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湘南物流株式会社

https://shonanl.jp/

神奈川県厚木市下津古久91

首都圏の食品物流を支える湘南物流株式会社 次世代が憧れる「かっこいい物流会社」のロールモデルを目指す

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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湘南物流株式会社 阿部氏

生鮮食品を中心としたチルド輸送を通して、半世紀近くにわたり首都圏の食品物流を支えてきた湘南物流株式会社。代表取締役を務める阿部勝雄氏の原点にあるのは、同社でトラックドライバーとして働いていた父への憧れだ。自身も物流の現場に立ち、数々の経営判断を重ねてきた。食品物流ならではの現場の工夫から、2024年問題の先を見据えた組織変革、そして「愛される会社」を目指す背景について阿部氏に話を伺った。

時間と温度管理が生命線。食品物流を支える現場の工夫

神奈川県厚木市を拠点とする湘南物流株式会社は、生鮮食品を中心としたチルド輸送を主軸に、首都圏の大手スーパーの配送センター運営を受託する物流会社だ。設立から半世紀近くにわたり、食品物流の現場を支え続けてきた。東名高速の厚木インターに近い立地は、設立当初から現在に至るまで、同社の事業を支える大きな強みとなっている。

同社は現在、首都圏にある大手スーパーの配送センター4拠点の運営を受託し、仕分けや配送といった店舗運営を支える基礎インフラの役割を担っている。加えて、コンビニエンスストアの地域ごとの集約センターもクライアントだ。

食品物流の最大の特徴は、発注から納品までのリードタイムが非常に短いことだと、代表の阿部氏は説明する。

「一般的なEC物流では、伝票を用意して翌日以降の配送が主流ですが、食品は賞味期限の関係もあって、リードタイムを短くせざるを得ないために、伝票作成の時間を充分に取れないんです。最近では、一部でDX化が進んでいて、デジタルピッキングを取り入れることがあっても、最終的な仕分けはどうしても人が行うことが多くなっています」(阿部氏)

近年は夏場の気温上昇が厳しく、特に注意を払っているのが、配送車両の庫内温度だという。エンジンをかけた直後の庫内は高温になっており、そのまま冷蔵品を積み込めば、商品の温度が一気に上昇してしまう。そのため、車両の冷凍機をあらかじめ稼働させ、庫内を十分に冷やしてから積み込みを行っている。アイドリングストップへの配慮も必要だが、食品の安全を守ることを第一に考えた対応だ。

商品の温度や取り扱いについても、季節を問わずセンター内でも細心の注意を払っている。特に夏を迎える前には、わずかな取り扱いの違いが商品の品質に影響することを踏まえ、スタッフへの注意喚起を改めて徹底している。

納品先に到着してからも、商品を外気にさらすことはない。車両をバースと呼ばれる荷物の積み降ろしスペースにつけ、冷気が逃げないよう囲われた環境で荷降ろしを行う。車両を接車した後は建物内に入り、シャッターを開けて商品を搬入する流れだ。

湘南物流株式会社 阿部氏

今後は冷凍品の取り扱いも本格化していく方針だ。そのためには「冷凍用の車両を新たに揃える必要があり、増車する形で対応していく予定です」と阿部氏は述べる。

現在保有している車両でも、庫内をマイナス25度程度に設定できるため、冷凍品そのものを運ぶことは可能だ。ただし、温度帯の異なる冷蔵品と冷凍品を同じ空間に積載することはできない。また、冷凍・冷蔵車の冷凍機は、常温の商品を短時間で冷やすものではなく、あらかじめ適温まで冷やされた商品の温度を輸送中に維持する役割を担う。そのため、メーカー側で十分に冷やした商品を積み込むことが前提となる。

しかし、現在は取り扱う冷凍品の物量がまだ少なく、少量の荷物のために車両1台を使用すると輸送効率が落ちてしまう。そのため、本格的な実施に向けては物量の確保とともに、車両の整備も必要になるという。

物流事業者にとって、一度にどれだけの商品を運べるかは収益にも直結する。積載量と保冷性能、そして冷凍品の物量。そのバランスを見極めながら、冷凍物流への本格参入を進めていく考えだ。

父への憧れから始まったキャリア。数々の決断を支えた、現場で磨いた判断力

阿部氏は、幼少期から物流の仕事を身近に感じながら育った。父親は湘南物流株式会社で働くトラックドライバーであり、大きな車体を巧みに操る姿を、子どもの頃からずっと「格好いい」と見つめていたという。当時はまだ、自分がその世界に足を踏み入れることになるとは考えていなかったが、その記憶は今も鮮明に残っているそうだ。

「父の運転する姿がとても格好よく見えて、いつか自分もあんなふうに働けたらと、漠然と憧れを抱いていました」(阿部氏)

そのような憧れを抱くも、高校卒業後に阿部氏が選んだ道は公務員だった。しかし、就職後、裁量を持って働きたいという想いが強く湧き、物流業界に転職。最初から父と同じ会社を選ばず関係会社に入社し、新たな環境で挑戦を始めた。

ただ、当初思い描いていたようにトラックに乗る機会はなく、倉庫内での仕分けや検品、入庫管理といった在庫管理の業務を担当することになった。その後、湘南物流株式会社に入社。時を経て、現在は代表取締役として会社の舵取りを担っている。

関連会社での経験もあり、入社当初から管理の立場で現場を支えていたが、年末の繁忙期や車両が不足する場面では、自ら配送に出ることもあったという。全体を管理する側と現場で動く側、その両方を経験したことで、経営者として必要である判断力を培えたという。

湘南物流株式会社 阿部氏

経営に携わる中では、容易ではない判断を迫られる場面も少なくなかった。取締役として組織づくりに関わっていた時期には、会社の体制を見直し、人員を整理せざるを得ない局面に直面したこともあったという。阿部氏にとっては、一人ひとりの生活に関わる重い決断であり、今でも当時のことは鮮明に覚えているそうだ。

「リストラは、決して軽い気持ちで下せる判断ではありませんでした。その時は本当に辛かったですね。もう二度と同じようなことはやりたくないと強く決心した出来事でした」(阿部氏)

また、新型コロナウイルスの感染拡大期には、物流需要の高まりから業績が伸びる時期もあった。しかし阿部氏は、その状況に浮かれることなく、社員に対して冷静な視点を持つよう常々伝えていたという。

「コロナ禍では外食産業が大きなダメージを受けましたが、当社は居酒屋などへの配送がそれほど多くなく、食品スーパーやコンビニへの配送が中心だったため、むしろ物量が増えて、業績が伸びました。当社にとってはいわば『コロナ特需』でした。しかし、だからといって喜べるものではなく、社内でも『今月は数字がすごくいい。でも、それはたまたま追い風が吹いているだけかもしれない。そこを勘違いしないように』と何度も話していました」(阿部氏)

一方、コロナ禍では協力会社との助け合いも生まれた。居酒屋などへの配送を中心としていた物流会社では、外食需要の減少によって仕事が激減し、稼働できない車両を抱えるケースもあった。そこで、食品スーパーやコンビニ向けの物量が増えていたため、空いている車両を持つ協力会社に新たな配送コースを依頼して、互いの状況を補い合いながら、コロナ禍という特殊な環境を乗り越えていった。

2024年問題の先に迫る「運べない」未来。現場の危機感から始まる組織変革

――2024年問題による影響を、現場ではどのように感じていますか。

阿部:2024年問題もそうですが、その先には2030年問題もあります。ドライバーの高齢化が進むなか、ある程度まとまった世代が一斉に現場を離れる時期がやってきます。一方で、若い世代でドライバーになる人はどんどん減っている。このままでは、物を運びたくても運べない時代が来るのではないかという危機感をひしと感じています。

私たちが若い頃は、学校を卒業したらまず免許を取って、車に乗りたいという若者がたくさんいました。でも今は楽しみの選択肢も増えていますし、そもそも車を持つにもかなりお金がかかります。車両価格自体も高くなっていますから、若い人にとって車が以前ほど身近な存在ではなくなっているのだと思います。

さらに人手不足の大きな要因となっているのが免許制度です。私たちの頃は普通免許を取れば、当社の主力である4トン車にも乗ることができました。しかし、現在は別途、中型免許を取得しなければなりません。もちろん、重大事故などを背景に安全性を高めるため、免許制度が厳格化されてきた経緯があります。ただ、この先、本当にドライバーが足りずに物流そのものが成り立たなくなれば、制度のあり方についても、どこかで流れが変わってくるのではないでしょうか。

湘南物流株式会社 外観
湘南物流株式会社 本社

――そのような人手不足の課題に対して、御社では具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか。

阿部:人手不足だからといって、単純に採用の間口を広げれば解決するとは考えていません。私自身、20年以上前に事業部の責任者として、多くの人材を採用した経験があります。そのなかでは、仕事に対する考え方やモラル、会社が大切にする価値観がうまく合わず、結果として雇用を継続できなかったケースもありました。食品物流は、お客様からお預かりした食品を扱う仕事です。その場ですぐ口にできる商品も多いですから、仕事に対する基本的な考え方やモラルをきちんと守ることは非常に重要です。

さらに、採用のあり方そのものの見直しも進めています。ホームページを改修したり、求人媒体を活用したりと、入口となる部分も変えています。ただ、採用PRだけを変えても、実際に入社してみて「思っていた仕事と違った」となれば意味がありません。

今の若い方は就職先を選ぶ際にインターネット上の口コミもよく見られているようです。なかには10年以上前の働き方に関する口コミが今も残っていて、現在も同じ風土の会社だと思われてしまうこともあります。過去に指摘されたことに対して、現在は会社としてどのような改善をしているのか、そのような情報も発信しながら、企業や業界へのイメージを変えていきたいです。

また、現在一緒に働いている従業員に対しても、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。プライベートを大切にして、しっかり休みたい人もいれば、法令で認められた範囲でもっと働いて収入を増やしたい人もいます。収入を重視する人にはそれに応じた仕組みを、プライベートを重視する人にはそれに合った給与体系や働き方を用意して、それぞれが自分に合った働き方を選べる会社にしていきたいと思っています。

「湘南物流って、かっこいい」と愛される会社へ

――今後の展望や、描かれている将来のビジョンについて教えてください。

阿部:働く人にも、その家族にも、これから物流を目指す若い人にも、「湘南物流ってかっこいいよね」と思っていただけるような会社にすること。それが、代表である私の役目だと思っています。

物流業界では高齢化が進み、2030年問題も迫っています。だからこそ、若い人たちに「物流の仕事って面白そう」「湘南物流で働いてみたい」と思ってもらえるよう、TikTokなどのSNSも活用しながら、物流の仕事や当社の魅力を積極的に発信していきたいと考えています。

そして、すでに働いている従業員には「湘南物流で働けてよかった」と思ってもらいたい。その子どもたちにも、「自分の親は湘南物流で働いているんだ」と胸を張って言ってもらえるような会社でありたいです。

湘南物流株式会社 阿部氏

◎企業情報
会社名:湘南物流株式会社
所在地:神奈川県厚木市下津古久91
設立:1976年
代表:阿部 勝雄
URL:https://shonanl.jp/

◎インタビュイー
湘南物流株式会社 代表取締役
阿部 勝雄
高校卒業後に東京都内で約3年間公務員として勤務。その後、運送業界に転身し、神奈川県内の運送会社での経験を経て、横浜低温流通株式会社へ入社。会社の埼玉県進出時に立ち上げメンバーとして参画し、営業所長としての実績を重ねました。2000年には湘南物流株式会社へ入社。以降、事務管理、営業所長、管理部長、専務取締役などを経て2024年に代表取締役に就任。

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ライター:

慶應義塾大学文学部卒業。経営者への取材を中心に、統合報告書、採用広報、社内報、クラウドファンディングページなどを執筆。インキュベーション施設のコミュニティマネージャー、探究学習のファシリテーターとしても活動する。趣味は夢の研究。

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