ください。

本記事が、貴社のESGスコアの向上に少しでもお役に立てれば幸いです。

Tags

ライター:

暁 茜(あかつき あかね)フリーランスのライター兼デザイナー。1991年、奈良寄りの京都生まれ。神戸大学経営学部出身。前職では地方公務員として、国や県・住民に向けた町の魅力発信に尽力していた。心身の健康を大きく損ねた経験から、インナー・サステナビリティの推進に努めている。香りと感情の言語化を愛するHSS型HSP。

タグ