ナイキが「NikeSKIMS」を立ち上げた背景

女性市場の成長とナイキの戦略

ナイキは近年、女性向けスポーツウェア市場での競争力強化を進めている。これまでカナダ発祥のブランドlululemon（ルルレモン）や同じアメリカのAlo Yoga （アロヨガ）といったブランドがシェアを拡大するなか、ナイキは競争に後れを取っていた。特に、アクティブウェア市場では、機能性とデザイン性を兼ね備えたブランドの人気が高まっており、ナイキはこの分野での強化が急務とされていた。

キム・カーダシアンとSKIMSの影響力

SKIMSは、2019年にキム・カーダシアンが立ち上げた補正下着ブランドであり、短期間で急成長を遂げた。2023年には評価額40億ドル（約6000億円）に達し、NBAやWNBA、オリンピックチームとの提携を果たすなど、スポーツ市場への進出も積極的に行ってきた。今回のナイキとの提携は、SKIMSがアクティブウェア市場に本格的に参入する大きなステップとなる。

「NikeSKIMS」が提供する製品と特徴

スポーツ×補正下着の融合

「NikeSKIMS」は、スポーツウェアと補正下着の要素を組み合わせた製品を展開する。SKIMSの特徴である着圧構造やフィット感を活かしながら、ナイキのスポーツイノベーション技術を取り入れることで、機能性とデザイン性を両立させたアイテムが登場する予定だ。

ラインナップと展開スケジュール

最初のコレクションは今春に一部店舗およびナイキ公式サイトで発売される。その後、2026年には新たな市場や販売拠点への拡大が予定されている。ラインナップには、レギンス、スポーツブラ、フットウェア、アクセサリーなどが含まれるとされており、すべての体型に対応する幅広いサイズ展開が特徴となる。

ナイキとSkims双方にとってのメリット

ナイキにとっての利点

１. 女性市場の拡大：ナイキはこれまで男性向け製品が売上の中心だったが、「NikeSKIMS」を通じて女性市場の成長を促進できる。
２. ブランドの再建：新CEOエリオット・ヒルのもと、ナイキは業績回復を目指しており、今回の提携はその一環と位置付けられる。
３. 競争力の向上：ルルレモンやアロヨガといった競合ブランドに対抗し、スポーツウェア市場でのシェアを回復する狙いがある。

Skimsにとっての利点

１. スポーツ市場への進出：ナイキとの提携により、SKIMSは本格的なスポーツウェアブランドとしての認知を高めることができる。
２. 製品の技術強化：ナイキのスポーツリサーチラボの技術を活用し、より機能的な製品を開発できる。
３. IPOへの布石：SKIMSは将来的な上場を視野に入れており、ナイキとの協業がブランド価値向上につながる。

「NikeSkims」の市場での展望

消費者の反応と市場の期待

発表後、ナイキの株価は6.2%上昇し、市場全体の期待が高まっている。スポーツ×ファッションの融合というトレンドに沿った展開であり、特に女性消費者からの支持が期待されている。

競争環境と今後の課題

ナイキは、ルルレモンやAlo Yogaなどの競合ブランドとの競争を強いられる。成功の鍵は、SKIMSの補正下着の技術をいかにスポーツウェアとして昇華させるかにかかっている。加えて、価格設定やプロモーション戦略も重要な要素となる。

まとめ

ナイキとSKIMSの提携による「NikeSKIMS」は、女性向けスポーツウェア市場に新たな流れを生み出す可能性を秘めている。ナイキにとってはブランドの再建、SKIMSにとっては市場の拡大という双方にとってのメリットがあり、今後の展開が注目される。最初のコレクションの発売は今春予定であり、2026年のグローバル展開も視野に入れている。市場の反応を見ながら、ナイキの戦略がどのように進化していくのか、今後の動向が期待される。

【参照】
・NIKE, Inc. and SKIMS Introduce New Brand for Women: NikeSKIMS（Nike US）