ボーダレスキャリア 河原木さん
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法人情報
環境・人に配慮し、次世代により良い地球をつなぐ皮革製品を作る会社。
名称 | ジョッゴ株式会社 |
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代表者名 | 太田 真之 |
住所 | 東京都新宿区市谷田町2-17八重洲市谷ビル6F |
URL | https://joggo.jp/ |
業種 | 皮革の製造及び販売 |
電話番号 | 03-5227-8320 |
資本金 | 10,000千円 |
設立 | 2013年 3月 |
ありがとうの総数 | 3 |
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法人メッセージ
誰もが生まれる場所や特性は選べません。にもかかわらず今の世の中には、選べない境遇で生きづらさを感じたり偏見を持たれたりする人がいます。教育が受けられなかったから、障がいがあるからといった理由だけで、働く場所や機会との接点が限られている人がいるのです。
やりたいことに挑戦したい、納得がいく収入を得たい、スキルアップしたいといった願いを叶えて得られる、「この仕事ができてよかった」という誇り。この「働くことによって得られる誇り」と「誇りを持ちながら働ける仕事の選択肢」をすべての人に平等に届けたいと、バングラデシュと日本で革職人を育成する工場を運営し、その革製品を販売する事業を展開しているのが、ジョッゴ株式会社です。
今回は、同社代表取締役社長 太田真之さんに、事業を通して目指す社会や事業の成長に欠かせないステークホルダーの皆さんへの想いを伺いました。
アジア最貧国バングラデシュの人々と日本の障がい者に「誇りをもって働く選択肢」を届けたい
―ジョッゴ株式会社(以下、ジョッゴ)さんは、2017年から革職人を育成する工場を運営し、国内でその革製品を販売する事業を展開されています。「JOGGO」と「UNROOF」という2つの事業がありますが、どのような違いがあるのでしょうか?
この2つの事業では、解決したい社会問題が異なります。
JOGGOはアジア最貧国と言われるバングラデシュで、「教育を受けられないがゆえの就労困難問題」を解決するための事業です。現地工場で働くことで、世界に通用する革商品製造の技術を習得、一人前の革職人へと成長することができます。さらにスキルアップに伴い収入も向上し、家族との生活の安定にもつながります。
UNROOFは「障がいがあるだけで仕事の選択肢が制限される」という、日本でまだまだ根強く残っている問題を解決するための事業です。こちらは付加価値の高い製品を作る一流の革職人になることで、自身のスキルアップや収入の向上を可能とします。
コンセプトは異なりますが、どちらにも共通しているのが「すべての人に、生まれた境遇に左右されることなく、働くことに誇りを持てる状態や選択肢を届ける事業」だということです。
サステナブルな素材から作りだされる世界でたった1つのプレゼント
―JOGGOとUNROOFで使っている革はすべて、食用の牛を使っていると伺っています。
JOGGOとUNROOFで作る商品にはすべて、食用の牛から出た「そのままだと廃棄されてしまっていた革」を使用しています。バングラデシュでは、イスラム教の断食明けに行われる「イード」という祝祭で、牛肉を食べる文化があります。JOGGOが使用している牛革の8割は、このイードで廃棄予定だったものです。残り2割も、お祭り以外で食される食用牛から出る革で、産地も確認しています。もちろんUNROOFも、革屋さんなどから仕入れるものも食用の牛の革だと確認が取れているものを使用しています。
―そもそもなぜ、捨てられるはずだった牛革でビジネスを進めていこうと考えられたのでしょうか。
バングラデシュでは、縫製産業が発達しています。地域産業の特性とイードという文化から出る現地の資源をかけあわせて、就労できずに困っている人たちの働く場所を作ることができると考えたためです。
—現地の資源を有効活用し、環境配慮はもちろん継続的なものづくりが可能になったのですね。また、デザイン性も高く、JOGGOの革は、色のバリエーションの豊富さも特徴的です。
バングラデシュのタンナーさんと生み出した、JOGGOだけで販売できる14色のオリジナルレザーは、この事業の自慢の1つです。
お客さまからは、この14色をパーツごとにカスタマイズしてもらうセミオーダーメイド式が喜ばれています。多くのカスタマイズパターンがあるため、他の人とまるごと被ることは今のところほぼありません。また名前などの刻印も承っているため、大切な人への「世界でたった1つのプレゼント」として支持されています。
お客さまに長く愛されるものを 縫製と使いやすさへのこだわり
―JOGGOやUNROOFで作っている革アイテムの特徴についても教えてください。
UNROOFでは、お客さまの利き手に合わせたアイテムを作ることができます。世間一般の商品の多くは、右利き仕様のものがほとんどです。もちろん左利き用のアイテムもありますが、取り扱うメーカーさんはそこまで多くありません。UNROOFの商品では、日常に溶けこんでいて認識されづらい部分に気を配ることも大切にしています。
またJOGGOもUNROOFも、縫製にこだわっています。なかでもUNROOFの職人の「商品作りへの妥協のなさ」には、本当に驚いています。
UNROOFで働く職人にはADHDの人がいます。好きなことに熱中するという特性も見られる障がいですが、好きでやっている仕事だからこそ発揮される集中力、そして作るものに求めるクオリティの高さに何度も度肝を抜かれました。
商品が長持ちするために1cm3.5ステッチという縫い目のルールを徹底しています。革の重なっている部分をまっすぐに縫うのには非常に高度な縫製技術が必要なのですが、出来上がった商品を見ると本当に美しい縫い目になっているのです。技術指導を担当してくれているベテラン革職人の荻原さんも、UNROOFの若手革職人たちのスキルとプロ意識の高さに感心しているとよく話してくれますよ。
サステナブルに会社経営はできると次世代に見せていきたい
―太田社長は、異例ともいえる外部からの社長求人で採用された2代目の経営者です。JOGGOやUNROOFを通して最終的にどのようなことを成し遂げたいとお考えですか?
より良い地球を次世代へ繋いでいくために、事業を成長させていくことです。
JOGGOはバングラデシュの、UNROOFは日本における障がい者の雇用問題を解決するための事業ですが、世の中にあるすべての社会問題、環境問題の原因は同じところからきていると思っています。
現代社会の構造は、精神性より我がよしの物質主義が優位に立つピラミッド式になっているため、お金を稼いだ人が注目されがちです。その裏には多くの「自分のせいではないところで困っている人たち」が取り残されています。また、すべての生き物の大地である地球も、人間の手によって汚され続けているのです。これらの問題は、NPO、NGOの活動やジョッゴも参画しているボーダレスグループのビジネスだけでは解決するのが難しい、大きな問題となっています。
ただ私たちは、自分の行動を変えることはできます。今はその方法を知らなくても、学んで知って、1人でも多くの人が一歩を踏み出し実践することができれば、社会も地球環境も良い方向へと進み始めると思うのです。
実は私も以前は仕事とサステナブルな活動を割り切って考えていました。しかし、自分たちの考えや行動でサステナブルな働き方も会社の経営もできるのだと、ジョッゴに入社して思えるようになったのです。
だからこそ私はジョッゴのビジネスを通して、「自分たちで社会は変えられる」ということを実践し、次の世代に引き継いでいきたいと思っています。そして近い未来が、そういう考え方や行動の広まりによって「ソーシャルビジネス」という言葉のない、この言葉がもはや当たり前の存在となっている社会になっていることを願っています。