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株式会社INDUSTRIAL-X

https://industrial-x.jp/

〒105-0003東京都港区西新橋3丁目25-31愛宕山PREX11F

DX人材の定義の曖昧さが企業のDX化を妨げる理由

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INDUSTRIALX DX人材の定義の曖昧さが企業のDX化を妨げる理由

既存システムの老朽化、人材不足、サイバーセキュリティ等のリスクの高まりなどを指摘し、企業のDX推進の必要性を示した経済産業省の「DXレポート」。

2025年までにDX化を推進できなければ、IT人材が不足し、サイバーセキュリティや有事のシステムトラブルなどのリスクが高まり、多くの技術的負債を抱える可能性があることが、レポートには記されている。

しかし、いわゆる「2025年の崖」が翌年に迫る現在でもなお、DX化に踏み出せない企業は多い。

INDUSTRIAL-X (以下、I-X社)の事業開発リーダーとして、2023年6月にプロジェクトにジョインした松尾麻里子さんは、DX推進に欠かせない「DX人材」という定義の曖昧さを指摘する。

自社のDX化が喫緊の課題だと気づきながらも、具体的にどこを改善するためにどのようなスキルを持つ人材が必要なのか、明確に説明できる企業は多くない。

「産業構造を変革する」というミッションを掲げ、人材のスキル面だけでなくマインド面をも変革し、企業をありたい姿へ導くI-X社が打ち出す、トランスフォーメーションへの一手とは何か。松尾さんに伺った。

DXで重要なのは、「X」トランスフォーメーション

松尾麻里子さんは営業、デザイナー、キャリアコンサルタント等の経験を経て、2023年6月に事業開発リーダーとして、DX人材育成事業にジョインした。

そして、キャリアコンサルタントとしての視点から変革を紐解く。

そもそも、「変革」は、ビッグバンのようにある日突然起こる事ではなく、意識して変革を起こそうと思っていても一朝一夕にはいかないと、松尾さんは指摘する。

「この先の未来に必要な事業は何か、会社はどう変わっていけばよいか、どんな働き方、生き方を描くべきか、どうすれば社会貢献ができるのか。現状立ち行かない現実の課題を抽出して、目指すべき姿をビジョンに掲げ、具体的な計画を立て、シミュレーションを実行する。その地道な作業の積み重ねの上に、企業の変革は成し遂げられるのです」

I-X社では、この新規事業を創出することを一つの例に、新たな価値を創出するための取り組みを「DX2.0」と定義している。

下図のように、「アナログ/デジタル」と「既存事業/新事業」の4象限に分けた場合、DX2.0は右上の象限に該当する。日本企業では、まだ左側の象限でとどまっているケースも散見されるのが現状だ。

社内のDX進捗に合わせて必要とされるスキル

DXの進捗にもそれぞれのフェーズがある。DX1.0は、特定業務のIT化のフェーズで、DX人材には、例えば、ペーパーレス化やモバイルワークを進められるスキルが求められる。

DX1.5は、全社のIT化・IoT化のフェーズで、DX人材には、工程全体をIoTで「見える化」し、データプラットフォームを構築できるスキルが必要だ。

DX2.0になると、デジタル化を通じた収益化など、より経営者目線での全体最適と新規事業を作り出す視点が求められる。

「当社では、DX人材には、単にITに強い、詳しいだけではなく、デジタルによる継続的な『変革』を通じて、企業価値を高められるスキルこそが必要だと考えています」

DX人材は必要だが、「DX人材」の定義がわからない

さらに松尾さんは、日本でDX人材確保が進まないのは、定義の曖昧さに問題があると指摘する。

「DXに特化した人材採用をサポートしていくなかで、『DX人材がほしい』という企業の要望に対し、『このスキルがあるからDX人材だ』という条件提示が難しいというのが、一つの課題でした。企業側も『こういう人材がほしい』という明確なビジョンが見えているようで見えておらず、どうしても採用要件を詰めきれない部分がありました。企業によってDXの進み具合が違えば、求めている人材も違います。たとえば、現在ペーパーレス化に取り組んでいる会社が、新規事業立ち上げのDXをやっている人材を求めても、持て余してしまうでしょう」

DX人材の採用や育成に関する実態把握調査 INDUSTRIALX

2023年にI-X社が実施した『DX実現に向けた課題と意向調査2023』(https://industrial-x.jp/download/dxreport/)によると、618名の回答者のうち、34%の方が「DX人材の確保が課題だ」と回答している。

また、2023年8月に経済産業省が提示した「デジタルスキル標準」では、ビジネスパーソンが身につけるべき「DXリテラシー標準」と「DX推進スキル標準」を定義している。

しかし、その定義を嚙み砕き、明確に理解した上で自社のDX進捗状況に当てはめ、どんなスキルを持つ人材が自社に必要なのかを理解するまでのプロセスは、ほとんどの会社でできていないのが実情だ。

「DX人材と聞くと、どうしてもデジタルやテクニカルスキルの要素が強くなります。例えば、直近ではローコード、ノーコードツールを使って独自のアプリを作れることが、イコール、テクニカルなスキルを保有しているという判断に紐付きがちです。しかし、ツールを使えることだけがスキルとして重要なのではありません。ツールを使ってどんな課題を解決するアプリを作るのかが重要なのです。この課題を明確に整理し、全体最適を見据えて実行するスキルこそ、DX人材に必要だと考えています」

例えば、全社的なシステムや仕組みを大きく変えるプロジェクトは、従来のやり方を好む社員や、ITリテラシーの差異による個々人の習得レベルにより、なかなかスムーズにはいかないのが常である。

このような際に、周囲を巻き込む力や、気持ちを前に向かせるコミュニケーション能力も必要になってくる。

ほかにも、企業の変革を推進するには、千手観音の手のごとく、色々な能力・スキル、ときにはセンスまでもが求められる。

「そこで、何をもってDX人材と言えるのかを、各企業のフェーズごとに定義していくことが必要だと、私たちは考えました。経済産業省のデジタルスキル標準を、我々が今まで伴走支援してきたプロジェクトに当てはめて考えるとどういうことが言えるのか。自社がどの段階にいて、どのスキルが必要なのかをマッピングしたうえで、フェーズごとに必要なスキルをもった人材を整理し、再定義したのです」

INDUSTRIALX 松尾麻里子さん

今回は、定義が曖昧だけれども、多くの企業が求めるDX人材の現状と課題を見てきた。

次回は、DX人材を採用したり育成したりする際に必須となる考え方としてI-Xが提唱する「デジタルバリューチェーンスキル」を中心に解説していく。続きはこちら

◎企業概要
・株式会社INDUSTRIAL-X
・URL:https://industrial-x.jp/
・設立年月日:2019年4月15日
・代表取締役CEO:八子 知礼
・所在地:〒105-0003東京都港区西新橋3丁目25-31愛宕山PREX11F

◎プロフィール
松尾麻里子
大手メーカーにて約10年営業・広報として勤務後退社。30歳を機に学びなおしで専門学校に通い、デザインや製図などを学んだ後、デザイナー兼プロマネとして転職、博物館やホテルの内装設計に携わる。その後、キャリアコンサルタントを学び、大手人材会社に勤務。2023年6月より現職。

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ライター:

フリーライター・リーガルライター。静岡県浜松市在住。 立命館大学法学部卒。2008年から2021年まで13年間パラリーガルとして法律事務所に勤務。破産管財から刑事事件まで、各分野の法律事件に主任として携わる。独立後は主に法律メディアでの執筆やインタビュー取材などを中心に活動中。

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