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特定非営利活動法人 キーパーソン21 http://www.keyperson21.org/

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株式会社ユーグレナ 川﨑レナCFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)企業の未来に「わくわくエンジン®」を起動せよ!【ユーグレナ×キーパーソン21】

未来世代
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高校生が最高未来責任者。日本を代表するバイオベンチャー企業の株式会社ユーグレナは、会社の未来を創造するポジション、CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)を18歳以下限定で2019年より公募している。2020年、当時中学生だった川﨑レナさんがユーグレナCFOに選任され、就任した。
認定NPO法人キーパーソン21は、誰もが持っている「わくわくエンジン®」(わくわくして動き出さずにはいられない原動力)を発動させ、子どもたちの可能性を引き出し、未来を選択する力を育む団体。
今回は、川﨑さんにキーパーソン21とのつながりをインタビュー。サステナブルな社会の実現を目指し、社会課題に積極的に取り組むユーグレナで感じるサステナビリティの潮流や社員がわくわくできる会社づくり、ワーク・アズ・ライフの考え方について伺いました。(画像提供:株式会社ユーグレナ)

『サステナビリティは嫌い』と応募文に書いてCFOに就任

─今回は、日本を代表するバイオベンチャー企業の株式会社ユーグレナのCFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)である川﨑レナさんにお話を伺います。現在高校生の川﨑さんは、中学生のときにユーグレナのCFO公募に応募し、CFOに就任されたそうですね。

川﨑 はい。ユーグレナのCFOが公募されていることを知り、応募文に『サステナビリティは嫌い』という文章を書きました(笑)。当時、なぜサステナビリティが嫌いだったかというと、多くの企業が「やらなければならないから」無理やり取り組んでいるように見えたからです。企業がサステナビリティに取り組まないと商品が売れないとか、それをしないと魅力的に感じられないという世の中になっていることはいいことですが、本心でやりたくないのであればエコノミクス一直線でやったらいいのではないかというのが私の考えです。

ユーグレナは、ビジネスにサステナビリティが当たり前に組み込まれている

川﨑  しかしユーグレナは、そうではなく、当たり前のようにビジネスの中にサステナビリティへの取り組みが組み込まれています。そこがとても魅力的だと思っています。例えば、ユーグレナの商品の売り上げの一部が、バングラデシュの子どもたちに栄養豊富なユーグレナ入りクッキーを届ける活動に使われています。お客さまの消費が、自動的に何かの良い活動につながる仕組みができているのです。これこそ、私たちが支えなければいけないビジネスだと思います。日本でも、もっとこういうビジネスモデルが定着してほしいです。

ユーグレナのバングラデシュに関するWEBサイトを見るだけでも、本当にクリエイティブにわくわくしながら活動していて、きちんと現地で支援活動していることが伝わってきます。CFOとして就任してからは、私たち若者の声をきちんと聞いて、現地のバングラデシュの子どもたちの声も聞いて、サービスをより良くしていっていることが分かりました。単に外から見える活動だけでなく、組織内部にサステナビリティに関する考え方がしっかりと組み込まれているところが魅力的です。

CFO(最高未来責任者)のミッションを公開イベントではじめて伝えられる“わくわく”

―キーパーソン21さんとはどのようなきっかけでつながったのでしょうか。

川﨑 ちょうど1年前にCFOとして選任され、キーパーソン21さん主催の『わくわくエンジン®』のワークショップでユーグレナ社長の出雲充さんと一緒に登壇させていただいたことがきっかけです。登壇できると分かってからは、当日までとても楽しみでした。なぜかというと、出雲さんとは以前からあいさつ程度には話をしていたのですが、出雲さんから会社の業務内容のディープな話をはじめて聞いたのが、実はイベント本番だったのです。「ユーグレナのCFOとして活動できる。いよいよ本番だ」と実感を覚えることができました。私自身が一番そのイベントを楽しむことができたのではないかと思います。そういう機会をいただいたキーパーソン21の皆さんには本当に感謝しています。

─ユーグレナの出雲社長と一緒にイベントに登壇して、はじめて会社のことを深く聞くというのはとてもセンセーショナルな出来事だったのではないでしょうか。

川﨑 はい。現在は、高校・大学に行って、社会からの評価が高い会社に入るという、学歴ベースに進路を選択しなければならない世の中になっています。キーパーソン21さんの活動は、学歴ではなく「わくわく」をベースにして、純粋に自分が楽しいことから、自分がやりたいことを探していくものです。現代社会では自分らしく生きるということがあまり問われていませんが、自分がやりたいことをして、自分が幸せであることが一番大切なんだというポジティブなメッセージが、キーパーソン21さんの活動の中から見えてきます。

私も、わくわく生きるということや、自分らしく生きるというモットーを持っているので、皆でより多くの人にそのポジティブなメッセージを届けていきたいと思います。

楽しく生きることの優先順位が低い日本の常識を壊す職業に就きたい

─「わくわくしながら、自分らしく生きる人をもっと増やしたい」というのは素晴らしいですね。川﨑さんが、現代社会で特に「何かがおかしい」と思うのは、どのようなことでしょうか

川﨑 一番大きな問題点は、先ほど語ったとおり、楽しく生きることが重要なプライオリティーになっていないところだと思っています。

例えば、私は全員が学校へ必ずしも通わなくてもいいのではないかと思います。以前、教育についてリサーチをしたことがあるのですが、そのときにいろいろな子たちが言っていたことは、学校は1つの結果をつくる場になっているということでした。数学が得意ではない、記憶することが得意ではない、テストを受けることが得意ではないという子たちは、今のシステムではつぶされてしまっています。親も、「サッカー選手になんてなれないのだから、ちゃんと学校に通いなさい」と言ったりします。

現代社会の中では、大人も子どもも「これが楽しいから、今やっているんだ」と言えるものが周りから否定されて、なくなってしまっていっていると思います。これはとても悲しいことです。挑戦すること自体や、わくわくしていること自体を、もっと褒められる世の中になったほうがいいと感じています。

─そういった問題意識を感じ始めた原点は何だったのでしょうか。

川﨑 多分、弟のことが関係しているのではないかと思います。彼が7歳のときに「サッカー選手になりたいから、学校をやめたい」と言いだしたのです。それで実際に学校を退学して、ドバイに渡って1人で生活しています。親は全面的に彼を支援しています。

母親は他の親から、「サッカー選手になれなかったらどうするつもりなのか」と聞かれたことがあるそうなのですが、「幸せな人間になれればそれでいいのだ」と答えたそうです。これは私自身、尊敬できる、とてもすてきな考え方だと思っています。私の親は、学校を優先していないからといって、不真面目なことを奨励しているわけでもありません。自分が好きなことを探せるように、多くの選択肢を与えることが大切だという考え方で子育てをしています。

私もそのように育ててもらいましたが、同じ学校の友達の中には、例えばアート系の職業に就きたいと親に言っても、文系や理系に進みなさいと言われている子たちがたくさんいます。いろいろな職業があるにもかかわらず、成功の道は1つだけだという考え方はおかしいと気付いたのは、多分、弟が学校をやめてからだと思います。

─川﨑さん自身はどのような人生を歩んでいきたいとお考えですか。

川﨑 最近は、日本の常識を壊すような職業に就きたいと思っています。先ほどお話ししたように、1つの成功しか認めない社会の風潮を変えていきたいです。本来は個人の幸福と社会全体の幸福が両立しなければいけないと思うのですが、日本は周りに合わせていくことが優先になってしまうので、「嫌な人は出ていってください」という風潮になっています。ですからダンサーなどクリエイティブなマインドの人は、どんどん日本を出ていって、海外で成功してから日本で報道されるようになっています。

海外に行かなくても、日本の普通の学校のカリキュラムで、わくわくして楽しめる風潮になってほしいです。こういうことは単に政策で変えられるものではなくて、政策を作る組織そのものから変えていくべきだと考えています。

私は以前、発展途上国で学校を一からつくって、子どもたちと一緒に教育のことについて考えていきたいと思っていたのですが、今、考えると、日本もある意味で発展途上国のようなもので、クリエイティブな面や政府に対しての希望が足りないと思っています。こういう思いは普通、もやもやとした気持ちで終わってしまうけれども、私はそれで終わらせたくないと最近考えるようになりました。

海外で経験を積んでから、日本国内の国連組織に入って、内側から変えていきたいです。私のような子がまた生まれてきたときに、もやもやを感じないような社会をつくっていきたいと思っています。具体的な分野はまだ決まっていませんが、教育に興味があります。日本人が「わが国はこういうことを世界のためにしている。こういう政策を作っている」と自信満々に語れるような社会にしていける職業に就きたいと思っています。

サステナビリティに関するアクションおよび達成目標の策定に携わる会議「ユーグレナFutureサミット」を運営

─サステナビリティに関するアクションおよび達成目標の策定に携わる会議「ユーグレナFutureサミット」の運営についても伺います。

キーパーソン21×ユーグレナFutureサミットのメンバーと

ユーグレナFutureサミットのメンバーと

川﨑 ユーグレナでは、2020年に「Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)」という企業フィロソフィーが掲げられ、CFOの私をはじめ、5人のFutureサミットメンバーが同じ年に就任しました。

まずは「サステナビリティとは何か」、「働きたい会社とは何か」ということを話し合いました。そのときに感じたことは、「私たち10代が働きたい会社、わくわくする会社はあまりないよね」ということでした。そこを深掘りしていった結論が、私たち10代が働きたい会社というものは、現在働いている世代の方たちも絶対にわくわくできる会社だろうということでした。逆に言えば、現在働いている方たちがわくわくしていれば、私たち若い世代も「格好いいな。わくわくしているな。毎日楽しそうだな」と思って、働きたい会社が増えると思いました。サステナビリティというものは、そういうところにまで届いていくはずです。

ユーグレナが本気でサステナビリティに取り組んでいる姿を示して世界に影響を与えたい

川﨑 日本では環境分野のトップランナーのユーグレナがサステナブルな社会の実現に取り組んでいるからこそ、他の分野の方たちにも自分たちの活動の中でサステナビリティを実現しようと思わせることができるのでないかという結論にたどり着きました。ユーグレナがより社内外に影響を与える会社となるために「ユーグレナFutureサミット」で取り組んでいる最中です。

─今までどれくらいの頻度でディスカッションをしてきたのですか?

川﨑 基本的に月1回のミーティングがあり、当初はそこで取締役会での発表のためのブラッシュアップをしていました。しかし、私も皆もそれでは物足らず、週3回オンラインで集まるようになりました。皆、塾などがあったので、塾などが終わったあとに週3回のミーティングを1年間続けてきました。

U-18(18歳以下)だからこそできることがある

─塾の後に週3回のディスカッションというのはハードなスケジュールですね。このときは川﨑さんにとってどういった学びがありましたか?

川﨑 リーダーシップの取り方や、敬語の使い方のスキルが上がったように思います。母も「ユーグレナに感謝しないとね」とよく言っています。企業に入ってみないと分からない事務的なことや常識も知ることができて、「なるほど。日本の企業はこうして動いているのか」ということを理解できた1年でした。

最も感動したことは、ユーグレナ側が私たちの話を一生懸命聞いてくれて、私たちの提言を通せるように一緒に悩み考えて取り組んでくれたことです。私たちが困っているときにも、すぐにミーティングに参加してくれました。U-18(18歳以下)だからこそできることがあると、本当に信じてくれていることが伝わってきました。1年前に『サステナビリティは嫌い』という応募文を書いたときには感じていませんでしたが、こういった文章を書かなくてもいいような社会をつくろうとしている大人がたくさんいるということに気付きました。

私自身はたくさんの会社でインターンを経験してきましたが、インターン向けに用意された大人とは違う業務をしてきました。極端に言えば、大人がしたくないことを高校生・大学生にさせようというところも結構多かったです。しかしユーグレナは、私たちに特化した業務をさせてくれたと思っています。

出雲さんが言っていましたが、職場の多様性の中で取り組まれていなかったのがU-18世代で、私たちU-18世代のニーズに合わせるということが未来のお客さまのニーズに合わせることになるということでした。3回目の取締役会で出雲さんが、「CFOが言うことは、私たちが絶対にやらないといけないんだよ」と話していて、大変感動しました。

「世代が違うと常識も違うよね」と分断されることがありますが、自分の子どもたちや子孫に良いことをしたい、地球を良くしたいという思いは、そのような壁も取り除けるのだということを、この1年で感じました。それは理想ではなく現実的にマーケットや企業の中で行われているのだと知り、希望が見えました。

─「ユーグレナFutureサミット」以外では、この1年間にどのような活動を行ってきたのでしょうか?

川﨑 主には社内ワークショップです。そもそもFutureサミットメンバーは、ずっとユーグレナのCFO事務局と取締役たちとしか話をしたことがなかったので、社内の声をあまり聞けていないと感じていました。社内の仲間たちがどのような意識を持っていて、私たちとどれだけ意見が似ていて、どれぐらい違うのか、多様性についての考え方、会社の環境についての考え方などを議論する場があったらいいということで、できるだけ多くの方が参加できるように社内ワークショップを3回企画しました。

1番目のワークショップでは「多様性×リーダーシップ」や、アイデンティティーというテーマで、2番目のワークショップでは広告表現の中の多様性について開催しました。ユーグレナという会社はバイオジェット燃料で飛行機を飛ばすような先進的な会社ですが、その業務内容の中で多様性がどのように反映されるのかということを学びました。3番目のワークショップでは障害者の再定義とメンタルヘルスのウェルビーイングという中での多様性を一緒に学びました。

これらの活動は、すべて私たち自身で教材を作って、私たちからプレゼンをしました。一方通行でなく、インタラクティブな仕組みを企画したことによって、生まれてきたアイデアがたくさんあります。取締役やCFO事務局でなくても、多様性やウェルビーイングなどについて考えている人たちが集まっている会社なのだと、あらためて感じました。

このように業務以外で活動を広げていく場が大切だということも、ワークショップの中で得た感触でした。

このチョイス1つが地球の反対側にいる子どもたちに影響していると考える

─サステナブルな社会の実現のために、高校生として次世代の人づくりをどのように考えていますか。

川﨑 自分事化することは本当に難しいです。「政府がしないから」、「企業がしないから」という言い訳は、私も何回も使ったことがあります。こういうことが普通になっている世の中だと思います。

企業側も自分たちが希望を与える側であること、政府よりもお客さまである市民に近い立場であることを、再度理解してほしいです。企業各社がそのような考えにのっとって行動変容していったら、カーボンゼロを達成できますし、お客さまがサステナブルなチョイスをしやすい世の中になっていくと思います。

私たち市民の側も、サステナブルな社会を自分たちで実現するんだということを自分事化しなければいけないと思っています。私も長い間、自分がやらなくても誰か他の人がやってくれるだろうと思っていたので、あまり活動できていない時期がありました。しかし、途中で「これではいけない」と気付きました。本当に難しいことではあるのですが、もしかしたらこの自分のチョイス1つが地球の反対側にいる子どもたちに影響しているかもしれないと考えるようになったのです。特に日本では、自分たちの行動が害を与えているかもしれないという社会の闇に気付きにくいのですが、今の自分の行動がもしかしたら自分の子どもや未来の環境に影響を与えているのかもしれません。

目の前で誰かが苦しむような行動は、誰でも絶対にやめるし、しないではないですか。そのビジュアル化ができていないからこそ、この商品はやめておこうとか、この会社はサポートしないでおこうということがしにくいのだと思います。自分がその選択肢を持っているという特権を感じることが大切ですし、自分がマイノリティーだと感じることも大切です。自分のアイデンティティーを理解してから、自分ができることを理解していってもらいたいと思っています。

─ユーグレナとしては、次世代の人づくりをどのように考えていると思いますか。

川﨑 育てるというよりも、一緒に働くという感覚が本当に強いのだろうと感じています。「育成をしてあげますよ」という姿勢ではありません。私がユーグレナのCFOになって最も感動したことは私たちと対等に話をしてくれたことです。まず「ちゃんと聞いてくれる大人がいるんだな」ということに感動しました。

最近の子どもたちは、親戚でさえまともに話を聞いてくれない状況です。スマートフォンばかり使っていて、インターネットで遊んでいるので、何も考えていないと思われていることも結構あります。しかし、一人ひとりに聞いていくと、普通に街の中を歩いているチャラそうな子でも、何かしらの問題意識を持っていて、そのことについて話すことができるのです。ユーグレナは、私たちの世代に対する周囲の考え方やイメージに対して、「それは関係ない」と主張してくれている会社だと思っています。

CFOという重要なポストに就かせていただいているからこそ、自分が対等な立場として扱ってもらっていることを感じますし、逆に大人の方たちも対等に扱おうとしてくれているのだろうと感じることができた1年でした。若い人の意見を取り入れるだけではなくて、それに基づいてアクションを起こすところまでしている会社だからこそ、私たちが信頼をして楽しく1年間活動できたと思います。

他の企業でも、若い世代と一緒に働く、一緒に考える、一緒にアクションを起こすというところまでやっていただいたら、どんどん若い子たちが「私もこういうものに参加したい」とか「こういう会社で働いてみたい」という会社のベネフィットにもつながると思います。

わくわくすることを大切にすることが常識として定着していけばいい

─川﨑さん自身も、わくわくすることをとても大切にされていますね。

川﨑 幼稚園児のときは、皆が楽しいことだけをしていたはずです。例えば、今の首相と3歳児を入れ替えてみたらどうでしょうか。きっと楽しくてやりたいことに突き進んでいくと思います。人間はそうであるべきだと思っています。現在の資本主義のシステムは、利益を考えなければいけない社会になっており、「楽しいことはする。楽しくないことはしない」ということが選べなくなっていること自体がおかしいと思っています。ビジネスの中でも、社員のポテンシャルを最も引き出せるのは、その人が楽しくて業務にのめり込んで止まらない状態のときではないでしょうか。その原動力は、お金や利益では引き出せないものだと思います。

ワーク・ライフ・バランスという捉え方もすてきだと思いますが、ワーク自体がライフになっていったほうがいいと思っていて、本当に当たり前のことなのですが、楽しいことをして生きるということが普通になっていけばいいと思っています。楽しくないのに、なぜするのだろうということが、私が今持っている疑問の1つです。

今16歳の私自身は、楽しくなさそうな会社には入りたくないと思っています。皆さんも、楽しくなさそうな学校にも入りませんし、楽しくなさそうな教科は勉強しないはずです。そういうことは普通にしているのに、なぜか社会に出ると楽しくないことをするようになってしまいます。「わくわくしないのだったら、やめればいいじゃん」という気持ちの断捨離が常識となって、自分がわくわくするようなことを優先していけば、他人のことを考える余裕もできて、ビジネスの効率性も向上していくと思います。わくわくすることを大切にしていくことが、常識として定着していけばいいと考えています。

─大人になっていくと、家族ができるなど、自分の好きなことを優先できない事情が出てくると思います。そういう大人に対しては、どういったアドバイスをしますか。

川﨑 現代社会は、自分のことを優先できない人たちがたくさんいる優しい世の中なのだと思います。ユーグレナも優しい人たちばかりなので、言いたいことを言えないということがあったり、「こういうことに挑戦したいけれども家族がいるから」という仲間もいると聞いたことがあります。

最近、私の学校の校長先生が辞めました。息子さんが同じクラスなので理由を聞いたら、「わくわくしないから辞めた」ということだったのだそうです。ここにいたら自分の好きなことができないと思って、自分が優先したいことができる他のところに移ったということです。私が自由にいろいろなことが言えるのは、私自身が子どもで、守るべきことが少ないからですが、家族に対する責任を持っているこの校長先生はすごいパワーの持ち主だと感じました。

私が考える親として子どもにできる最高のことは、格好いい姿を見せることなのではないかと思っています。好きではない仕事をして家族のために頑張ることも格好いいことだと思いますが、自分の好きなように生きればいいという姿を見せられるほうがより格好いいと思っています。もちろん、全員がこの校長先生のようにできるわけではないですし、今の仕事の中でわくわくすることを探すことができる人も格好いいと思います。私も自分の親がいろいろ大変なことはあると思うのですが、そんな中でも笑顔でいることは本当に格好いいと感じます。

自分もこれからの人生でいろいろなことがあると思います。将来、自分が夢だと思っていたこととは違うことをしているかもしれませんが、趣旨が同じだというところが見えてくればいいと思います。例えば消防士になって人を助けたいと思っていた人が会社で働いていたとしても、会社の中の人を何らかの形で助けるという信念を貫ければいい。親が信念を貫いてほしいということを子どもは感じているのだと思います。

40年後も、私たち日本に住んでいて良かったと思えるような社会を、今の大人がつくってほしいです。自分の業務を変えるという校長先生も格好いいと思いますが、自分のコミュニティーの中で自分がわくわくすることができる人が、実は一番格好いいのではないでしょうか。

ワーク・ライフ・バランスではなく、ワーク・アズ・ライフ

─これからキーパーソン21さんと、どのようなことを一緒に取り組みたいですか。

川﨑 キーパーソン21の皆さんの活動は、本当にポジティブな思いから立ち上がったポジティブな活動だと思っています。それを日本中の子どもから大人までに届けられるようになってくれたら、日本がどんどん変わっていくと考えています。子どもはわくわくできると思うのですが、それがなぜ止まってしまうのかというと、周りの大人たちが制限を掛けてしまうからです。キーパーソン21さんのイベントで1年前にお話しさせていただいたときに感じたのは、運営の方々もほかの登壇者の方々も本当にそれが分かっていたからこそ、すてきなディスカッションができたと思っています。

キーパーソン21さんは、周りの大人たちの感情を変えていかなければいけないということを理解されていて、既にその考えをどんどん日本全体に広げていると思います。そのままキーパーソン21さんの考えを広げていってくれたら、私たちのような世代の子たちも親や先生や社会に左右されずに、自分がわくわくすることを仕事にする力、自分の信念を貫く力、自分らしく生きる環境を自分でつくっていく力が、どんどんできていくのではないかと思っています。そういった取り組みを、私たちの世代のために大人がやってくださっていることが本当に格好いいです。そういう大人たちをどんどん増やしてほしいです。

私は、そういったキーパーソン21の皆さんのポジティビティーを拡散していく発信基地のようになりたいです。今後は、キーパーソン21さんの活動にも関わっていけたらと思います。

─これまでの川﨑さんのお話を伺い、キーパーソン21の堀悟理事はどのように感じられましたか?

(堀さん)との取材の風景

取材はZoomで行われました。(左上 キーパーソン21 堀さん)

堀 本日の川﨑さんの話はとても学びが多く、たくさんメモを取っていました。大きく分けて、感じたことが3つあります。

1つ目です。川﨑レナさんがなぜCFOに選任されたのかをとてもよく理解することができました。未来をつくるということは、簡単に説明できることではないのですが、レナさんの言葉を聞いていると、自然と体がそちらの良い方向に向いていくという、わくわくにも近い感じがしました。レナさんは良い言葉をたくさん持っていることが素晴らしいです。私は広告の仕事をしており、言葉をとても大事にしているのでよく分かるのですが、良い言葉は人を未来に向けてくれるのです。そういう言葉を持っている人と一緒にこれからも活動したいと感じました。

2つ目は、最近話題になっているメジャーリーガーの大谷翔平さんもそうですが、楽しそうにやっている人が未来をつくっていって、それにつられて人の動きまで変わっていきます。オリンピックでも、お金を掛けてメダルを取るためにつらいトレーニングをするというこれまでのスタイルから、今回の東京オリンピックでは、スケートボードの選手たちが皆で喜び合って、チャレンジをして失敗しても励まし合うという関係性ができていて、そういった環境を提供してくれた大人たちも周りにいました。将来的にこういう世界になっていくといいなと思っていましたが、きょうのレナさんの話を聞いていてそれが確信に変わりました。

ワーク・ライフ・バランスではなく、ワーク・アズ・ライフだという趣旨のお話をされていましたが、これも本当に素晴らしいと思います。これからの社会は、そういうところに向かっていけるだろうと思いました。

3つ目です。このcokiさんの媒体は、ステークホルダーに「ありがとう」と言おうということが1つのコンセプトになっています。私もきょうは本当に素直に「ユーグレナさんと一緒に活動できて良かった。ありがとう」と言いたくなりました。いろいろな人に「ありがとう」と言える関係性がどんどんできてくると、世の中が良くなってくると感じました。ありがとうございます。

川﨑 すてきな感想をありがとうございます。

堀 人の言葉は宝物です。しばらく時間がたってからメモを見ると、また違う思いも出てくるものです。ぜひ、これからも良い言葉を持って人を動かし、未来をつくってください。

川﨑 ありがとうございます!

ユーグレナ 川﨑レナCFOのポートレイト

企業情報

株式会社ユーグレナ
https://euglena.jp

ライター:

1964年生まれ、群馬県出身。国立群馬高専卒。専攻は水理学と水文学。卒業後、日刊紙『東京タイムズ』をはじめ、各種新聞・雑誌の記者・編集者を務める。その後、映像クリエーターを経て、マルチメディア・コンテンツ制作会社の社長を6年務める。現在は独立し、執筆と映像制作に専念している。執筆は理系の読み物が多い。 研究論文に『景観設計の解析手法』、『遊水モデルによる流出解析手法』、著書に科学哲学啓蒙書『科学盲信警報発令中!』(日本橋出版)、SFコメディー法廷小説『科学の黒幕』(新風舎文庫、筆名・大森浩太郎)などがある。

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