
浄水器の製造・卸売を軸に、大手メーカーへのパーツ供給やOEM製造など、水にまつわる幅広い事業を展開するハイテック株式会社。数値だけでは違いが伝わりにくい「水」という商材だからこそ、同社は視覚的なデータや暮らしに根ざした提案を通じて、一般消費者にもその価値をわかりやすく届けることを大切にしてきた。一方、暮らしに欠かせない水の安心・安全を守るため、販売代理店に対して研修や勉強会を実施するなど、人材教育にも力を注ぐ。製品と販売現場の両面から水の価値を届け続ける同社の取り組みと、世界のインフラを目指す今後の展望について、代表の田中栄造氏に話を伺った。
水にまつわる幅広い製品を揃え、暮らしの安心・安全を支える
水にまつわる幅広い製品を扱うハイテック株式会社は、浄水器の製造・卸売を軸に、大手メーカーへのパーツ供給やOEM製造まで手がける専門メーカーである。セントラル浄水器やシャワーヘッド、浄水ポット、ウォーターサーバー、災害用浄水器など水回りに関する製品を幅広く揃え、住宅設備から企業向けの製造まで対応できる体制を整えている。
代表の田中栄造氏は、営業職としてキャリアをスタートし、前職で浄水器を含む幅広い商材を扱う中で、次第にこの分野に強く惹かれていったという。
「もともとは幅広いジャンルの商材を扱う会社に所属し、一般のお客様から企業まで、営業を中心に経験してきました。その中でも浄水器は自分の営業スタイルとの相性が良く、次第に製造にも関わるようになったんです。ただ、本格的にものづくりを追求するには、営業と並行しながらでは限界があります。そこで会社に相談したところ、ありがたいことに快く背中を押していただき、独立という形でものづくりに重点を置いた浄水器の製造に専念することになりました」(田中氏)
2023年の独立後は、企業向け製造にとどまらず、企業や飲食店向け浄水器の製造にも力を入れてきた。大手メーカーへのパーツ供給や、他社ブランド向けのOEM製造も手がけており、専門商材としての枠を超え、近年では幅広い取引先から声がかかる存在になっている。
「取引先の名前まではお伝えできないのですが、大手メーカー様からパーツのみをご依頼いただき、弊社で製造してお納めするというお取引も増えています。これまでは販売を専門とされる販売代理店様とのお取引が中心だったのですが、今期に入ってからは、メーカー様や大手の家電量販店様からもお声がけいただくことが増えてきました。大手家電量販店様では同社製品が採用されるなど、一般消費者との接点も生まれつつあります」(田中氏)
事業を進める上で特に力を入れているのが、販売代理店への教育支援だ。浄水器は口に入るものに関わる商材だけに、正確な知識をもって案内できることが欠かせない。そこで月に7日から10日ほどのボリュームで勉強会や研修を実施し、知識に不安がある営業担当者でも安心して販売に取り組める体制を整えている。
「浄水器と聞いても、多くの方はまだ知識がないのが実情だと思います。だからこそ、これから携わりたいという方に、しっかり学んでいただける環境を用意することが大切だと考えています」(田中氏)

違いが見えにくい「水」の価値を、どう伝えるか
通常、メーカーが商品の利用者から直接感想を聞く機会は少なく、販売店を通じて声を把握するケースが多い。そこで同社では、一部の販売店と連携し、実際に商品を利用している顧客のもとを訪問。20代から70代までの幅広い世代を対象に、使用感や満足度などを直接ヒアリングしている。
メーカーという第三者の立場で話を聞くことで、販売時には伝えにくかった率直な意見が寄せられることもある。一方で、製品の仕組みや水質について改めて説明することで、利用者の疑問が解消され、商品の良さを再認識してもらう機会にもなっているという。
そのような中で、数値だけでは美味しさが伝わりにくい「水」という商品だからこそ、どのようにエンドユーザーにその価値を伝えてきたのだろうか。同社は、視覚的なわかりやすさ、生活に根ざした具体的な提案、美しい仕上がり、そして現場の声が販売代理店へフィードバックとして行き届く仕組みづくりなどの工夫を一つひとつ積み重ねてきた。
「水質検査では52項目にわたるデータを取得しますし、耐久性の検査も重ねています。ただ、そのような数値をそのままお伝えしても、専門知識のないお客様には、正直なところ実感していただきにくいんです。だからこそ私たちは、数値の説明だけに頼らず、感覚として伝わる工夫を大切にしてきました」(田中氏)

その一つが、文字ではなく写真や画像で見せるという発想だ。文字の多い仕様書は、隅々まで読んでいただく機会がどうしても限られる。そこで同社は、写真データを多く使ったパンフレットを制作するほか、サーモグラフィーの画像や、使用前後の髪や肌の状態を数値化した測定器のBefore/Afterデータなど、変化がビジュアルや数値を通してひと目で伝わる資料を積極的に取り入れている。
「お客様のもとにお伺いするときは、試験薬や測定器具を実際にその場で使い、一般的な水との違いを目の前で見ていただくようにしています。当社の浄水器を通した水がどれほど質の高いものか、あらためて実感していただける瞬間です」(田中氏)
「美味しい」という言葉だけでは、水の価値は伝えきれないとも代表は話す。水は味の違いを生み出す要素が少ないため、単に「美味しい」と伝えるだけでは、その価値を十分に理解してもらうことが難しい。そこで同社では、飲料水としてだけでなく、料理への取り入れ方や暮らしの中での活用方法まで、具体的に提案している。
また、飲み水だけでなく、シャワーや温水洗浄便座など、日常的に体が触れる水についても対策することの大切さを伝えている。塩素やカルキなどの影響を踏まえ、生活のさまざまな場面で使用する水に目を向けてもらうことを重視しているという。
さらに田中氏が「水質の次に大事」と強調するほど、同社が大切にしているのが、浄水器の見た目だ。
「お客様が毎日目にして、使う場所ですから、設置したときの佇まいの良さも同じくらい重要だと考えています。ビジュアルが良いと毎日使いたくなると思うんです。そのこともあり、新築のお住まいか、築年数の経ったお住まいかといった配管の状況や、お客様の年齢層・ライフスタイルに合わせてご提案しながら、水栓の選び方や設置の仕上がりにもこだわっています」(田中氏)
そして、販売代理店を通じた営業力の底上げ指導も欠かさない。どれほど優れた製品であっても、営業担当者の説明が的確でなければ、その価値を十分に伝えることは難しい。そこで同社では、お客様のもとへ直接足を運び、率直な声をヒアリングしている。そこで見えてきた「お客様に十分に伝わりきれていない点」を、販売代理店への指導や営業活動の改善に反映しているという。

安心・安全な暮らしを届けるために、凡事徹底を貫く
—— 販売代理店様と提携する上で、最も大切にしている価値観は何ですか?
田中:私たちは販売代理店様に商品を託し、そこから一般のお客様へ届けていただいています。そのバトンを渡す相手として絶対に譲れないのが、何よりも「責任感」です。
挨拶や清潔感、丁寧な事前説明といった当たり前の身だしなみやマナーはさることながら、お客様にトラブルが起きた時にいかにすぐに的確な対応ができるかが、非常に大切だと考えています。
浄水器の販売や工事を行っていく上で、水漏れやトラブル、クレームは避けて通れません。そのときに、どう瞬時に対応できるかが最も重要です。 お盆休みだからといって「休み明けに対応します」と逃げるのではなく、お客様が困っている瞬間に適切な対応をしなくてはなりません。水はお客様の生活に欠かせないインフラですし、近隣のご家庭にも迷惑がかかるかもしれません。ですから、何かあったときも会社の都合を優先するのではなく、迅速にお客様に対して徹底して誠実な責任を持てる業者様にお任せしたいと考えています。
—— それゆえ、販売代理店様への研修が非常に手厚いと伺いました。
田中:私たちは、月に7日から10日ほど、非常に綿密なスケジュールで販売代理店様向けの勉強会や研修を行っています。 現場での説明においてばらつきが生じないようにするためです。
浄水器の知識が全くないという状態からでも、安心して販売に携われるような教育体制を整えています。また、各代理店が使用するパンフレットについても、写真やデータを盛り込みながら当社が制作を代行しています。
私自身が過去に営業の現場でたくさん断られ、壁にぶつかってきた経験があるからこそできることなのかもしれません。かつては1〜2人で活動されていた小さな販売代理店様が、私たちの研修を通じて成長し、今では50人体制の規模になられたケースもあります。
「水といえばハイテック」を目指したい
—— 近年では水にこだわる消費者が増えていると感じています。そのような背景は、御社のものづくりにどう影響していますか。
田中:もともと、どこにもない商品をつくっていきたいという思いがありました。開発を進める中で、塩素やカルキなどについて調べていくと、結局は健康というテーマにつながっていくんですよね。毎日使うものだからこそ、一度の影響は小さくても、長い目で見ればできる対策はまだたくさんあると感じています。
飲み水だけでなく、シャワーや温水洗浄便座など、体の外側から触れる水もその一つです。これからも、使ってくださる方に少しでも健康でいていただけるような製品を追求し、ものづくりを通じて社会に貢献していきたいです。

—— 御社の事業を通して実現したい社会像を教えてください。
田中:第一に、日本のライフラインへの導入を目指しています。水道メーターや行政が使用する機材に、私たちの自社製品が当たり前に導入される時代を作りたいです。
もうひとつの目標としては、世界の水道事情における格差の解消です。 現在、スリランカの現地調査などを行っていますが、都市部では水が使えても、地方に行くと未だに手汲みポンプを使っているような地域があります。さらに、海外では所得によって安全な水へのアクセスに大きな格差があり、水の単価も非常に高くなっています。低所得者層の方々でも、適正な単価で安全な水を供給できる環境を、現地に合わせた形で私たちが整えられたらと思います。
国や世界をまたいで、「水といえばハイテック」と言われるような、水道にまつわるスペシャリストとしての地位を確立していきたいです。
◎企業情報
会社名:ハイテック株式会社
所在地:大阪府大阪市北区芝田1-12-7 大栄ビル本館7F
設立:2023年
代表:田中 栄造
URL:https://highteq-japan.com/
◎インタビュイー
ハイテック株式会社 代表取締役
田中 栄造
高校卒業後、営業会社に入社し、水栓商品の製造を学ぶ。その後、在籍していた会社や販売代理店からの後押しを受けて起業。現在は約150社の販売代理店とのネットワークを構築し、製造・販売・卸売を手掛けている。



