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株式会社INDUSTRIAL-X

https://industrial-x.jp/

〒105-0003東京都港区西新橋3丁目25-31愛宕山PREX11F

変革を問われる企業と、DX民主化を目指すプラットフォームの理念

サステナブルな取り組み ESGの取り組み
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INDUSTRIALX nakamura tuchimoto

DX推進が言われて久しい。

ところが、現場を見渡せば単なるペーパーレス化や部分的なシステム導入に留まっている企業が少なくない。こうした現状に警鐘を鳴らすのが、DXによる企業の事業構造変革を支援するINDUSTRIAL-Xだ。

2人の執行役員、中村祥子さんと土本寛子さんに、DXの本質と企業がそれを達成するまでのフェーズ、中小企業のDX推進を阻む壁、そして壁を超えるために考え得るDXソリューションの共同利用型プラットフォームについて聞いた。

日本企業の瓦解。迫る2025年の壁

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INDUSTRIAL‐Xは、産業構造を変革するプラットフォームカンパニーです。コンサルティングを主軸にビジョン構築から課題抽出そしてビジネスモデルの変革を行うDXプロフェッショナル事業、リソース提供、ツールの実装などを行うDXプラットフォーム事業がある。これら2つの事業により、DX推進に関する幅広い支援を行っている会社だ。単なる電子化の支援にとどまらず、クライアントが「変革(トランスフォーメーション)」を遂げるまで伴走する点が、同社の特徴だ。

「VUCA」とも形容される、先行き不透明な時代を企業が生き抜くには、自社の経営資源の活用法を変え、既存のビジネスから脱却し、新たな価値を創出していくことが求められる。
世間では最近、「2025年の壁」なる問題が指摘されるようになった。意味は字義通り、2025年がディッピングポイント(臨界点)となり、企業の事業存続に影響が出る可能性を指摘したもの。

提唱元は経済産業省の「DXレポート」。当然、DX化の現状を危惧して、命名された、そり立つ「壁」である。

今日、あらゆる産業セクターでデジタル技術を活用したビジネスの推進が求められる一方、複雑化・老朽化・ブラックボックス化した古めかしいシステムを使用している企業もまだまだ存在している。

企業がDXを推進していくためには、部門を超えたデータの連携・活用のために既存システムが抱える課題を解決していくことが求められているが、現実を見渡せば、DXを部分的なシステム導入とはき違えている企業が多い。

INDUSTRIAL-X (以下、IX)のCPO(チーフ・プロダクト・オフィサー)土本寛子さんは、「DXでは『テレワーク』や『ペーパーレス』など、個別の分かりやすい部分に注力しがちだが、目指すべきは『ビジネスモデルの変革』」と強調する。

執行役員CAO(チーフ・アクセラレーション・オフィサー)中村祥子さんも「重要なのはデジタルよりむしろ企業の『X(トランスフォーメーション)』。

企業全体の組織変革、そしてビジネスモデルの変革こそが本質」と語る。
そもそもなぜ「変革」を目指すのか。

変革は「当たり前」を疑うことから始まる

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中村祥子さんは、変革が必要な理由をこう説明する。

「人口が減少するこれからの日本で企業が生き残るには、売り上げを上げると同時に、投下する人や時間などのリソースを減らさなければいけません。デジタル化をしたからといって、業務内容もその工程に割かれるリソースも変わらないままなら、社会の変化に対応できず、売り上げも上がらない。ですからDXに着手する際にはまず、3年後、5年後、10年後に自社がどうなっていたいか『ありたい姿』から逆算して業務フローを見直すこと、『当たり前』を疑うことから始めます」

とはいえ、企業の『当たり前』を疑うのは容易ではない。従来のやり方に内部から疑問を呈しても、社内理解を得にくいだろう。そんなときは、第三者の介入が突破口になる。

「第三者は、その会社における『当たり前』にとらわれずに発想します。これまでと異なる方法で課題を解決できるだけでなく、ナレッジを貯めて次のステップにつなげることも可能です」(中村さん)

ただ、デジタルによる変革を進めようとすると、多くの現場が、往々にして社内理解を得ることの難しさに直面する。「自分の仕事がなくなる」との不安を払拭できない抵抗勢力たちだ。

これに対して土本さんは、「人を減らすためにトランスフォーメーションをするのではない」と語る。

DXの本質は、デジタル化で集めたデータを活用し、新たな価値やビジネスを創出するところにある。やみくもに人員を削減するのではなく、人員を割く対象を変えるのだ。

とはいえ、窓口業務からデータ分析を担えるようになるには、当然、新たなスキルの習得が求められる。

中村さんによると、鉄鋼事業が衰退したドイツの某社は、社員にリスキリングの機会を提供し、鉄の生産に携わっていた約2000人のうち約1000人をデータアナリストへと移行することに成功したそうだ。

コロナ禍で人々の働き方が多様化し、物価も上昇している。外部環境が変化する中で、個人も会社組織も変化に適応すべき時が来ている。

では、企業はどう変化に適応すればよいだろうか。

DXは1.0から1.5、そして2.0へ

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「システムや電子ツールさえ導入すれば『魔法の杖』のようにガラッと組織が変わるわけではない」と、土本さん。

「企業が長年醸成してきた固有の文化との同期化を含め、ハレーションが起きないよう総合的に設計することが肝心」と語る。

実際の手順としては、DXの度合いをレイヤーごとにわけて考える手法を踏むとのこと。

DXは、DX1.0からDX1.5、そしてDX2.0といった3段階に分けて考えることができるそうだ。
DX1.0は特定業務のIT化を図る段階。具体的には、ペーパーレスやモバイルワークが挙げられる。

DX1.5は、全社のIT化・IoT化のフェーズ。工程全体をIoTで「見える化」し、データプラットフォームを構築する段階とのこと。

DX2.0では、集積したデータとナレッジを利活用して、外販できる新規事業の創出、ひいてはビジネスモデルそのものの変革が可能となる状態を指す。

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中村さんは、「ペーパーレスはデータ化への第一歩」と説く。

「紙に書かれた情報がデータ化されることで、分析可能な情報になることが重要です。現在の仕事のやり方や、生産工程の時間の使い方、品質のばらつき、不良品の発生頻度などの情報を分析できるようになると、その結果をもとに対策を打つことができます」

確かに紙のままでは分析が弱い。また、ペーパーレス化を目指して個別のアプリケーションを入れたとしても、局所的な対策しか打てない場合もあるだろう。

そのため、「会社が本来すべきは全体最適」と続ける。

「フロー全体から不要な工程を省き、『在りたい姿』に向けてツールを選定しなければなりません。データ化して経営状況をつかみ、改善したうえで、ナレッジを新たなビジネスへと昇華させていただきたい」

IXが関わった、高知県のハウス農業のDXの事例を見てみよう。まずは、「勘と経験」という属人的な要素に頼ってきた部分を、センシングしてデータとして可視化する(DX1.0の段階)。

次に、データを分析して得られた情報をもとに、良質な野菜を安定的に作れるようになる(DX1.5の段階)。

その後、蓄積された情報と知見を共有することで、既存農家の生産性向上だけでなく、新規就農者の創出に成功した。

このデータプラットフォームの仕組みを現在、他県に提供する話が進んでいる。(DX2.0の段階)。

「データ駆動型農業」が農業ビジネスを拓く。高知県の“農業DX”最前線

データを蓄積し、それを活用して事業を改善し、知見を活かして新規事業を創造する。これが、IXの掲げる「DX2.0」までのステップだ。

地方の中小企業がぶつかる壁「DXを推進できる人材がいない」

本当の意味でDXを遂げるには、いち早く1.0から抜け出し、1.5、2.0へと進まなければならない。しかしながら、DXの現況は「多くの中小企業がDX1.0で足踏みしている段階」(中村さん)という。

とりわけ、製造業現場のDX推進スピードは鈍い。

定型的な契約書の作成、レシートや領収書の管理といったバックオフィスの業務に関してはペーパーレス化が進んでいても、設計、施工管理、建設現場、工場現場などにおけるペーパーレス化は手つかず、あるいは個別のシステムやアプリケーション導入にとどまっている状況だ。

中小企業、なかでも地方の製造業でDXが進まない理由は、何なのだろうか。

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「ひとつは、リソースが少ないために目の前の仕事に追われ、『新たな価値創出』について考える時間を持てないことが挙げられる」と、中村さん。

地方では、IT人材が圧倒的に不足している。IT業務を外注しようにも、「IT企業」と呼ばれる企業は、Webページ制作会社やWebマーケティング会社など、限定的な業務範囲にしか対応していないところがほとんどだ。

全体を俯瞰し、変革まで見据えてDXを支援できる企業は、ほぼ皆無。地方の中小企業だと売り上げ規模も限られるため、都市部から人を呼ぶための人件費を確保するのは難しい。

そもそも人手が不足している上に、DXを推進できる人材がいないことが、DX推進を阻む大きな壁になっている。

中村さんはまた、「トップから変革のメッセージが少ないことも、DXが進まない一因」と指摘する。「本気で変革しようというよりも、既存の方法を維持したまま売り上げを伸ばそうとしがちです。

トレンドに反応して『うちもDXを進めよう』と言いながらも、本人が紙の資料や対面のコミュニケーションを好むケースも少なくありません」。

たしかに、DXの本質がビジネスモデルの変革を目指すところにあるとすれば、トップがどのような未来像を描き、どのようなメッセージを社内外に発信するかが重要なことは、言うまでもない。

しかし、都市部と比べて情報を得る場も限られる中で、中小企業のトップが独自に変革を実行するのは容易ではない。

ここでもやはり、リソース不足が壁として立ちはだかる。戦略コンサルや大手ITベンダーにコンサルティングを依頼するには、高額な投資が必要となり、その費用を捻出できる企業は限られている。

DXの民主化を担う、共同利用型プラットフォーム

IXが見据える日本全体の産業構造の変革には、中小企業のDX推進が不可欠だ。

そこで同社は、地方と都市、大企業と中堅・中小企業の間にあるデジタル格差を解消すべく、2021年夏、DXに必要な戦略、人材、ツール、情報などすべてのリソースを提供するプラットフォーム「Resource Cloud」を立ち上げた。

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産業構造の変革を促すべく、リソースとノウハウを汎化し、コンサルからあえて「プロダクト」を提供しようとしているのがIXの挑戦だ。

Resource Cloud上には、ITツールに関する情報から、DX人材、DXを進める上で必要になる戦略立案、ツール選定・導入支援まで、100社以上のパートナー企業による150以上のリソースが揃っている。

「DXを進める際の相談先がない」「有益なツールに関する情報が得られない」「社員がITを学べる場がない」……そんな中小企業の悩みに対して、相談先とのマッチング、ツールの目利き、人材育成の場など、最適なソリューションを提供している。

戦略策定からシステム導入までを支援するコンサルや大手ITベンダーは多いが、人材紹介から人材教育、セキュリティ対応までを網羅したResource Cloudのような仕組みは珍しい。

幅広いリソースを駆使して、ときにはクライアントの課題を解決できるソリューションベンダーをプラットフォーム上で募集し、ときにはIX自身がソリューションを提供する。

「デジタル化を進めているとある宿泊施設に、SNS映えするガーデンがありました。しかしガーテンにネットワークが届いておらず、その場で写真をアップできませんでした。施設の運営会社には、ガーデンにインターネットを引くほどの資金はなかったため、当社がインターネットのサービス提供を担うことで課題を解決しました」(中村さん)。

同社の八子知礼代表の言葉を借りると、「DXできない理由をつぶす」のだ。
Resource Cloud上では、eラーニング形式のDX基礎講座も開始している。

「コンサルタントとして個社別のDXを推進してきましたが、DX推進においても、できる限り属人性を排除したい。これまで当社が培ってきた情報と知見を整理し、汎化することで、幅広い層にプロダクトとして提供したいと考えました」(土本さん)。

15分×18コマで構成される同講座は、DXの概論や事例の紹介にとどまらず、ビジネス視点まで踏み込んだ考察を促す。

DX2.0を見据えてデジタル化を進めるか否かで、数年後の会社の姿は全く異なるものとなるだろう。

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土本さんは、Resource Cloudの在り方についてこう語る。

「Resource Cloudでは、それぞれの企業が自社の課題に気付き、その課題に応じたソリューションに導くためのプラットフォームづくりを目指しています。社内でDXに必要なスキルが不足していると感じるならば、また第三者が入ることで変革を加速させたいと感じているなら、適した人材を配置します。また、『問い合わせのハードルは高いけれど、DXについて学びたい』と考える方には、DX基礎講座をEラーニングで提供できます。DXの全プロセスに当社が伴走しなくとも、各企業がDX1.0から1.5、2.0へと進み、自走できるようになることが理想です」

今後の展開については、「地方の企業に対して助言をするような税理士、不動産鑑定士などの士業の方々、地方銀行の担当者の方々などにも活用いただくことで、幅広い産業分野でのDXを加速させたい」と、期待を込める。

Resource Cloudは、都市部と地方、大企業と中小企業の垣根を超えて、ユーザー同士が有機的にリソースを共有できるプラットフォームといえる。

時代の変化は加速する。中堅・中小企業こそ、まずは一歩、踏み出そう。

時代の変化は今後一層加速するだろう。「いつからDXを進めるべきか」「社内理解が得られるだろうか」と悩む間にも、外部環境の変化は止まらない。

「全社のマインドセットの変化を待つよりも、行動を変容させてしまったほうが、変革は早く進むものです」と、中村さん。

これは、システム導入の際にシステムに合わせて組織を変容させる「チェンジマネジメント」と呼ばれる手法だ。

「DXをやりたいけれど、何から手を付けたらいいだろう」と足踏みしているならば、まずはEラーニングからでも一歩を踏み出してみてほしい。

◎プロフィール
industrial-x nakamura tsuchimoto
土本 寛子
株式会社INDUSTRIAL-X 執行役員CPO(Chief Product Officer)
数年にわたり、製造業向けコンサルティング企業にて、業界大手企業の上流から下流まで業務設計プロジェクトの推進を担う。(株)チェンジにて、ビッグデータ及びデータサイエンティストの育成プログラムの新規開発・育成を経て、(株)ウフルではIoT人材育成プログラムの新規開発・育成に従事。IoTやテクノロジーに関する幅広い知見により、複数企業の業務設計や効率化支援を行う。2021年10月よりINDUSTRIAL-Xに参画し、サービス企画マネジャーとして、DX for ESGの推進や、DXを実現するための様々な経営資源(リソース)の調達を支援するプラットフォーム「Resource Cloud」の開発と運用を牽引。

中村祥子
株式会社INDUSTRIAL-X 執行役員CAO(Chief Acceleration Officer※)
2000年4月より日立ソリューションズにおいてCRMシステムを中心にWebシステムの導入コンサルタント、プロジェクトマネージャーを歴任。2019年4月より日本マイクロソフトにて、カスタマーサクセスマネージャーとして、お客様の事業ビジョン実現に向けて、デジタル活用や組織のチェンジマネジメントをお客様とともに推進。2022年7月より伊豆市CIO補佐官として地方自治体DXにも従事している。
※(Chief Acceleration Officer):IT導入やインフラ構築などのDX推進を加速させる事業の最高責任者

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