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三井住友海上×あいおい損保が合併 MS&ADが東京海上を抜き損保業界首位へ 3メガ損保時代突入

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三井住友海上×あいおい損保が合併
DALL-Eで作成

三井住友海上とあいおい損保が2027年に合併へ。収入保険料で業界首位へ躍進する中、損保業界は銀行に続き“3メガ”体制に突入。東京海上との違いや、通信業界との比較から見える未来の姿を探る。

 

合併で業界首位へ 三井住友海上・あいおい損保が2027年統合を発表

MS&ADインシュアランスグループホールディングスは3月28日、傘下の三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を、2027年4月をめどに合併させる方針を正式に発表した。両社の正味収入保険料は合計で約3兆円に達し、現首位の東京海上日動火災保険を上回る見込みである。

2010年の経営統合以降、両社は同じグループ内で独立したブランドと組織を維持してきたが、業界構造の変化と経営課題に対応するため、15年の節目で一本化に踏み切る。

背景にある経営の構造変化と数字に現れない競争力の差

この合併の背景には、自然災害の激甚化、自動車保険市場の停滞、不祥事の頻発といった業界全体の構造的課題がある。2023年度の保険金支払額は5兆3000億円と過去10年で17%増加。自動車保険料は3兆8000億円前後で頭打ちとなり、成長余地が見込みづらくなっている。

一見、収入保険料で東京海上を上回る大合併だが、その“裏”を読み解けば、課題も浮かび上がる。東京海上の純利益が4207億円であるのに対し、三井住友・あいおい両社を合計しても2237億円。売上規模では上回っても、利益体質ではなお差が大きい。

その理由は海外展開の巧拙にある。東京海上は北米やアジアでのリスク分散に成功し、安定した収益構造を築いている。一方、MS&AD傘下の2社は国内依存度が高く、自然災害や経済変動の影響を受けやすい構造となっている。

合併が意味するもの 銀行・通信業界との比較で浮かぶ再編の本質

 

今回の統合で、損保業界は三井住友・あいおい、東京海上日動、損保ジャパンの3社による寡占構造に移行する。これはちょうど、三井住友銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行の「3メガバンク」体制と類似している。

しかし、その先例には光と影がある。3メガバンク体制が安定を生んだ一方で、競争が鈍化し、サービスや料金に硬直性が生じたとの指摘もある。同様の構造変化は、保険業界にも生じる可能性がある。

また、通信業界ではKDDI・NTTドコモ・ソフトバンクの3強体制が長らく続いているが、楽天モバイルの参入など異業種による再編の波も起きている。損保業界も、異業種からの新規参入やデジタル保険企業の台頭といった“外からの揺さぶり”にさらされる可能性は十分にある。

一見、3メガ体制で市場は落ち着いたように見えても、それは新たな競争フェーズの始まりに過ぎない。

東京海上日動・損保ジャパンとどう違う?他の大手損保との競争構図

東京海上日動火災保険は、明治期から続く歴史を持つ国内損保のリーディングカンパニーである。特筆すべきはその海外展開戦略であり、北米・アジア圏での積極的なM&Aによって、すでにグループ利益の半分以上を海外事業で稼ぎ出している。今後はアフリカ地域への進出も視野に入れており、リスク分散と収益基盤の安定性という点で群を抜いている。

一方、損害保険ジャパンは自動車保険に強みを持ち、国内保険料収入では東京海上に次ぐ規模を誇る。最近では介護・ヘルスケアといった新分野への進出や、保険金支払いのAI化など、業務改革とデジタル対応を推し進めている。

これに対し、三井住友海上とあいおい損保は収入保険料で東京海上を上回る見込みであるものの、海外展開や新規事業開拓では遅れを取っているのが実情だ。今後は、いかにして海外事業を拡大し、AIやDXを活用した付加価値の高い保険サービスを展開できるかが、競争力の鍵を握る。

合併の行方と求められる企業の進化

今回の合併により、業界再編は最終段階に入ったように見えるが、統合後の競争はむしろこれから本格化する。効率化と統治強化、そして顧客視点でのサービス改革を同時に進める必要がある。

ビジネスパーソンにとっては、こうした構造変化が保険商品選定や企業のリスク管理体制に直結する時代に入っている。単に価格やブランドで選ぶのではなく、企業体質、透明性、収益構造まで含めた「リスク選定力」が求められている。

東京海上を追い抜いた数字の裏で、真の勝負が始まろうとしている。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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